TIGER & BUNNY 2（タイバニ2）のネタバレ解説・考察まとめ

NEXT（ネクスト）

物語の半世紀近く前に生まれ始めた、超常的な能力を持つ新人類。多くは幼少期に突然能力に覚醒する。
能力は個々に様々で、基本的に1人に1種。使い方によっては容易に人を殺傷することも可能な能力も少なくなく、NEXTへの差別意識は人々の間に根強く残っている。

シュテルンビルド

物語の舞台となる近未来都市。ヒーローという職業が存在し、その活躍の度合いによってポイントを加算させて競わせる「HERO TV」という番組が人気となっている。

ヒーロー

NEXT能力を利用して犯罪者から市民を守る職業。シュテルンビルドでは司法局から認可を受けたNEXTが、企業と契約して従事するのが基本となっている。このため企業の宣伝塔を兼ねており、彼らがヒーローとして活躍する際のスーツにはスポンサーのロゴマークが入っている。

HERO TV（ヒーローティーブイ）

シュテルンビルドで大人気のテレビ番組。ヒーローの活躍をリアルタイムで放送し、その活躍の度合いによってポイントを加算。年間でもっともポイントの高いヒーローに「キングオブヒーロー」の称号を与えるシステムとなっている。

減退（げんたい）

NEXT特有の症例。NEXTとしての能力が大きく衰え、場合によっては完全に消滅してしまう。一時的に能力が増強されるという初期症状が特徴。
作中では虎徹と、かつて彼が憧れていたヒーロー「Mr. レジェンド」がこれにかかっている。虎徹の場合はそれまで5分間発動できていたハンドレットパワーが1分間しか発動できなくなるも、現在はその状態で安定している。

Mr. レジェンド（Mr. Legend）

虎徹が子供の頃にシュテルンビルドで活動していたヒーロー。その華々しい活躍で絶大な支持を獲得し、当時非常に強かったNEXTへの差別意識を和らげることに大きく貢献。その偉業は今なお語り継がれている。
しかし晩年はNEXTとしての能力が減退し、同僚に手柄を譲ってもらうことでヒーローとしての対面を守るようになる。そのストレスから家族に暴力を振るうようになり、これを止めようとした息子のユーリに焼き殺されるという末路を辿った。

ウロボロス

作中で暗躍する謎の犯罪組織。上級幹部は自分の尾をくわえた蛇と剣を組み合わせた刺青を手の甲に施している。
本作においては「NEXTへの差別意識を増幅させる」ことを目的としており、フガンとムガンにヒーロー狩りを行わせていた。

マーベリック事件

かつてバーナビーの後見人だったシュテルンビルトのメディア王アルベート・マーベリックが数十年に渡って起こしていた一連の事件の総称。自身もNEXTだったマーベリックは、NEXTの差別意識を和らげるためにその人生を費やし、シュテルンビルトにヒーロー制度を立ち上げる。Mr. レジェンドなどの華々しい活躍で市民の持つNEXTへの恐怖心を薄くする一方で、自らウロボロスに近づき“ヒーローたちに解決させるための事件”を実行させていた。
このために障害となる者は時に自ら、時に人を使って抹殺し、さらには“記憶を書き換える”という自身のNEXT能力で他人の記憶を書き換えて意のままにすることすら行っていた。バーナビーもそうやって操られていた人間の1人である。
しかし真実に気付いたバーナビーと虎徹たちによって追い詰められ、いよいよ逃げ場を失ったことを理解すると自分の能力で自分の記憶を破壊。廃人となった末、最後は護送中にルナティックによって殺害される。
シュテルンビルドのヒーロー事業の事実上のトップだったマーベリックが起こしたこの事件は人々を震撼させ、ヒーローの在り方も問われることとなる。

パートナー制度

マーベリック事件を受け、司法局が新たなヒーローの在り方を模索した上に生まれた制度。これまでほとんど個人で活動していたヒーローに、2人1組のコンビを組ませて活動させるというもの。以前からコンビを組んでいた虎徹とバーナビーは、先駆者としてヒーローたちの手本となるよう期待されている。
しかし司法局のユーリは「効果は認めるが、パートナーとの絆が深くなればなるほどヒーローの暴走を招きやすくなる」と懸念しており、実際に作中で“バーナビーが爆弾で重傷を負った際に、怒りに燃える虎徹が単独で犯人を探し回る”という形でそれが現実のものとなっている。

『TIGER & BUNNY 2』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

虎徹「誰が捕まえようが、結果として誰かが救われることが大事なんじゃねえかな」

ヒーロー総出での捕り物の最中、独断専行して危うく作戦を失敗させかけた昴。どういうつもりだと詰問するヒーローたちの前で、昴は早く手柄を上げたかった、相棒のトーマスに負けないほど注目されたかったという新人らしい胸の内を吐露する。そんな彼を優しく諭すように虎徹が告げたのが見出しのセリフである。
虎徹はさらに「みんな同じ気持ちでヒーローやってると思う、それだけは分かってくれ」と語り、昴は自分の行動がヒーローらしからぬものであったことを痛感。迷惑をかけた仲間たちに頭を下げる。

“自分以外の誰かのために”という、ヒーローという仕事の本質をズバリと突いた言葉である。この言葉を熱を込めて語るのではなく、何気ない口調でサラリと口にできるところが、虎徹が根っからヒーロー気質の人間であることを表している。落ち目のベテランであろうと、若手に人気で抜かれようと、彼が仲間やシュテルンビルドの人々から愛されている理由がよく分かるセリフだ。

キース「きっと我々には、まだ擦れ違ったり悩んだりする時間が必要なんだ」

ネイサンとパートナーになり、その火力と機動力で活躍を続けるキース。しかしそのネイサンが、「キースは公私ともにヒーローとして完璧すぎる」と言ってコンビを組むことに窮屈さを感じていることを知り、協力して事件を解決した後で彼に語り掛ける。
セロリが苦手なこと。疲れている時は残したピザで食事を済ませること。ネイサンによく思われたくて、必要以上にヒーローたらんとしていたこと。「良いバディになりたい」との一心で行っていた、キースなりの努力だった。

前作『TIGER & BUNNY』は、虎徹とバーナビーという年齢も性格も違う2人のヒーローが、無二の相棒として最強のコンビになるまでの物語だったといえる。かつての彼らよりはいくらか聡明な形でパートナーとしての絆を深めていくキースの姿に、胸温まる名シーンである。
キースの言葉と謝罪を、ネイサンは苦笑しながら受け入れ、彼らはシュテルンビルド最強のバディ目指してさらに活躍していく。

トーマス「あななたたちに出会わなければ危うく人を信じてみようと思うところだった」