サモンナイト3(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サモンナイト3』とはバンプレストから発売されたPlayStation2用RPGゲームである。
「リィンバウム」という世界で帝国軍に所属していた主人公。訳あって軍を退いた後に帝国屈指の富豪マルティーニ家の嫡子を立派な軍人に育て上げる為、家庭教師となった。
生徒を連れて船で軍学校を目指す最中、突然の嵐に巻き込まれとある島へと漂着する。そこで主人公は謎の呼び声に応え、光り輝く不思議な剣を手に入れるのだった。

第14話 砕けゆくもの

主人公は想いを込めた言葉で争いをなくしたいと思っている

無色の派閥の一戦から数日が経っていたが、主人公は毎日の様に無色の派閥に追われ、イスラから剣の適格者同士本気で殺し合おうと迫られる夢を毎日見ていた。暗い気持ちの中、朝食を取りに船外へ出ようとすると、カイル達が話し合っている声が聞こえた。スカーレルとヤードはイスラがキルスレスの適格者として無色の派閥側に付いているのだから、主人公にはイスラを本気で殺す覚悟を決めてもらわなくては、こちらに勝ち目がないと進言する。しかし、主人公の性格上、そんなこと強要できないとカイルとソノラは反論し、話し合いは一向にまとまらない様子であった。自分のことで言い争っていると気付いた主人公は、カイル達に朝の挨拶だけ済ませて、朝食も取らずに森へ散歩に出かけてしまう。心配した生徒が主人公を追いかけようと駆け出すが、主人公を訪ねてやって来たギャレオとアズリアにぶつかってしまう。カイル達が主人公に非情になって敵を討つ覚悟を決めてもらおうと会議していたところを本人に聞かれてしまい、その場に居づらくなって出かけてしまったと主人公が不在になった理由をアズリアに話す。アズリアは軍を辞めても同じ葛藤を繰り返しているのだろうと呟くと、主人公の詳しい過去を知らないカイル達は首を傾げる。
アズリアは主人公が軍を辞めた本当の理由を話し始める。主人公は発見された旧王国の工作員に命乞いされ、その言葉を信じて解放した結果、帝国の重要人物を乗せた列車を乗っ取られて多くの人質を取られてしまった。事件のきっかけを作ってしまった主人公は責任を感じ、事件を解決させた後に軍の上層部にありのまま報告する。しかし、軍上層部は軍学校を首席で卒業した優秀な軍人である主人公を事件解決の功労者として祀り上げ、悪印象を払拭する為に利用した。そのやり方を嫌って主人公は軍を自ら退いたのだった。
主人公が軍を辞めた本当の理由を知った生徒は居ても立ってもいられず、主人公を探して島の中を走り回った。そして、この島で主人公が初めてシャルトスを使った海岸へと辿り着くと、そこには主人公の姿があった。アズリアから軍を辞めた本当の理由を聞いたと生徒が打ち明けると、主人公は父親を危険な目に遭わせて悪かったと謝罪する。しかし、生徒は悪いのは主人公ではなく、旧王国の工作員だと反論する。主人公はその言葉を聞いて、自分が強くなりたいと思うきっかけについて生徒に語り始める。
以前、主人公は生徒に両親は事故で死んだと説明していたが、本当は戦争に巻き込まれて旧王国の兵士達に殺害されたのだった。目の前で両親を殺され、それから精神を病んでしまった主人公に同じ村の住人達は根気強く声をかけ続け、なんとか自我を失わずに済んだ。この時主人公は「強い力はどんなものでも打ち負かすことができるけど、想いを込めた言葉の持つ力はその打ち負かされた者をより強く蘇すことができる」と悟り、武力ではなく言葉で争いを止めさせようと今まで努力してきたと明かした。しかし、無色の派閥との戦いはそんな考え方では島を守ることはできないと主人公は判断し、今回ばかりは全力で剣を振るうと生徒に語る。生徒はそれが主人公の本心なのかと不安に思いながらも、何も言い出せずにいた。

本心を偽って戦った結果、シャルトスはキルスレスの力に負けて折られてしまう

無色の派閥と本気で戦う覚悟を決めた主人公はカイル達にイスラ達の下へ行こうと呼びかける。一方イスラはビジュと数人の暗殺者を引き連れてシャルトス奪取の為、主人公達の住む船へと向かっていた。ウィゼルは剣士としても鍛冶師としても2本の剣の戦いに興味を持ちイスラ達に同行していた。
鉢合わせる形で主人公達はイスラ達と対峙する。本気でイスラを止める覚悟をした主人公はキルスレスを抜剣して挑発するイスラの言葉にも冷静に対応し、一戦を交える。イスラ達は力負けし、一時は敗北を余儀なくされるが、主人公はイスラにとどめを刺せないでいた。封印の剣は持ち主を殺さない限りその活動は停止しないが、主人公は覚悟したつもりでいたがやはりイスラを殺すことがどうしてもできなかった。精神に大きな負担をかけすぎてしまった主人公の持つシャルトスはキルスレスの一太刀に折られ破壊されてしまう。それと同時に主人公の精神も砕かれその場に泣き崩れてしまった。
今度はイスラが主人公にとどめを刺そうとキルスレスを振り下ろすが、護人達が必死に主人公を庇い、カイル達が主人公を安全な場所まで避難させようとする。しかし、その時、オルドレイクがイスラの下に到着する。奪回するはずのシャルトスをイスラが破壊してしまったことに怒りを露わにするオルドレイク。しかしイスラは考えがあってのことだと説明しながらオルドレイクに近づき、キルスレスを振り下ろす。
完全に隙を突かれたオルドレイクはキルスレスの一太刀を浴びて倒れ込む。深手は負ったものの急所は外れており、オルドレイクはまだなんとか生きていた。裏切り者を殺せとオルドレイクに指示され、暗殺者やツェリーヌがイスラとビジュに攻撃をしかける。イスラがオルドレイクを裏切るとは微塵も思っていなかったビジュは巻き添えを食って殺害されてしまうが、イスラはキルスレスの力に守られ傷一つ付かなかった。オルドレイクの身体を案じて、ウィゼルが撤退の号令を出すと、オルドレイク達は引き上げていった。イスラは主人公達にも別れを告げると、1人でどこかへと去っていった。

第15話 ひとつの答え

生徒は主人公の為に折られたシャルトスの欠片を集めていた

シャルトスが砕かれてから3日。主人公は誰とも口を利かず飲まず食わずで部屋に閉じこもったままだった。身体を心配して食事だけでもさせようとするカイルとソノラだが、生きる意思をなくした者を無理矢理生かしても意味がないとスカーレルに止められてしまう。そこへ護人の1人が訪ねてきて、スカーレルの意見の賛同する。主人公が自分の意思で立ち直らなければ同じことを繰り返すだけだと護人が諭すと、カイルとソノラも冷静さを取り戻す。そして主人公が立ち直った時の為に自分達に今できることを考えようと会議するのだった。その時、この場に生徒がいないことに気付いたヤードがどこにいるのかカイル達に尋ねるが誰も居場所を知らなかった。
主人公の部屋に生徒がいないかソノラが訪ねてくるが、主人公も生徒とはしばらく会っていなかった。ソノラから生徒が朝から行方不明だと聞かされ、探しに出かける主人公。イスラにシャルトスを砕かれた場所までなんとなく足を延ばした主人公の下に、生徒のパートナーである召喚獣が届く。主人公は慌てて召喚獣に駆け寄り、崖の下を見る。するとそこには崖から落ちて気を失っている生徒の姿があった。主人公は生徒を助けると、何故あんな場所にいたのかと質問する。生徒は砕かれたシャルトスの欠片を集めていたのだと答える。心の剣であるシャルトスが元に戻れば主人公も元に戻るのではないかと考え、なんとか欠片だけでも集めたかったのだと涙ながらに説明した。主人公が以前生徒に語った「想いを込めた言葉は打ち負かされた者を強く蘇らせることができる」という言葉を信じて、生徒は何度でも主人公が復活するまで呼びかけようとしていたのだった。生徒の本心を知った主人公は生徒の言動に感謝して抱きしめると、もう負けないと生徒に約束した。

ウィゼルは主人公の一番大切な想いを見つけて新たな剣に吹き込むよう指示する

剣の欠片を集めた後、どのようにして剣を復活させよとうとしていたのかと主人公は生徒に問うが、生徒はそのことに関しては考えておらず、とにかく欠片集めだけしていた。剣の修復に関して考えつかなかった2人は一先ず船に帰ろうとすると、そこへウィゼルが現れる。ウィゼルは砕かれたとしても強い魔力を秘めている魔剣の欠片であることに代わりはないので、こちらに渡してほしいと要求してきた。主人公は生徒を庇いながら、無色の派閥が好き勝手扱って良い物ではないと言うと、ウィゼルは薄ら笑みを浮かべる。するとウィゼルは主人公にシャルトスの修復を提案してきた。
敵であるウィゼルが何故そのようなことを言うのか不思議に思っていると、ウィゼルはオルドレイク側に付いてはいるが、無色の派閥の構成員ではなく、使い手の意思を体現する武器を作ることが目的だと話す。ウィゼルはオルドレイクの狂気を体現する武器を作る為に付いていただけで、同時にその狂気に立ち向かうと足掻く主人公の意思がオルドレイクに勝てるのか見たくなったと言う。「力無き意思では意思無き力は止められない」とのウィゼルの言葉に主人公は気付かされ、ウィゼルを信じてシャルトスの修復を依頼する。

主人公は「果てしなき蒼」という意味を持つ新たな剣「ウィスタリアス」で無色の派閥に対抗する

ウィゼルは剣の修復ができる場所に案内すると言って、主人公と生徒をメイメイの店まで連れて行く。メイメイとウィゼルは知り合いの様で、メイメイの店の奥にある工房で剣の修復をしてくれると説明する。ウィゼルは生徒に助手を頼み、主人公には今から作る剣に込める核となる込めるべき意思を見つけ出してこいと言い放った。主人公は剣に込めるべき意思を確かなものにする為、一番守りたいと思う人の下へ向かい話しをする。そして、大切な人との会話の中で、主人公のやることを信じるので好きに行動すれば良いのだと後押しされる。剣に込めるべき意思を見出した主人公はウィゼルがいる工房に戻り、剣の仕上げへと取り掛かる。
一方その頃、カイル達は主人公の元気が戻ったことを知り、主人公の力を借りずに遺跡を封印してこの島から無色の派閥を追い出す為に遺跡へと向かう。オルドレイク達が遺跡の確保を優先するだろうというカイル達の読みは当たり、キルスレスを奪還する為に先に遺跡の中枢を抑えようとオルドレイクが部下達を引き連れて遺跡へとやって来る。シャルトスの力なしでもここから先へは進ませないとカイル達は必死に無色の派閥と戦う。
時を同じくして、主人公の新たな剣が完成する。透き通った水晶の様な剣は、緑色の光だったシャルトスとは違い淡い青色に光る剣だった。ウィゼルは久しぶりに満足のいく仕事ができたと喜び、戦場でその力を見せることが手間賃だと言って工房を去っていった。メイメイは新たな剣に「果てしなき蒼」という意味を持つ「ウィスタリアス」という名前を付け、主人公はその名前を気に入り頂戴した。
そこへパナシェが泣きながら店に飛び込んできた。パナシェは仲間達が無色の派閥と決着をつける為に遺跡へ向かったと報告すると、主人公は完成したばかりのウィスタリアスを携えて生徒と遺跡へと急いだ。遺跡の中ではカイル達が無色の派閥に負ける寸前だった。そこに主人公と生徒が到着し、主人公は皆の前で生まれ変わった新たな剣ウィスタリアスを抜剣する。皆折れたはずの剣が復活を遂げたことに驚く。オルドレイクはこの中で魔剣の修復が可能なのはウィゼルのみだと気付き、裏切ったのかと問うが、ウィゼルはその問いを否定して自分の都合で魔剣の修復を行っただけだと答えた。主人公が加わったことで仲間達の士気が高まると、遂にオルドレイク達の膝をつかせることに成功する。
イスラに負わされた傷もまだ完治していないオルドレイクは、このままでは許さないと言い放ってこの島から組織を撤退させた。オルドレイク達が去った後、仲間達は主人公が新たな剣を作って戻ってきてくれたことに感謝する。主人公は仲間達に、傷つける為の戦いではなく何かを守る為に戦いたいと改めて自分の意思を伝えた。

第16話 彼が願ったこと

姉としてイスラのことを信じ続けようと決意するアズリア

無色の派閥を島から追い出すことに成功し、島には以前の様な平和な雰囲気が戻り始める。休校だった学校も再開され、子供達も自由に島の中を歩き回れる様になった。学校と生徒への個人授業が終わった後、主人公はアズリアにイスラのことで話しておきたいことがあるので護人達を招集してほしいと頼まれる。
集いの泉に護人4人が集まるとアズリアはイスラの過去について語り始める。イスラは生まれた時から召喚呪詛に体を蝕まれていた。召喚呪詛とは病魔を憑依させることで絶息の苦しみを永遠に与え続けるという召喚術を用いた一種の呪いであった。アズリアの父親は召喚術による破壊活動を取り仕切る軍隊の隊長で、幾度となく無色の派閥の計画を阻止してきた経歴をもっており、そのことで無色の派閥から恨みを買った為に跡継ぎとして生まれたイスラに召喚呪詛をかけられたのだろうとアズリアは説明する。そのせいでイスラは、いつ死んでもおかしくない体でありながら絶対に死ねないという呪いに侵されていた。
主人公達は、イスラは自分にかけられた呪いが無色の派閥のせいだと知りながら、組織に協力するふりをして自分の呪いを解く術を探っていたという結論に達する。そして、キルスレスの適格者として選ばれたことで、その力を利用して心身の強化を図り、呪いを打ち消そうとしているのではないかと推測したのだった。アズリアはイスラのしてきたことは到底許されるべき行為ではないし、剣を取り返す為とは言え、自分も島の召喚獣達に迷惑をかけてしまったことに対して謝罪する。しかし護人達は過ぎたことをとやかく言うつもりはないとアズリアを励ます。主人公もイスラを倒す為ではなく助ける為に戦うのだとアズリアに語った。
集いの泉を離れ、海岸で主人公とアズリアが2人で話しをしていると、そこへギャレオが遺跡の前にイスラが姿を現したと報告しにやってきた。

オルドレイクに召喚呪詛を解かれ、無理にキルスレスの力を使ったイスラは遂に倒れてしまう

主人公は急いで仲間に声をかけ、遺跡へと向かう。イスラは主人公達が無色の派閥を島から追い出したことを知っており、島に囚われている亡霊たちをキルスレスの力で無理矢理呼び覚まして主人公達に挑もうとする。やめるよう説得するアズリアだったが、イスラは聞く耳を持たず主人公達に攻撃を仕掛ける。周囲の亡霊達を払い除け、主人公はウィスタリアスを手にしてイスラに向かっていく。主人公の攻撃をイスラはキルスレスで防ごうとするが、その時キルスレスにヒビが入ってしまう。キルスレスは折れる一歩手前で、自己修復が完了するまでは力が発揮できない状態となった。
イスラはキルスレスの力を失い、その場で立ち尽くす。そんなイスラにアズリアは今まで全力で戦ったことを認め、意地を張るのはもうやめようと再度説得を試みる。それでもイスラはまだ主人公達と戦う姿勢を崩さない。主人公はボロボロになりながらも立ち向かってくるイスラを全力で受け止める。イスラは人と人との繋がりは騙し合いと損得勘定だらけだと思っており、どんどん仲間を増やしていく主人公に気を悪くしていた。他人を信じることができず、自分が傷つかない方法を選んで生きていくことが最善の生き方だと思い込んでいるイスラに生徒は反論する。生徒は誰だって騙されたり厄介事に巻き込まれるのは嫌だが、そういう経験を重ねて人は強くなるのだと言い、本当は素直な気持ちを表に出し仲間に囲まれている主人公を羨ましく思っているのだとイスラの本心を見抜く。自分の考え方と主人公達の考え方は一生分かり合えないと逆上したイスラは、キルスレスの力が戻ったら必ず殺しに戻ってくると宣言し高笑いをする。
しかし、その時、イスラの身体から突然血が噴き出し始め、悲鳴を上げて倒れ込んでしまう。ヤードが咄嗟に召喚術で回復を試みるが、回復が追いつかない。敵だったとはイスラがもだえ苦しむ姿にカイル達も心配する。すると、イスラの背後に撤退したはずのオルドレイクが姿を現した。オルドレイクは今までイスラが病魔の呪いを鎮める為に無色の派閥に所属していたことを明かす。しかしイスラは偶然にもキルスレスの適格者となったことで、その力で自分にかけられている呪いを抑え込み無色の派閥を裏切ったのだとオルドレイクは説明した。そして今キルスレスは傷つき力を失っている為、イスラの身体を蝕んでいた病魔が再び活動を始めた。強烈な苦痛に晒されて今にも死にそうな体にも関わらず、病魔の呪いのせいで死ぬこともできないイスラ。オルドレイクは自分を裏切った報復としてイスラからこのタイミングで召喚呪詛の呪縛を解こうとしていた。イスラは最後の力を振り絞って無理矢理キルスレスの力を使いオルドレイクに向かっていくが、不完全なキルスレスの力ではオルドレイクに敵わずその場で召喚呪詛の呪縛を解かれて倒れ込んでしまった。主人公はオルドレイクの行動に怒りを露わにし剣を構えるが、その時地響きがなる。イスラは何もかも壊してしまおうと、死の直前でキルスレスの力を解放して遺跡の封印を解いてしまい、そのまま息絶えた。
そして遺跡の中心部分から「ディエルゴ」と名乗る者の声が響き渡る。怒りと悲しみに猛り狂う島の意志であるとディエルゴは島の中に囚われていた亡霊達を次々に呼び覚まし、遺跡へと集結させようようとする。オルドレイクはこの島を手に入れるという計画の全てを放棄し、遺跡から去っていった。逃がさないと追いかけようとする主人公だったが、生徒に今はオルドレイクのことより解けてしまった封印をなんとかする方が優先だと言われその場に留まる。護人達はありったけの魔力を主人公に注ぎ込み、ウィスタリアスを使って遺跡に直に魔力を注いでディエルゴを完全に復活するのを阻止しようと提案する。主人公は護人達に言われた通り、ウィスタリアスの魔力を使って遺跡をしばらくの間沈黙させることに成功した。

最終話 楽園の果てで

ディエルゴを倒す為には遺跡の中枢まで行きウィスタリアスの力を叩きこむ以外ないと護人達は説明する

ディエルゴをしばらく沈黙させることはできたが、それでも島の中はディエルゴの力に共鳴して亡霊達が次々と復活しては召喚獣達の住む集落へと襲い掛かってきていた。戦える者達は協力して亡霊退治を行うが、ディエルゴを完全に封印しなければすぐに亡霊は復活するのでキリがなかった。ウィスタリアスでとっさに再封印をかけたので、まだこの程度で済んではいるが、もし再封印が間に合わなかったら、共界線によって島の中にいる全員の意識が乗っ取られていたと護人達は話す。遺跡の核識というのは文字通り核となる意識のことで、共界線から送られる情報を瞬時に分析し対応できる程の強い精神力の持ち主だけが核識になれる。そして、今までその核識になれたのはアルディラやヤッファのマスターで無色の派閥の反逆者だったハイネルただ1人だけだった。つまり、核識ならば共界線を経由して召喚獣から島の自然すべての意識を乗っ取り自在に動かくことができるのだと護人達は説明する。
以前の戦いでハイネルは核識となって島そのものを武器に無色の派閥と戦っていたが、島で倒されていく兵士達の痛みや怒り、そして破壊される自然の叫び等を全て知覚して精神は徐々に蝕んでいった。そして、シャルトスとキルスレスに倒されるより前にハイネルの精神は戦いの狂気に染められていたのだった。今遺跡に宿っているディエルゴと名乗る声の主はそんなハイネルの怨念部分の集合体なのであった。ディエルゴの「ディ」は旧王国時代の言葉で「対立」の意味を持っている為、ディエルゴは「界の意志(エルゴ)の敵対者」ということになる。そんなディエルゴを止める方法は遺跡の中枢部にある「核識の間」に乗り込み、ウィスタリアスの魔力を叩きこむことだけであった。
間違いなく今までで一番大変だと思われるこの戦いに、主人公はその方法しか島を救うことができないのならやろうと決心する。仲間達もそれに賛同し、準備を整えて遺跡へと向かう。

ディエルゴを消滅させたことで囚われていたハイネルの魂も解放され、共界線を繋ぎ止める役目を主人公の代わりに行うと提案する

遺跡には主人公達の行動を警戒して亡霊達が道を塞いでいた。どんどん押し寄せる亡霊達を倒していき、なんとか核識の間へとたどり着いた。中央にある台座が核識の中枢であり、この部分を封印すればディエルゴの復活は止められると護人達は説明する。しかしディエルゴは台座に近づかせない為に魔力にものを言わせて亡霊達を集結させて主人公達に襲い掛かる。亡霊達を払い除けて台座の近くまでやって来た主人公達にディエルゴは「世界が無に帰してしまうぐらいなら、1つの意志の下で秩序に守られていた方がマシだ」と言い、誰も傷つかない世界を望む主人公にとってもその方法が良いのではないと問いかける。しかし主人公はディエルゴの問いに「誰かに与えられる世界ではなく皆の力で創り出す世界を望んでいる」と反論する。その言葉を聞いたディエルゴは夢物語だと馬鹿にするが、主人公の思い描くその夢物語が本当に世界を救うことができるものなのか自分を倒して証明しろと言い最終決戦が始まる。
主人公達はディエルゴの猛攻を受けながらも自分達の意志を証明する為全力でディエルゴに立ち向かい勝利する。ディエルゴの意志が宿る核識の座が崩壊し、これでディエルゴを倒したと仲間達は喜ぶ。しかしディエルゴは不気味に笑い始めると、島に大きな地震が発生する。現在、島の共界線はディエルゴによって束ねられている為、ディエルゴが消滅すれば共界線は要を失い消えてしまう。それは島の崩壊を意味していた。ディエルゴは世界を救おうと口にしていたが、思い通りにいかないのならない方が良いと言って、世界からこの島を完全に削除してしまおうと考えていたのだった。ディエルゴの言葉を聞いた主人公は、そんな身勝手な考えで生き物全ての命を奪う権利は誰にもないと怒りディエルゴにウィスタリアスを突き刺す。ディエルゴは消滅するが、そのせいで島の崩壊する速度が上がってしまう。
主人公は仲間達に船へ戻るよう伝えると、ウィスタリアスの力を使えば共界線を繋ぎ止めることができるはずだから自分はこの場に残ると宣言する。仲間達は必ず船に戻ってくることを条件に、後の仕事を任せその場を後にする。主人公は核識の中枢へ向かうとそこには共界線と思われる無数の光の束があった。ウィスタリアスの力で共界線を繋ぎ止めようとすると、そこにハイネルの姿が現れた。主人公達がディエルゴを消滅させたことで、島に囚われていたハイネルの魂もまた解放されていたのだった。ハイネルはディエルゴの暴走を止めてくれてありがとうと主人公にお礼をし、共界線を繋ぎ止める役目は自分がするので、みんなの所へ戻ってほしいと頼む。主人公はハイネルに共界線のことを任せて、みんなが待つ船へと戻っていく。
その頃には地震は治まり、島の自然は元に戻っていった。主人公は仲間達と合流すると、最後にハイネルに助けられたことを伝える。こうして島に平和が戻り、仲間達はそれぞれ自分達の戻るべき場所へと帰って行くのだった。

カルマルート最終話 微笑みの代償

数年後、生徒は主人公の行方を探す為忘れられた島に戻ってくる

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