サモンナイト3(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サモンナイト3』とはバンプレストから発売されたPlayStation2用RPGゲームである。
「リィンバウム」という世界で帝国軍に所属していた主人公。訳あって軍を退いた後に帝国屈指の富豪マルティーニ家の嫡子を立派な軍人に育て上げる為、家庭教師となった。
生徒を連れて船で軍学校を目指す最中、突然の嵐に巻き込まれとある島へと漂着する。そこで主人公は謎の呼び声に応え、光り輝く不思議な剣を手に入れるのだった。

釣りに行く途中で主人公は遭難者を発見する

ジャキーニ達の問題を片付け、護人達からの信頼も獲得した主人公は、翌日どこかの集落に遊びに行こうかと考えていた。そこへ生徒が現れ、今日の授業がまだ終わっていないと不機嫌に呼びに来る。召喚獣達と仲良くなれてきたことで浮かれてしまっていた主人公は反省し、生徒に召喚術の授業を開始する。
この授業で召喚師のパートナーとなる護衛獣の誓約を勧める主人公に、生徒はこの島に来て間も無い頃に出会った最初のはぐれ召喚獣をパートナーにできないかと質問する。この召喚獣はずっと生徒にくっついてきており、相棒の様に一緒に生活していた。本来であれば、召喚術に必要な「サモナイト石」という特殊な石で召喚獣を召喚して護衛獣の誓約をするのが一般的である。しかし、この島の召喚獣は誰かの誓約に縛られていない様なので、生徒の力次第では正式な護衛獣として誓約できるかもしれないと主人公は説明する。生徒は自身の魔力をサモナイト石に集中させて、護衛獣の誓約の儀式を行う。サモナイト石に刻印が浮き上がり、生徒にずっと付いてきていた小さな召喚獣は正式に生徒の護衛獣となることができた。
生徒との個人授業を終えた主人公は、船に積んである釣り竿を持って食料調達へ向かう。すると、浜辺で倒れている人間を発見したので助けてラトリクスのリペアセンターへ連れて行く。主人公達が乗っていた船の乗客と思われるこの人物は気を失っているだけで、命に別状はなかったので、気が付くまでラトリクスで面倒を見てもらうことを頼んだ。

生徒を人質にとり、帝国軍人のビジュは主人公に武器を捨てる様に要求する

その後、主人公は鬼妖界の集落である風雷の郷で郷の長である鬼姫ミスミと会っていた。ミスミは主人公が教師だと聞いて、連れている生徒だけではなく、自分の子供スバルとその友達で幻獣界の子パナシェの勉強も見てくれないかと頼む。これからを生きる子供達にこの世界のことをいろいろ教えてあげてほしいというのがミスミの考えであった。軍を退役し、家庭教師になったばかりの主人公には荷が重いと思い、考える時間をもらおうと進言すると、そこへ謎の老人が現れ主人公に説教をする。この老人はゲンジといい、リィンバウムを取り巻く4つの世界とは全く異なる次元に存在する「ニッポン」という国から召喚されてこの島にやって来た人間であった。ゲンジは元々いた世界で学校教員の職に就いていたらしく、主人公が教師だと聞き会いに来たのだった。「「子供達」を導いてやれぬ者が「子供」を導けるはずがない」とゲンジが叱咤し、主人公に教師とは何かと教えを説く。ゲンジの話を聞いた主人公は、自分にどこまでできるか分からないが、ミスミに頼まれたことをやってみようと思う様になり、依頼を引き受ける。主人公が生徒に事情を説明すると、生徒は自分のことをほったらかしにしないことを条件にスバル達に勉強を教えることを許した。
翌日、主人公は森の開けた場所に黒板や机椅子を用意し、簡易的な学校を用意する。そしてミスミの子スバルとその友達のパナシェ、そして生徒の3人を前に教壇に立つ。子供達のレベルに合わせて問題を出し、生徒は真面目に勉強に取り組むが、机に向かって勉強をする習慣がないスバルとパナシェは騒ぎ出してしまう。スバルとパナシェが騒いでいる所にマルルゥも現れて自分も混ぜてほしいと騒ぎ出し、収拾がつかない状態となってしまった。初めの内は我慢していた生徒だったが、子供達によって勉強する意欲をかき消され、主人公も子供達に付きっ切りになってしまっていることに耐えられず、泣きながら学校を飛び出してしまう。主人公は生徒を追いかけて謝罪するが、生徒は怒りと悲しみが抑えきれず走り去ってしまう。生徒が森の奥で泣いていると、そこへ帝国軍の軍団が現れ捉えられてしまう。帝国軍の女隊長アズリアは部下に武器を下ろす様指示し、主人公のことを聞く為、生徒を連行していった。
生徒が行方不明になったことで、主人公はあちこち探してみるが一向に見つからず困っていた。自分達が騒いだせいで生徒を怒らせてしまったと責任を感じていたスバルやマルルゥも生徒捜索を手伝っていると、パナシェが生徒が帝国軍に捕まっているのを目撃したと知らせに来る。主人公はパナシェが教えてくれた所へ単身走って行く。そして帝国軍に捕まっている生徒を発見し助けようと声をかける。生徒は帝国軍の軍人であるビジュという男に暴力を受けて尋問されていた。隊長のアズリアが主人公の前に歩み出て、「向こう見ずなのは学生の頃と変わらないな」と声をかける。主人公とアズリアは軍学校時代の同期であった。主人公が軍を退役した後にアズリアは海戦隊の第6部隊の隊長に就任しており、軍の命令で主人公が持つ剣の護衛として旅客船に乗り合わせていたのだった。護衛していた剣を持つ主人公にアズリアは剣の返還を求めるが、主人公は応じなかった。アズリアは力づくで主人公を捕えようとすると、アズリアの部下ビジュが生徒を人質にして主人公に武器を下ろす様指示した。ビジュの行動を制止しようとするアズリアだが、ビジュは生徒を放そうとはしなかった。生徒に傷を付けさせたくない主人公はビジュの言う通り持っていた武器を捨て丸腰となってしまう。ビジュはそんな主人公に容赦なく召喚術で攻撃をしかけていく。必死に耐える主人公を見た生徒は、自分のせいで主人公が傷ついてしまうことを恐れて、自分の護衛獣を召喚してビジュの手から逃げ出し、主人公の下へと走り寄ろうとする。
そこへスバル達に呼ばれて駆けつけたカイル達が合流し、生徒と護衛獣も巻き込んで帝国軍との戦闘が始まる。主人公達はなんとか帝国軍を抑え込むことに成功し、帝国軍を撤退させた。生徒は主人公と2人きりになると、どんどん周囲の人達と打ち解けていく主人公を見て、自分のことを忘れてしまうのではないかと不安であったと涙ながらに胸の内を明かす。生徒は生まれてすぐに母親を亡くし、貿易商として世界中を渡り歩いてく父親はいつも留守で、屋敷の中ではいつも寂しい思いをしていた。使用人はたくさんいたので生活には不自由しなかったが、心を許して話せる人物は1人もいなかった。主人公と出会って、初めて素直な気持ちで話せる様になってきていたのに、それを他人に取られてしまう様な気がして怖かったのだと生徒は語った。生徒の話を聞いた主人公は自分が生徒の家庭教師を引き受けた理由を話し始める。
主人公は幼い頃に事故で両親を亡くしたショックでずっと塞ぎ込んでいた。そんな主人公を心配して村の人達が根気強く話しかけ続けてくれたことで、立ち直ることができた。主人公は自分を救ってくれた村人達の様に、困ったり苦しんでいる人を助けてあげられる人になりたいと思っていることを明かす。主人公の話を聞いた生徒は主人公に抱き着き、今まで不安を流し落とす様にたくさん涙を流すのだった。主人公も生徒を受け止め、何があっても生徒の先生でいることを約束する。

ファルゼンの正体がファリエルという名の女性であったことに驚く主人公

その日の夜、主人公は海辺を散歩していると、女性に声をかけられた。驚いて振り向くと、そこには見知らぬ女性がいた。主人公は女性が誰か分からず質問すると、女性は霊界集落の護人ファルゼンの姿になって見せた。女性の正体はファルゼンで、本名は「ファリエル」だと名乗り、幽霊なのだと語った。幽霊であるファリエルは特殊な鎧を身に纏うことで昼間の魔力消耗を防いでいるのと同時に、周囲に正体がバレない様にしていた。ファルゼンの正体を知っているのは副官を務める天使フレイズのみだと明かす。ファリエルは事情があって今は他の護人達に正体を明かすことができないとだけ説明し、主人公にも時が来たらちゃんと説明するので、今は秘密にしていてほしいと頼み、主人公はそれを承諾した。

第6話 招かざる訪問者

森の一部が酷く荒らされていたことに驚く主人公とイスラ

翌日、学校が再開され、生徒は委員長として主人公のサポートを行う様になっていた。学校が終わると、ラトリクスの護人アルディラが主人公を訪ねてくる。以前主人公が海岸で助けた少年の意識が回復したと伝えに来たのだった。生徒の授業が終わったら少年の様子を見に行くとアルディラに約束し、主人公と生徒は海賊船へと帰る。
生徒の授業を終えた主人公はラトリクスにある中央管理施設に向かう。そこで看護医療用機械人形のクノンから、助けた少年に記憶障害が見られるとの説明を受ける。外傷はほとんどない為、記憶障害は心因性によるものだと推測された。しかし、感情を持たない機械人形のクノンではカウンセリングが行えない為、主人公に直接会って話をしてほしいと主人公は頼まれる。主人公は少年がいる部屋へ向かい話をすると、自分の名前が「イスラ」ということや、昔の記憶は覚えているが、ここ最近の出来事だけが思い出せないのだと不安気に話した。
主人公は気分転換を兼ねて外を散歩しないかとイスラに提案する。集落等を見て回りたくさんの人と会話したことで、イスラにも笑顔が戻ってきた。機界集落の中央管理施設に戻ろうと森の中を歩いていると、主人公とイスラは森の一部分が酷く荒らされている場所を発見する。主人公はイスラだけを中央管理施設に帰すと、護人達を招集して現場を確認させる。あまりの荒れ様にみな驚き、何者かによって故意に荒らされたものだと判断した。しかし、主人公や集落の者が荒らしたとは考えられないし、帝国軍も森を荒らす理由はないはずだと推測する。誰によって荒らされたのか現時点では不明の為、警戒して過ごすことを決め、一時解散した。
護人の1人が主人公にシャルトスを利用しないことを勧めてきた。根拠はないが、シャルトスを多く喚ぶことは良くないことだと感じていた為忠告したのだが、そこへ別の護人が1人やってきて、シャルトスの魔力を使うことはこの島を守る為に大きな力となる反論する。シャルトスの力を良く思っていない護人はそれ以上何も言わず自分の集落へ戻っていった。

遺跡の復活を望む護人とそれを阻止しようとする護人は対立し始める

シャルトスの力を利用しようと考えている護人は主人公をある場所へ案内する。そこはこの島の由来となっている場所で「喚起の門」と呼ばれる遺跡であった。この場所はこの島を作り上げた組織によって作られた実験施設で、廃墟と化してはいるが、施設の機能は完全に停止していないのだと護人は語る。護人達が召喚獣でありながら召喚術を行使できているのは、この施設に蓄えられた豊富な知識を抜粋して会得した為だった。この事実を知っているのは護人達4人だけであったが、シャルトスの力を利用しようと考えている護人は独断でこの秘密を主人公に明かしてしまう。主人公のこれまでの言動を見てきて、信頼できる人物だと確信した護人は喚起の門に関わる様々な秘密を教え、シャルトスの力を使って遺跡を復活させることができれば、この島から帰る術が見るかるかもしれないと言う。
主人公は少し悩みながらも喚起の門まで案内してもらう。喚起の門は、本来召喚師がサモナイト石を使って1体ずつ召喚獣を喚び出して誓約するものを効率良く自動的に行える様にしたものであった。そんなすごい装置を作り出した目的は何かと主人公が問うと、護人はこの施設を作り上げた人物はこの島にあらゆる世界の生き物を平和的に共存できる楽園を作ろうとしていたのだと答える。しかし、その理想は一個人のもので、組織がこの施設を作らせた目的はより強力な召喚獣を得る為の実験動物を集めることであった。そうした意見の対立から、組織の召喚師達は争い自滅の道を辿った。喚起の門も中枢部分を破壊され制御不能となった為、今では偶発的に召喚獣を喚び出してしまう危険な装置へと変化してしまったのだった。
各集落にいる護人はそんな得体の知れない存在から島を守る為に生まれたのだと説明される。護人は主人公の持つシャルトスの力を利用すれば遺跡を復活させ、正常に操作できる様になるだろうと推測していた。主人公達が現れてから、喚起の門は盛んに活動していることが根拠だと言い、シャルトスをこの場で抜くことを勧める。主人公が躊躇っていると、シャルトスは主人公の頭の中に剣を抜く様指示を飛ばし、自動的に抜剣してしまう。すると喚起の門はシャルトスの力に共鳴する様に作動し始め、主人公は強い頭痛に襲われる。苦しむ主人公の前にシャルトスの力を良く思っていない守り人が現れ、主人公の手からシャルトスを奪う。すると頭痛は治まり、喚起の門も機能を停止させた。護人同士が武器を手に取り、本気の戦いへと発展している様子を見た主人公は止めに入るが、そこへ大きな虫の召喚獣が数体襲い掛かってきた。島では見たことのない召喚獣だった為、新たに喚起の門からやって来た召喚獣だと判明し、3人は協力してこの召喚獣を撃退する。
その後、集いの泉に残りの護人やカイル達を集め、主人公達が倒した召喚獣について会議が行われる。この召喚獣は幻獣界に住む虫で「ジルコーダ」という名前の繁殖力の非常に強い召喚獣だった。ジルコーダは興奮状態になると強靭な牙で手あたり次第に嚙み砕いて回る習性を持っていた。早急に対処しなくては島の自然が破壊されてしまう事態に、カイル達も協力してジルコーダ討伐を行うことを約束する。ジルコーダの巣へ向かい、繁殖の基となっている女王を倒した主人公達は島を守ることができたのだった。

第7話 すれ違う想い

森で一休みしていた主人公に単身動いていたアズリアは剣を突きつける

ジルコーダの一件以来、カイル達も島の住人達と積極的に交流を取り始めていた。主人公は良い傾向だと考え、帝国軍とも争わず、話し合いで解決できないものかと考えていた。生徒の授業を終えると、主人公は森の木陰で一休みする。すると、そこでアズリアと遭遇してしまう。アズリアは無防備な主人公に対して剣を向け、隙が多すぎることを指摘する。アズリアは戦場視察の為に単身で森の中を移動しており、その際に主人公を発見したのだった。戦う意思を見せるアズリアになんとか話し合いで解決できないかと主人公は持ち掛けるが、失敗の許されない帝国軍人にとっては無理な話であるとアズリアから却下されてしまう。主人公は自分の持つシャルトスを巡る争いにカイル達仲間を巻き込みたくないのだと話すと、アズリアはこの場で一騎打ちを申し込む。咄嗟に武器を構える2人だったが、そこへ主人公を心配して探しに来たソノラの銃声が鳴る。2人は武器を収め、この場で大人数で戦うことは良くないと判断した主人公がアズリアにお互いにこの場から引き上げようと提案する。アズリアはこの提案を承諾して、互いにその場から離れた。
船に戻り、事の次第を説明する主人公にソノラやスカーレルは一歩間違えば命が危なかったのだと苦言を呈する。しかし、主人公はアズリアならあの状況でお互い戦うのは得策ではないと判っていたから、どんな形になろうとも戦うことにはならなかっただろうと話す。主人公のアズリアを信頼しているかの様な言い方に生徒が疑問を抱くと、主人公は頭の良いアズリアが勝算の不明な戦いをするはずないと確信しているのだと説明した。しかし、こちらもヤードと2本の剣を取り返すという約束がある手前、いずれは帝国軍と決着はつけなければならないとカイルが発言する。主人公は複雑な表情を浮かべるが、そこへソノラが主人公を責める様な言い方は良くないとカイルを注意する。主人公は自分を庇ってくれたソノラに大丈夫だと微笑んで見せるが、ソノラは笑ってごまかさないでと主人公にも注意する。シャルトスという得体の知れない強大な力を持つ剣が自分の中にあるのにどうしてそんな笑っていられるのかと涙を流しながら言う。主人公を心配して泣きじゃくるソノラをスカーレルが宥め、その場は解散となる。
主人公が甲板で風に当たっていると、生徒にアズリアがどんな人物なのか尋ねられる。アズリアは主人公の軍学校時の同期で、出会いのきっかけは最初の試験で同点を取ったことだった。アズリアの家は帝国一の軍人の名門レヴィノス家の出身で、将来家名を継ぐ立場の女性であり、歴史上例を見ない女性の上級軍人になる為、努力は惜しまない性格だった。学生時代は正面切って厳しい言葉を言われることが多かったが、主人公はアズリアの考え方や行動に尊敬しており、好意的に接していたと主人公は生徒に説明する。軍学校を卒業後、別々の部隊に配属され、主人公がすぐに任務の失敗を機に退役してしまった為、それからアズリアとはずっと会っていなかったのだった。

双方の望みは正反対の為、戦いは避けられないとアズリアは語る

主人公からアズリアについて教えてもらった生徒は、翌朝、主人公に人と考え方が違っていてもいいから、自分のやりたい様に行動してみたらいいのだと助言する。悩んで立ち止まっていた主人公は生徒に背中を押され、自分のやり方でアズリアと決着をつけたいと決意を固めようとしていた。そんな時、海賊船の前にアズリアの部下で副隊長のギャレオが主人公達に宣戦布告を宣言しにやって来た。帝国軍は主人公達に正式な戦いを望み、既に戦闘態勢を万全なものとしていた。しかし、降伏の意思があり、シャルトスを献上すれば攻撃は仕掛けないと降伏勧告も伝えて去っていった。
ギャレオの言葉を聞いていたカイルやスカーレルは戦う意思を見せるが、主人公はこの宣戦布告は自分に対してのものであると言い、戦う前にアズリアと話をさせてほしいと説得する。アズリアと話し合いで解決しない場合は戦う覚悟をすることを条件にカイル達は主人公の考えに従うことにした。
帝国軍に指定された場所までやってくると、帝国軍は既に臨戦態勢であった。主人公はアズリアに話し合いを求め、この島の成り立ちやシャルトスがどんな剣なのか説明する。しかし、アズリアはシャルトスとこの島を同時に手に入れることができれば剣の護衛に失敗した埋め合わせができると発言する。軍人としての考え方しかできないアズリアとの話し合いは、これ以上無意味と判断した主人公は仕方なく帝国軍と戦闘することになる。お互い本気で挑んた戦いだったが、帝国軍は敗北してしまう。何故勝てなかったのかと思案を巡らせるアズリアに、決着はついたのだからシャルトスのことは諦めてほしいと頼む主人公。すると後方から大砲の弾が主人公達に向けて飛んでくる。帝国軍のビジュは先の戦いで戦列に加わらず、もしも帝国軍が負けてしまった時の為に大砲の準備をして控えていたのだった。これはアズリアの指示ではなくビジュの独断であったが、この混乱に乗じてアズリアは軍隊に撤退命令を出して部下を下がらせる。結局帝国軍との決着はうやむやになってしまい、主人公達は帰還するしかなかった。

第8話 卑怯者

イスラは主人公の身を心配して剣を手放すことを勧める

帝国軍との一戦を終えた主人公は翌日、森の中で1人考え事をしていた。シャルトスが何故自分に呼びかけ持ち主として選ばれたのかと。すると、シャルトスの声が頭の中に響き、主人公が「適格者」だからだと言った。シャルトスの力の源は人の精神と想いの強さであり、船に乗り合わせていた人物の中では主人公が持ち主として一番相応しいと判断したのだとシャルトスは語った。シャルトスは自身の持つ全ての力を継承することを主人公に強要し、精神を支配し始める。
酷い頭痛に倒れ込む主人公だったが、そこへイスラが現れ主人公に声をかける。シャルトスは精神支配をやめて主人公を解放する。イスラはシャルトスの件について知らなかったが、主人公の異常な雰囲気を察知して助けに来たのだった。主人公はイスラにシャルトスについて説明すると、イスラは苦しみの原因がシャルトスであるなら今すぐシャルトスを手放すべきだと提案する。

シャルトスを作ったのも島を作ったのも無色の派閥だと判明する

主人公はその後イスラと別れ、以前喚起の門まで連れて行ってくれた護人に相談しに行く。護人はシャルトスの力を利用すれば遺跡の復活が可能と考えていたが、その根拠がなんなのか主人公は確認しておきたかった。自分よりも護人の方がシャルトスについて知識を持っていると気付いていた主人公は、護人に知りうる限りの情報を聞き出したいと思っていた。護人は主人公の洞察力に感心しながら、自分の知っている範囲でシャルトスの情報を教えると承諾する。
護人は、シャルトスはこの島で誕生したものだと明かす。この島で起きた召喚師同士の対立は、正確には1人の召喚師が組織のやり方に反逆したことで発生したものであった。その1人の召喚師は組織が島ごと実験を廃棄しようとしたことに反対し、召喚獣達とこの島を守る為に結界を張って戦おうとしており、その召喚師の力を抑え込む為に組織が作り上げたのがシャルトスともう1本の同じ力を持つ剣であった。もう1本の剣は「紅の暴君キルスレス」と呼ばれ、2本の剣は「封印の剣」として組織が反逆者である召喚師の魔力を奪いつくして勝利へと導かせた。護人はそんな反逆者の護衛を任務としていた召喚獣で、反逆者が命を懸けて守ったこの島をずっと守っていこうと考えて集まった人物達が今の護人達であった。シャルトスにはその時奪い取られた反逆者の魔力が封じ込まれていると知っていたから護人は主人公に遺跡を復活させることを提案したのだと話す。
シャルトスの作られた目的や護人が遺跡の復活にシャルトスを利用しようとした根拠を知った主人公は護人に自分の考えを語ろうとする。その時、何者かが主人公と護人の話を盗み聞きしている気配を感じた。護人が攻撃しようとすると、強い魔力が護人を強引に抑え込んだ。その隙に何者かは走り去ってしまった。入れ替わる様に生徒が主人公を呼びにやって来る。生徒は他の護人達に頼まれて主人公を呼びに来たのだと言い、集いの泉へ向かわせる。

集いの泉には他の護人達が既に集まっており、風雷の郷とユクレス村の集落でボヤ騒ぎがあったと報告を受ける。既に火は消し止められてはいたが、護人達が現場の確認に行くと、どこも火の気のない場所からの発火だった為、放火ではないかと推測された。ファルゼンの副官である天使のフレイズが空から犯人を捜索していたところ、森の中を歩く帝国軍を発見したとの情報が入った。アズリアが無作為に焼き討ち等しないと信じている主人公だったが、確認の為に帝国軍の下へ急ぐ。主人公がアズリアに直接ボヤ騒ぎの件を問いただすが、アズリアには集落で火災があったこと自体知らなかった。自分の行動には必ず責任を持つアズリアの性格をよく知っていた主人公はアズリアが嘘を言っているとは思えず、放火は帝国軍の仕業ではないと確信した。カイルも大勢の部下を引き連れて秘密裏に放火して回るのは目立つし不可能だと考えていた。
帝国軍以外に火を放つ様な人物が思い浮かばない主人公達は行き詰ってしまうが、そこでヤードが、放火の犯人として帝国軍に目を向けさせ戦わせることが犯人の狙いではないかと推測する。その時、マルルゥが慌てて主人公達の下へ飛んできて、スバルが人間に捕まってしまったと報告する。急いでスバルが捕まっているという風雷の郷へ向かうと、そこにはビジュが率いる帝国軍の兵士の姿があった。ビジュが放火の犯人かと主人公が問うと、「半分は自分だが、もう半分は違う」と答えた。そしてビジュの後ろから、もう半分は自分が子供達と遊びながらこっそり火をつけたと告白するイスラが現れた。イスラが記憶障害であることは主人公達を欺く為の演技で、この島にもある目的の為に来ていた。イスラは裏でビジュと接触し、主人公達を倒す為に暗躍していたのだった。
イスラは兵士達に武器を取らせ、集落の召喚獣を襲わせる。そこへアズリアが率いる軍団が風雷の郷に到着する。イスラはアズリアのことを姉と呼び、シャルトスを取り返す為に動いてやったと説明する。イスラの正体はアズリアの実の弟で帝国軍諜報部の工作員であった。アズリア自身もイスラがビジュと接触してこの様な作戦を立てていたことを知らずにいたので驚く。
イスラは人質を助けたければシャルトスをこちらに渡せと主人公に要求する。主人公は仕方なくシャルトスをアズリアへと引き渡すが、イスラはスバル1人を解放しただけで、集落の召喚獣達は解放しなかった。イスラは人質1人に対して品物が1つというのが正当な対価だと言い、集落の召喚獣達を全員助けたければ、主人公の命と引き換えだと要求してきた。主人公は自分の命で他の全員が助かるのならばとイスラの要求を呑もうと歩み出る。イスラが主人公に攻撃しようとしたところで、命のやり取りをすることに我慢できなくなったアズリアがイスラを制止する。すると、どこからか強風が発生し、集落の召喚獣達を襲っていた兵士達を退ける。風雷の郷の長である鬼姫のミスミが集落に結界を張り、兵士達の動きを封じたのだった。イスラ達の非道な行いに我慢できなくなったミスミは主人公達と共にイスラが率いる帝国軍へ攻撃を始める。
シャルトスなしでなんとか戦う主人公だが、そこへイスラが召喚術の一斉射撃を仕掛ける。主人公は誰も守れないまま死にたくないと強く願うと、アズリアの手にあったシャルトスが光り、主人公の下へと飛んでいく。そしてシャルトスの力を使ってイスラ達を退却まで追い込んだ。1人の犠牲者をも出さずに仲間を守りきれたことに安堵した主人公だったが、安心したと同時に、離れた場所からシャルトスを喚んだことで魔力を激しく消耗して倒れてしまった。

第9話 先生の休日

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