南条圭（女神異聞録ペルソナ・P1）の徹底解説・考察まとめ

大事な人との別れ、ペルソナ使いへの覚醒

他人の事を見下し続けた南条は、その高圧的な態度や「御曹司」という肩書きから、自然と周囲の生徒達から距離を取られるようになる。それでもP1主人公を筆頭に、数人の「友人」と呼べる存在が南条にもできるようになる。彼らは南条の態度にも臆さず話しかけてくる貴重な「友人」達だったが、南条が彼らに心を開く事はかった。

そんなある日、南条は友人の1人、ブラウン／上杉秀彦の提案により、自分達が通う高校「聖エルミン学園」で流行っている儀式「ペルソナ様」を試してみる事になる。すると儀式を終えた直後、南条達の前に白い服を着た少女が現れる。驚く南条達。しかし南条達の様子など気に留めていないのか、少女は泣きながら突然南条達に雷撃を当ててくる。突然の事に避ける間もなかった南条達は、そのまま雷に打たれて気絶してしまう。

気を失った南条達は、夢の中で「フィレモン」と名乗る不思議な男と出会う。フィレモンは南条達にペルソナ使いの才覚があると認めると、彼らにペルソナを授け、現実世界へ返す。

目が覚めた南条達は、ひとまず身体の具合を見る為に御影町内にある病院へ向かう事にする。その病院には、入学してからほとんど入院したきりになっていたクラスメイト、マキ／園村麻希（そのむら まき）がいた。自分達の検査も兼ねて麻希の見舞いに行くと、彼女の容態が急変。ICU（集中治療室）へ運ばれて行ってしまう。

麻希の容態を心配した南条達は、彼女の治療が終わるのを待つ事にする。だがその時、突然激しい地震が起こる。さらに地震が収まると今度は、麻希が運ばれていった筈のICUが消えてしまう事態が発生する。驚愕する南条達だったが、その時、ロビーの方から看護師の悲鳴が聞こえてくる。
ひとまず悲鳴の方へ駆けつける南条達。するとそこには、ボロボロになった山岡の姿があった。実は地震が収まった直後、病院内では霊安室に居た筈の遺体がゾンビになって生き返るという大事件が起きていた。友人達と病院へ向かう南条の心配をし、こっそりと後をつけていた山岡は、病院のロビーでゾンビに襲われそうになっている看護師と遭遇。咄嗟に身を挺して、看護師を守ったののである。
山岡がゾンビにやられた事を知った南条は激怒。P1主人公達と共にゾンビとの戦闘を開始する。その時、南条達がフィレモンから貰ったペルソナ使いとしての力が覚醒。ペルソナを召喚する事ができた彼らは、その力を使いゾンビを倒す。だが、戦いが終わった頃には山岡の息は絶える寸前となっており、「置いていかないでくれ」という南条の懇願も虚しく、そのまま亡くなってしまう。

異変の根源である神取鷹久のもとへ乗り込む南条と仲間達

一方その頃、病院の外でも「悪魔の出現」といった現象が起きていた。御影町内で起きている異変の事を知った南条は、山岡を死に追いやったこの現象の根源を探り、山岡の仇討ちをする事を決意する。その後、同じくペルソナ使いに覚醒していたP1主人公達と共に学校や街中を探索した結果、全ての原因が「佐伯エレクトロニクス&バイオロジカル&エネルギー・コーポレーション（通称：セベク社）」の支店長、神取鷹久（かんどり たかひさ）にある事を知る。

南条達は神取を捕まえる為、セベク社に乗り込む。だがそこで待っていたのは、「デヴァ・システム」と呼ばれる装置に乗り込もうとしていた神取だった。このデヴァ・システムは、神取が集めた研究者達によって作られた異次元世界への転送装置のようなもので、神取はこれを使い「神になる」という自らの野望を叶えようとしていたのである。それを知った南条達は彼を止めようとするが、寸前のところで神取は異世界に行ってしまう。だがその時、神取と一緒にデヴァ・システムに乗った、システムの開発者であるニコライ博士が、システムを暴走させ、彼もろとも心中を図ろうとする。

予想外の展開に驚く南条達。「ニコライ博士が犠牲になるのは間違っている」、「助けなければ」と、慌てふためく仲間の1人、マーク／稲葉正男に、南条は「自分の身を犠牲にしてまで、神取を阻止しようとしている博士の意思を尊重すべきだ
」と返す。しかし感情的に動く性格のマークはそれを否定。2人が衝突しあっていると、今度は突然、機械が正常に動き始める。
驚愕の展開を前にあぜんとする南条達だったが、そんな彼らの前に今度は黒い服を着た少女が現れる。そうして「パパは殺させないんだから」と言って、何かしらの能力を使い始める。眩しい光に包まれた南条達は、そのまま意識を失ってしまう。

変化し始める南条の「心」と浮かび上がる疑念

次に南条達の目が覚めた時、彼らは異世界の「御影町」にいた。そこは南条達の知る御影町にそっくりだが、どこか少しだけ作りが違った場所となっており、南条達は自分達が先程の少女の力でもって異世界に来てしまった事に気づく。
意識を失う前に目にしていた神取の言動から、彼もこの異世界の「御影町」にいるはずだと推測した南条達は、神取の行方を追う。

自分達の知る世界とは少し異なる「御影町」に困惑しながらも、神取を探して街にはびこる悪魔やそれを従えた敵達と戦っていく南条達。すると、悪魔との命がけの戦いをP1主人公達と幾度も繰り返していく内に、南条は少しずつP1主人公達に対して心を開いていくようになる。今までは自分よりも劣った存在として見下していたP1主人公達の事を認め始め、その態度も以前よりも軟化したものになっていく。

だがその傍らで、南条はある疑惑も抱いていた。それは異世界の「御影町」を駆け巡っていく中で、次第に浮かび上がり始めていたもので、この異世界の「御影町」の「正体」にまつわるものだった。けれども南条の考えを決定づけるだけの証拠はどこにもない事から、南条は己の考えを誰にも言わずに神取を追う事にする。

ダンジョン「マナの城」に隠れていた神取

異世界の「御影町」で神取捜索を続ける南条とP1主人公達。その結果、彼らは神取がダンジョン「マナの城」に隠れている事を知る。しかしダンジョンに入る為には、異世界の「御影町」の創造主だという少女、まいからあるアイテムを借りなくてはいけない事が発覚する。南条達はまいのもとへ向かい、彼女を説得してアイテムを借りる。

まいから借りたアイテムを手に、神取が隠れ待つダンジョン「マナの城」へ向かう南条達。ダンジョンを攻略し、その最奥に居る神取と対峙する。

だが神取は、まいの片割れであり自分の事をパパと慕う少女、あきに彼らを黙らせるように命令する。そうして、自分だけ己の願望を叶える最終段階に入る為、異世界「御影町」から南条達が暮らしていた御影町の方へと帰っていく。追いかけようとした南条達だったが、その瞬間、あきが召喚した悪魔に邪魔をされ、神取を取り逃がしてしまう。

園村麻希の母親との出会い、元の御影町への帰還

神取を追いかける為、元の御影町へ戻る方法を模索する南条達。そこで昔から神隠しの噂がある「幽霊屋敷」に何かヒントがあるのではないか、という結論に至り、幽霊屋敷へ向かう事になる。
向かった幽霊屋敷にて南条達は、そこで自分達の仲間の1人、園村麻希（そのむら まき）の母親と遭遇する。だが、この麻希の母親は現在南条達と同行している麻希の母親ではなかった。実は現在南条達と同行している麻希は、南条達の住む世界の麻希ではなく、この異世界「御影町」に住む麻希だったのである。
しかし異世界の事など何も知らない麻希の母親は、自分の娘が無事であった事に安堵し、麻希に駆け寄る。麻希と南条達は、麻希の母親に自分達が置かれている現状を説明し、この麻希が彼女の娘の「麻希」ではないことを伝える。

現状を知った麻希の母親は、自分ならなんとか異世界に行く為の機械を扱えるかもしれない、という事を南条達に告げる。実は麻希の母親は、セベク社の社員だったのだ。神取が危険な研究をしている事に気づいた彼女は、それを阻止しようとしていたのだが、神取に気づかれ邪魔される。その結果、この世界に飛ばされてきてしまったようだった。

麻希の母の助け借りて、元の御影町へ帰る事になる南条達。しかし機械をいじる人間が必要である事から、麻希の母親は1人この異世界に残る事を選ぶ。南条達は、改めて神取を倒す事を決意し、元の御影町へと戻っていく。

神取との戦い

元の御影町に戻った南条達は、神取がいるダンジョン「御影遺跡」をどうにか攻略し、最奥で自分達が来るのを待っていた神取と対峙する。

しかし向き合った神取の様子は、異世界「御影町」にいた頃とは異なっていた。どこか意気消沈した様を見せる神取に戸惑う南条達。すると神取は南条達に「どうして生きるのか」という問いかけをしてくる。実は「神になる」という野望を叶え、誰もが自分に従う力を手に入れる事ができた神取だったが、自分の野望が全て叶ってしまった事で逆に自分の「したい事」を失い、生きる気力を失ってしまっていたのである。

そんな神取の姿を見た南条は、彼の自分達に向ける言動が一種の「強がり」である事に気づく。そうして「（本当は）気づいているはずだ」、「人（まいの力等）を利用して手に入れた場所が、神の座などではないことに」と神取が見てみぬフリをしようとしていた現実を突きつける。自分の本心を言い当てられた神取は、逆上して南条達への攻撃を始める。南条はそうすることしかできない神取を憐れみながら、神取に引導を渡す為に彼との戦闘を開始する。

明かされた衝撃の事実

激闘の末、なんとか神取を倒す事に成功する南条達。だが戦闘が終わったその時、神取の口から驚きの真実が明かされる。それは、異世界「御影町」が、全て南条達の住む世界の麻希によって作られた、彼女の幻想郷のような場所であったという事実だった。

神取曰く、デヴァ・システムが完成したのは、今から一月前のこと。しかしそれよりも以前から麻希とシステムの波長が、霊的にシンクロしていたのだという。実は南条達の世界に住む麻希は、病弱だった事もあり、聖エルミン学園に入学してからその殆どの時間を病院で過ごしている状態にあった。病院には、麻希の友人達がやってきてくれていたりしたが、それでも普通の高校生としての日々を過ごしたかった麻希にとって、元気に学校に通う彼らは憎い存在であり、同時に羨む存在でもあった。
その結果、いつからか彼女は、自分の心の中に、自分が理想とする世界や自分の姿を思い描くようになっていく。そんな彼女の強い理想から生まれた世界が、デヴァ・システムの波長とシンクロし、生まれてしまった世界が、異世界の「御影町」。この世界の創造主だという2人の少女、まいとあきも、麻希の心から生まれた存在だったのである。

動揺するP1主人公達。だが薄々、異世界の「御影町」の「正体」に気づき始めていた南条は、神取の話を聞いても驚かずにいた。自分の推測が正しかった事を知った南条。だが冷静でいられたのは南条だけで、全てを知った当の麻希本人は、予想外の真実に取り乱し、その場から逃げ出してしまう。

逃げ出した麻希に騒然とする南条達。そんな彼らに神取が「麻希は孤独だった」、「彼女は本当の自分の心を知る必要がある」と語り始める。そうして最期に「そうしなければ、自分の二の舞になるだろう」と言い遺すと、そのまま南条達の目の前で息を引き取ったのだった。

麻希の「心」の救出

飛び出した麻希を探しに出る南条達。しかし全てを知ってしまった麻希は、自分を追ってきた南条達を拒み、異世界の「御影町」へ逃げてしまう。さらに異世界の「御影町」側から、彼らがこちら側に来れないように通路を閉ざしてしまう。

マークは麻希の後を追う為、どうにか異世界の「御影町」へ行こうと提案する。しかしその提案が合理性に欠けると思った南条は、「それよりもデヴァ・システムを壊すべきだ」とマークに告げる。デヴァ・システムを壊せば、それと意識を繋がらせている麻希は亡くなってしまうだろうが、現状、御影町で起きている異変は全て解決する事ができる筈だと踏んだのだ。だが、そんな南条の提案をマークは断り、南条を殴りつける。麻希を見捨てるような発言をした事が許せず激怒するマークの行動に心揺り動かされた南条は、合理性ではなく、麻希の事を友人として助けたいと願う自分の心に従い助けに行く事を決意する。
その時、南城達は、麻希が居た部屋で眠っている「本物の麻希」が持っていたコンパクトが光っている事に気づく。それは麻希がずっと大事にしていたコンパクトだった。不思議な光を放つコンパクトに、何かしら異世界「御影町」へ向かうヒントがあると思った南条達は、部屋に落ちていた異世界の麻希が持っていたコンパクトを拾い、2つのコンパクトを持ち合わせて「麻希のもとへ行かせてくれ」と願ってみる。すると、その願いを聞き届けたかのようにコンパクトは光を強く発しながら、南条達を異世界へ連れて行く。

再び異世界の「御影町」に行く事ができた南条達は、そこで麻希の母親と再会。事情を説明し、麻希を助けに行く事を告げる。それを聞いた麻希の母親は、自分も一緒に連れていってくれ、と頼む。麻希の母親の本気を感じた南条達は、彼女も連れ、麻希のもとへ向かう。するとその最中、泣いているまいと出会う。大泣きしているまい曰く、あきが「1番悪い自分」のところに行ってしまった、とのこと。この異世界を滅ぼし、本物の自分を殺す為、「パンドラ」と名乗る自分のもとへ行ったという彼女の話を聞いた南条達は、「パンドラ」と書かれた謎の扉が学校にあった事を思い出す。そこにあき、もとい麻希の分身が居るのではないかと推測した彼らは、麻希もきっとそこに居るはずだ、と結論付ける。
そうして、世界の滅びを前に泣くあきを、麻希の母親に託し、彼らはパンドラのもとにいる麻希のもとへと向かう事にする。

向かった先、南条達の予想通り、そこには麻希の姿があった。しかし全ての元凶であった自分の醜い思いを見られたくなかった麻希は、南条達を拒絶、パンドラの力を使い彼らに攻撃を始める。
南条達はペルソナの力を使って、麻希との戦闘を開始。なんとか彼女を落ち着けさせる事ができた彼らは、麻希を励まし、自分達のもとへ帰ってくるように訴える。そんな南条達の真っ直ぐな言葉を聞いた麻希は、自分の汚い一面と向き合う事を決意。南条達のもとへと戻る事を選ぶのだった。

後日談：卒業式