岳羽ゆかり（ペルソナ3）の徹底解説・考察まとめ

3月、果たされた約束

タルタロスと「影時間」が消滅した事により、それらに関わってきた人々の記憶から「影時間」中に起きた出来事は全て忘れ去られることになる。それはゆかりを含めた特別課外活動部（S.E.E.S.）の面々も同じで、彼らは自分達のこれまでの戦いを忘れてしまうことになる。しかしロボットであったアイギスだけは例外だったようで、ニュクスとの戦いを前に交わした約束を守る為、「卒業式の日」にP3主人公の部屋へやってくる。そうしてP3主人公と共に屋上へ向かう。

一方その頃、他のメンバーは月光館学園の卒業式に参加していた。ゆかりも在学生として参加し、卒業生代表である美鶴の答辞を聞いていたが、美鶴が答辞と共に振り変える自分の記憶に違和感を抱き始めた事をきっかけに、ゆかりを含む特別課外活動部（S.E.E.S.）のメンバーは、仲間との戦いの日々を思い出す事になる。
全てを思い出したメンバーは卒業式を抜け出し、屋上へと向かう。だが、そこにいたのはアイギスの膝の上で目を閉じようとしているP3主人公だった。

実はこの時点でP3主人公の中には、「魂」がほとんど存在しない状態にあった。実はニュクス戦で彼が行った「大いなる封印」というのは、彼自身の魂、つまりは命を使った技だったのだ。再びニュクスがこの世界に現れないようにする為、P3主人公は自身の魂をニュクス封印のくびきとして差し出していたのである。
その為、本来ならばニュクスとの戦闘後に彼の命は尽きる筈だったのだが、特別課外活動部（S.E.E.S.）との約束を守る為、なけなしの魂で生き延びていたのである。

そんな事を知らないゆかり達は、屋上に居るアイギスとその膝の上で眠るP3主人公のもとへ駆け寄っていく。大事な仲間達との約束を果たす為、P3主人公が永遠の眠りについてしまった事には気づかず、彼らと合流するのだった。

岳羽ゆかりの名言・名セリフ／名シーン・名場面

「てか、バカじゃないの？」

ゆかりの代表的なセリフの1つ。
P3主人公や順平、その他男子陣が巻き起こすアホな行動や騒動に、ゆかりが呆れた時に口にする言葉である。

誰に対してもハッキリとした物言いをするゆかりの性格がよく出ているセリフであると同時に、ヒロインポジション（『ペルソナ3』では、主人公の行動次第で最大5人の女性キャラクターと付き合う事ができる）のキャラクターから向けられるにしては辛辣過ぎる内容に多くのプレイヤーが衝撃を受けたセリフとなっている。「バカじゃないの。てか、バカじゃないの？」と2回繰り返すパターンも存在していたりする。

なおゆかりは『ペルソナ3』の女性陣の中で、最も恋愛フラグを建てるのが難しいキャラクターとなっている。フラグを建てる為に必要な「コミュニティ」と呼ばれるシステムを解放する事も作中1難しくなっており、彼女がどれだけ男子陣に対して冷たい眼差しを向けているかがわかる仕様だといえるだろう。

「私、なんとかしてみるよ」

ゆかりが心新たにペルソナ使いとして戦っていく事を決意した時に、口にしたセリフ。

父の死の真相を追いかけていたゆかりは物語中盤にて、その死因である爆発事故自体が父が起こしたものであるという事を知り、ショックを受けてしまう。だが後に、それが父がゆかりが生きる世界を守る為にした事であり、本当の犯人にあたる人物が別にいる事が発覚する。遺された父からの手紙を通してその事を知ったゆかりは、父が守ったこの世界を守る為、ペルソナ使いとして活動を続ける事を決意する。このセリフは、その決心を天にいる父に向かってゆかりが告げる為に、口にしたものである。

「なんとか」と曖昧な言葉選びではあるが、「世界を守る」という壮大な事を前に具体的に何をすればいいかわからない未知の状況の中で「世界を守る」という道を選んだゆかりの現状を的確に表した上で、その現状に対する強い覚悟が顕になっている言葉だと言えるだろう。岳羽ゆかりのペルソナ使いとしての成長を感じられるセリフである。

「あなたが居なくなったなんて、ゼッタイ信じない！」

最後の敵との戦いの後、突如自分達の前から消えたP3主人公へ向かって、ゆかりが口にした言葉。

物語終盤、『ペルソナ3』のラスボスであるニュクスの本体が現れ、その圧倒的過ぎる存在を前に絶望する事になる特別課外活動部（S.E.E.S.）のメンバー。しかしその時、P3主人公が今まで皆と築きあげてきた絆を力に変え、新たな力「ユニバース」を手に入れる。そしてその力を使い、ニュクスを封印する。
だがニュクス封印後、P3主人公は特別課外活動部（S.E.E.S.）の面々の前から消えてしまう。P3主人公が自分自身を犠牲にニュクスを封印した事にショックを受ける特別課外活動部（S.E.E.S.）。しかし、ゆかりだけはP3主人公は生きていると信じて声を荒げる。その際に口にしたのが、このセリフとなっている。

物語序盤、家庭の事情からP3主人公に冷たくあたっていたゆかり。しかしP3主人公と、そして特別課外活動部（S.E.E.S.）のメンバーと共にいくつもの戦いの場を駆け抜けてきた事により、その心情は大きく変化を遂げていた。そんなゆかり自身の変化と、物語を通してP3主人公とゆかりの間に生まれていた仲間としての「絆」を強く感じられるセリフだといえる。