美味しんぼ(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『美味しんぼ』とは原作:雁屋哲、作画:花咲アキラによる日本の漫画。『ビッグコミックスピリッツ』にて1983年より連載され、累計発行部数は1億3500万部を突破している。東西新聞文化部の記者、山岡士郎と栗田ゆう子が企画する「究極のメニュー」に対し、ライバル紙の帝都新聞が海原雄山の監修により「至高のメニュー」を立ち上げ、海原と山岡の間で料理を通じた親子対決が繰り広げられる。アニメ、ドラマ、映画など様々なメディア展開が行われ、グルメ漫画や日本のグルメブームの活性化に寄与した。

漫画ならではの非現実的な描写も多い

本作は、これまでになかったような本格グルメ漫画であるが、作中では料理に加えて食材や食品添加物、食文化などを扱っており、原作者である雁屋の独自の理論が描かれるケースも多い。また、批評対象は食に限らず無関係の事象にも及ぶようになったことや、事実誤認や偏見、科学的立証に基づかない批判もあるため、企業や団体などから抗議が寄せられることも多かった。非現実的な描写として、例えば、離乳食に蜂蜜と鶏卵を与えるというエピソードがあるが、乳児がハチミツを摂取すると乳児ボツリヌス症を引き起こす危険があり、厚生省は「与えてはいけない」と通達している。ホタルイカを生食するという描写があるが、食中毒を起こす危険性があり、生食は控えるべきである。また、「本物のキュウリは曲がって育つものだが、見た目のために無理やりまっすぐに伸ばしている。これではおいしいはずがない。曲がったキュウリこそホンモノだ」という理論が登場するが、そもそも品種改良をしていないきゅうりの原種は不味くて食えたものではない。さらに、祖母が鶏肉を食べただけで同居している家族の事すら誰かわからないほどの認知症が治ったり、チゲを食べただけで二日酔いが治ったり、豚肉を食べただけで癌が治癒したり、超能力によって時空を移動し昆布と鰹節の製造工程を見学するなど、漫画ならではの非現実的な描写もある。

『美味しんぼ』は雁屋哲の造語

本作のタイトル名となっている『美味しんぼ』という言葉は原作者の雁屋の造語で、食い道楽、食いしん坊などを意味するフランス語の「グルマン」に近い意味である。当初「食べ物を題材にした漫画を描いて欲しい」と、ビッグコミックスピリッツ編集部から依頼された雁屋は、作品名を決めるのが面倒で担当編集者に決めてもらえるよう依頼したが、編集から提案された「味で勝負」「味キング」「味一番」などの案が気に入らず、結局雁屋自身が美味と食いしん坊を組み合わせて「美味しいものだけを食べたがる食いしん坊」という意味の「美味しん坊」を提案したところ、最後の「坊」が言葉的に重いので「美味しんぼ」にしてはどうかという編集の再提案を受けて決定した経緯がある。

社会問題となってしまった鼻血問題

『ビッグコミックスピリッツ』掲載の第603話で、福島第一原子力発電所を訪れた山岡士郎が疲労感をおぼえたり、原因不明の鼻血を出したりするなどの体調の異変を訴え、実在の前福島県双葉町長の井戸川克隆が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と登場する場面が描かれた。これに対し、双葉町は小学館に対して「福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせ、県民への差別を助長させることになる」という抗議文を送った。環境大臣、福島県知事や内閣官房長官、閣僚なども次々に遺憾の意や不快感を表明した。
これに対しスピリッツ編集部は「雁屋の実体験に基づいた表現を尊重したが、風評被害を助長するような意図はない」との声明を出した。雁屋は自身のブログ上で「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」「責任は全て私にあり、スピリッツ編集部に抗議するのはお門違い」と語った。
スピリッツ編集部は「ご批判、お怒りは真摯に受け止めて、表現のあり方を今一度見直していく」とする見解を示すとともに、福島の真実編が終了する号から本作は一時休載に入ることを発表した。単行本第111巻では、鼻血を出す件こそ残しているが、問題となった被爆との因果関係などの件のセリフ、約10か所以上が差し替えられた状態で発売されている。

究極対至高の勝敗は、至高のメニューが勝ち越し

山岡士郎が繰り出す「究極のメニュー」と、その実の父である海原雄山が送り出す「至高のメニュー」の料理対決が、本作のストーリーの軸であるが、その勝敗数は、作品の上ではあまりはっきりと言及されていない。単行本30巻までで確認できる限りでは、究極3勝、至高4勝、引き分け6回となっているが、山岡士郎と栗田ゆう子の結婚披露宴のスピーチで、士郎は「公式非公式を含めて34回対決して、われわれの6勝13敗15引き分けです。『究極のメニュー』の圧倒的な敗北の歴史です」と話している。さらに単行本59巻で対決を再開し、単行本上で発表された対決のべ38戦の結果は、「究極のメニュー」9勝、「至高のメニュー」12勝、16回の引き分けとなっており、いずれにしても至高のメニューが勝ち越しているようである。

『美味しんぼ』の主題歌・挿入歌

テレビアニメ版

OP(オープニング):結城めぐみ『YOU』(第1話 - 第23話)

OP(オープニング):中村由真『Dang Dang 気になる』(第24話 - 第136話)

ED:(エンディング): 結城めぐみ『TWO OF US』(第1話 - 第23話)

ED:(エンディング): 中村由真『LINE』(第24話 - 第136話)

映画版

主題歌:BE∀T BOYS『エピキュリアン』

ichi1nanad5
ichi1nanad5
@ichi1nanad5

Related Articles関連記事

アニメ・漫画に出てくる、見ているだけでよだれが出てくる美味しそうな食べ物たち

アニメ・漫画に出てくる、見ているだけでよだれが出てくる美味しそうな食べ物たち

アニメ・漫画で度々登場するのが、食べ物のシーン。しかし食べ物は現実、色のグラデーションや光の吸収率や反射率などがまちまちで、絵として表現するのは至難の技なのです。けれども、そんな中でもその独特な食べ物たちを極めて美味しそうに書いたアニメや漫画があるのです。今回はそんなシーンにこだわって、たくさんの美味しそうな食べ物をまとめてみました。

Read Article

目次 - Contents