美味しんぼ(漫画・アニメ・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『美味しんぼ』とは原作:雁屋哲、作画:花咲アキラによる日本の漫画。『ビッグコミックスピリッツ』にて1983年より連載され、累計発行部数は1億3500万部を突破している。東西新聞文化部の記者、山岡士郎と栗田ゆう子が企画する「究極のメニュー」に対し、ライバル紙の帝都新聞が海原雄山の監修により「至高のメニュー」を立ち上げ、海原と山岡の間で料理を通じた親子対決が繰り広げられる。アニメ、ドラマ、映画など様々なメディア展開が行われ、グルメ漫画や日本のグルメブームの活性化に寄与した。

美食倶楽部 (びしょくくらぶ)

海原雄山が主催する料亭で会員制。会費は高額で、入会するためには社会的地位だけでなく、食に関するセンスや見識に優れていることが厳しく求められ、すでに会員になった者でも雄山の一存で即座に退会させられることがある。銀座裏の一等地に大料亭顔負けの建物を構えており、雄山の育てた一流の料理人を使い、金に糸目をつけずに誂えたあらゆる料理を食べさせる。会員には政財界のトップレベルに在る貴賓紳士が名を連ね、会員というだけで大変名誉なこととされる。世の多くの和食料理人にとって憧れの場所であり、会員同様何人もの志望者がいる。

究極対至高 (きゅうきょくたいしこう)

東西新聞社が提唱する究極のメニューと、帝都新聞社の提唱する至高のメニューとの対決を指してこう呼ぶ。ある決められた題目にそって両社の担当がメニューを作成し、どちらが優れているかを判断する。題目は、餃子やカレーなど料理名まで決められたものや、卵料理やかき料理など材料が決まったものなど多様である。審査の基準は味だけに留まらず、見た目やその料理が示唆することまでも勝敗を左右する。

東西新聞社 (とうざいしんぶんしゃ)

社主は大原大蔵で、東京に本社がある全国紙の新聞社。社主じきじきの指示で、創立100周年記念の文化事業として「究極のメニュー」のプロジェクトが立ち上がった。本作の主人公である山岡と栗田は東西新聞文化部に勤めている。発行部数で帝都新聞に抜かれたため、大原社主が帝都新聞社へ強い対抗意識を燃やしている。

帝都新聞社 (ていとしんぶんしゃ)

東西新聞の競合紙で、部数や企画をつねに争っているライバル企業である。東西新聞社が提唱した「究極のメニュー」の後追いで「至高のメニュー」の企画を立ち上げ、美食倶楽部主催の海原雄山をそのメニューの監修役として引っ張り出した。全国発行部数では東西新聞を抜いてトップである。

究極のメニュー

東西新聞社創設100周年を記念して企画され、後世に文化遺産として残るメニューを作ることを目的として社主大原大蔵が提唱した。文化部記者の山岡士郎と栗田ゆう子がメニュー作りを担当する事になり、後に、同じく文化部記者の飛沢周一が山岡とゆう子の後を引き継ぐ。当初は東西新聞社単独の企画であったが、帝都新聞社がこれに対抗して至高のメニューを提唱してからは、両社の対決形式となり、本作のストーリーはこの対決を軸に進んでいく事となる。

『美味しんぼ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

栗田ゆう子「受けるわよ!」

山岡によるプロポーズを栗田ゆう子が受けた瞬間。

ストーリーが進んでいくと、山岡とゆう子の関係性は恋愛のようなものに発展していき、恋もライバルも登場する。ある日友人の縁談をまとめた山岡と栗田はその帰り道、山岡が「今度は俺の番」「あ~まあ~その~」とモゴモゴ口ごもる。本来プロポーズを待ち焦がれていたはずの栗田ゆう子であったが、「荒川夫人と三谷夫人が色々教えてくれたわ。上手な断り方を」と、先手を打って意地悪な発言をしてしまう。するとそれを真に受けた山岡は「今のは本当に上手な断り方だな」「先制攻撃でやられるとは思わなかった」と肩を落として歩き出すと、「幸せになってくれ、俺を断ったのは正解だ」と立ち去ろうとした。すると栗田は「何を言ってるのよ。断るも何も山岡さんまだ何も言ってないじゃないの」と若干焦ったように叫ぶ。自棄気味の山岡は「じゃあ結婚してくれって申し込んだら、受けてくれるってえのかよ!」と絶叫。栗田はこれに「受けるわよ」と応じ、結婚が決まった。あっさりとしたプロポーズであったが、無事に結婚できた山岡と栗田に読者からは安堵の声があがっていた。

栗田のゆう子「ヒラメがシャッキリポンと舌の上で踊るわ!」

「シャッキリポン」という表現は、グルメ漫画史上無かった名言である。

ヒラメを食べた時の栗田の名言として、「ヒラメがシャッキリポンと、舌の上で踊るわ!」というものがある。『美味しんぼ』ファンの間では有名な名言となっており、「シャッキリポン」というフレーズは味を表現するワードとして、前代未聞のユニークな表現だと言われている。これまでにはない食レポとして、この作品のオリジナリティが光る表現。

海原雄山「こんな器で料理が食えるか、不愉快だ!」

料理ではなく、器に怒りをぶつける海原雄山。

食事に関しては一切の妥協を許さない海原雄山であるが、その中の名言で、「こんな器で料理が食えるか、不愉快だ!」というものがある。和食や洋食では味に注目しがちであるが、やはり器が汚れていたりするとその店自体の評価がかなり下がる。良い素材で思いが込められた料理は、良い器に乗せられてこそテンションが上がり、料理の味もワンランク上の評価になる。料理には、このような「おもてなし」の心が必要だと考える海原雄山らしいセリフである。

山岡士郎「ありがとう父さん」

福島県で真の和解を成し遂げた士郎と雄山。

本作で長く続いてきた山岡と海原雄山親子の確執だが、ストーリーが進むにつれて徐々に和解への流れが見えてくる。山岡・ゆう子夫妻と海原雄山は、雄山ととし子の思い出の地である福島県の神社を訪れ、雄山は完全和解の品として家出の時に唯一壊さなかった皿を、士郎は親子3人が移っている写真を渡し合う。雄山は穏やかな表情で息子を見つめ、士郎は「ありがとう父さん」と何十年も言えなかった感謝の言葉を伝え、親子の真の和解は2人のルーツである福島県で実現した。

『美味しんぼ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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