禪院真希（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ

真希と真依の母親。扇の妻。名前、年齢、出自などの詳細は不明。禪院直哉の付き人として登場したが、後に真希と真依の母親であったことが判明した。禪院本家の忌庫に向かう真希にこれ以上先に進むなと警告し、「戻りなさい」と諭そうとした。妹の真依との本編での絡みはない。和服のよく似合う日本人女性といった品格があるが、その表情に覇気はない。真希の父親である扇が娘の真希と真依が出来損ないであったために、禪院家で肩身の狭い思いをしていたのと同様、母親もなにかしらの冷遇を受けていたと思われる。

真依を失うことで覚醒した真希が対話を試みようとしたが、自らの命の危機にパニックになった母親はまともに会話ができなかった。真希のことを疎ましく思っていたはずなのに何故忌庫に行かないように言ったのか、真希に答えを求められたが自身はその発言を覚えていなかった。あるいは無意識だった可能性もある。結局母娘の最後の対話は成立せず、母親は真希に重症を負わされた。しかし重症を負わされたその足で同じく真希に重症を負わされた禪院直哉のもとへと行き、刃物で背中を刺し絶命させる。母親もまたその場で死亡したと思われるが、最後に「（真希と真依を）産んで良かった」と発言しており、ずっと夢に見ていた母親にとってのあってほしかった未来なのか、幼い真希と真依が遊んでいるのを見守る自分の姿の幻を見る。この描写から読み取れる母親の心理はいくつか予想されており、自分を苦しめた禪院家に真希と真依のおかけで復讐できたことを喜んでいるのでは、や、それとも死ぬことによってやっと素直に真希と真依を愛していたことを認めることができたのでは、など諸説ある。

禪院真希の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「呪いを祓って祓って祓いまくれ！！自信も他人もその後からついてくんだよ！！」

いきなり呪術の世界に放り込まれた乙骨は、右も左も分からぬまま命懸けの任務に向かわされ、自分や真希ばかりかたまたま巻き込まれた子供たちまでも生きるか死ぬかの状況に追い込まれる。狼狽することしかできない彼の胸倉を掴み、真希は「お前はなんのためにここに来たんだ」と訴える。ひたすら受け身に立ち回るしかできない乙骨の姿は、自らの運命を切り開こうと足掻き続ける真希にとっては苛立ちを募らせるものでしかなかった。そんな彼女に、乙骨は「呪霊に憑依されたせいで多くの人を傷つけてきたが、それでも誰かと関わり、必要とされて、生きていていいという自信が欲しい」と答える。それに対して真希が返したのが「呪いを祓って祓って祓いまくれ！！自信も他人もその後からついてくんだよ！！」というセリフだ。

「呪術を用いて呪霊を祓う」のが呪術師。呪霊を祓い続ければ、いつか欲するものが手に入る。それは真希が信じる夢であり、ある意味では真実である。このシーンに、このセリフに、禪院真希というキャラクターの美学、魅力、信念、哲学、何もかもが含まれていると言っても過言ではない。さらには作品世界の思想までをも語った名セリフである。

特級呪霊・花御戦で見せた伏黒恵とのコンビネーション

呪術高専東京校と京都校でしのぎを削る姉妹校交流会。そのプログラム一日目・団体戦は、特級呪霊・花御の乱入をきっかけに中断された。両校の生徒達は戦いを中断して、それぞれが力を出し、花御との戦いを繰り広げる。最初は東京校の狗巻棘、伏黒恵、京都校の加茂憲紀の三人が花御と交戦していたが、格上相手の花御に術式「呪言」を多用したことで狗巻の喉が潰れて両者の均衡が崩れる。狗巻と加茂がやられ、残りは伏黒ただ一人になったその時、駆けつけたのが真希であった。

真希は花御が乱入してくる間に戦っていた京都校の三輪霞から奪った刀で、花御を背後から攻撃。残念ながらその刀は折れてしまうが、真希はすぐに次なる攻撃へと体制を整える。伏黒が影の中にしまっていた特級呪具・遊雲を受け取り、伏黒は別の黒い剣を取り出す。そこから真希と伏黒の息の合ったコンビネーションが始まったのだ。真希は遊雲で花御を森の中に吹き飛ばし、伏黒は森に潜みながら術式「十種影法術」の式神、玉犬・渾を使って攻撃を仕掛ける。そしてすぐさま真希が花御に攻撃を続けた。しかしそれは先程持っていた遊雲ではなく、伏黒が持っていた黒い剣だった。いつの間にか真希と伏黒は互いの武器をスイッチしていたのだ。花御にできた一瞬の隙をついて、今度は森に隠れていた伏黒が遊雲で花御を攻撃。花御がその攻撃によろけた瞬間に真希と伏黒はまた互いの武器をスイッチし、そのまま二人で同時に花御に攻撃を叩き込んだ。

姉妹校交流会に1年生である伏黒や釘崎野薔薇が参加するにあたって、2年生の真希達は伏黒達に戦闘訓練を行っていた。真希は伏黒に体術や呪具の扱いなどを中心に指導しており、阿吽の呼吸とも言えるコンビネーションは二人が積み重ねてきた日々の成果が出ているとも言える。原作漫画でも名場面と言えるこのシーンは、TVアニメではスピードのあるBGMにこのシーンが重ねれており、よりカッコいいキレのある演出になっていて見応えが抜群である。

当主になるという強い意志に隠れた妹・真依への思い

真希と真依は双子でありながら、呪術高専の東京校と京都校、別々の学校に通っている。妹の真依の初登場時の真希への態度から、姉妹は憎み合っているのではないかと、読者に考察されていた時期もあった。しかし姉妹校交流会では、真希と真依の直接対決を経て、真依が本当は姉である真希を慕っていたからこそ、自分を置いて禪院家を出ていったことが許せなかったという思いが明らかになる。また真希のほうも真依に謝るなどしており、禪院家の当主になるという野望を叶えるために真依を置いて家を出たが、その実真依のことを気にかけていたことがわかった。

「私が禪院家の当主になる」

真希が禪院家の第26代目当主・禪院直毘人にそう言っているシーンが真依の回想で明かされ、真希もそのことについて自分を馬鹿にしてきた禪院家の人間に対する嫌がらせであることを話していた。真希の気風が良く気の強い性格からして、反骨精神で禪院家の当主になろうとしているのだと読者は真希が禪院家当主を目指すこの理由に納得していた。しかし渋谷事変後直毘人死去による禪院家当主交代のゴタゴタの際に、この野望の裏に隠されていいた妹・真依への本当の思いが語られる。

禪院家の当主は遺言状により伏黒恵になると真希が伏黒に告げた時、伏黒は心底嫌そうな顔をした。禪院家の柵に巻き込まれるのは面倒だと、当主になるという野望を持つ真希に当主の座を譲ると申し出た。しかし真希は「今の私じゃ誰も納得しねぇし、ついてこねぇよ」と言う。伏黒はそれでも禪院家の人間がどう思うと関係ないのではと真希を説得しようとしたが、真希は「……まだ私じゃダメなんだよ」と呟く。真希は1級呪術師に推薦されて昇格査定中ではあったが、先の渋谷事変では直毘人に助けられたし、特級呪具・陀艮戦では伏黒が特級呪具・遊雲を持って現れなければ完全に戦力外であった。真希は自身の実力のなさを突きつけられた直後だったのだ。真希は続けて言った。

「私じゃ真依の居場所を作ってやれない」

伏黒は真希のこの言葉に何も言わずに、禪院家の当主を引き受けた。

このセリフから真希が禪院家の当主になりたかったのは、真依のためであったことが明らかになる。「自分を馬鹿にしてきた禪院家の人間に対する嫌がらせ」という理由も嘘ではないのだろうが、真実ではなかったのだ。このセリフから真希は禪院家当主になることによって、妹の真依が誰にも虐げられずに普通に平和に生きていける居場所を作ろうとしていたのだと読者は解釈。一連の真希セリフや行動は、真希の心意気や妹の真依に対する深い愛情が描かれた名場面となった。

禪院真希の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

禪院真希の強化フラグは公式ファンブックにあり

前日譚である『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』では事実上のヒロインを務め、『呪術廻戦』本編でも気風のいい先輩として虎杖たちを牽引する真希。姉御肌の頼れる人物で、ファンの人気もかなりのものではあるのだが、その戦績はパッとしない。作中で明確に勝利したのは真依と三輪くらいで、それ以外の場面では格上相手に劣勢を強いられてそのまま敗北、というパターンばかり。
だがそんな彼女にも、かつて五条悟を死の縁まで追いやった伏黒甚爾と同等の力を手に入れる方法がある。真希の持つ天与呪縛はまさにその典型例だが、呪術には鍛えて伸ばす以外に“何かを失うことで新たな力を得る”という強化方法が存在するのだ。公式ファンブックにおいて、作者芥見下々じきじきに「真希は甚爾の域まで成長する可能性がある。それには“何かを捨てる”ことが必要」だと明言されている。

激化していく戦いの中で、真希はいったい何を失うことになるのか。ファンは様々に予想し、無難なところでは視力、穿った意見としてはヒロインの座などが挙げられている。これから先真希をどのような試練が待ち受けるかは、神のみぞ知るといったところである。

漫画版『呪術廻戦』148話から始まる「葦を啣む」において、真希は覚醒。禪院家の名だたる呪術師たちをも蹴散らす恐るべき力を手に入れる。この際真希が“失った”のは、双子の妹である真依そのものだった。
呪術において双子は「同一の存在」と見なされており、真希がどれほど「強くなりたい」と望んでも、真依が心のどこかで「強くなりたいとは思わない」と考えている限り、その才能を真に発揮することはできないでいた。その真依が死に、“同一存在の中にあった呪力”が完全に途絶えたことで、真希は今までとは比較にならない強大な力を我が物としたのである。

真希が呪術師を志したのは、端的にまとめれば“禪院家の改革”が目的だが、その根幹には「呪力の低さから虐げられる妹の真依が、安心して暮らせる環境を作ってやりたい」との想いがあった。その真依を永遠に失うことで、目的を達成するに十分な力を得られるというのは、あまりにも虚しく物悲しい話である。
戦うべき理由の根幹である真依亡き後、真希がどんな想いを抱えて歩んでいくのか、ファンの注目は高まっている。

あってほしくない未来 禪院真希 VS 伏黒恵

禪院真希の1つ年下の後輩であり、同じ禪院家の血をひく伏黒恵。伏黒は真希の初登場時、真希のことを「禪院先輩」と呼んでいたが、名字で呼ぶなと言われたからなのか、途中から「真希さん」という呼び方に変わっている。先輩後輩としての関係も良好で、真希のほうも伏黒のことを「恵」と呼んで親しげだ。姉妹校交流会では特級呪霊・花御を相手に息の合ったコンビネーションも見せ、渋谷事変でも特級呪霊・陀艮相手に伏黒がタイミングよく真希に特級呪具・遊雲を渡すなど、本編でも阿吽の呼吸を何度も見せている。

そんな真希と伏黒であるが読者の一部からは、仲が良かった日々が嘘かと思えるほどのガチバトルが繰り広げられるのではと心配されている。というのも伏黒が禪院家当主に就任し、そこに真希が死んだ真依と「全部壊す」という約束をしたからである。真依が真希に託した「全部壊す」という願いの " 全部 " が何を指すかは読者の間でも意見が別れており、" 呪術界そのもの " を壊すであるなどの意見が存在している。その中でも有力な説が、「" 自分達を苦しめた禪院家の " 全部を壊す」というものだ。

真希は覚醒した力で禪院家の一族郎党全てを殺し尽くした。当日禪院家の屋敷にいなかった炳や躯倶留隊の人間も非業の死を遂げたと語られており、これも真希がやったと思われる。これで禪院家の血を持つ人間はほぼいなくなったことになる。しかし『呪術廻戦』の主要人物には、禪院家の血を持つ天才児がまだ残っている。それが伏黒恵だ。

禪院家の外で生きてきた伏黒が真希や真依を苦しめたはずもなく、むしろ本人も禪院家の柵には辟易しているように見える。しかし禪院家当主になってしまったことで否応なく伏黒には禪院家の名がついて回る。真依が言った「全部壊して。全部だからね、お姉ちゃん。」が真希に対する "縛り " としての効力を持ってしまっていたとしたら、真希は絶対にその願いを叶えなければならない。他者との間で交わした " 縛り " を破ればどんなペナルティがあるかわからないからだ。

これらのことから、真希が大切にしたかった妹である真依との約束を守るために、真希と伏黒の血で血を洗う戦いが発生するのではないかと心配されている。