ワタシ以外みんなバカ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ワタシ以外みんなバカ』とは、2019年より『コミックなにとぞ』にてかたおかみさお作で連載されたいた、何に対してもマウントを取る女が巻き起こす騒動を描いた漫画である。主人公である泉和代は職場の人間をランク付けし、同僚であり既婚者の袴田とアバンチュールを楽しんでいる。本作は和代の異常なまでの自己肯定感の高さと野心によって引き起こされる波乱を描いているが、どこかリアリティがあり思わずこんな人いるいると共感出来るところが魅力的な作品だ。

『ワタシ以外みんなバカ』の概要

『ワタシ以外みんなバカ』とは、かたおかみさおによって『コミックなにとぞ』(DPNブックス)にて2019年より連載されていた何に対してもマウントを取る女が巻き起こす騒動を描いた漫画である。

和代は人間性には難ありだが仕事の能力は高いため、部長からの信頼は厚かった。また同僚たちも和代の実力は認めているものの、あんな風にはなりたくないと陰では思っていた。一方、和代は仕事だけではなく自身の容姿含めて並々ならぬ自信を持っており、周囲の人間を「中の下」「下の下」などとランク付けをし、見下しながら接していた。
そんな和代のもとに素朴な派遣社員である綾瀬百合子が部下につく。大人しい外見とは裏腹に肝の座った性格である百合子は徐々に周囲からも信頼を集め、また和代の紹介した友人・晴彦とも良い雰囲気になりつつあった。和代は自分よりランクが下と思っている百合子が、仕事もプライベートも上手く行く事が気に食わなかった。とある取引先の男性社員とトラブルを起こした和代は百合子の証言によって、プロジェクトを降板させられ経理部への異動を命じられる。ここでも和代は最初は自信満々で仕事に取組み周囲と接するのだが、実直に仕事をこなす経理部の同僚たちや、地味だけど部下のことをよく見守っている上司の藤田部長によって、徐々に自分の立ち振る舞いや行動を省みるようになっていく。

和代は経理部でも社長オーダーを見事に達成し、当初より参加を希望していた一大プロジェクトへのメンバー入りを果たした。経理部で学んだ協調性を活かして仕事をする和代の姿を見て、同期であり上司でもある坂口もその成長に驚いた。しかし和代のマウントを取る癖や不倫相手である袴田の妻である吉田さくらに対する高圧的な態度は依然変わらず、最後は和代と袴田の仲を知っている吉田さくらの坂口への告げ口によって和代は大目玉を食らう。
それによって和代はさらに自分の行動が間違っていたのかと振り返り、ひとりの人間として少し成長した姿を見せたころで物語は終わる。

『ワタシ以外みんなバカ』のあらすじ・ストーリー

マウント女

仕事が出来ると自負する和代

「自称デキる女の」泉和代(いずみかずよ)は、自分を「中の上」と位置づけ、周囲の人々を密かにランク付けしてはマウントを取っていた。
和代は仕事の腕は確かで部長にも的確な意見を物怖じせず発言する姿は、一定の評価を得られている。しかし同僚たちは和代のファッションセンスなども含めて「ああはなりたくない」と陰で考えていた。
ある日和代の補佐として派遣社員の綾瀬百合子(あやせゆりこ)が入社する。やぼったい姿の百合子に対して和代は「中の下」とランク付けをし、さっそくマウンドを取り始めた。
和代が社内を案内していると、同僚の袴田(はかまだ)が和代に声をかける。「和代は仕事はできるが性格がキツイから気をつけろ」と警告する袴田に対して、百合子は「はっきり言ってくれる人の方がありがたい」と大人の対応をし、袴田は百合子を褒めて立ち去った。和代は嫉妬と苛立ちから「自分が一番袴田から愛されている」とアピールしたのだった。
その夜、百合子の歓迎会が開催され、和代は内心百合子を見下しながら部長に媚びを売っていた。同僚たちは「ああいう人」だから和代に気を付けるよう警告する。すると途中参加してきた袴田が百合子と親しげに話していた。和代は嫉妬にかられるが、百合子は「経験豊富な和代さんの話を伺いたい」と下手に出てきたため、和代はやや評価を改めた。
和代が帰宅すると和代のベッドで袴田が寝ており、和代は「自分が一番愛されている」とさらに自己肯定感を高めるのだった。

和代の暴走

ある日大きなプロジェクトのリーダーを任されることになった和代は、百合子に対して「もっと自信をもてば私みたいに出来るよ」と上からアドバイスをすると、百合子から「私もガツガツいかないとダメだと思った」と返される。
「ガツガツ」という言葉が癪に障った和代は、百合子を陥れようと合コンを開催した。百合子の酒に薬を持って合コン相手に持ち帰らせようと企むが、和代の思惑とは裏腹に、百合子は合コン相手といい雰囲気になっていた。
思い通りにいかない百合子に内心腹を立てながらも、プロジェクトの本格始動に伴って和代は仕事上で能力を発揮していく。しかし「プロジェクトリーダーは私。使えない奴はどんどん首にする」という横暴なやり方に、メンバー間の不平・不満は高まっていった。
ある日プロジェクトメンバーの吉田サクラが業務報告にやって来る。和代はサクラの事を「ダサい女」と位置付けており、結婚指輪のセンスまで内心バカにしていた。

その晩いつもは電話などかけてこない袴田から呼び出された和代は有頂天で袴田のマンションに行くが、一向に出てくる気配はなく電話もつながらなかった。更にそこへサクラがやって来て、二人が夫婦であるという事実を知ってしまう。
翌日イライラが止まらない和代はサクラをチームメンバーから外し、百合子に八つ当たりしていた。
袴田に対しては「あんな地味女と結婚するなんて信じられない」と怒りをぶつけるが、逆に「お前と結婚なんて御免だよ。カネがない時の風俗の代わりだ」と言われ、和代のプライドはボロボロになってしまう。一方の百合子も和代の横暴な態度に我慢がならなくなっていた。

百合子の復讐

サクラの忠告を一蹴する和代

イライラが止まらない和代だったが、翌日取引先との大事な商談を控えていた。そんな時にサクラが「取引先の大河内は百合子のことがお気に入りと言っていたので気をつけたほうが良い」と忠告する。サクラの顔を見ただけでイライラが募る和代は「私がいるから大丈夫!むだな報告お疲れ様!」と切り捨てた。

会食が開始されると大河内はさっそく百合子にデレデレし始める。和代はそんな大河内の間に割り込んで話を遮ったが、皆の前で笑いものにされ怒り心頭だった。和代はトイレに向かった大河内を心配する振りをして席を立ち、大河内に近づく。すると和代は突然大声をあげて、セクハラをでっちあげたのだった。

翌日大河内が副社長と共に来社してきた。和代は部長やサクラも巻き込み大事にしようとすると試みるが、百合子が「もうやめてください」と止めにはいった。百合子は和代から大河内を無理やり誘った現場と、帰宅途中に百合子へセクハラ爺の撃退のために嘘をついた事を打ち明けた現場の映像と録音を翔子として提出する。
両社話し合いの末大河内の件はなかったことになり、和代はプロジェクトから外される。サクラは同僚から「和代から目を離すな」とアドバイスされており、警戒していたのだった。

経理部にて

プロジェクトを外された和代は経理部に異動となる。経理部のメンバーはパッとしない地味な人々や和代と服のセンスが合わない人が多く、和代はさっそく内心不快感を覚える。しかし「そうやって人をランク付けして自分の地位を確かめているんでしょう」と百合子に言われた言葉が、どこか心に引っかかっていた。
その後も和代は高級店を知っているとマウントを取ったり、メンバーの黒部に思いを寄せる同僚の岡本を地味と言ったり、意地悪な受け答えを続ける。しかしその度に岡本は毅然とした態度を取っていた。

和代は袴田を呼び出して不倫の証拠写真を見せ、「一大プロジェクトであるモルトンプロジェクトに入れてくれないと嫁に不倫をばらす」と脅した。袴田はひとまず和代をなだめ、今晩家に行くことを約束してその場をしのいだ。
その夜ワインを持って和代の家を訪れた袴田は、強引に和代に飲むよう勧める。しかし和代は「睡眠薬がワインに入っていて、眠らせた隙に不倫の証拠写真を消すつもりだろう」と悪だくみを見抜いた。
降参した袴田は計画を認め、和代はモルトンプロジェクトへの参加を再度懇願する。和代は、社長へ直談判出来る場をセッティングすることや、週に1回は和代の家を訪れる事を約束させた。

後日、袴田は和代と社長の3人で食事をする機会を設け、和代は早速モルトンプロジェクトへの自分の抜擢を懇願する。社長は和代の功績を認め、経理部で1千万円の経費削減案を実現させればプロジェクトに参加させると約束した。

経費削減案

プロジェクト参加を目指してやる気を見せる和代だったが、元々経理の仕事などしたことも無かった為、削減案を思いつかず内心焦りを覚える。
そんな時メンバーの飯塚から「今とあるシステムの進捗状況が芳しくない。このシステムが導入されれば1千万のコスト削減につながる」と聞かされた。和代は「ちょうどいい案件を見つけた」と目を輝かせる。
任された案件を良かれとひとりで抱え込む飯塚の仕事のスタイルへも改善を提案し、これから新システム導入に向けたプロジェクトを和代が取り仕切ると宣言した。
経理部のメンバーはそれぞれ非常に優秀で、お互いうまく連携を取り順調にシステム導入の準備を進めていく。和代はメンバーに仕事を押し付けては好き勝手していたが、チームメンバーの努力によって重大なトラブルを回避し1千万円のコスト削減に成功した。

社長に呼び出された和代は健気な一面も見せようと周囲への感謝の態度を示すようにする。その時和代は自分のひとりよがりな仕事のやり方が間違っていたのかもしれないと気が付いた。社長は「君の能力は認めているが協調性は致命的になかったことを心配していた」と内情を明かしたが、約束を守ってプロジェクト参加を許可したのだった。

仕事のできる女

いよいよモルトンプロジェクトが行われている部署に異動になった和代は、ダサい経理部とは違うと心を躍らせた。新しい部署のリーダーの坂口は和代と同期であった。経理部での1千万削減の功績を話す和代に対し、坂口は「ここは毎月10億以上を稼ぐPJだからそんなことを自慢したら笑われるぞ」と冷たく話した。
坂口は和代とペアになって仕事をするエンジニアの清水を紹介するが、地味な清水の姿を見た和代は仕事も教えて貰わなくていいと言う。その和代の言動に対し、坂口は「いやなら出ていけ。人事権はオレにある」とまたもや冷たく言い放った。そこに女性社員の広瀬とリーダーの石原もやってくると、和代は「社長推薦で来ました」とさっそくマウントを取るのだった。

その日、石原と広瀬は和代をランチへ誘う。広瀬が何気なく誉めた和代の財布の話から、石原が高い財布を使っているという流れになり、和代はマウントを取られたと思った。
ランチへ向かう途中、石原も広瀬も見た目だけが取り柄だと思いながら、和代はガラスに映った3人の姿を見る。スリムな石原と広瀬、そして明らかに体格が良い自分の姿を見ながらゴージャスで良いんだと言い聞かせたが、和代はランチではスープだけを注文した。広瀬が自分のバケットを分けようかと和代に言うと、「ビジネスマンとして午後のパフォーマンスを落とさないためにも食事は軽めにしているの」と答えた。それに対し純粋に広瀬はかっこいいと誉めた。
石原はランチの途中「坂口さんは出来る人だから会議で発言する時に緊張するんです」と話す。それに対し和代は「ヤツのことはひとつのステップだと考えればいいのよ。つか坂口、部下にこんなこと思わせているようじゃダメでしょ。あなたがそう思うのはヤツが悪いのよ」とぴしゃりと言った。和代の男前な発言に対し、ふたりは心の底からすごいと誉めた。ただ百合子との苦い経験があった和代は、「私のことは簡単には転がせない」と浮かれる気持ちを抑えたのだった。

午後からの仕事で坂口は、開発リーダーの伊藤の仕事が楽になるようにと和代を打合せに同席させることにした。それを聞いた和代は「ひとりで仕事が出来ないなんてなんて無能な人なの」と心の中で思った。和代のその姿を見て坂口は「人を見下していた袴田さんを思い出すよ」と言った。袴田のことを「結婚してるのに遊びまくって世の中舐めている」と言う坂口に対し、和代は「仕事が出来る男は遊んで当たり前よ」と反論した。それを聞いた坂口は気持ち悪いとコメントした。そして「男はオレみたいな誠実が一番」だと言った姿を見て、和代はそれを自分へのアピールだと解釈した。

ひょんなことから和代は体調を崩した開発リーダーの代理を任されることとなり、持ち前の能力を発揮してバリバリと仕事をこなす。そんな和代の仕事ぶりに、周囲の人々は純粋に「すごい」と評価していた。

ある日、和代は清水とデザイナーたちとの打ち合わせに参加する。しかし清水の提案はなかなかデザイナチームに理解されず、会議はストップしてしまった。しびれを切らした和代はいつのも直接的な物言いをしながらも見事に話をまとめ上げ、行き詰っていた清水のフォローを難なくこなしたのであった。
清水が和代に対して思いを寄せていると感じた石原と広瀬は、和代に「清水との交際を考えてみては?」と提案する。「あんなオタクは御免だわ」という和代に対し、広瀬は「清水はオタクではないし、自分は清水となら全然付き合える」と言った。和代はそんな広瀬を見て、自分はイケメンとしか付き合わないくせに性格の悪い女だとレッテルを貼った。
そこに遅くまで会議をしていた坂口が同僚と一緒にフロアへ戻ってきた。皆を食事に誘う坂口に対し、和代は焦らせる作戦で断りを入れる。そんな和代に対し坂口は「ありがとな。お前のおかげで助かってるわ」と労いの言葉を掛けて立ち去った。

暫くして和代は正式にリーダーを任せられるようになる。
和代と清水、そしてプロジェクトメンバーで打ち合わせが行われていた。歯切れが悪い清水の報告に対して、和代は即座に意図を読み取り、次にするべき事の方向性を的確に指示した。そして営業からの報告でプロジェクトの調整が進んでおらず由々しき事態である事が判明する。営業担当の女性社員は涙ながらに自分の非ではないことを説明していた。その態度に和代はイライラし一瞬取り乱しそうになるが、「部下のフォローが上司の役目」という経理部で得た教訓を思い出し、冷静に巻き返しに向けた指示を出した。その姿を見た坂口は心底感心し「本当に人が変わったようだ」と伝えた。

和代に好意を寄せる清水は、少しでも力になろうと自身の人脈を使ってデザイン調整のリカバリー案を提示した。そのおかげもありプロジェクトは当初の遅れから大幅に進捗を巻き返したのであった。坂口はまたもやこの結果に驚き、どうやったのか聞かせてほしいと和代をランチに誘った。「マジでお前にリーダー任せて良かったわ」と感心する坂口は、「プロジェクトが終わったら二人で打ち上げしよう」と和代を誘った。そして和代はこれをデートの誘いだと認識した。

ある日、和代は相変わらず遅くまで残業をしていた。その時清水が突然「好きです」と和代に告白をした。清水の真っ直ぐな思いに対し、和代はなぜか取り乱して怒って「なんて失礼なの?」「死んでも無理だから!」と言い放つ。その後も続く和代の暴言に対し、陰で清水の告白を見守っていた広瀬は耐え切れず「バカにしないで」と割って入ってきた。広瀬も怒りで取り乱しており、そんな広瀬を宥めながら石原が和代に「清水さんは自分とは正反対の性格だからこそ和代さんに惹かれた、和代さんも清水さんから学ぶことはなかったのですか?」と問いかけた。和代は「何であんなキモオタから自分が何かを学ばなければいけなかったのよ」と不貞腐れた。

和代の小さな変化

坂口(上)に呼び出され告白されると身構える和代(下)

後日、坂口は和代に二人きりの打合せの日程がいつがいいか尋ねる。それをサクラは遠目で見ていて、かつての自分の上司でもある坂口を飲みに誘った。そして広瀬は嬉しそうにする和代と満更でもなさそうな坂口の様子を見て、和代が清水に対しひどい事をした事を坂口に知らせるべきだと思った。

和代は突然坂口から話があると呼び出されたので喫煙所に向かった。そこで突然坂口は好きな女性のことを話し出す。すごく仕事を頑張っている女性で、そんな女性が侮辱される事があったと打ち明けた。和代はそれを自分のことだと勘違いし、坂口の言う侮辱は先日の清水の告白だと思い、「身の程知らずって怖いよね」と話し出した。坂口は「お前、どういう気持ちで言っているんだ?」と疑問を投げかける。和代はついに自ら私が好きなのは坂口だと打ち明けた。状況が掴めない坂口は勘違いしている和代に対し、自分が好きなのは吉田サクラだと言った。
坂口は元々は和代の事が嫌いだったが、直近の仕事ぶりを見て見直し二人で打ち上げをして親睦を深めようと努力していた。しかし吉田サクラから打ち明けられた話や清水の告白を無碍にする和代の姿を見て、「やっぱりお前は信用出来ない」「もっとまともな人間になれ」と言いその場を立ち去った。和代は袴田や百合子に言われた耳の痛い言葉を思い出し、誰も私を分かってくれないと静かに涙を流した。

プロジェクトも終わり和代は次は企画部へ異動となった。最終日に清水が、あれだけ冷たい態度を取られたにも関わらず和代にお礼を伝えにやってきた。それに和代は冷たくあたるのかと思いきや「いろいろエラーとか対処してくれて助かったわ。ありがとうね。じゃ、また何かあったらよろしくね」と清々しく感謝を伝えたのだった。

『ワタシ以外みんなバカ』の登場人物・キャラクター

主人公

泉和代(いずみかずよ)

第2話にて部下であり派遣社員の百合子(左)にマウントを取る和代(右)

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