呪術廻戦 懐玉・玉折のネタバレ解説・考察まとめ

『呪術廻戦 懐玉・玉折』の概要

『呪術廻戦 懐玉・玉折』（じゅじゅつかいせん かいぎょく・ぎょくせつ）とは、芥見下々の漫画作品『呪術廻戦』（じゅじゅつかいせん）の65話から78話にかけて描かれた、現代最強の術師五条悟と最悪の呪詛師夏油傑の青春時代を題材とした一連のエピソードである。65話から75話までが『懐玉』編、76話から78話までが『玉折』編となっている。
作中でも屈指の人気キャラクターである五条悟（ごじょう さとる）と夏油傑（げとう すぐる）の過去編であり、彼らの学生時代の活躍、挫折、苦悩、そして決別までを描いている。中編エピソードながらクオリティは高く、悪役として登場する伏黒甚爾（ふしぐろ とうじ）の魅力などもあって高い評価を受けている。

東京都立呪術高等専門学校の学生である五条と夏油は、高校生ながらそれぞれが第一線で活躍する術師すら相手にならない力を持ち、“2人で最強”を自称する名コンビだった。ある時、2人は天内理子（あまない りこ）という少女の護衛を任され、彼女を狙う暗殺者たちと戦うこととなる。理子は日本呪術界の偉人への生け贄となりうる「星漿体」（せいしょうたい）という資質を持っており、邪悪な思惑から生け贄の儀式を阻止せんとする者たちに狙われていたのだった。
理子を守って戦い続ける五条と夏油だったが、術師殺しとして名高い伏黒甚爾もまた彼女の抹殺を依頼されており、狡猾な策略で彼らを追い詰めていく。甚爾との対決を経て挫折と苦悩を味わった五条と夏油は、それぞれが歩まんとする道を違えていく。

呪術廻戦（漫画・アニメ）のネタバレ解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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『呪術廻戦』とは、芥見下々による呪術を題材としたバトル漫画。作者にとって初連載となる作品だが、連載開始から話題となり、週刊少年ジャンプの看板作品へと成長。アニメ化、映画化と様々なメディアミックスを果たしている。
高校生の虎杖悠仁は、ある日友人を救うために最強の呪霊両面宿儺の体の一部を取り込んでしまう。否応なく呪術の世界に巻き込まれた虎杖は、邪悪にして強大な宿儺の力に振り回されながらも、新たな学友や師と共に、時に呪霊と、時に邪悪な呪術師との壮絶な戦いを繰り広げていく。

『呪術廻戦 懐玉・玉折』のあらすじ・ストーリー

最強コンビと星漿体の少女

東京都立呪術高等専門学校の学生である五条悟（ごじょう さとる）と夏油傑（げとう すぐる）は、高校生ながらそれぞれが第一線で活躍する術師すら相手にならない力を持ち、“2人で最強”を自称する名コンビ。教師や学友たちからは「調子に乗り過ぎだ」と目くじらを立てられてはいたが、その実力は誰もが認め、将来を期待されていた。
ある時、2人は天内理子（あまない りこ）という中学生の少女の護衛を任される。理子は日本呪術界最大の偉人天元（てんげん）への生け贄となりうる「星漿体」（せいしょうたい）という資質を持っており、邪悪な思惑から生け贄の儀式を阻止せんとする者たちに命を狙われていたのだった。

五条と夏油は、それぞれに力を発揮して暗殺者を退け、「天元との融合」という形で理子が生け贄にされる日まで彼女を守ろうとする。その理子は「私はいずれ天元様と一体化するのだから、天元様と同等の存在だと扱え」と尊大な態度を見せていたが、一皮剥けば普通の中学生でしかなく、内心では生け贄になることに恐怖を感じていた。五条と夏油は、理子の護衛を果たしつつ、一方で「理子が本心から星漿体としての役目を果たすことを望んでいないなら逃がすべきだ、自分たちにならそれができるはずだ」と密かに話し合う。
その頃、「術師殺し」の異名で知られる伏黒甚爾（ふしぐろ とうじ）と呼ばれる男もまた、理子の暗殺依頼を請け負っていた。五条たちが理子の護衛についていることを知った甚爾は、「普通にやり合えば勝ち目は無い」と判断。五条の心身を消耗させるというためだけに、自身への報酬として用意させた金を使って理子に賞金を懸ける。金に目のくらんだ術師たちにより、甚爾の思惑通り、五条は少しずつ疲労を重ねていく。

術師殺しの脅威

やがて理子が星漿体としての役目を果たす日が訪れ、五条と夏油は彼女を天元の座す薨星宮（こうせいぐう）へと案内する。エスコート役を夏油に任せた五条は、これでひとまず護衛は完了したと一瞬気を緩めてしまい、その瞬間を狙って仕掛けた甚爾によって負傷。応戦するも、戦闘経験豊富な甚爾の用意した十重二十重の策に引っ掛かり、頭部に刃物を突き立てられて地に沈む。
その頃、夏油は理子に「もし星漿体になるのが嫌なら、自分たちが必ず君を守る」と伝えていた。本心では天元との一体化を恐れていた理子は、「このまま天内理子として生きられる」道を提示され、涙ながらに夏油の提案を受け入れるも、その瞬間に五条を倒した甚爾によって射殺される。甚爾は親友と守るべき存在を奪われて激昂する夏油をも叩きのめし、“お前の操っている呪霊が制御を失ったら面倒だ”というだけの理由で彼にはトドメを刺さず、理子の亡骸を抱えて去っていく。

しかし、土壇場で反転術式という治癒術に目覚めて自身の傷を癒した五条が甚爾を追いかけ、彼に戦いを挑む。理子の暗殺依頼を果たした甚爾としては、もはや五条と戦う必要は無かったが、「呪術界から爪弾きにされた自分の人生への復讐のため、最強の術師として覚醒した五条を倒してみたい」との欲求に駆られて応戦。死の淵から蘇ることで真の覚醒を果たした五条の前に敗死する。
甚爾に理子の暗殺を依頼したのは、「天元は純粋な天元のままであってほしい、星漿体と融合して天元以外の成分が彼に混じるのは受け入れられない」とする宗教の信者たちだった。立ち上がれるまでに回復した夏油が駆け付けた時、五条は理子の亡骸を抱いたまま、“星漿体の抹殺”という念願が叶って喜ぶ信者たちから拍手を浴びていた。2人は呆然としながら「甚爾に理子を暗殺させておいて、コイツらは何を喜んでいるんだ」と憤り、五条に至っては「コイツら殺すか」と夏油に尋ねるが、彼に止められて何もしないまま引き上げる。

呪術廻戦名勝負「五条悟 vs. 伏黒甚爾（禪院甚爾）」戦のネタバレ解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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「五条悟 vs. 伏黒甚爾（禪院甚爾）」とは、巨大な陰謀に立ち向かう呪術師たちの活躍を描く『呪術廻戦』で繰り広げられた戦いの1つ。主人公の師である五条の学生時代が舞台となる『懐玉・玉折編』のメインエピソードである。
高校生にして最強クラスの呪術師である五条は、星漿体と呼ばれる特殊な定めを背負った少女天内理子の護衛を命じられる。一方、呪術師殺しとして名を馳せる甚爾は理子の暗殺を依頼され、その護衛である五条を排除するべく十全に策を練っていく。消耗した五条に、準備万端整えた甚爾が襲い掛かる。

挫折と決別

直接仇討ちした五条がある程度の踏ん切りをつけられたのに対して、夏油は「どうして自分は理子を守れなかったのか」について悩むようになる。星漿体を捧げられなかった天元が特に問題なく活動を続けたため、「理子が星漿体にならなくても良かったのなら、彼女はなんのために死んだのか」との思いも苦悩を強くする材料となった。さらに甚爾との死闘を切り抜けた五条が当代どころか歴史上でも並ぶ者がいるかどうかというほどの術師となったことで、夏油との関係は「2人で最強」から「1人で最強」と「甚爾に勝てなかった夏油」という形に変化してしまい、「親友で無二の相棒に置いて行かれる」と彼を焦らせる。
そんな折、五条と夏油がかわいがっていた後輩が強大な呪霊との戦いで命を落とす。それを五条があっさりと蹴散らしたこと、生き残った者から「五条ならどんな敵にも勝てる、彼だけ居ればいいのでは」との言葉を聞いたことで、夏油はもはや五条と自分の道は分かたれたのだと結論。五条が己の力に浮かれて活躍を続ける一方で、「どうして自分は守りたいものを守れないのか、近しく親しい者たちだけでも守る方法はないのか」と自縄自縛で追い詰められていく。

やがて夏油は、「呪霊がいなくなれば術師がそれを狩るために命を懸ける必要は無くなる。そのためには呪霊を生み出す源である呪力を制御できずに垂れ流しにしている連中、つまりは術師でない人間を全滅させればいい」との狂気に取り憑かれていく。半ば冗談のつもりで言ったこの説を五条に匹敵する実力を持つ先達の術師に肯定されたこと、「気味が悪い」というだけの理由で罪の無い術師の少女を虐げる人々を見てしまったことで、ついに夏油は一線を越えて非術師の直接排除に乗り出し、五条たちの前から姿を消す。
ここに至ってようやく夏油がそれほど深く悩んでいたことに気付いた五条は、彼に呼び出される形で街へと赴く。すでに何人もの非術師を殺め、追われる立場となった夏油は、五条に「術師のための楽園を作る」、「そのために術師ではない者たちを皆殺しにする」と宣言。できるわけがないとする五条に「お前にならできる」と言い切り、“夏油は自分に並ぶ術師になれない”と決めつけるのは傲慢だと指摘する。五条が「本気で言っているなら殺してでも止める」と告げると、夏油は彼に無防備に背中を向けて去っていく。その背が見えなくなっても五条は夏油を攻撃できず、「1人で最強になったはずの自分が、親友を止めることすらできなかった」との事実に打ちひしがれる。

その後五条は「自分だけが強くても意味が無い、自分や夏油のように強い術師がたくさんいないと守りたいものを守れない」と痛感して呪術高等専門学校の教職の道を選ぶ。夏油は潜伏しながら仲間を集め、「非術師の全滅」という目的のために邁進。本編開始の1年前、「五条の生徒に敗北した夏油が、五条によってトドメを刺される」という形で、両者の因縁は決着することとなった。

『呪術廻戦 懐玉・玉折』の登場人物・キャラクター

五条悟（ごじょう さとる）

CV：中村悠一

東京都立呪術高専の学生。「御三家」と呼ばれる呪術界の名門の1つ五条家の出身であり、歴史上稀なほどのすさまじい才覚を持つ。
若者らしい軽妙な言動を好むが、任務や戦闘に関してはシビアに物事を判断する。己の実力を正確に把握しているが、そのために「自分を倒せる者などこの世に何人もいない」との想いを抱く。
夏油のことは親友にして自分に無いタイプの力や見識を備えた無二の相棒だと認識しており、特に善悪の判断については自分のそれより夏油の意見を頼ることが多い。

五条悟（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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五条悟（ごじょう さとる）とは、『呪術廻戦』の登場人物で、日本に四人しかいない特級呪術師の一人にして自他ともに認める「最強の呪術師」。特級呪術師の中でも別格の実力者である。
作中屈指の実力者たちをまとめて相手にしてなお圧倒するほどの恐るべき戦闘能力の持ち主で、存在そのものが呪術界のバランスを成すジョーカー的存在。特級呪霊・宿儺の宿主となってしまった主人公虎杖悠仁を、東京都立呪術高等専門学校に誘った張本人で、同校では教師を務める。呪詛師として暗躍する夏油とは、かつては親友の間柄だった。

夏油傑（げとう すぐる）

CV：櫻井孝宏

東京都立呪術高等専門学校の学生。一般家庭の生まれの術師ながら、並外れた呪力と無数の呪霊を支配下に置いて操る特殊な術式を持つ。
優等生気質で、「特殊な才能を持って生まれたからこそ、それを世に還元していかなければならない」との思想を持つ。五条の奔放な言動には呆れているが、親友として無二の相棒として彼を深く信頼し、「僕たちは2人で最強」とたびたび語っていた。

夏油傑（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]

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夏油傑（げとう すぐる）とは、『呪術廻戦』の登場人物で、体内に宿した数千もの呪霊を使役する呪霊操術の遣い手。呪術を悪用する呪詛師の中でも特に強力な存在である。
『呪術廻戦』本編が始まる一年前に起きた百鬼夜行事件の首謀者で、自身の持つ全ての呪霊をも超える力を有する特級呪霊祈本里香を我が物にせんと、その被呪者たる乙骨憂太と激しい戦いを繰り広げた。
かつては人々のために尽くさんとする高潔な呪術師を志し、最強の呪術師五条悟とは親友の間柄だった。道を違った現在も、五条とは互いに友情を捨て切れずにいる。

天内理子（あまない りこ）

CV：永瀬アンナ

1000年以上前から活動している日本呪術界最大の偉人天元が、“人間としての肉体”を維持するための生け贄である「星漿体」としての資質を持つ中学生の少女。
護衛を務めることとなった五条と夏油に、「自分はいずれ天元様と一体化するのだから、自分の言葉は天元様のものだと思え」と尊大な態度を見せる。しかし内心では天元と一体化することに恐怖と躊躇を感じており、夏油から「嫌ならそう言ってくれればいい、自分たちが必ず守る」との言葉をかけられた時は涙を流して喜んでいた。