禪院真希（呪術廻戦）の徹底解説・考察まとめ

前日譚である『東京都立呪術高等専門学校』で、夏油傑が使用していた特級呪具。後に五条家所有の呪具となった。売ったら五億は下らない高級品である。三節棍の形をしており、“一切呪術的な効果が無い”という稀有な特性を持つ。このため使用者の技量と腕力によって威力が左右され、相応のレベルの者が振るうことで恐るべき破壊力を発揮する。
夏油の死後に呪術高専で保管され、その後真希の手に渡る。伏黒に貸し出されたこともあるが、三節棍という特殊な形状からか「使いにくい」と文句を言われていた。
さらに渋谷事変で霊媒によって疑似的な復活を遂げた甚爾に奪われ、両端をぶつけて削り合わせることでその部位を刃状に加工され、特級呪霊である陀艮へのトドメを刺す際に使用された。

呪具：竜骨（りゅうこつ）

等級は不明。
姉妹校交流会の団体戦に乱入してきた呪詛師・組屋鞣造（くみや じゅうぞう／五条でハンガーラックを作りたがっていた呪詛師）の最高傑作と言われる呪具。真希が組屋鞣造のアトリエから持ち出したと考えられる。刃で受けた衝撃を呪力として自らに溜め込み、使用者の意図に沿って溜め込んだ呪力を峰から噴出することができる。峰には呪力を噴出する噴射口がついており、刀身には禍々しい黒い模様が描かれている。

禪院本家の忌庫に向かう際に真希が持参しており、実父・禪院扇との戦いやその後の禪院本家の人間と戦う際に使用した。

呪具：真依が構築した刀

禪院本家にて真希・真依ともに死の淵に立たされた時、真依が自らの命と引き換えに術式「構築術式」で精製した。鍔のところに鍔が見えないほどの房飾りがある以外はシンプルな見た目の剣をしている。かつて禪院甚爾が所有していた釈魂刀のレプリカで、対象の硬さを無視して魂を切り裂く力を持つ。
真希はこの真依の残した刀と竜骨を用いて、禪院家の人間を皆殺しにした。

禪院真希の来歴・活躍

呪術の名門禪院家に生まれる

“御三家”とも称される呪術師の名門一族の一つ、禪院家に生まれる。天与呪縛によって生まれつき一般人程度にしか呪力を持っておらず、一族からは白い目で見られながら育った。幼い頃から強靭な意志を持っており、この差別的な扱いに屈するどころか強固な反骨心を胸に抱くようになる。
双子の妹の真依とは非常に仲が良く、彼女が低級な呪霊を怖がって竦んでいる時は、真希がその手を取って導くのが常だった。

呪術師を志す

成長するに連れて、“呪力が無い”というだけで自分を蔑む禪院家への怒りを抑えられなくなり、「自分が禪院家の当主となって腐った風習をブチ壊す」ことを、そのためにまず呪術師になることを決意する。伯父にして当代の禪院家当主である直毘人の前でそれを力強く宣言するも、彼から返ってきたのは“面白いものを見た”と言わんばかりの呵々大笑と「お前と真依に相応の試練を与えてやる」という言葉だった。
これにより真依は望んでもいなかった呪術師の道を強制されることとなり、自分を置いて禪院家を出て行った真希に恨みを募らせていった。

都立呪術高専に入学し、当代最強の術師と名高い五条悟に師事する。狗巻棘やパンダといった学友と共に勉学と修練に励むも、「禪院家の当主になる」という強烈無比なモチベーションを持つ真希は、生来の気の強さとストイックさ、さらには実家で反骨心を育む中で身に着けた口の悪さから意図せず周囲に壁を作り、孤立しがちな日々を送る。
当人はこれをまるで気にしていなかったものの、狗巻やパンダからは密かに案じられていた。

特級被呪者・乙骨憂太

狗巻、パンダらと呪術師目指して励む中、乙骨憂太という少年が転入してくる。乙骨は完全に開放されれば国をも揺るがすほどの力を持つ特級呪霊・祈本里香に憑依されており、それを御す術を学ぶために本人の意志とは無関係に呪術師を目指すことを強制された身の上だった。
初めて知る呪術の世界に戸惑う乙骨を、当初は「顔に“善人”と書いてあるイジメられっ子」と軽く見ていた。しかし「自分の意志とは無関係に呪術の世界に関わらざるを得なくなった」乙骨と、「自分の意志で呪術の世界に飛び込んだ」自分は真逆の存在であることに気付き、それでもなお前向きに呪術師を目指す彼の姿勢を次第に認めて親身に接するようになる。普段の真希を知る狗巻とパンダからするとこれは驚きであり、特にパンダは「真希は乙骨に気があるのではないか」と勘繰り、勝手に気を回しては彼女に怒鳴りつけられることを繰り返した。

かくして単に呪術師を目指すだけでなく、仲間同士で和気あいあいと騒ぐ学生らしい日々をも手に入れるが、祈本里香の力を我が物にせんと特級呪詛師の夏油傑が暗躍。東京と京都に大量の呪霊を放ち、五条ら呪術師がこれへの対処に向かった隙に都立呪術高専を襲撃、乙骨を殺して祈本里香の支配権を奪わんとした。
乙骨と共に都立呪術高専に残っていた真希は、そうはさせじと武器を手に取るも、遥かに格上の相手である夏油にはまるで太刀打ちできずに惨敗。呪力を持たない者を“猿”と見下す夏油が一切容赦しなかったためか、あるいは学友を守ろうとするあまりに死力を尽くしたか、同じく乙骨のために戦った狗巻やパンダよりも深手を負っていた。
真希たちの奮戦と犠牲を目の当たりにした乙骨は、学友を傷つけた夏油への怒りと殺意を剥き出しにし、祈本里香の力を全開にしてこれを撃破。秘めた才能を開花させた乙骨の術により狗巻、パンダともども命拾いし、祈本里香の解呪の瞬間にも立ち会うこととなった。

新たな後輩たちとの出会い

二年に進級し、新たに新入してきた伏黒恵（ふしぐろ めぐみ）と知己になる。伏黒は禪院家の血筋で、その相伝たる十種影法術（とくさのかげぼうじゅつ）を生まれ持った麒麟児だった。伏黒もまた禪院家とは距離を置いたスタンスを取っていたこともあり、先輩としてこれを体育会系式にかわいがる。
海外留学に向かう乙骨を見送り、自身は狗巻やパンダと共に長期の任務についていたが、一年に転入してきた虎杖が呪霊との戦いで死亡。意気消沈する伏黒たち一年生を荒っぽく激励し、「強くなりたい」と望む彼らの特訓に付き合う。その中で、一年の釘崎野薔薇からは特に強く尊敬されるようになった。

この頃、交流会の打ち合わせのため都立呪術高専を訪れた真依と久々に再会。交流会は東京と京都の呪術高専の生徒同士が実戦に近い形式で戦うイベントで、彼女から武力も交えた剣呑な宣戦布告を受ける。

姉妹校交流会

交流会の当日、実は生きていて五条に匿われていた虎杖と初めて対面するも、名前を知っている程度の認識しかない相手であるためなんら感慨を抱くことは無く白けた顔を浮かべた。
虎杖という新たな戦力を得た上で交流会に臨み、“特級呪霊をその身に宿す虎杖の抹殺”を京都校の生徒たちが企てていることを突き止めるや、作戦変更してその阻止のために動き出す。一斉攻撃で虎杖を仕留めようとした相手の前に東京校の面々と共に割り込み、自身は京都校の三輪と刃を交える。終始優位に戦いを進め、最終的に彼女の唯一の得物である刀を奪って無力化する。
その後、真依によって昏倒させられた釘崎を庇い、そのまま妹と交戦。真希を倒すためだけに仕込んだ真依の奥の手に追い詰められるも、自身に向かって放たれた必殺の弾丸を“素手で掴み取る”という力技で打ち破り、これに勝利する。
決着がついた後、真依から「アンタのせいで厳しい修行を課せられてやりたくもなかった呪術師を目指すことになった、どうしてあの家で一緒に落ちこぼれてくれなかったのか」と詰られる。あのまま禪院家にいたら自分が嫌いになっていたと答え、短く謝罪しながら立ち去った。真依はその背に向けて「幼い頃に交わした“絶対に置いていかない”という約束を破った（＝禪院家を出る時に一緒に連れて行ってくれなかった）」ことを責める言葉を口にするも、それが真希の耳に届いていたかは定かではない。

その直後、交流会の会場を特級呪霊の花御が襲撃。結界によって五条ら教師陣が隔離された状況の中、追い詰められた伏黒らを救援するために駆けつけるものの、花御の恐るべきタフネスを前に苦戦する。大きなダメージを受け、後はトドメを刺されるのみとなったところで虎杖と京都校最強の生徒である東堂葵が到着し、パンダに抱えられて戦線を離脱した。
このアクシデントで交流会本来のプログラムが台無しになるも、白黒つけたいという声もあったことから、翌日は東京校と京都校が野球で対決。ピッチャーにして四番として活躍する。

渋谷事変

花御を含む特級呪霊一味が渋谷駅一帯に人の行き来を制限する結界“帳”を展開し、五条一人がその中に来るように要求する。事実上の人質である“帳”内部に取り残された市民を救うため五条はこれに応じ、花御を一蹴するも、十重二十重に張り巡らされていた策によって封印されてしまう。
当時“帳”の周囲には、いざという時のフォローのために多くの呪術師が配置されていた。真希もその一人であり、五条を解放するため“帳”の中へと踏み込むこととなる。

先輩呪術師である七海、伯父である直毘人と共に五条が封じられている渋谷駅の地下深部を目指す中、特級呪霊一味の陀艮と遭遇。戦う中で次々と成長していく陀艮に苦戦する。そこに伏黒が駆け付け、彼の援護でようやく勝機を掴むも、さらに口寄せで疑似的な復活を果たした伏黒甚爾が乱入。得物としていた游雲を奪われるも、狂乱したかの如く強者（＝この場においては陀艮）を攻撃する甚爾を利用する形で陀艮の撃破に成功する。
その後甚爾は実子である伏黒を拉致するような形で一行の前から去り、慌ててそれを追おうとするも、今度は特級呪霊一味の中心人物である漏瑚がその場に現れる。漏瑚は陀艮の死を悼むと真希たちその場に残る呪術師へと襲い掛かり、恐るべき火力を振るって三人を次々と炎の中に沈める。成す術も無くその場に倒れ、そのまま戦線離脱する。

東京壊滅