ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』とは、1988年に公開された、ジャッキー・チェン主演のポリスアクション作品である。犯罪組織のボスであるチュウ一味を逮捕したチェン刑事だが、彼等逮捕する際に器物破壊等の行為で多大な損害を出してしまう。これにより制服警官への降格、交通係への勤務を命じられる。地道に働くチェンだったが、その背後で爆弾事件が発生する。人気シリーズ第2弾であり、派手な格闘、爆破シーンが話題となった。

CV:石丸博也
香港警察の刑事であり、犯罪組織のチュウを無事逮捕する。しかし、逮捕時にデパートのシャンデリア等を破壊し、多額の損害を出してしまう。この事で署長から散々叱責を食らった後、制服警官への降格、及び交通係を命じられる。地道に外で交通整理を行っているところへ、恋人メイがやって来て声を掛ける。今は勤務中だと話すが、メイは強引にジュースを飲ませようとしていた。その仲睦まじい様子を見ていたかの如く、目の前に一台の車が止まる。車の窓からチュウと彼の側近ジョンが顔を出す。チュウは余命3ヶ月の大病を宣告されて、特別に釈放された。チュウやジョンは、脅しの言葉を告げると、その場を去っていく。
ジョンからの嫌がらせや暴言が始まり、自分のみならずメイや彼女の叔母のもとにも来ていた。その事にしびれを切らしたチェンは、ジョンや手下達がいるレストランへ向かい、メイへの嫌がらせを止める様に告げる。ジョン達が聞く耳を持たない事に激怒し、その場で格闘を繰り広げる。手下の一人が格闘の際にレストランに外へ放り出される。飛び出てきた手下により、コントロールを失ったトラックがレストランへ突っ込み、店内ごと破壊された。警察署にて、再び署長から叱責を受け、警察学校で何を学んだと聞かれる。署長から𠮟責を受ける一方で、外の世界で蔓延るチュウやジョン達を退治する事ができない理不尽さを感じ、警察を辞める意向を示す。そして署長やチョウの前で、胸の警官バッジを外してしまう。
警察を辞めると告げた後、3ヶ月の休暇を取りメイと共にバリ島へ旅行する事にする。彼女と共にショッピングモール内の旅行代理店へ向かった矢先、後輩警官と遭遇する。彼からショッピングモールへ爆破予告があった事を告げられるが、同ビルの社長は単なるイタズラだとして聞く耳を持たなかった。すると、爆発が本当に起これば多くの被害者が出ると考え、強引に警報器を鳴らし、客をデパート内から外へ出す。騒ぎを聞きつけた署長やチョウ達ら警察がやって来て、チェンは彼等に状況を説明した。消防車もやって来るなか、これといった出来事は起きず、周囲は本当にイタズラではと考える。しかしその瞬間、デパート内で爆発が発生する。更にショッピングモールのフォン社長のもとへ、犯人らしき者から次なる犯行予告、及び要求金額に関する通告が来た。フォン社長は、この一件を警察へ任せる事にした。
メイと一緒にバリ島へ旅行に向かおうとして飛行機の座席に座っていたが、その矢先に客室乗務員に呼ばれる。それによるとパスポートに不備があるとの事で、仕方なく飛行機を出て管理室へ向かうと、署長とチョウがいた。署長達から爆破事件の担当を任され、その頼みを断り切れず、捜査へ参加する事となった。メイに事情を話しに飛行機へ戻ろうとするが、メイが乗った飛行機は既に離陸した後だった。事情を話せないうえ、メイのパスポートも持ったままだった。その状況に焦った事に対し、チョウは現地に連絡を入れておくと告げた。
署長やチョウに言われるがままに、爆破事件の捜査へ参加する事となる。先ずは、ショッピングモール社長フォンの会社の内部調査を行う事を試みるとして、チョウと共に会社へ向かう。社内へ潜入し、チェンは一人で会議室へ向かい盗聴器を仕掛けようとするが、社長達がどっと入って来る。焦ったチェンは部屋のテーブルの下に隠れて、大勢がいるなかで盗聴器を取り付ける。チェンはテーブルの下から出て、周りのどさくさに紛れ込んだ後、部屋を退室する。警察署へ戻ると、カンカンになったメイが待っていた。メイは、パスポートを持っていかれた事でバリ島へ入国できず、10時間も拘束されたと怒りをぶちまける。メイの事を現地の管理局に連絡しなかったのかとチョウに聞くと、忘れていたと答えた。
メイと話し合う機会を持とうと、夜の公園で待ち合わせるが、そこへチュウの側近ジョンも現れて拳銃を構えてくる。その銃は水鉄砲で、飛び出た水を避けた為に、真後ろにいたメイに命中する。笑いながら去っていくジョンを追いかけた先には多くの部下達がいた。公園や路地にて格闘戦を行うが、部下達が乗った車で路地の隅まで追い込まれる。どうにか車をかわし、逆に部下達やジョンを追い詰める。これに対しジョンは逃亡を試みるが、目の前の柱にぶつけ眼鏡を割る。ジョンは、ボスであるチュウの指示で仕方なくやったと罪を告白。手下達を連れてジョンがいなくなったのを見て、メイのところへ戻る。しかしメイから、これまでの行動は危険だった、強さではなく優しさが欲しいのだと告げられる。更には、公園での乱闘騒ぎは新聞でも取り上げられ、署長からも𠮟咤された。
爆破事件の捜査の為に、特殊技能を持った数人の若者達で構成された特捜班と組み、犯人の行方を追う。すると犯人らしき者からフォン社長へ連絡がある。チェン達は会社内に仕掛けた盗聴器で、フォンや犯人のやり取りを聞きつつ犯人の場所を特定する。また、特定場所の近辺にいる警官にも連絡したところ、近くの公衆電話に不審な男がいるという連絡が入る。警官は不覚にも男から暴行を受け、彼はそのまま逃走。しかし、その警官は犯人の顔を覚えており、彼を捜査チームの一員として加える事にした。
一方で、情報屋のバクからの連絡で、爆薬密売屋ファイへ会う事を指示される。変装して、ファイに爆薬が必要だと告げる。そこへ、ファイが事前に通報していた二人の刑事がやって来て、彼等により取り調べを受ける。
彼等に対抗し、その場を離れる。ファイが帰宅しているところを先回りし、彼に対し通報した事を詰め寄る。ファイは用心の為に通報したと答え、コンテナ下から爆薬を取り出そうとする。その瞬間に正体を明かし、ファイを逮捕し連行する。捜査チームメンバーの協力により、ファイは口を割る。そして、爆薬の買い手の一人が、爆破事件の犯行グループの一人だった事が分かる。その一人の尾行を始め、とある工業地帯へと向かう。特捜班メンバーがアジトらしき場所から出てきた車を尾行するなか、キムと共にアジトの中へ潜入する。中へ入ると、耳が不自由で瘦せ型の男ライが一人だけいた。ジェスチャーを行ってみるも、ライとはまるで意志疎通ができない状態だった。するとライはふと、ラジコンカーを取り出して、操作をし始める。そのラジコンカーは壁に当たった瞬間、爆発する。驚く姿のスキを突いて、ライはキレのある足技で攻撃した後に、逃走する。犯行グループの行動は過激さを増していく一方である。フォン社長の秘書宛てに花束が届き、彼女が何もせずにいた時、花束が爆発する。同時期には、警察署の入口へ持ち出された爆弾が遠隔操作により爆発した。犯行グループにより、警察署までも被害に遭った事に落胆する。
更には、メイが伯母と買い物をしていた時に、犯行グループに誘拐されてしまう。メイの伯母は、彼女を誘拐したのが、チェンに恨みがある者による行為ではないかと話す。その言葉に、メイを誘拐したのがチュウ一味だと考え、チュウの屋敷へ向かう。中にいたのは、大病により弱り果て、ベッドに横たわるチュウの姿だった。その状態にも関わらず、メイはどこだと問い詰める。チュウは全く知らないうえ、自分は動けない状態だから無理だと答えた。一方、近くにいたジョンはチュウに遺産相続を迫っていたうえ、相変わらず心無い言動を発してくる。それに怒り、ジョンの顔面に鉄拳を食らわせ、眼鏡を割る。その様子を見たチュウから拍手を送られた。
引き続き、犯行グループの捜査を進めるが、彼等に襲撃され拘束される。アジトで、メイと共に椅子に縛られた状態となるなか、犯行グループの一人が持ち物を探り出す。所持品の中には、メイから渡された手紙があり、犯人は手紙の内容を読み上げる。手紙の内容は、メイからの別れの手紙であり、犯人から手紙の内容を聞かされたチェンとメイとは、思わずその場で涙した。また犯行グループは、自分達の言う事を聞けと拷問を行う。更には、メイにまで拷問を仕向けてきた為に、仕方なく彼等の要求を聞く事にした。そして、フォン社長の会社へ金を取りに行く事となる。社内へ向かい指定金額を鞄に持って行こうとするが、血相変えた様子や行動を止めようとした署長達だった。すると上着をまくりあげ、犯行グループによりつけられた時限爆弾を見せる。急いでいる、かつ危険だという事を伝えて、その場を後にする。車に乗り込み出発する一方、トンネルの中まで走らせ、犯行グループとの追跡を遮断させる。他の車やドライバー達を非難させた後、爆弾の解除を試みて、どうにか成功する。
犯行グループのアジトに向かい、縛られていたメイを見つけて助け出す。またアジト内で遭遇した犯行グループメンバー数人に自首する事を訴えるが、彼等は聞く耳を一切耳を持たなかった。犯行グループと戦う事となり、アジト内で一人ずつ倒す。残るはライ一人となったが、切れ味鋭い足技による猛攻で劣勢となる。更にはアジトの工場にある火炎弾を投げつけて来て、体に火がつく。そんななか、近くにも火炎弾がある事に気付き、ライにも投げつける。ライの口癖「アパアパ」を真似しながら、容赦なく火炎弾を投げつけた。体が火で燃え盛り、命乞いをしたライに消火器で火を消す。しかしその行為とは裏腹に、ライが襲いかかってくる。直ぐにライを真下の大量のタルの方へ投げ落とす。間もなくしてアジトの工場内の爆発物による爆発が発生し、激しい爆発の中で脱出する。無事にアジトを脱出した後、先に脱出していたメイと抱き合った。

チェン役を演じたジャッキー・チェンは、『スネーキーモンキー 蛇拳』(1978年)で一躍スターダムに乗り、『プロジェクトA 』(1983年)等のヒット作を次々と発表した。長きにわたりアクションスターとしての道を歩む一方で、自身の主演作の主題歌やアルバムの発表を行う等、歌手としても定評がある。

メイ(演:マギー・チャン)

メイ(写真右)

CV:麻上洋子、小林沙苗
チェンの恋人であり、明るい性格である。チェンが交通係へ降格された事に対し不満を持っていた事に対し、危険な職務でなくなったと喜ぶ。交通係として勤務中のチェンに声を掛け、仕事中に関わらず彼にジュースを飲ませようとしたりもした。そこへ一台の車が止まり、窓から顔を出したのは逮捕されたはずのチュウと、彼の側近ジョンだった。チュウは余命3ヶ月の大病を宣告され、特別に釈放されていた。チュウやジョンは脅しの言葉を告げ、その場を去った。
その後、ジョンからの嫌がらせ始まり、チェンのみならずメイや彼女の叔母にも被害が及ぶ。チェンは、ジョンや彼の手下達と格闘を繰り広げるが、その際に彼等がいたレストランの椅子やテーブル等も破壊してしまう。チェンは署長から叱責を受け、やっている事はチンピラと変わらないと言われる。外の世界で蔓延るチュウ達を倒す事できない理不尽さに嫌気がさしたのか、チェンは自ら警察を辞めるという意向を見せ、警察バッジを外した。
警察を辞職したチェンが休暇を取り、彼と共にバリ島へ旅行へ行く事となった。飛行機が出発する直前、チェンが署長達に管理室へ呼ばれる。チェンは爆破事件の捜査に加わる事となる。捜査の事をチェンが、飛行機に搭乗しているメイに話そうとするも、既に飛行機が離陸した後だった。更にはチェンが、メイのパスポートを持っていた。バリ島へ到着するも現地に入国できず、10時間拘束された。香港へ送還され、警察署にてチェンに怒りをぶちまける。チェンからきちんと話をしたいと言われ、夜の公園で待ち合わせをする。そこへチュウの側近ジョンと遭遇し、ジョンは拳銃を構えていたが、それは水鉄砲だった。銃先から飛び出てきた水をチェンが即座に避けたところ、彼の後ろにいた為に水が命中する。笑いながらその場を去るジョンを追い掛けたチェンは、待ち構えていたジョンの手下達と格闘する。彼等やジョンを追い詰めると、一同はボスのチュウに命令されて仕方なく行ったと話した。ジョン達が帰ったのを見計ったチェンは、メイのもとへ戻って来る。しかしチェンに対し、「もし水鉄砲から飛び出してきたのが硫酸だったらどうするか」と尋ねると、チェンは動揺する。更にメイは、「自分が欲しいのは、強さではなく優しさ」だとチェンに言ったのだった。
ショッピングモールで発生した爆破事件、及び犯人グループについて捜査していたチェンだったが、警察署にいたチェンのもとへやってきて一通の手紙を渡す。しかしその後、叔母と買い物に出かけていた際に、爆弾犯人グループに突然さらわれてしまう。犯行グループの捜査を行っていたチェンだったが、彼等の罠にかかり、チェン自身も捕まる。チェンとメイの二人がアジトにて縛られているなか、犯行グループ数人はチェンの持ち物を探り、メイがチェンに渡していた手紙を見つけ読み上げる。その内容は、メイからのチェンへの別れの手紙であり、手紙の内容を聞かされたメイとチェンは、思わずその場で涙する。また犯行グループは、チェンだけでなく、メイにまで拷問を行ってくる。彼女への拷問に耐えかねたチェンは、やむを得ず犯行グループの言う事を引き受ける。チェンは時限爆弾が仕掛けてある服を着用され、フォン社長の会社へ向かい、身代金を受け取りに行く事を指示される。フォン社長や署長ら警察がいるなか、指定された金額を鞄に入れて会社を出る。チェンは一人、車をトンネルの中まで走らせ、犯行グループとの通信を遮断させる。爆弾があるからと告げ、他の車を非難させて、どうにか爆弾の解除に成功する。チェンは犯行グループのアジトに向かい、犯人達と対決する。その際に、チェンが椅子に縛られていたメイを見つけて助け出す。チェンは犯行グループを一人ずつ倒していく。残り一人となったライの足技による猛攻に劣勢となっていたチェンだったが、アジトの工場にあった火炎弾をライに投げつけた事で状況は一変する。その後も容赦なく火炎弾を投げつけるチェンだったが、ライの体が火で燃え盛り、彼もまた命乞いをする。チェンは近くの消火器で火を消すが、その瞬間にチェンに襲いかかる。チェンは、ライを真下の大量のタルへ投げ落とす。間もなくしてアジトの工場内の爆発物による爆発が一気に発生し、激しい爆発の中でチェンは無事に脱出する。そしてチェンは、アジトから先に脱出していたメイと抱き合った。

メイ役を演じたマギー・チャンは、ミス香港で2位になった事を機に芸能界入りする。当初はアイドル的かつコミカルな役柄が多かったものの、1990年代に入ってから『ロアン・リンユィ 阮玲玉』(1991年)、『ラヴソング』(1996年)、『宋家の三姉妹』(1997年)等の作品へ出演し演技派へと開眼し、多くの賞も受賞した。2000年代後半に女優業を休業し、2014年5月にはロックバンドのボーカルとして歌手デビューを果たした。

香港警察

キム(演:マース)

出典: auctions.c.yimg.jp

CV:荒川太朗、岡哲也
香港警察の刑事で、チェンの同僚である。今回も出演場面はそれなりにあるものの、前作『ポリス・ストーリー/香港国際警察)』程の出番はない。チェンや捜査班の若者達と共に、爆破事件の犯人を追う。チェンと二人、犯人グループのアジトへ潜入する。そして、犯人の一人ライと遭遇する。耳が不自由で口が聞けず、意思疎通ができず困る。すると突然、ライが連続蹴りを放ち、悶絶する。その間にライは逃亡する。その後は、警察署にて捜査を続けた。

キム刑事役を演じたマースは12歳で芸能界入りをし、多くの作品で端役出演をする。その後、ジャッキー・チェンのスタントチーム「成家班」に加入し、『ヤング・マスター』(1980年)や『ドラゴン・ロード』(1981年)といった作品に顔をだす。また2019年にドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』(BSプレミアム)に出演し、ヒット作である『プロジェクトA』(1983年)での時計台の落下シーンについて3テイク撮影のうち、1回は自身が行ったと告白して話題となった。

チョウ(演:トン・ピョウ)

出典: www.bjiff.com

チョウ(写真左)。

CV:大山豊、宝亀克寿
香港警察の警部であり、チェンの上司である。署長と同様にチェンの過剰な行動に頭を抱える一方で、署長の顔色を伺う行動を取る。釈放されたチュウ、及び側近ジョンの横行が続いたのに対し、彼等を退治できない事に我慢できなかったチェンは警察を辞める意向を示す。チェンに対し、やや引き止める素振りを見せるも、そのまま彼を見送った。ショッピングモールにて爆破事件が発生し、同ビルの社長フォンから警察へ捜査依頼があった際、それを受ける。今回の事件担当をチェンに任せようと考え、署長と共に空港にいたチェンのもとへ向かう。チェンは、メイと共にバリ島へ旅行に行く直前だったにも関わらず、彼を飛行機から管理室へ呼ぶ。そして、爆破事件の担当をしてくれる様にチェンを説得、彼は頼みを断り切れず事件の担当を受け入れた。チェンは、メイに事情を話しに飛行機へ戻りに行くが、メイが乗った飛行機は既に離陸していた。焦るチェンに対し、現地へ連絡を入れておくと話した。
そのまま爆破事件の捜査が開始される事となり、先ずはショッピングモール社長フォンの会社の内部調査が行われる事となった。チェンと共にフォンの会社へ向かうが、この時はお腹の調子が悪く、エレベーター内にてお腹のガスを出してしまう。異臭を感じた同乗者全員が、近くの階で降りる。その際に自分もエレベーターから出て、振り向き様にチェンに濡れ衣を着せた。チェンは単独で会議室へ向かい、大勢が部屋に入ってきて焦るなかで、どうにか盗聴器を取付けてその場を立ち去る。帰り際にチェンは一緒にエレベーターへ乗ろうとするが、お腹のガスの出来事を考えて、階段で降りると告げた。チェンが警察署へ戻ると、カンカンになったメイが待っていた。パスポートが無い事でバリ島へ入国できず、10時間も拘束されたとチェンに怒りをぶちまける。チェンは現地の管理局に連絡しなかったのかとチョウに聞くと、忘れていたと答えた。
チェンは警察の捜査チームメンバーと共に、爆破事件の犯行グループについて捜査していた。一方で、犯行グループによる行動はいっそう過激さを増していき、警察署入口での爆破事件、同時にファン社長の秘書へ送られてきた花束が突然爆発するという事件が連続して起こる。犯行グループによるテロ行為が続くなか、捜査を進めていたチェンだったが、犯行グループにより拉致されてしまう。メイも人質に取られており、彼等の要求に従う事となったチェンであった。チェンがファン社長の会社へ血相を変えた様子でやって来て、身代金の金をバッグに入れて持ち出そうとする。署長が銃をつきつけてチェンの行動を止めようとするが、チェンは犯行グループにより着用された時限爆弾を見せる。チェン周りに危険である事を伝え、その場を去る。不安そうなチェンをそのまま見送るしかなかった。

チョー警部役を演じたトン・ピョウは、プロの調教師として活躍後、競馬中継の司会や評論を務め人気を得た。また俳優としても、『ポリス・ストーリー』シリーズや『レッドブロンクス』(1995年)等のジャッキー・チェン作品や多くの香港映画に出演、日本の映画ファンでもお馴染みの顔でもあった。2006年2月に死去。

署長 (ラム・コーホン)

署長(写真中央)

CV:曽我部和恭、森田順平
香港警察の署長であり、チェンの上司である。犯人逮捕の為に度を超えた行動を行うチェンに頭を悩ませている。チュウ一味の逮捕時も、デパートのシャンデリアを破壊する等の行動を行ったチェンを𠮟責した。そしてチェンに対し、刑事から制服警官への降格、交通係へ任命する。しかしチュウが釈放されたうえ、側近ジョンがチェンやメイをつけ回し始めた事で、再びチェンの行動が暴走する。ジョンや彼の手下達と格闘を繰り広げたチェンに対し、警察学校で何を学んだと詰めよる。外で蔓延るチュウを退治できない限界さを感じた警察を辞めると告げたチェンに対し、引き止める事はしなかった。
しかしその後、ショッピングモールにて爆破事件が発生する。ショッピングモールのファン社長へ犯行予告があり、警察に事件を任せられる事になる。その際に、今回の事件の担当はチェンが適していると考える。そしてチョウと共に、バリ島へ旅行に行く直前だったチェンがいる空港へ向かう。空港にて既に飛行機の席に座っていたチェンを管理室に呼び、事件の担当をする様に説得する。熱意ある呼び掛けに負けて、結局チェンは爆破事件を担当する事となった。その後チェンは事件を捜査し、犯行グループメンバーが特定されてきた。その矢先に警察署入口で爆発事件が発生、同時にファン社長の秘書へ送られてきた花束が突然爆発するという事件も発生する。犯行グループにより事件を起こされた事に対して、チェン達は落胆する。
そんななか、チェンは「相手は凶悪犯だから、自分の命に代えても市民の命を守るべき」と口にする。その言葉に感銘を受けたのか、ほぼ同じ言葉を口にする。以降も捜査を進めていた矢先にチェンが犯行グループに捕まり、犯人の要求で身代金を取って来る様に言われる。ファン社長の会社へ血相を変えたチェンがやって来て、バッグに入った金を持ち出そうとする。チェンの行動を止めようと銃をつきつける。するとチェンは胸につけられていた時限爆弾を見せる。彼は、周りに危険である事を伝え、その場を去る。不安そうなチェンをそのまま見送るしかなかった。

署長役を演じたラム・コーホンは、1970年代後半から俳優活動を開始、数多くのテレビドラマや映画に出演。主な出演作に『ポリス・ストーリー』シリーズ2作(1985・1988年)や『プロジェクトA2 史上最大の標的』(1987年)等。1990年代後半に芸能界を引退。

CID刑事(演:ラウ・チウワン)

CID刑事(写真左)

CV:関俊彦
CID(Criminal Investigation Departmentの略称、イギリス、アイルランド、香港等の警察刑事捜査課)の刑事である。爆薬売人ファイを逮捕する為に、チェンが買い手に変装してやり取りをしていたところへ、踏み込んで来る。チェンの事を怪しんだファイが、警察へ通報していた。チェンを取り調べようと銃を突きつけるも、チェンがスキをついてその場から逃走した。

CID刑事を演じたラウ・チウワンは、1980年代から香港の俳優として活動を開始する。映画『つきせぬ想い』(1993年)や『夢翔る人/色情男女』 (1996年)、『大魔術師"X"のダブル・トリック』(2011年)等に出演。アクションやコメディーといった、幅広いジャンルの作品に出演。

犯罪組織

チュウ・タオ(演:チュウ・ヤン)

チュウ・タオ(写真左)

CV:幹本雄之、秋元羊介
犯罪組織のボスであり、チェンに逮捕されたが、3ヶ月の大病を宣告された事により釈放された。刑事から降格され、交通係として路上で地道に働いているところを、側近のジョンが運転する車の窓から顔を出す。そして、ジョンと共にチェンを挑発し、その場を去っていく。
その後ジョンが、チェンやメイらに対し執拗な嫌がらせを行う等で度々顔を出したのに対し、チュウが登場したのは序盤と後半2シーンのみである。最後に登場したのは、メイが何者かにより拉致された際に、チェンはチュウの屋敷へやって来た時である。しかし、その時は既に大病による療養中で、かなり弱っている状態だった。看護師や部下達がいるなかで、メイはどこだとチェンが問い詰める。メイがさらわれた事については全く知らず、自分は動けないと答える。一方で、側近のジョンは遺産相続を迫っていたうえ、心無い言動を発していた。するとチェンは、ジョンの顔面に鉄拳を食らわせ眼鏡を割る。その様子を見て、思わず拍手を送った。

チュウ・タオ役を演じたチュウ・ヤンは、映画監督として『流星蝴蝶剣』『マジック・ブレード』(1976年)等、香港の大手映画会社ショーブラザーズ制作の作品を多く手掛けた。また俳優としても、『月夜の願い』(1993年)やジャッキー・チェン共演『デッド・ヒート』(1995年)といった作品へ出演した。

ジョン・コー(演:チャーリー・チョウ)

ジョン・コー(写真右)

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ダブル・ミッション(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ダブル・ミッション(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ダブル・ミッション』とはアメリカ合衆国で制作され、2010年に公開されたアクション・コメディ映画である。監督はブライアン・レヴァントであり、主人公はジャッキー・チェンが演じている。CGやスタントに頼らない、人間離れした体当たりアクションがジャッキーならではの映画となっている。主人公ボブはジリアンと結婚するために、スパイを引退するつもりでいた。ジリアンの息子・イアンが、ボブのパソコンからテロリストの極秘ファイルをダウンロードしてしまい、テロリストから狙われてしまうという話である。

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