デッドヒート(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『デッドヒート』とは、1995年に公開された、ジャッキー・チェン主演のカーアクション映画である。レーサーであるジャッキーは、父親が経営するレーシング・ショップを手伝いつつ、親子で街に蔓延る改造車の摘発を警察の協力のもとで行っていた。そんななか一台の車がジャッキーの目の前を爆走する。運転手は国際テロリストのクーガーだった。ジャッキー・チェンの車好きが高じたのか、全編にわたり、カーアクションが繰り広げられる。
『デッドヒート』の概要
『デッドヒート』(原題:霹靂火、英題:Thunderbolt)とは、1995年に香港で制作・公開されたジャッキー・チェン主演のカーアクション映画である。
この物語の主人公であるジャッキーはレーサーの傍ら、父親が経営するレーシング・ショップを手伝っていた。他にも警察からの依頼で、親子で改造車の摘発に協力していた。ある夜、いつもの様に摘発を行っていたところ、一台の暴走車が走り過ぎる。その車の運転手は、国際テロリストであるクーガーだった。
主演のジャッキー・チェンは、以前より車好きとして知られ、それが高じて制作された作品である。また、アクション監督をジャッキー・チェンの旧友サモハン・キンポーが務めている。年間興行収入は4500HKドルを越え、同年に公開された『レッド・ブロンクス』に続く大ヒット作品となった。
『デッドヒート』のあらすじ・ストーリー
香港帰国、クーガーとの遭遇
香港のレーサーであるジャッキーは、日本での自動車メーカーの研修留学を終えて帰国する。ジャッキーは父親が経営するレーシング・ショップを手伝う傍ら、警察からの依頼を受けて深夜に香港の街を暴走する改造車の摘発に協力していた。その日もジャッキーは父親と共に、路上で数台の車を止めて、それぞれ改造車である事を確認していた。そこへ一台の車が猛スピードで走って来て、止めようとした白バイ警官を轢き、そのまま逃走する。逃走したのは、国際警察のキャノン刑事達も目を付けていたテロリストのクーガーである。彼は表向きはレーサーだったが、裏家業が加速しアメリカ国内で指名手配されていた。そして仲間のヤクザと共に香港へ逃亡するも、香港でも街で暴走を行う等の悪行を行っていた。
後日、ジャッキーは逃走した車を捕まえようと待機していた。そこへ報道局のレポーターであるエイミーがカメラマン達とやって来る。彼女達は逃走車について取材を行っており、偶然居合わせたジャッキーにインタビューを試みる。しかしジャッキーは、エイミー達を冷たくあしらい待機し続けていた。別の場所で、エイミーが同乗していたカメラマンの車がガス欠して、立ち往生する。そこへジャッキーが乗るレッカー車が通りかかり、声を掛けて車の修理やガソリンの補充をしてもらう。ジャッキーがカメラマンの車に乗り込み調子を見て、車のエンジンがかかった矢先、一台の車が疾走する。その車のドライバーがクーガーだと分かったジャッキーが、そのままカメラマンの車で後を追う。その際エイミーも助手席にいた為に、ジャッキーとクーガーとの激しいカーチェイスに巻き込まれた。激しいカーチェイスの末、クーガーの車はジャッキーや警察達により止められた。
クーガーからの挑戦状
警察署に連行されたクーガーを何としても逮捕したかったのが、キャノン刑事である。彼はジャッキーに、クーガーがひき逃げ犯かと誘導尋問する如く、尋ねる。しかしジャッキーは、気が動揺しており、分からないと答えるだけだった。ジャッキーの様子を見たクーガーが、手下達にジャッキー宅兼レーシングショップへ向かわせる。そして、ジャッキーや家族、スタッフ達を襲う。クーガーがひき逃げ犯ではないと言わせる為だった。しかし、家族を傷つける彼等のやり方が許せなかったジャッキーは、手下達に拳や蹴りで対抗する。更に塗装用の部屋に連れ出したジャッキーは、彼等をペンキだらけにして外へ追い払う。勾留期間が切れて、警察署を出ようとしたクーガーの前に再びジャッキーが現れ、クーガーが轢き逃げ犯だと証言する。それを聞いたキャノン刑事がその場で逮捕し連行した。しかしその直後、クーガーが拘置所から脱走する。クーガーは自分を警察へ連行した報復として、家族と寝ているジャッキーの家をクレーン車で襲撃する。クレーンにより身動きが取れないジャッキーを見計らうかの様に、彼の妹ダイとサイをクーガーが誘拐する。そして妹達を返して欲しければ、日本の仙台市にあるレース会場で勝負する様に告げる。
父親と共に病院で治療を受けるジャッキーだが、家族の事が心配でベッドの上でも強張った状態である。担当の医者は、気をリラックスする様に告げ、麻酔薬を打とうとする。そこへキャノン刑事がやって来て、クーガーの写真を見せながら、事件に巻き込まれる様な取り引きをしたのか等と問い詰める。地面に落ちたクーガーの写真を拾って見ていたのは、親戚を装い取材目的で病室にやってきたエイミーだった。キャノン刑事の一方的なやり方に、ジャッキーは激情しベッドから起き上がり、「捜査の事しか頭にないのか」等と訴える。思わず拳銃をジャッキーの頭に突き付けたキャノン刑事だったが、「撃ってみろ」とジャッキーは言った。あまりの迫力に押されたキャノン刑事は拳銃を下げ、ジャッキーに謝罪し帰って行った。キャノン刑事がいなくなるや、ジャッキーはその場で力尽きてしゃがみ込む。医者により麻酔薬を入れられるジャッキーにエイミーが寄り添い、気を静める様にと彼に話し掛けた。退院後のジャッキーのもとへ、エイミーがやって来る。そして、彼がクーガーとレースで勝負する事を聞き、共にレースの手伝いをしたいと告げる。エイミーも協力する事となり、クーガーとの勝負に向けて準備を行う事となった。ジャッキーは、他のチームメイト達と共にレーシングカーを用意し、試走を行う事にした。警察の協力のもとで、高速道路で走る事となった。しかし手違いで、総督の車に遭遇するハプニングも発生した。
その後、仙台に向かい監督からレーシングの指導を受ける事となったジャッキーだった。それに同行したエイミーだが、現地にてクーガーの仲間を数人見かけ、彼等が街のパチンコ屋へ向かう姿を目撃する。それを見たエイミーは直ぐにジャッキーに連絡し、彼もその場へ駆けつけ、二人でパチンコ店の中へ向かう。店内の奥にはサウナがあり、そこには見るからにガラの悪い男達がいた。ジャッキーはそんな彼等にも果敢に声を掛け、男達を仕切っていると思われるヤクザ・黒澤に「妹達はどこだ」と訴える。黒澤は、部下の男達にジャッキーを羽交い締めさせる。そして「妹など知らない、女性を探しているなら水商売の店に行け」と、馬鹿にするかの如く告げる。ジャッキーは頭突き等で抵抗し、外のパチンコ店へ逃げ出す。ジャッキーを追いかける部下達だったが、黒澤はよそ者に手を出すなと彼等に怒鳴りつける。そして、「今日のところは許してやるからさっさと帰れ」と話す。するとジャッキーは、客に早く帰る様に言ったうえ、店内のアトラクション用のハンマーでパチンコ台を次々と破壊し始める。それを見た黒澤が激怒し、他の手下達と共に店内で格闘技戦を繰り広げる。ジャッキーと黒澤、また彼の側近が、店内の天井まで上った後も戦いを続ける。しかし、重量オーバーにより吊り上げていた天井が崩れ、ジャッキーと黒澤達も下へ落下する。落下したジャッキーのもとへ、大量のパチンコ玉がなだれ込んだ。奥の部屋からクーガーが出て来て、彼はジャッキーを気に入ったと話す。そのうえで、ジャッキーの二人の妹のうち、ダイをその場で解放する。そして、改めてレースで勝負しようとジャッキーに告げた。
失望からの希望
ジャッキーは監督の村上のもとレースの準備に取り込むが、まだクーガーのもとでさらわれている妹が気掛かりで、思う様に集中できない。練習では中々良い成績を出せないどころか、挙句の果てには練習用の車まで大破させてしまう。これ以上は力になれないと村上から告げられ、ジャッキーは失望する。
翌日、ジャッキーのもとへチームメンバーから「送り物」があると告げられる。レース場には、新しい車やタイヤ等が用意されていた。用意したのは、以前ジャッキーが研修先で出会ったレーシングチームの令嬢だった。彼女は、倉庫にてジャッキーが自分のイヤリングを見つけてくれたのに、車のドアで彼の指を挟んでしまった事を悔やんでいた。その事へのお詫びをしたかったと話し、自分のレーシングチームの車や機材を使って欲しいと告げた。
レース開幕
準備万端のなか、いよいよレースが開幕となった。その頃クーガーは、ジャッキーがレースへの備えが整ったのを見て、部下達にジャッキーの妹を殺害する様に指示する。しかし部下達のもとには、キャノン刑事ら警察の捜査が入っていた。レースでは、熾裂なデッドヒートで周りの車が弾き飛ばされるなか、ジャッキーの車がトップに君臨する。途中で、ジャッキーの車とクーガーの車が砂利のある所に入り込み二台とも動けなくなる。それでも両者ともエンジンを踏ん張り、同じタイミングで走り出す。そしてゴールにて、ギリギリのラインでジャッキーが一着となり勝利する。ジャッキーは車から降りて、クーガーに妹の居場所を聞こうとする。するとクーガーは車を暴走し始め、その場から逃げ出そうとする。激しいカーチェイスのなかでジャッキーは、妹はどこだと訴えるも、クーガーは聞く耳を持たず走り続ける。しかしクーガーの車はコントロールを失い、壁に激突する。車が止まったところで、ジャッキーも降車して、クーガーのもとへ向かう。大破して車から外へ出られないクーガーを窓から引きずり出す。その直後に漏れたガソリンにより、クーガーの車は爆発した。またキャノン刑事もその場にやって来て、クーガーは逮捕された。ジャッキーは妹達や、共に勝負を支えてきてくれたエイミーらと、勝利や再会を喜んだ。
『デッドヒート』の登場人物・キャラクター
主人公
ジャッキー(演:ジャッキー・チェン)
CV:石丸博也
自動車修理工でレーサーでもある。日本の三菱自動車で研修を受けて帰国。研修を受けた事もあり、会話程度の日本語が話せる。父親が経営するレーシング・ショップを手伝っている。そのうえ、曲がった事が嫌いな性格でもある。自分の店にガラの悪い男が車でやって来て、もっとスピードが出る様に改造しろと告げたのに対し、出て行けと怒鳴り男を追っ払う。一方で、店の近くでたむろしていたチンピラが妹二人にちょっかいを出した事に怒り、彼等のもとに近付きなぎ倒す。
レーシング・ショップの傍ら、警察の依頼により、父親と共に深夜の香港を暴走する改造車の摘発に協力している。改造車の摘発を行っていた矢先、一台の車が猛スピードで走って来るのを見て、白バイ警官を救い出そうとするも間に合わず、警官は轢かれて死亡する。その車はそのまま、走り去っていった。後日、車を待ち構えていたところを追跡し、テロリストであるクーガーの車を警察と共に追い詰める。
警察署に連行されたクーガーに対し、彼の逮捕を試みるキャノン刑事はジャッキーに、クーガーがひき逃げ犯かと誘導尋問の様に尋ねる。しかしジャッキーは気持ちが動揺しており、分からないと答えるだけだった。それを良い事に、クーガーは手下達にジャッキーの家へ向かわせ、轢き逃げ犯ではない事を言わせる為に、家族も巻き込んで脅してくる。暴力を使うかつ家族を傷付けるやり方が許せず、手下達に拳や蹴りで対抗し、彼等を返り討ちにして追い払う。勾留期間が切れ、警察署を出ようとしたクーガーだった。そこへ再びジャッキーがやって来て、彼から轢き逃げを行った事を証言された事により、その場でキャノンに逮捕される。そして警察署にて、キャノン刑事の前でクーガーがひき逃げ犯だと証言する。しかしその後、刑務所に搬送されていたクーガーは仲間の協力により脱走する。更にクーガーから、ひき逃げ犯だと証言した報復として、家をクレーン車で襲撃され、家族もろとも重傷を負う。そしてその際に、クーガーや手下達により妹二人を誘拐される。妹達を返してほしければ、レースで勝負しろとクーガーから告げられる。
病院に運ばれ、医者が治療の為に麻酔薬を打とうとするが、家族の事が常に頭の中にあり体が強ばっている状態だった。そこへキャノン刑事がやって来て、クーガーの写真を見せながら、彼に襲われた理由や何か取り引きをしたのか等と次々聞いてくる。キャノン刑事の行動があまりにも理不尽に見えたのか、激怒して突然ベッドから立ち上がる。そして、自分達を何だと思っている、捜査の事しか考えていないのかとキャノン刑事を責める。思わず銃を突き付けて来るキャノン刑事だったが、それでも撃ってみろと威嚇した。その迫力に圧倒され、キャノン刑事は銃を下げ、その場で謝罪し帰って行く。
退院後、妹達を救い出す為にクーガーとのレースに挑む事となり、車を用意する。車の試運転の為に警察が見守るなか、特例として高速道路で走る事となった。しかし、その途中で総督と遭遇するというハプニングも発生した。またレーシングの訓練の為に仙台に向かうも、現地のパチンコ屋でクーガーの手下達を見かけ、パチンコ屋店内へ向かう。店の奥にあるサウナがやって来たところを、大勢のガラの悪い男達が待ち構えていた。エイミーをその場から離れさせ、妹はどこだと大声を挙げる。すると黒澤が、手下達にジャッキーを羽交い締めにさせ、女性を探してるなら水商売の店に行けと、馬鹿にした様に言い放つ。するとジャッキーは力ずくで腕を振りほどき、手下達と格闘し、サウナから外のパチンコ屋店内へ出て行く。ジャッキーを追いかける手下達に対し、よそ者に手を出すなと怒鳴る。そして、ジャッキーに改めて帰れと告げる。手下達に羽交い締めにされたうえ、黒澤から女性を探すなら水商売の店へ行け貶す様な言葉を言われる。その直後、手下達に頭突きを食らわせ、彼等から力ずくで腕を振りほどく。そして手下達と格闘した挙げ句、サウナから外のパチンコ屋店内へ出て行く。追いかけて来る手下達に対し、後ろからやって来た黒澤が、よそ者(ジャッキーの事)に手を出すなと怒鳴り散らす。そして、ジャッキーに改めて帰れと告げる。黒澤達が、奥のサウナへ戻ろうとした時、パチンコ店内にあったアトラクション用のハンマーを持ち、客にもう閉店だから帰る様に告げる。そして、ハンマーでパチンコ台を次々と破壊する。すると黒澤が激怒し、他の手下達と共にジャッキーに攻撃を仕掛け、格闘技戦を繰り広げる。ジャッキーと黒澤、そして黒澤の側近が、パチンコ台に上ってまで格闘技戦を続ける。ジャッキーと黒澤、そして黒澤が天井に上った瞬間、重量オーバーとなる。吊り上げていた天井が崩れジャッキーと黒澤達も、下へ落下する。その際に、吊り上げていた大量のパチンコ玉がなだれ込む。奥の方からクーガーが出て来る。彼は、ジャッキーを気に入ったとして、妹の一人のうちをその場で返した。改めてレースで勝負しようと告げた。
村上のもとでレーシングの指導を受けるが、思う様にスピードを出せずにいた。そればかりか、運転中の車を横転させ、大破させてしまう。村上からは、もう力にはなれないと告げられ、気を落とす。そんななか、以前研修先で会った、レーシングチームの令嬢が新しい車やタイヤを用意してくれていた。彼女は、車庫でイヤリングを見つけてくれた際、車のドアで手を挟んでしまった事に対するお詫びをしたいと告げた。こうして準備は万端で、レースに臨む事となった。
レースが開始され、熾裂な競争のなかで周りの車が次々と弾き飛ばされるなか、トップへと君臨する。しかし途中で、クーガーの車と共に砂利のある所に入り込み二台とも動けなくなる。それでも両者ともエンジンを踏ん張った事で、同じタイミングで走り出す。ゴールにて、ギリギリのラインのところででジャッキーが一着となり勝利する。車から降りてクーガーに妹の居場所を聞こうとするが、クーガーは車で再び暴走を始める。クーガーの車を追いかけて、激しいカーチェイスの後、どうにかキャノン刑事を追い詰める。車からクーガーを引き出した直後、クーガーの車は爆発した。またキャノン刑事もその場にやって来る。彼は裏で地道にクーガーの事を捜査し続けており、ジャッキーの妹を殺害しようとしていたクーガーの手下達も警察隊と共に取り押えていた。キャノン刑事は、逃亡を続けていたクーガーに今度こそ終わりだと告げ、手錠を掛け連行して行く。そしてジャッキーは、キャノン刑事により助けられた妹達や、共に勝負を支えてくれたエイミーらと共に、勝利や再会を喜んだ。
ジャッキー役を演じたジャッキー・チェンは、映画『スネーキーモンキー 蛇拳』(1978年)で一躍スターダムに乗り、『プロジェクトA』(1983年)や『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985年)等のヒット作を次々と発表。長きにわたりアクションスターとして知られる一方、自身の主演作の主題歌やアルバムの発表を行う等、歌手としても定評がある。
エイミー(演:アニタ・ユン)
CV:松本梨香
報道局のレポーターであり、日々新しいニュースを追いかけている。ディレクター達から理不尽な要求を受け、イライラしている。ある夜、警官隊を轢き逃げし爆走した車について、カメラマンと共に取材していた。偶然居合わせたジャッキーにもインタビューを試みるが、彼から冷たくあしらわれる。
更には、カメラマンが運転していた車がガス欠になってしまい、立ち往生する。そこへジャッキーが乗るレッカー車が通りかかり、声を掛ける。ジャッキーに車の修理、ガソリンの補充をしてもらい、車のエンジンがかかった矢先、一台の車が疾走する。それがテロリストであるクーガーの車だと分かったジャッキーが、そのままカメラマンの車に乗り込み後を追う。その際に、エイミーも助手席におり、ジャッキーとクーガーとの激しいカーチェイスに巻き込まれる事となった。クーガーとの騒動後、ジャッキーの家に押し入り、彼を英雄の如く取材し、家族の取材も執り行った。ジャッキー本人にもインタビューするも、またも拒否された。
警察のもとから脱走したクーガーにより、報復として家を襲撃され、家族で重傷を負い、妹二人も誘拐される。重傷を負ったジャッキーが入院する病院に向かい、親戚を装い取材する。医者からの治療を受けていたジャッキーのもとへキャノン刑事がやって来て、クーガーの事について次々と問い詰めて来る。ジャッキーは激怒しベッドから立ち上がり、捜査の事しか考えていないのか等とキャノン刑事を強く責める。銃を突き付けて来るキャノン刑事に対しても、撃ってみろと威嚇するジャッキーであり、キャノン刑事は銃を下げ、謝罪し帰って行く。キャノン刑事がいなくなった途端に、ジャッキーは力尽きた如く、その場でしゃがみ込む。医者により麻酔薬を入れられているジャッキーを抱き抱え、気を静める様にと彼に語り掛けるのだった。
退院したジャッキーのもとへ向かい、クーガーとレースに勝負を挑むという事を聞いた事を話し、サポートをしたいと告げた。そして、他のレーシングスタッフと共に車のメンテナンスやレーシングの訓練に付き合い、日本の仙台市にも同行した。
ジャッキーが仙台でレーシング訓練を行っていた時、現地クーガーの手下達を見かけ、彼等が街のパチンコ屋へ向かう姿を目撃する。直ぐにジャッキーに連絡し、二人でパチンコ屋店内へ向かう。店の奥にあるサウナへ向かったところ、大勢のガラの悪い男達が待ち構えていた。ジャッキーからここから離れろと言われ、一旦そばから離れる。しかし、妹を探しに来たと告げるジャッキーと、ヤクザの黒澤や周りの男達が、その場で乱闘を始めた様子を、隠れてビデオカメラに収めていた。やがて、パチンコ店内で格闘していたジャッキーと黒澤、そして黒澤の側近が、パチンコ台に上り格闘技戦を続ける。ジャッキーと黒澤達が天井に上った瞬間、重量オーバーとなる。ワイヤーで吊り上げていた天井が崩れ、ジャッキーと黒澤達が下へ落下する。その際に、天井に積んでいた大量のパチンコ玉がなだれ込む。奥からクーガーが出て来る。ジャッキーを気に入ったと告げ、妹の一人をその場で返した。クーガーは改めてレースで勝負しろとジャッキーに告げた。
村上のもとでレーシング指導を受けていたジャッキーだが、思う様にスピードを出せないうえ、運転中の車を大破させてしまった。落ち込むジャッキーのもとへ、レーシングチームの令嬢が新しい車やタイヤを用意してくれた。嬉しそうにお礼を言うジャッキーに対し、少し複雑そうな顔をしていた。レースが開幕となり、ジャッキーやクーガーをはじめ、数々の車がコースを走る。途中で、レース間のメンテナンスでジャッキーの車が停車し、スタッフが点検を行う。そこへ関係者でないエイミーが運転席のジャッキーに水を渡そうとする。そこへ村上が、違反だと怒鳴り、直ぐに下がる。しかし結局、ジャッキーの車は30秒停車のペナルティを課せられる。自分のせいだと落ち込んでいたところを、ジャッキーが目の前で被っていたネックウォーマーから顔を見せ、ニッコリと笑顔を見せる。30秒が過ぎ、再びジャッキーの車が出発する。
順調に上位に来たかと思いきや、途中でクーガーの車と共に砂利がある場所に入り込んでしまう。二台ともその場で動けなくなるが、両者はエンジンを踏ん張り、同じタイミングで走り出す。ゴールに到着し、ギリギリラインのところでジャッキーが一着し勝利する。ジャッキーは降車して、妹の居場所を聞こうとクーガーに歩み寄るが、クーガーは再び車で暴走を始める。ジャッキーはクーガーの車を追いかけて、激しいカーチェイスの後、クーガーを追い詰める。車からクーガーを引き出した直後、車は爆発した。そこへキャノン刑事もやって来る。裏で地道に捜査していたキャノン刑事は、証拠を掴んだうえで、クーガーに今度こそ終わりだと告げ、手錠を掛け連行して行く。またキャノン刑事により助けられた妹達とジャッキーが再会、その場で喜びあった。その少し遠くで、照れ臭そうにしていると、キャノン刑事が手招きをする。初めは首を横に振るも、何度も明るく手招きをするジャッキーに思わず飛び込み、抱き合っては勝利を喜んだ。
エイミー役を演じたアニタ・ユンは、1990年のミス香港でグランプリを獲得した事を機に芸能界入りをする。映画『つきせぬ想い』(1993年)や『君さえいれば/金枝玉葉』(1994年)等に出演、1990年代に日本でも多くの香港映画ファンからも知られ、人気を集めた。
家族
ダイ・ムイ((ジャッキーの妹)演:デイジー・ウー・オイ・ヤン)
ジャッキーの年が離れた妹である。ジャッキーや父親と共に、レーシングショップを経営する自宅で暮らしている。ある日、サイと共に帰宅する途中で、自宅で近くにたむろしていたチンピラ数人にちょっかいをかけられる。自分達では埒が明かないと考え、一旦その場を去る。そして自宅から呼び出した兄ジャッキーにより、ちょっかいをかけたチンピラ達はなぎ倒された。
夜の香港で改造車の摘発も警察の協力のもとで行っていたジャッキーは、街で暴走行為や轢き逃げをした国際テロリストのクーガーを追跡した。警察署に連行されたクーガーを前に、キャノン刑事はクーガーがひき逃げ犯かとジャッキーに尋ねる。しかし気が動揺していたジャッキーは、分からないと答えた。その後、ジャッキーの自宅へクーガーの手下達数人がやって来る。彼等はジャッキーにクーガーがひき逃げ犯ではないと言わせる為に、暴力で脅す行為を行い、ダイやサイは怯える。彼等のやり方が許せなかったジャッキーは、拳や蹴りで対抗し追い払う。そして再び警察署へ出向き、クーガーの前で彼が轢き逃げ犯だと証言し、キャノン刑事はその場でクーガーを逮捕し連行した。クーガー逮捕後、報道局レポーターのエイミーがジャッキー宅の取材へやって来る。父親がスーツで身なりを整え、ダイやサイ達も派手目の化粧や服で、エイミーの取材に答えて陽気に振る舞った。拘置所へ運ばれる途中で脱走したクーガーがジャッキーへの報復として、クレーン車で自宅ごと襲撃する。更にはダイやサイら二人もクーガーにより捕らわれ、返して欲しければ、レースで勝負する様にジャッキーへ告げる。
レース及び訓練の為に仙台に向かったジャッキーだった。彼と同行していたエイミーからの連絡で、クーガーの仲間が行き来する街のパチンコ屋へ向かう。店にいたヤクザの黒澤や手下達に妹達はどこだと聞くが、彼等は聞く耳を持たないどころか、ジャッキーへ拳を振り上げてくる。ジャッキーもそれに対抗し、店内での格闘戦が繰り広げられる。ジャッキーや黒澤達との戦いにキリがついたところで、店の奥からクーガーが出て来て、彼はジャッキーを気に入った告げる。ジャッキーの二人の妹のうち、ダイが解放された。そして、改めてレースで勝負しようとジャッキーへ告げた。
物語後半、レースが開幕し、周りの車が弾き飛ばされる程のデッドヒートが繰り広げられるなか、ジャッキーが一位となる。ジャッキーが妹サイの居場所を聞こうとするが、クーガーの車はそのまま暴走する。ジャッキーが自分の車で追いかけ、カーチェイスとなり、最後はクーガーの車が、コントロールを失い、壁に激突する。ジャッキーがクーガーを車から引きずりだしたところで、キャノン刑事もやって来て、クーガーが逮捕された。キャノン刑事により助けられたサイ、またレースを見守っていたダイらと共に、ジャッキーは勝利や再会を喜んだ。
ダイ・ムイを演じたデイジー・ウー・オイ・ヤンは、1990年代に香港にて女優として活躍し、映画『ビーストコップ 野獣特警』(1998年)等に出演。
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ジャッキー映画に登場した出演者やロケ地の”その後”を紹介!
ここではジャッキー・チェンの映画に登場した出演者や有名なロケ地の「その後」を紹介する。『拳』シリーズ、『プロジェクトA』シリーズ、『ツイン・ドラゴン』、『ポリス・ストーリー』シリーズ、『ヤング・マスター』、『スパルタンX』、『フーアムアイ?』など名作の数々を幅広く網羅した。
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ジャッキー・チェンの映画にありがちなことまとめ
ここでは公開から何年たっても新規のファンを獲得し続ける、ジャッキー・チェンの映画にありがちなことをまとめた。複数の敵vsジャッキーひとりの戦闘、武器vs素手、過激なスタント、エンディングのNGシーンなど、ジャッキー映画のお約束を掲載している。
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目次 - Contents
- 『デッドヒート』の概要
- 『デッドヒート』のあらすじ・ストーリー
- 香港帰国、クーガーとの遭遇
- クーガーからの挑戦状
- 失望からの希望
- レース開幕
- 『デッドヒート』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ジャッキー(演:ジャッキー・チェン)
- エイミー(演:アニタ・ユン)
- 家族
- ダイ・ムイ((ジャッキーの妹)演:デイジー・ウー・オイ・ヤン)
- サイ・ムイ((ジャッキーの妹)演:アニー・マン)
- ジャッキーの父親(演:チョウ・ヤン)
- レーシングチーム
- 村上(演:加山雄三)
- 村上のアシスタント(演:チン・カーロウ)
- 令嬢(演:江黒真理衣)
- テロリスト
- クーガー(演:トーステン・ニッケル)
- ヤクザ
- 黒澤(演:澤田謙也)
- コン(演:ケン・ロー)
- その他
- キャノン刑事(演:マイケル・ウォン)
- 医者(演:ユン・ケイ)
- 『デッドヒート』の用語
- カーレース
- パチンコ店
- 『デッドヒート』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- エイミー「男らしくてステキ、一つの事に集中してる時はね」
- 村上「何を悩んでいるか知らないけど、そんな事は全て忘れてレースに集中しろよ」
- ジャッキー「妹はどこだ、妹を返せ!」
- カーアクションに匹敵するカンフーバトル
- 『デッドヒート』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- レーシング場面でのハプニング
- 珍妙な日本描写と壮絶な格闘戦
- 『デッドヒート』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ジャッキー・チェン『一分鐘英雄』