スパルタンX(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『スパルタンX』(映画)とは、スペインのバルセロナを舞台に、トーマス、デヴィッド、そして探偵のモビーの三人が、謎の組織に誘拐された美女シルヴィアを救出すべく奮闘するコメディ・アクション映画である。また、この作品を題材にしたアーケード&テレビゲームが制作された。
本作のクライマックスで繰り広げられる、ベニー・ユキーデとの一騎打ちは、ジャッキー・チェン映画における名ファイトシーンとして多くのファンから絶賛されている。
『スパルタンX』の概要
『スパルタンX』(原題:快餐車、英題:Wheels on Meals)とは、1984年に公開されたサモ・ハン・キンポー監督、ジャッキー・チェン主演のコメディアクション映画である。スペイン・バルセロナが舞台で、ワゴンカー「スパルタン号」を使い軽食販売をしているトーマス(ジャッキー・チェン)とデヴィッド(ユン・ピョウ)、そして探偵のモビー(サモ・ハン・キンポー)が、謎の集団により誘拐された美女シルヴィア(ローラ・フォルネル)を救出すべく奮闘するという内容である。『プロジェクトA』(1983年)が成功を収めた事により、配給会社であるゴールデン・ハーベストが再びジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウの3人で映画を制作する事を提案、また前作を更に上回る予算を出す事も告げた。そこで監督を務める事となったサモ・ハン・キンポーは、撮影場所をそれまでの香港を飛び出し、海外でロケを行う事を提案し、よってジャッキー・チェン作品としては初のヨーロッパロケ作品となった。またジャッキーチェンは本作で1985年の香港映画賞(Hong Kong Film Award) にて「優秀アクション振付賞」にノミネートされた。
出典: i.pinimg.com
また1984年には、本作をテーマとしたアーケード用の横スクロールアクションゲームが発表される。その構成はブルース・リー主演の映画『死亡遊戯』(1978年)に近いもので、翌1985年には任天堂よりファミリーコンピュータ版のソフトが発売された。
日本公開版では英語音声として東宝東和が配給し、日本オリジナル曲及び主題歌『SPARTAN X』を編入し、更にエンドタイトルロールにはNGシーンが流れる内容で公開された。また、初ビデオ(VHS)化された際も東和ビデオ版として使用されるも、東和側の権利が消滅後、ポニーキャニオン再発売ビデオ版(及びTV放送版)から再発売時は、広東語オリジナル版が収録される様になった。
『スパルタンX』のあらすじ・ストーリー
プロローグ
物語の舞台はスペイン・バルセロナ。トーマスは従兄のデヴィッドと共に同居をし、朝早くから体を鍛えていた。その後、出かけようとした矢先、同じアパートに在住のイタリア人男性ディノが部屋に駆け込んで来る。彼は朝帰りが原因で妻に追いかけられているとの事。トーマスとデヴィッドは彼等の夫婦喧嘩を避ける為、やむなくアパートのバルコニーから飛び降りて出て行く。
一方その頃、私立探偵マットは生活苦なうえ、借金を抱え頭を悩ませていた。そこでマットは借金取りから逃がれようと、助手であるモビーに所長代理を頼み出て、モビーはそれを引き受ける。
そして、モビーのもとにある男性から人探しの依頼が来る。その依頼とは、「グロリアという女性とその娘を探す」事であり、期限は2週間以内との事。また依頼を成し遂げたら、経費とは別に報酬2万ドルが貰える事となった。
シルヴィアとの出会い
トーマスとデヴィッドは移動車「スパルタン号」に乗り、公園広場にてファーストフードを売り生計を立てていた。そこへバイクに乗ったガラの悪い男達が現れ、公園内をバイクで乗り回す。バイクの排気ガスや男達のガラの悪さで、客達はその場を立ち去ってしまう。トーマスとデヴィッドは、二人で男達をカンフーで懲らしめバイクから引き摺り下ろし、公園内に平穏が戻った。
その後トーマス達は、デヴィッドの父親を見舞う為に「聖アガピト病院」へ向かう。父親の病気は順調に回復していたうえ、入院先にて恋人ができていた。相手の名はグロリアで、トーマス達はその場にいたグロリアの娘シルヴィアに出会う。
その夜、トーマス達はシルヴィアの姿を見つける。彼女は娼婦として、客と夜の街に消えていったのだった。シルヴィアはホテルにて客の上着から財布を盗み立ち去ろうとするも、それに気づいた客に咎められようとするが、反撃し逃げ出す。シルヴィアはそこへ遭遇したトーマス達の移動車に向かい、助けを求めた。トーマス達はシルヴィアを連れて自宅アパートに向かうが、またも同じアパートに住むイタリア人ディノが妻と喧嘩をしていた。更に彼の妻が銃を持っており、トーマス達は必死に説得をする。ディノはシルヴィアに一目惚れし、彼女を抱きしめようとする。するとシルヴィアはそのスキを見て、ディノの上着ポケットから鍵を盗む。更にディノがシルヴィアにうつつを抜かしている事に気づいたのか、妻は怒って再びディノを追いかけ回した。
追跡
その頃モビーは情報屋のもとへ行くと、その情報屋は何者かに襲われ倒れていた。それでもモビーは気に留めず、グロリアの情報について彼に尋ねる。聞くところによると、グロリアは18年前に娼婦をしていて、その頃妊娠をしていた事が分かった。そして、情報屋はその件で袋叩きにされた事もモビーへ打ち明ける。そのうえで、グロリアの住所を伝える。翌朝、目を覚ましたトーマス達は、シルヴィアが自分達のお金を盗みいなくなった事に気づき、彼女を探し始める。一方のシルヴィアはディノの車を勝手に運転した挙げ句、モビーの車にぶつけて事故を起こす。シルヴィアはモビーに謝罪をするも、車内にあったディノの名刺を連絡先として渡したうえ、モビーから財布を盗みその場を去る。モビーはグロリアの住む部屋へ向かい、呼び鈴を鳴らすも応答が無い。その部屋内ではシルヴィアが数人の男達に捕らえられており、彼女はそこに落ちていた鍵を玄関の外へ蹴る。それに気づいたモビーが部屋に入り男達と格闘しているスキに、シルヴィアは部屋から逃げ出す。その後、モビーは今回の依頼主に会い、ギャングがシルヴィアを狙っていた事を話すが、依頼主はギャングに心当たりがあるも、詳細を話したがらなかった。
そこでモビーは、自分の友人トーマス達に会い、シルヴィアを探している事を話す。その帰宅時に、トーマス達は再びシルヴィアと会う。彼女は男に追われており、トーマス達はその場を助けるが、男はシルヴィアから財布を盗まれた「被害者」だった。更にその直後、既にシルヴィアの姿が無かった。
明かされる真実
トーマス達が帰宅すると、シルヴィアがいた。彼等は、彼女から事情を聞く事にした。シルヴィアは、14歳の頃に母親が入院した時から、スリをして生活費を稼いでいたとの事。シルヴィアは、トーマス達の優しさに触れ、盗んだお金は必ず返す事を約束する。そこでトーマス達は、シルヴィアを「スパルタン号」の店員として雇う事にした。その矢先、シルヴィアを誘い出そうと企てたギャングの男達が幼い少女に「スパルタン号」で注文をするよう頼む姿を、偶然モビーが目撃する。そしてモビーがデヴィッドに声を掛け、共にシルヴィアを助けに行き、トーマスが車を先回りした事で、ギャングの追っ手から逃れる事ができた。
トーマス達は今回の依頼主のもとへ行き、彼はシルヴィアの父親の執事である事を打ち明けられ、彼女の両親の事も告白する。シルヴィアの父親はロバス伯爵で、母親のグロリアは城の使用人だった。グロリアはロバス伯爵の乱暴によりシルヴィアを身籠った為、ロバス伯爵はグロリア&シルヴィア親子に財産を与えると告げ、亡くなったとの事。そして今、ギャングを使いシルヴィアを襲っているのが、ロバス伯爵の弟であるモンデールであり、2週間以内にグロリア親子が見つからなければ、彼が遺産を手に入れられるとの事。
救出&激闘
トーマス達は救急隊員になりすまし、病院に忍び込んでデヴィッドの父親とグロリアとデヴィッドの父親を連れ出すが、そこをギャング達に襲撃されグロリアとシルヴィアがさらわれてしまう。彼女達を救出すべく、トーマス、デヴィッド、モビーの三人はモンデールの屋敷へ侵入する。しかし、トーマスとデヴィッドが捕まり、モンデールの部下達から痛めつけられる。そこへモビーが現れた事で、トーマスとデヴィッドは難を逃れる。トーマスはモンデールの部下であるアメリカン・ギャングと、デヴィッドはフレンチ・ギャングと、そしてモビーはモンデールと激しい一騎打ちを展開する。
トーマスとデヴィッドがそれぞれの相手を打ち倒した後、モビーのもとへ行き、彼に加勢し「三銃士」として三人てフェンシングの剣の矛先を当て、モンデールに勝利する。後日、いつもの様に仕事をしていたトーマス達の前にシルヴィアが現れる。彼等は、再会を喜んで抱きしめ合う。更にそこへモビーが現れ、探偵のライセンスを取った事を皆の前で報告していたのだった。
『スパルタンX』の登場人物・キャラクター
トーマス(演:ジャッキー・チェン)
日本語吹き替え:石丸博也
この物語の主人公で、カンフーの達人である。従兄のデヴィッドと同居し、日々「スパルタン号」を運転し、街の公園広場でファーストフード店を営んでいる。スリを働くシルヴィアに出会い、最初は戸惑うも、彼女を優しく受け入れ、「スパルタン号」の店員として雇うまでになる。
その矢先に、モンデール伯爵率いるギャング達にシルヴィアが誘拐され、デヴィッドと共に彼女を助けに行く。モンデール伯爵が住む城内へ侵入を試みるが、ギャング達により痛めつけられる。そこへモビーが現れた事により、難を逃れる。その後、モンデール伯爵に就くアメリカン・ギャングと一騎打ちを繰り広げる。彼の強さに手こずるも、「トレーニング」だと思って挑み、どうにか自分のペースをキープし、ジャンプ膝蹴りで窓の外へ飛ばすが、外から引き上げ助ける。
トーマス役を演じたジャッキー・チェンは『ドランクモンキー 酔拳』(1978年)でブレイク以降、『プロジェクトA 』(1983年)や『ポリス・ストーリー/香港国際警察 警察故事』(1985年)等のヒット作を次々と発表、長きにわたりアクションスターの地位を確立させた。また、自身の主演作の主題歌やアルバムの発表を行う等、歌手としても定評がある。
デヴィッド(演:ユン・ピョウ)
日本語吹き替え:古谷徹
トーマスの従兄であり、彼と同居しつつ日々体を鍛えている。トーマスと同居しつつ、「スパルタン号」で、街の公園広場にてファーストフード店を経営し生計を立てている。父親が入院している病院で出会ったシルヴィアに出会い、彼女に一目惚れする。シルヴィアがスリを行っている事に対し初めは戸惑うも、トーマスと共にシルヴィアを受け入れ、心を開き始めた彼女と共に「スパルタン号」店で働く。しかしその矢先に、モンデール伯爵率いるギャング達にシルヴィアが誘拐されてしまう。
彼女を助ける為に、トーマスと共にモンデール伯爵が住む城へ侵入を試みるも、あっさり見つかりギャング達に痛めつけられる。しかし、そこへモビーが現れた事により、難を逃れる。トーマスがアメリカン・ギャングとの対決を繰り広げているなか、自身はフレンチ・ギャングとの戦いを決行する。最後はスキを突いた瞬間に、目の前の花瓶で攻撃し気絶させる。
デヴィッド役のユン・ピョウは、映画『死亡遊戯』(1978年)でブルース・リーの吹き替えスタントを務めた事でも知られる。その後『モンキー・フィスト 猿拳』(1979年)『チャンピオン鷹』(1983年)『検事Mr.ハー / 俺が法律だ』(1986年)等、数々の主演作を発表、日本でも一時はアイドル並みの人気を得て、日本武道館でコンサートを行ったりもした。また『バカヤロー!4 YOU!お前のことだよ 「サギるなジャパン」』(1991年)や『無問題2』(2002年)等、邦画にも度々顔を出している。
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目次 - Contents
- 『スパルタンX』の概要
- 『スパルタンX』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- シルヴィアとの出会い
- 追跡
- 明かされる真実
- 救出&激闘
- 『スパルタンX』の登場人物・キャラクター
- トーマス(演:ジャッキー・チェン)
- デヴィッド(演:ユン・ピョウ)
- モビー(演:サモ・ハン・キンポー)
- シルヴィア(演:ローラ・フォルネル)
- モンデール伯爵(演:ペペ・サンチョ)
- アメリカン・ギャング(演:ベニー・ユキーデ)
- フレンチ・ギャング(演:キース・ヴィタリ)
- デヴィットの父(演:ポール・チャン)
- グロリア(演:スサーナ・サンティス(Susana Sentís))
- 患者1.(演:リチャード・ン)
- 患者2.(演:ウー・マ)
- マット(演:ハーブ・エデルマン )
- 伯爵家の執事(演:ミゲル・パレンヅェラ(Miguel Palenzuela))
- ディノ(演:ジョセフ・ルイス・フォノール(Josep Lluís Fonoll))
- 『スパルタンX』の用語
- スパルタン号
- 病院
- 『スパルタンX』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- トーマス「あわてるな、落ち着くんだ、練習だと思え」
- トーマス、モビー、デヴィッド「一心同体、三銃士!」
- 『スパルタンX』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 初ヨーロッパロケ敢行
- ジャッキーVSベニーはガチな「試合」
- 支えるユン・ピョウ、学ぶユン・ピョウ
- ゲン担ぎのため英語版タイトルを変更
- 『スパルタンX』の主題歌・挿入歌
- 日本公開版主題曲:『SPARTAN X』
- 日本公開版主題曲(歌あり):南田伝『SPARTAN X』