Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)のネタバレ解説・考察まとめ
『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。
市立図書館での再戦の後、帰宅部は鳴子から駅前で「イケP」と名乗るオスティナートの楽士がゲリラライブをやるという情報を聞きつける。そこでは文字通りのイケメンでバンドマン風の青年の姿をした楽士・イケPと共に、μが駅前広場のあの特設ステージでライブをやっていた。しかしそこにはファンである大量のデジヘッドが集まっており、μに接触するチャンスではあるが、ここで動くのは明らかに自殺行為だった。そんな中、維弦はイケPの顔を見て、僅かながらだが驚きに表情を変えた。イケPは維弦のクラスメイトだったのだ。
ライブが終わり、イケPと共に会場を去っていくμを追って帰宅部がパピコへ向かう。そしてパピコに着くと共にイケPが逆に姿を見せた。「お前がどんだけ顔に自信があるか知らねぇが、俺はお前より性根も腐ってなければ、お前より遥かに持ってるからな!」と、イケPは不敵な笑みで挑発を投げかけた後、μに会いたければまずは自分の場所に自力で辿り着いてみせろ、とさらに挑発をかけて姿を消した。そして鍵介の、イケPがパピコの屋上のカフェで女子生徒たちを連れ込んでだべっていると聞いたことがあるという証言から、帰宅部はイケPを追って屋上へと向かうことを決める。しかしその矢先、「ぶひいっ!! いたわよっ!」と、フラワープリンセスたちが鼻息を荒くして目の前に立ち塞がった。どうやらフラワープリンセスたちはイケPに再洗脳され、さらに維弦のファンとして彼を追いかけるように仕向けられていたのだった。しかも念入りに洗脳させられているらしく、カタルシスエフェクトで倒しても洗脳は解けそうにない。こうして帰宅部は、ありとあらゆる手を尽くしてフラワープリンセスたちをやり過ごしながらイケPの待つ屋上を目指すのだった。
そして、帰宅部がイケPの元に辿り着くと、ファンである女子生徒ふたりやμと共にイケPは楽しそうに会話をしていた。そんな中、洗脳したはずのフラワープリンセスたちから逃れてきた帰宅部の姿を見て、「お、お前ら!? あの肉の嵐をかいくぐって来やがったのか!?」と、イケPは驚きを隠せない。そこで逃げる最中に見つけてきた、現実世界でのイケPのものと思しき履歴書を鳴子が突きつける。そのイケPの現実での顔は、お世辞にもイケメンとは呼べないお粗末なものだった。それに今度は女子生徒たちが驚きを隠せなくなり、鼓太郎がイケPの姿は偽物で騙されてるだけだと追い打ちをかける。これに女子生徒ふたりが「なにそれ詐欺じゃん!? うわ〜、サイテ〜!」と、あっさりと掌を返したのを見て、イケPは八つ当たりでもするかのように維弦に怒り矛先を向ける。するとさらなる追い打ちをかけるように、「なにあのイケメン!? あ〜ん、わたしたち騙されてました〜! 助けてくださぁ〜い!!」と、女子生徒ふたりが維弦に擦り寄ってきた。これにさらにイケPが怒りに表情を歪めるのを見て、μはオロオロしながらもアリアに「どうしてこんなことをするのっ? イケPの夢を壊さないでっ!」と訴える。アリアも戸惑いながらも、現実で解決しないと何にもならない、と返す。そしてイケPはμを逃がした後、ついに維弦と真っ向から対峙する。戦いの前、「チヤホヤされてばっかで、ブサメンだの底辺だの指さされたり、女にフラれまくったことなんてねぇだろうが! 俺だってせめて顔さえよきゃ、もっとマシな人生歩けたんだ!!」と、恨み言をぶつけてくるイケPに、維弦は「お前は勘違いしてる。お前には悪いが……僕はこんなものなければと常に祈っていたよ」と、返す。しかし怒り心頭のイケPは「そういうことをしれっと言うのが無神経なんだよ……。メビウスからは絶対に出さねえ! ここで大人しく潰されろぉ!!」と、叫んで、ダブルマシンガンを召喚。そして、イケPとの戦いが始まった。
戦いの後、敗北したイケPは、戦意を喪失しながらも維弦を睨めつけ、「せっかくメビウスで手に入れたのに……なんでお前みたいなのが近くに……俺がなんか、悪い事したってのかよ……」と恨み言をこぼした。イケPは現実世界では冴えないファッションショップの店員をやっており、モテたい、格好良くなりたいと思っていても女の子たちにバカにされ続けることに苦しんでいた。そしてこのメビウスでイケメンとしての姿を手に入れて、やっとその「格好良くなってモテたい」という願いを叶えることができたが、学校で自分と同じクラスで女の子が振り向くほどの美男子である維弦が現れたことに危機感と焦燥感を抱いていたのだ。するとここで、維弦はアリアに頼み、自分の本当の顔を見せた。そして、大きな傷がついた維弦のその素顔を見てイケPは動転しながらも、「現実がその顔だっていうなら、お前こそメビウスにいる方が幸せなんじゃねえのかよ!?」と叫ぶ。だが維弦は静かに首を横に振り、「これがないと、僕は僕じゃなくなってしまう……だから僕は、現実に帰るんだ」と、言った。維弦にとってこの顔の傷は自分にとっては象徴のようなものであり、メビウスにいるとこの傷が消え、自分が自分でなくなってしまう。だから維弦は、メビウスを抜け出て現実に帰りたいというのだった。そんな維弦の潔さを前にしてか、イケPはμが向かったとされる次の居場所を教えた。その居場所は工事中のランドマークタワーで、μも町が一望できることから結構気に入っているということだった。それに維弦は微笑みを浮かべ、「ありがとう」と静かに礼を述べた。
それからしばらくした後、シーパライソの太陽神殿で主人公とアリアは田所と会っていた。以前、田所は永至に殺されかけたところを、通り掛かった主人公とアリアが見て止めに入ったことで難を逃れた。その時主人公とアリアは、永至がIT企業の社長であること、田所に誘拐されたこともすべてが嘘であり、永至の本当の職業は弁護士だったことを聞かされる。かつて永至は、現実世界で地下アイドル・南出日向への傷害事件を起こした田所を弁護して無罪を勝ち取ったが、その結果として被害者である日向は自殺してしまった。「今さら虫がいい話なのはわかってる……でも、僕にできる償いはそれくらいしかないんだ……」と、その頃の永至は田所の弁護をしたことを後悔しており、自らの手で田所を裁きたいと主人公とアリアにしおらしく訴えていた。だが、あの不穏で凶暴な一面から永至を信頼しきれない主人公とアリアは、田所ならば永至について何らかの秘密を知っていると思い、その秘密を教えろと迫る。太々しくシラを切ろうとする田所だが、主人公が拳銃を召喚したのを見て、慌てて口を開いた。田所は永至の弁護で無罪になった。だがその直後、永至に「無罪をなかったことにしていつでも刑務所にぶち込める」と脅されて、それが嫌ならある税理士を一人始末してこいと田所に命令してきた。しかも永至は、その税理士の祖母の家の金を横領しており、それが税理士にバレたから自分に始末させようとしたのだという。そして、田所が家に火をつけて税理士とその家族を焼き殺してやったが、結局横領がバレて永至は逮捕されたから無駄に終わった、と太々しい笑いを浮かべながら田所は語った。
あまりにも酷すぎる事実に主人公共々言葉を失うアリアだが、すぐにあることに気がついた。「アンタが言ってることがほんとだとしたら、現実の永至は、いま刑務所の中なんでしょ!? なんで今さらアンタを殺そうとするんだってば!?」と、アリアは叫びながら問う。それにさらに太々しく笑いながら、田所は「そろそろ刑期が終わるからだろうよ」と、答えた。永至が刑務所に入れられたのは横領の罪で、税理士一家の殺人教唆の件での逮捕ではない。そして、出所したところでまだ逃げている田所が逮捕されて殺人教唆を白状したら、刑務所に逆戻りになる可能性は否定できない。だからこそ永至は、証拠隠滅のために田所を殺そうとしているのだった。そこで、μと同じバーチャドールであるアリアと一緒にいて、メビウスにとってお尋ね者である帰宅部なら、現実へ戻って警察に保護してもらうまでの間、自分の身を守ることができると考えた田所は、仲間に入れてくれとさらに太々しく懇願した。だが主人公はその永至がいるのも帰宅部だと明かしてその身勝手な頼みを一蹴し、さらにアリアも「自業自得でしょうが!! 少しは自分のしたこと反省しろってば!!」と、大声で詰った。その後、田所と別れた主人公とアリアは、永至に確かめるまではこの一件は仲間たちに黙っておくことにしたのだった。
その後、主人公とアリアは人気のない場所に永至を連れ出し、シーパライソで田所に会い、永至のことを全部聞いたと話した。驚きを隠せない永至にアリアが、自分たちに何か隠してることはないのか、と尋ねるが、「やめてくれよ……まさかあんな凶悪犯の言うことを信じるのか?」と、永至は呆れ顔になる。だがそれでも主人公とアリアが問い詰めようとすると、ついに痺れを切らした永至が態度を豹変させた。「……バカが。大人しく騙されてりゃよかったんだよぉ!!!」そう吠えた瞬間、永至は鞭を振るって炎をばらまいた。ついに目の当たりにする永至の凶悪な本性に、主人公とアリアは驚きを隠せない。「ヒャハハハハハ!! 安心して死ねぇ!! お前の亡き後はこの俺が、あのくだらねぇ部活動ごっこの部長をやってやるよぉ!!!」耳障りな高笑いをあげ、永至は鞭を振るって襲いかかり、そこから主人公と永至との壮絶な一騎討ちが始まった。
一騎討ちの末、主人公は永至を下すことに成功する。負けたことが信じられずさらに逆上する永至は、自分の醜い胸中をこうぶちあげる。自分はメビウスにいつまでもいるつもりはなく、帰宅部に入らなくても現実に帰るつもりだった。
しかし、メビウスに閉じ込めている元凶であるμや楽士達を手っ取り早く殺そうとしないことを主な理由にし、帰るのを邪魔しているのはお前らだと帰宅部を一方的に糾弾する。そして、現実で凶悪犯である田所を弁護して無罪を勝ち取ったり、梔子やμと言った女子供も何の躊躇いもなく殺そうとするなど自分の行いを永至は棚に上げ、後に「俺はなあ、お前らとは違うんだよぉ!! お前らみたいな無知で無能で無価値なド底辺どもが逆らっていい存在じゃねえんだぁ!! ゴミ溜めにたかったハエの分際で、俺の人生の邪魔をするなぁぁぁぁぁぁ!!!」と、盛大な捨て台詞を残した後、どこかへと逃走していった。
その後、帰宅部に戻った主人公は仲間たちに事の顛末を話した。永至の本性と正体に驚きを隠せない仲間たちだが、ここで鳴子が、あのシーパライソでの一件から不審に思って調査をしていた所、永至が南出日向や税理士一家の事件の他にもこんな恐ろしいことをやっていたのを突き止めたと話した。その税理士一家の横領が法律事務所の経営者である父親にバレたことでトラブルになり、それがきっかけとなって永至は転落死を装って父親まで殺害してのけたのだ。今までに言っていたことは全部ウソで、帰宅部も自分の目的や欲望を満たすための道具だとしか思っていなかった。そんな、永至という男の醜さと凶悪さに仲間たちは愕然となり、怒りに身を震わせる。そして最後に笙悟が、おそらく永至は逆恨みして、必ず自分たちに報復しにやってくるだろうと主人公に警告するが、主人公はいずれ永至は報いを受けることになる、と言って動じることはなかった。
シャドウナイフ編
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目次 - Contents
- 『Caligula Overdose』の概要
- 『Caligula Overdose』のあらすじ・ストーリー
- 帰宅部ルート・上
- プロローグ〜カギP編
- スイートP編
- Stork編
- 楽士ルート・上
- 吉志舞高校編
- 帰宅部ルート・中
- 少年ドール編
- 梔子編
- ミレイ編
- 楽士ルート・中
- 宮比温泉物語編
- 市立図書館編
- 帰宅部ルート・下
- イケP編
- シャドウナイフ編
- ウィキッド編
- 楽士ルート・下
- テーマパーク編
- アクアリウム編
- ランドマークタワー編
- 完結編
- ソーン編
- 希望という名の現実(μ編:帰宅部ルートエンディング)
- 裏切りの先にあるもの(アリア編:楽士ルートエンディング)
- 『Caligula Overdose』のゲームシステム
- フィールド
- 生徒との会話
- デジヘッド(ラガード)との遭遇
- トラウマクエスト
- WIRE(ワイアー)
- スティグマ
- スキルリール
- 戦闘
- 行動選択
- 武器系統
- 二挺拳銃(主人公・イケP)
- 拳銃(笙悟)
- 弓(琴乃・スイートP)
- 手甲(鼓太郎)
- 大剣(鍵介)
- 槌(美笛・ミレイ)
- 槍(鈴奈・ソーン)
- ビット(鳴子)
- 爪(少年ドール)
- 片手剣(維弦・シャドウナイフ)
- スタンガン(彩声・梔子)
- 鞭(永至・Stork)
- 爆弾(ウィキッド)
- デジヘッドの装備
- 未来予測(イマジナリーチェイン)
- オーバードーズスキル
- リスク
- 『Caligula Overdose』の登場人物・キャラクター
- 帰宅部
- 主人公
- アリア
- 佐竹笙悟(さたけ しょうご)
- 峯沢維弦(みねざわ いづる)
- 巴鼓太郎(ともえ こたろう)
- 響鍵介(ひびき けんすけ) / カギP(かぎぴー)
- 柏葉琴乃(かしわば ことの)
- 守田鳴子(もりた なるこ)
- 篠原美笛(しのはら みふえ)
- 神楽鈴奈(かぐら すずな)
- 天本彩声(あまもと あやな)
- 琵琶坂永至(びわさか えいじ)
- オスティナートの楽士
- Lucid(るしーど)
- μ(みゅう)
- スイートP(すいーとぴー) / 二条院静華(にじょういん しずか)
- Stork(すとーく) / 目 大洋(さがん まさひろ)
- 少年ドール(しょうねんどーる)/ 小森晶(こもり あきら)
- 梔子(くちなし) / 弓野胡桃(ゆみの くるみ)
- ミレイ / 一ノ瀬美玲(いちのせ みれい)
- イケP(いけぴー) / 小池智也(こいけ ともや)
- シャドウナイフ / 山田大樹(やまだ だいき)
- ソーン / 棗飛鳥(なつめ あすか)
- ウィキッド / 水口茉莉絵(みずぐち まりえ)
- その他の登場人物
- 田所興起(たどころ こうき)
- 南出日向(みなみで ひまり)
- フラワープリンセス ローズ / リリィ / アイリス
- 名取歳三(なとり としぞう)
- 美笛の母
- 『Caligula Overdose』の世界観・用語
- メビウス
- 宮比市(みやびし)
- ランドマークタワー
- シーパライソ
- 宮比温泉物語(みやびおんせんものがたり)
- メタバーセス
- デジヘッド
- 帰宅部(きたくぶ)
- オスティナート(執拗反復)の楽士
- カタルシスエフェクト
- アストラルシンドローム
- 『Caligula Overdose』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 帰宅部では見られなかったもう一つの視点
- 思わぬ出会いから新たな始まりへ
- 漆黒の楽士の初陣
- 真のラスボスとなった主人公
- 『Caligula Overdose』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Cradle
- 挿入歌
- Suicide Prototype
- ピーターパンシンドローム
- トキメキ☆リベリエ
- Love Scope
- 独創性インシデント
- おんぼろ
- Sadistic Queen
- 天使の歌
- Sin
- Distorted†Happiness
- コスモダンサー
- Orbit
- Veritas
- 『Caligula Overdose』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- カリギュラ効果とは
- キャラクターたちが患った精神病
- 佐竹笙悟:適応障害(てきおうしょうがい)
- 峯沢維弦:スキゾイドパーソナリティ障害
- 巴鼓太郎:メサイアコンプレックス
- 響鍵介:ピーターパン・シンドローム
- 柏葉琴乃:シンデレラ・コンプレックス
- 守田鳴子:インターネット依存症
- 篠原美笛・イケP:身体醜形障害(しんたいしゅうけいしょうがい)
- 神楽鈴奈:ランチメイト症候群
- 天本彩声:異性恐怖症(いせいきょうふしょう)
- 琵琶坂永至:サイコパス(精神病質)
- スイートP:トランスヴェチシズム(異性装癖)
- Stork:窃視症(せっししょう)
- 少年ドール:回避性パーソナリティ障害
- 梔子:失声症(しっせいしょう)
- ミレイ:自己愛性パーソナリティ障害
- シャドウナイフ:中二病(ちゅうにびょう)
- ソーン:グリーフ
- ウィキッド:ソシオパス(反社会性人格障害)
- 女主人公ならば見ることができる新たな展開
- その1:百合カップルでお茶会へ
- その2:女湯へ潜入
- その3:彩声が百合に目覚める
- アリアと鼓太郎は本作でも犬猿の仲
- その1:出会った当初から盛大な口喧嘩
- その2:「デカ頭」と言われたアリア
- その3:鈴奈の弁当で一触即発
- 野生に目覚めかける美笛?
- 鈴奈はヤンデレ属性持ち
- 鳴子に引っ掻き回される楽士たち
- その1:部屋を公開された少年ドール
- その2:温泉の変態騒ぎにミレイ激怒
- その3:現実での姿公開にイケP爆発