Caligula -カリギュラ-(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『Caligula -カリギュラ-』とは、ジュブナイルRPGとしてフリューから発売されたゲームのアニメ化作品である。心に闇を抱えた者たちが、理想的な仮想世界からの脱出を図る様子を描く。主人公式島律はμの作り出した仮想世界から現実に帰還すべく、μに曲を提供し、なおかつμに協力するオスティナートの楽士と対立し、仮想世界を壊して、現実に帰還するまでの物語。

『Caligula -カリギュラ-』の概要

『Caligula -カリギュラ-』とは、ジュブナイルRPGとしてフリューから発売されたゲームのアニメ化作品。
監督の和田純一は、絵コンテ、演出として多くの作品を手掛けつつ、監督としての活動も多い。和田の監督作品には、『長門有希ちゃんの消失』『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』 などがある。
シリーズ構成の持田堂子は、今までに脚本、シリーズ構成などの数多くの作品に携わっていた。主に『アルスラーン戦記』『マクロスΔ』『からかい上手の高木さん』などがある。
ゲーム版では、サウンドコンポーザーを名乗る一部登場人物たちの作品をVOCALOIDの楽曲提供者として著名な人物が書き下ろしで制作。ゲーム版のシナリオでは、里見直が手掛け、主にペルソナのシナリオなどを手掛けていたことがある。

充実した高校生活を送る、主人公の式島律(しきしまりつ)。
大人気アイドル「μ」の新曲を聴いた律は、曲の中に助けを求めるような声が入っていることに気づくことから物語が動きだす。
μは、人間を救う目的で自分の歌を作る人間や、聞く人間を仮想世界「メビウス」へ閉じ込める。どのように願いを叶えるかはある程度彼女の判断によって決定するが、元々人間ではないためか細かい機微などは把握できず、「大体の人はこう願っている」という叶え方をする。そのため、決して本人が望んだ結果になるとは限らない。μの作り出した仮想世界から現実に帰還すべく、現実に帰還したいと願う人々と一緒に律は、μに対抗する帰宅部に所属することになる。

本作は、心に闇を抱えた者たちが、理想的な仮想世界からの脱出を図る様子を描いた作品であり、ある偶像(アイドル)を通じて登場人物たちの心の闇が映し出される様子が描かれている物語である。

『Caligula -カリギュラ-』のあらすじ・ストーリー

日常への違和感

充実した高校生活を送る、式島律(しきしまりつ)。
ある日、大人気アイドル「μ(ミュウ)」の新曲を聴いた律は、曲の中に助けを求めるような声が入っていることに気づく。友人たちに確認する律だったが、誰もその問いに答えようとしないばかりか、律の話にさえも答えてくれなくなる。
得体の知れない違和感が積み重なる中、迎えた入学式。新入生として入学してきたのは、卒業生代表を務め、卒業したはずの響鍵介(ひびきけんすけ)だった。新入生代表として彼が挨拶をした直後、体育館にいた生徒たちは異形化してしまう。
律はその光景が見えていない同級生の水口茉莉絵(みずぐちまりえ)を連れ、体育館を脱出。

異形化した生徒たちに襲われた律は、巨大な拳銃を持った3年生の佐竹笙悟(さたけしょうご)に助けられる。
容赦なく生徒を撃つ彼に困惑する律だったが、他の人間には巨大な拳銃も異形化した生徒も見えていないことがわかる。
そして律は、バーチャルアイドルのアリアと出会い、彼女から律がいる世界はμが作り出した仮想世界「メビウス」であることを知らされ、自分たちに協力するよう頼まれた。

訳が分からないまま家に帰った律の目の前には、ノイズがかかり、同じ台詞を繰り返す母親の姿があった。アリアの言っていることが本当だと分かり、律は彼女たちに協力するため、音楽準備室へと向かうのだった。

理想の世界・メビウス

別人と入れ替わってしまった母親を探すため、篠原美笛(しのはらみふえ)はどんな情報でも集まるというスイートPこと、二条院静華(にじょういんしずか)のお茶会に参加することに。そこにはゴシッパーとして知られる守田鳴子(もりたなるこ)の姿もあった。しかし皆お菓子に夢中で、誰も話を聞いてくれない。
美笛はなんとか話を聞いてもらおうと「ゆめかわいく」奮闘するが、苛立ちから次第に怒りと本音を表わすように。しかしスイートPはそんな美笛の本性が母親を消してしまったことを告げ、思い通りの生活を送れる「メビウス」の素晴らしさを説く。
しかし、鳴子の助けもあり、窮地を脱したのだった。

一方、音楽準備室では笙悟とアリアからこの世界の真実を聞かされる。ネットの世界で生まれ、やがて自我を持つようになった自分とμだったが、μは現実を忘れて思い通りの生活が送れる仮想世界「メビウス」をつくったこと。メビウス内の人間は、自分の理想の生活をくりかえしていること。メビウスが本当の世界ではないと気付いた人間を仮想世界の均衡を保つオスティナート学士たちが、出路ヘッドを使って洗脳しようとしていること。それに対抗するには、カタルシスエフェクトと呼ばれる武器が必要であること。衝撃的な事実を告げられた律は、なんとか力を貸して欲しいと頼まれる。
そこに、この世界の異変に気づいた美笛と鳴子がやって来た。
そしてゴシッパー上で神隠しが話題になっている中、図書館に行った神楽鈴奈(かぐらすずな)と連絡が付かないと、巴鼓太郎(ともえこたろう)が駆け込んでくる。
「メビウス」に飲み込まれそうだった鈴奈だったが、律たちが駆け付け、無事助け出された。

水口茉莉絵(みずぐちまりえ)に誘われるがまま、メビウス内にあるマリンリゾート「シーパライソ」にやって来た律達。
アトラクションを楽しむ一行だったが、突然「目が合ったかも」と、普通の人には見えないはずのアリアが言い出した。その相手は、学校のマドンナ柏葉琴乃(かしわばことの)だった。彼女もまた、「メビウス」に気付いたのだ。

街中にμの歌が響き渡り、楽士とデジヘッドが律達に襲い掛かる。律たちとオスティナート学士たちの戦いが始まった。
なぜ現実に帰らなければならないのか。
闘いの中でそれぞれの現実と向き合う決意を固めていき、一斉にカタルシスエフェクトを発現する。オスティナート学士に対抗する存在がいることにμは苛立ち、世界を崩壊させようとする。そんな時、律がカタルシスエフェクトを発動させ、μは攻撃を辞めた。
こうして律たちは、現実世界に帰るため、「帰宅部」を作り、行動を起こす。

最終決戦

μが目覚めず、理想の世界であるはずのメビウスで、思うような生活が出来なくなっていることに不安を覚える楽士達。 コーディネイトランキング一位の座を維弦に奪われ、さらには自身のファンを失ったイケPは、維弦に襲い掛かる。

楽士のアジトがあるタワーへやってきた帰宅部。アリアによれば、そのアジトへの扉が、メビウスで唯一外との空間を行き来できる方法なのだそう。
しかし、その扉を現実世界と繋げることができるのはμだけで、彼女と話す前ためには楽士たちとの闘いは避けられない。
最終決戦が、ついに幕を開けた。

しかし、帰宅部のメンバーは音楽準備室に閉じ込められてしまう。そこには帰宅部部長、律の姿がなく、疑心暗鬼になったメンバーは犯人捜しを始めてしまう。
そこで鍵介からの提案により、本音の自己紹介をすることになった。互いを知るため、それぞれ心の闇へ踏み込んでゆく。
そんな中、律は審判の扉を開けて現実世界に戻り、自分がμを作ったチームの一員だったことを思い出した。

様々な想い、過去の記憶。メンバーたちは辛い現実での記憶と対峙していく。そして本来の力を取り戻したアリアのおかげで、帰宅部は全員、現実世界へ戻ることができた。
そこにはそれぞれ、家族や友人との確執を解消し、新たな目標に向かって歩みを進める姿があった。

『Caligula -カリギュラ-』の登場人物・キャラクター

式島律

CV:沢城千春

メビウスにある吉志舞高校の2年生。本作の主人公。心理学など、本で勉強することを好む。
メビウスが仮想現実であることに気付き、現実へ「帰宅」することを目的とする。主人公らが所属する帰宅部を結成。その部長を任命される。

佐竹笙悟

CV:武内駿輔

吉志舞高校に通う3年生。
校内では「ケンカ魔」と呼ばれるほど、よく暴れている姿をみられているがそれらは、すべてデジヘッド状態の生徒と戦っている姿だった。
帰宅部の兄貴分で、元部長。何度かループを体験している。達観した態度とだるそうな物腰、眠そうな目の奥に、深い絶望と強い現実への帰還の意思を秘めている。帰宅部に入部してきた律に部長の座を譲る。

アリア

CV:下田麻美

妖精的な少女。μと同じバーチャアイドルでともにメビウスを製作したが、人間をいつまでも閉じ込めようとするμと仲違いを起こしている。佐竹笙悟と一緒にいて、律を帰宅部へと招き、メビウスやデジヘッド状態の説明などをしてくれる。デジヘッド状態の暴走する内面を、アリアの力で調律して安定化させたものが、帰宅部のみに使用できるカタルシスエフェクトである。カタルシスエフェクトやデジヘッドの武装は通常の住人には見えないので、デジヘッドとの戦闘は「喧嘩が起きた」と認識されている。なお、その記憶は都度アリアが消している。

μ(ミュウ)

CV:上田麗奈

大人気のアイドル。新曲が公開されるだけでニュースに取り上げられる。
人間を救う目的で自分の歌を作る人間や聞く人間を「メビウス」へ閉じ込める。どのように願いを叶えるかはある程度彼女の判断によって決定するが、元々人間ではないためか細かい機微などは把握できず、「大体の人はこう願っている」という叶え方をする。

巴鼓太郎

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