Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)のネタバレ解説・考察まとめ

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

そして「ゆめかわおっさん」と自称して開き直ったスイートPは、結局力ずくで生徒たちにマインドホンを取り付けるという手段に出た。

この有様にStorkが戦々恐々とする中、μもさすがに申し訳ないと思っているらしく、ぽそりと犠牲になった生徒たちに詫びるのだった。

それからラガード狩りを進めていく中、Lucidとμたちは廊下にたむろす3人のラガードの女子生徒を見つける。スイートPは彼女たちはかつての自分のファンだと言い、穏便に済ませようと自ら進んで彼女たちに呼びかけるが、女子生徒たちはスイートPを見るなりお化けに会ったかのように、「うわ、スイートPじゃん……!」「や〜〜、キっモ〜〜い!」と、嫌そうに表情を歪める。思わぬ展開に驚くスイートP。実はこのラガードの女子生徒たちは、宮比温泉物語での一件でスイートPの現実での姿に気付いてしまっており、メビウスが現実ではないことと合わせて騙された怒りをスイートPにこうぶつけてくる。「あんた本当はおっさんなんでしょ!? 何がゆめかわいいよ、変態っ!」「ここもホントは、メビウスとかいうインチキ世界なんでしょ!? 現実に帰してよ、キモかわおっさん!!」その彼女たちの言葉にスイートPも「黙れぇぇぇいっ! おっさんがゆめかわいいで何が悪いっ!?」と、素に戻って逆ギレする。そこへさらにアリアが現れ、「アンタたち、キモかわおっさんの餌食になりたいっ!?」と、煽るように言いながらも女子生徒たちのラガードとしての能力を強化したことで、結局戦いに突入してしまった。そして戦いの後、「小娘どもがっ……! 見たか、ゆめかわおっさんの怒りぃ!」と、素に戻ったままのスイートPは、洗脳してデジヘッドに戻すための道具である「マインドホン」をμから受け取ると、自分をキモかわおっさん呼ばわりした女子生徒たちに強引にマインドホンを装着して再洗脳させてしまった。この有様に戦々恐々としたStorkは、「彼女をおっさんと呼ぶのはやめておこう……」と、Lucidに耳打ちし、μは無理矢理なことをしてしまったのを謝りながらも、「メビウスをもっと良い所にするよう、頑張るからね……」と、再洗脳された女子生徒たちに静かに言うのだった。

更衣室にて、興奮したStorkの鼻息にどよめき出す女子生徒たち。しかし、Storkはロッカーに擬態しているため、鼻息は聞こえていても姿は見えない。

しかし、鼻息を荒くして乱入してきた彩声によって、その擬態はあっさりと見破られ、Storkはあっという間に白旗を上げる。

さらにそこへスイートPだけでなくμも現れ、更衣室の状況は混沌を極めていく。

そして、そのStorkとスイートPの窮地を救うようにして現れたLucidを前にして、彩声は「あんたは男なの? 女なのっ!?」と、目を見張った。

それから今度は、StorkがLucidたちの目を盗んでこっそり更衣室に向かい、ロッカーに擬態して着替え中の女子生徒たちを覗くというスタンドプレーに出た。「最近、胸とお尻がきつくて…」「先輩スタイルいいなぁ」と、女子たちの言葉を聞いて、ロッカーに擬態したStorkは興奮して鼻息を荒くする。それに女子たちが不穏と違和感を覚えた瞬間、彩声が乱入してくる。「この変態っ……! いるのはわかってんのよっ!! 出てこぉ〜〜〜い!!!」と、怒りに鼻息を荒くしながら、彩声はStorkが擬態しているロッカーに攻撃を仕掛ける。悲鳴をあげて姿を現したStorkに、着替え中の女子生徒たちも悲鳴をあげて、更衣室は大パニックになる。駆けつけてきた美笛とアリアの制止を振り切り、そのまま怒りでさらに鼻息を荒くしながらStorkを追い詰めにかかる彩声。その時、「やっぱり……!! なにやってんのよ、この変態っ!!」と、スイートPが割り込んできた。スイートPの再びの登場に驚く美笛を尻目に、彩声はスイートPにも矛先を向け、「変態脂身男」と彼女を罵倒しながらも攻撃を仕掛けようとする。するとここで、さらに後から駆けつけてきたLucidが颯爽と現れ、彩声の攻撃を弾き返した。男だか女だかわからない姿をしたその乱入者に「そんな反則みたいな格好をして……アンタは男なの!? 女なのっ!?」と、彩声は上擦った声で叫んだ。頼れる助っ人がやってきたことに冷静さを取り戻したスイートPが「Lucidちゃん、やっちゃって!!」と言い、アリアもこれで楽士が3人に増えたことに危機感を募らせ、ついに禁じ手を発動し、初陣のラストを締めくくる戦いが始まる。

帰宅部に戻ってきた主人公を問い詰める鼓太郎。μを取り逃がした責任にかこつけて部長を代わってもらおうとする彼の本心が見え隠れしている。

Lucidの正体について考えあうメンバーたち。この中で永至は「正体を知られたくないかだな」と、的確な意見を述べた。

そして、初陣を終えて部長の姿に戻り、帰宅部に帰った主人公は、鼓太郎にどこへ行っていたと噛みつかれ、さらにμを取り逃がしたことに託けて部長を代われと迫る。一方でLucidと初戦を交えた美笛と彩声はもちろん、琴乃や鍵介たちもLucidの未知数の実力に気を揉み続けるのだった。そしてその正体が、自分たちと一緒に居る帰宅部の部長であることを知らずに、その謎めいた強敵とも何度か戦いを繰り広げていくことになる。

真のラスボスとなった主人公

楽士ルートでソーン編のラストまで進めている場合は、「帰宅部のみんなと現実に帰る」「いや……現実には帰らない」の選択肢が登場する。そこで後者を選ぶと楽士ルートに戻ってLucidとなり、公式サイトなどで「後味が悪い」「仲間を裏切った代償は重い」など、このエンディングへ進むことへの警告が何度も叫ばれる、本作の中でも屈指の見所であるこのもうひとつの最終決戦が始まる。そして、主人公のボイスはおろかテキストの台詞こそないものの、この最終決戦での重すぎる描写や演出から、主人公が本作の「真のラスボス」といっても過言ではない雰囲気が半端無いものとなっている。

「やはりお前が切り札か……Lucid……!」と、不敵な笑いを浮かべながら、ソーンは主人公を迎え入れた。

そして、同じく不敵な笑いを浮かべながら、主人公も自らの正体を仲間たちに曝け出す。

謎めいた強敵である漆黒のオスティナートの楽士の正体を目の当たりにした仲間たちも、最初は表情を動揺と困惑で満たしていたが、すぐに不信と怒りへと切り替わっていく。

勝ち誇った高笑いを挙げ続けるソーンの横で、「茶番は終わりだ」と言いたげに、Lucidは指を軽く振った。

この場面はムービーで主人公が自分の正体を現すかのように「いや……現実には帰らない(ボイスは無い)」という一言と共にソーンに向かって前へ進み出るところから始まる。帰宅部の仲間たちとアリアが主人公の言葉に目と耳を疑う中、ソーンは不敵な笑みを浮かべ始めて、「やはりお前が切り札か……Lucid……!」と、この時を待っていたと言いたげな表情で主人公に言う。そして、ソーンの隣に並び立った主人公は、不敵な笑みを浮かべたままゆっくりと帰宅部とアリアを振り返る。そして、顔の半分を隠していた片手を外すと、Lucidとしての髑髏のマスクがそこから現れた。さらに突如となく巻き起こった赤黒いオーラに包まれて、主人公はついにLucidとしての姿を露わにした。謎に包まれた強敵である漆黒の楽士の正体に愕然となり、動揺と不信を露わにして主人公に向かって口々に叫ぶ帰宅部。ソーンは、自らが切り札と呼ぶ主人公ことLucidの帰還に歓喜し、勝ち誇った高笑いを挙げ続ける。

一番信じていた主人公に裏切られたことへの絶望と憎悪に囚われ、さらにオーバードーズの最大解放による絶大な負担がかかるあまり、狂戦士と化してしまったメンバーたち。ここまで来た以上、もう殺し合うしか道は残っていない。

狂ったように笑いながら牙を剥き出す美笛。オーバードーズの最大解放の負担もあるが、絶望と怒りと悲しみが美笛の理性を焼き切ってしまったようだ。

同じく狂ったように笑いながら牙を剥く鈴奈。彼女の場合は、主人公への未練と想いに溺れ、自分を見失ってしまったというのが正しいだろう。

絶望と憎悪に心を支配されながらも、それでも見つけることができた道を進むために必死に自分を保ちながら武器を手に取ろうとする鍵介。「こんなことで諦めない」と叫ぶ彼の姿に、胸を打たれたプレイヤーも多い。

騙されていたことの悲しみと怒りに心を焼き尽くされた帰宅部、そしてアリアは、オーバードーズによる極限までの能力の強化という最大の禁じ手を使うことに踏み切る。それにソーンが「すごいなぁ……! まるで化け物だ!! そこまで解放して戻ってこれるのか!?」と、煽り嘲ってくると、「……知らねぇよ。お前らブッ殺してから考えるわ」と、笙悟が吐き捨て、「無様に裏切られた痛みに比べれば、大したことないわよ!! こんなのっ!!!」と、琴乃が鬼の形相で叫び、「許さない……っ! 絶対、許さないからぁっ!!!」と、美笛が泣きながら絶叫する。一番身近にいて信頼していた者に裏切られ、さらにソーンと並ぶ最大の敵として立ち塞がられる、まさに退くは地獄進むも地獄というに相応しい状況に追いやられた仲間たちには、本気の殺し合いしか道は残されていなかった。そんな帰宅部とアリアの絶望と憎悪に歪む顔を心底楽しそうに眺めた後、ソーンはLucidに帰宅部の殲滅命令を下すのだった。

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