Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)のネタバレ解説・考察まとめ
『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。
ソーンは現実世界では笙悟、そして一凛とは共通の友人だったが、笙悟と同じように一凛に対して片思いをしていた。そして笙悟は一凛に心中相手として選ばれていたが、土壇場で死ぬのが怖くなったためにそこから逃げ出してしまったのであった。そうして一凛が自殺してしまった後、ソーンは一凛への片思いから彼女にもう一度会いたい、取り戻したいという思いで、メビウスに招かれた際に、μに一凛を蘇らせて欲しいと願った。しかし、メビウスでも死者の再生は不可能らしく、一凛の姿形を再現することはできても、魂までは再現できなかったため、その願いは叶うことはなかった。それを知ったソーンは、次に「一凛の姿になる」ことを望み、自分が一凛を演じることで彼女は生き続けているという狂った幻想に溺れていくようになった。
しかし一方、一凛に心中相手として選ばれておきながら逃げ出した笙悟を憎み、ソーンは一凛の姿を借りたのをいいことにメビウスに取り込まれた彼の前で何度も飛び降り自殺しては精神的に甚振っていた。そしてソーンは、メビウスを「いつ崩壊してもおかしくない」ほど、仮想世界としては不完全であり、ここまでよく成立できたことが奇跡だとも言った。だからこそ、先に現実を滅ぼすことで一凛となった自分が生きるメビウスを崩壊までの一時でも唯一無二の「現実」にするべく、ソーンはμを使って現実社会を崩壊させるという企みに思い至ったのだった。そんな狂恋と狂気に心を支配されたかつての旧友の野望に笙悟が「……なんて身勝手な……どうかしてるぜ……」と、呻き、帰宅部の面々も「気持ち悪い」「狂ってる」と口々にぼやいたのだった。
希望という名の現実(μ編:帰宅部ルートエンディング)
自分が逃げたせいで友人の少女を死なせ、さらにもうひとりの友人も狂わせてしまったことに苦悩しながらも、現実へ帰るという願いのために、笙悟はそのもうひとりの友人であるソーンに拳銃を向ける。そして、それぞれの願いのためにμを止めて現実へ戻る仲間たちも武器を構え、さらに帰宅部の部長として笙悟たちと共に現実へ帰ることを決意した主人公も、無言で二丁拳銃を構える形でソーンとの訣別を決意する。これに対してソーンは主人公も敵と完全に認識し、この叫びと共に槍を手にとった。「もう誰にも僕の願いを、僕の幸せを、一凛を奪わせはしない!! 消えろ笙悟っ!! 皆の幸せを奪うローグどもっ!!!」
そして激闘の末、ついにソーンを打ち破る帰宅部。自分が負けて、自分の願いを否定されたことを受け入れられない様子でいながらも、ソーンは「頭の中が晴れたようだ……何をしてたんだろうな……僕は」と、自嘲した。それからソーンは、自分が笙悟を憎むあまりにμを歪めてしまったと懺悔するように言い、μを止めて欲しいと言いながら舞台の縁へとゆっくりと後ずさる。何をするつもりだ、と血相を変えて叫ぶ笙悟に、ソーンは微笑みながらこう言い残した。「お前ができなかったことは……僕がやる。彼女と……逝くよ……」その言葉の後、笙悟の絶叫混じりの制止を振り切り、ソーンはゆっくりと舞台から身を躍らせ、命を絶った。ソーンは最後の悪あがきとして笙悟のトラウマを抉るため、そして笙悟が果たせなかった一凛との心中を、一凛の姿を借りた自分を使って成し遂げてみせたのだった。
こうして、もうひとりの旧友にまで目の前で先立たれたことに、笙悟は悲しみのあまり錯乱する。「なつめぇぇえええ!! いちかあああああ!! なんで……なんで、そうなっちまうんだよ……!? なんでだぁあああ!!!」アリアや仲間たちの言葉も受け付けず、先立った旧友たちの名前を叫び錯乱し、慟哭する笙悟。それを見て主人公が、笙悟に思い切り頭突きを浴びせることで彼の目を覚まさせた。笙悟は痛みと悲しみに顔を歪めながらも、「……目、覚めたわ。ありがとよ」と、感謝の言葉を述べ、最後の決着をつけるために仲間たちや主人公やアリアと共に、μがいるメタバーセスへと向かう。
そしてメタバーセスに辿り着いた帰宅部が目にしたのは、瞳と服を黒く染めて、虚ろな表情で歌い続けるμの姿だった。「話を聞いて、μ!! 現実を壊したらメビウスだってみんな消えちゃうんだよ!?」と、アリアが訴えるが、「現実の崩壊……みんなの願い……。私には聞こえる……! みんなの辛そうな声……生きることに苦しむ声が……!!」と、μは虚ろな表情で呟き続けるのみで、アリアの訴えに応じる様子を見せない。そこで帰宅部の面々が「現実は辛く悲しいことばかりじゃない」「辛いこと、苦しいことを知ってるから何が幸せなのかもわかる」「μに助けてもらってばかりじゃ何も解決しないと気づいた」などとμと現実への思いを口にするが、それでもμに声は届かない。「これ以上邪魔はさせないっ……! みんなの願いを拒絶するなら……消えてっ!!!」そうしてついに、μは帰宅部に対して牙をむく。アリアが「来るよ、みんな! お願いだからμを止めてっ!!」と叫ぶと、帰宅部はそれぞれの武器を召喚し、最後の戦いへと挑んだのだった。
激しい戦いの中、ついに力を失ったμは、苦しみ、ふらつきながら、ゆっくりと主人公に近づいてきた。「現実の崩壊は……みんなの願いじゃなかったの……? 怖く、ないよ……大丈夫……だよ……」まるで泣いているようにも聞こえるμのその声に耳を傾けながら、主人公はμにゆっくりと銃口を向け、引き金を引いた。その瞬間、μの悲痛な叫びと共に、辺り一面が光に包まれた。
そして光が止んだ後、μは元の白い衣装を纏ったアイドルの姿に戻っていた。駆け寄ってくるアリアに、自分はとんでもないことをしようとしていた、と表情を悲しみに陰らせる。アリアは「もう大丈夫だよ。それもこれも、ここにいるみんなのおかげ」と、帰宅部を振り返って優しく諭した。「みんな、本当にいいの……? 現実って、辛くて……傷つくことばかりなんでしょ……?」と、心配そうな顔になるμに、帰宅部はそれでも自分たちが選んだ道だと決意を揺るがせず、苦しい現実の中でもμの歌が支えとなってくれると言った。その帰宅部の言葉に、μはアリアの言う通りだった、と笑顔を取り戻し、帰宅部と、メビウスに捕らわれた他の人々を全員、アリアと共に帰すことを決意した。しかし、全員が現実に帰ればメビウスは消えてしまう。そうなったらアリアやμはどうなるのか、と逆に不安の色を見せる帰宅部だが、μは全てが元に戻るだけだから大丈夫、と言った。「私たちは、これからもみんなを元気づける。アリアも私も、いつもみんなのそばにいるよ」そして、ウィンクしながら最後にμがそう言い残し、主人公もμもアリアもみんなの大切な仲間だと答える。それにアリアも満面の笑顔になり、最後にこう声を張った。「うん……うんっ!! あたしだって、みんなのこと忘れないからっ……!!」再びあたり一面が光に包まれ、帰宅部は、ついに現実への帰還を果たしたのだった。そして帰宅部のメンバーたちが現実世界におけるそれぞれの日常に戻っていく中、街をひとり歩いていた主人公がふと近くのビルのテレビジョンを見上げると、そこには手を取り合い、楽しげに歌を歌うμとアリアの姿が映っていた。
裏切りの先にあるもの(アリア編:楽士ルートエンディング)
ソーンとの決戦が始まろうとしたその時、主人公が突然こう言った。「いや…現実には帰らない」その主人公の言葉にアリアや笙悟たち帰宅部の面々が耳を疑った時、主人公はゆっくりとソーンの方に向かって歩き出した。そしてソーンは、こちらに向かって歩いてくる主人公を見て、この時を待っていたと言いたげに不敵な笑みを浮かべる。「やはりお前が切り札か……Lucid……!」さらに笑いながらソーンがそう言った時、主人公は顔の半分を片手で覆い隠したままゆっくりと帰宅部を振り返る。そして、ソーンと同じく不敵な笑いを浮かべながらゆっくりと主人公が片手を外すと、その下から現れたのは、漆黒の髑髏だった。帰宅部とアリアが驚きに目を見張った瞬間、主人公の姿は赤黒いオーラに包まれ、Lucidの姿となった。ついに正体を現した、謎に包まれた強敵である漆黒のオスティナートの楽士の姿を見た途端、激しく困惑、動揺する帰宅部は「騙していたのか」「信じていたのに」と口々に叫ぶ。しかしLucidは、茶番は終わりだ、と言いたげにチッチッと指を振り、ソーンは切り札と呼ぶLucidが戻ってきたことに歓喜し、高笑いを挙げ続ける。その一幕の後、鼓太郎は不気味に笑ってから、「そうか……ずっと騙してくれてたって訳か……。許せねえ……お前だけは絶対に許せねえ。ぶっ殺すっ!!!」と、鬼の形相で吠えた。続けてアリアが、「みんなぁ!!! 苦しいだろうけど、力を貸してっ!! アイツを倒すためにっ!!!」と、絶叫した後、オーバードーズを発動し、帰宅部の力を限界まで引き上げる。こうして、一番信じていた主人公に裏切られたことへの悲しみと絶望で完全に理性を焼き切られた帰宅部は、Lucidとソーンの抹殺宣言を高らかに叫び、戦闘態勢に入る。これに対しソーンは嬉々としながら「さあ、やるぞLucid……! 佐竹笙悟を、帰宅部を、現実を粉砕しろぉっ!!!」と、帰宅部の殲滅命令を下す。Lucidも無言でソーンの命令に従い、二丁拳銃を召喚して迎撃態勢に入り、こうして最後にして最悪の戦いの火蓋が、ついに切って落とされた。
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目次 - Contents
- 『Caligula Overdose』の概要
- 『Caligula Overdose』のあらすじ・ストーリー
- 帰宅部ルート・上
- プロローグ〜カギP編
- スイートP編
- Stork編
- 楽士ルート・上
- 吉志舞高校編
- 帰宅部ルート・中
- 少年ドール編
- 梔子編
- ミレイ編
- 楽士ルート・中
- 宮比温泉物語編
- 市立図書館編
- 帰宅部ルート・下
- イケP編
- シャドウナイフ編
- ウィキッド編
- 楽士ルート・下
- テーマパーク編
- アクアリウム編
- ランドマークタワー編
- 完結編
- ソーン編
- 希望という名の現実(μ編:帰宅部ルートエンディング)
- 裏切りの先にあるもの(アリア編:楽士ルートエンディング)
- 『Caligula Overdose』のゲームシステム
- フィールド
- 生徒との会話
- デジヘッド(ラガード)との遭遇
- トラウマクエスト
- WIRE(ワイアー)
- スティグマ
- スキルリール
- 戦闘
- 行動選択
- 武器系統
- 二挺拳銃(主人公・イケP)
- 拳銃(笙悟)
- 弓(琴乃・スイートP)
- 手甲(鼓太郎)
- 大剣(鍵介)
- 槌(美笛・ミレイ)
- 槍(鈴奈・ソーン)
- ビット(鳴子)
- 爪(少年ドール)
- 片手剣(維弦・シャドウナイフ)
- スタンガン(彩声・梔子)
- 鞭(永至・Stork)
- 爆弾(ウィキッド)
- デジヘッドの装備
- 未来予測(イマジナリーチェイン)
- オーバードーズスキル
- リスク
- 『Caligula Overdose』の登場人物・キャラクター
- 帰宅部
- 主人公
- アリア
- 佐竹笙悟(さたけ しょうご)
- 峯沢維弦(みねざわ いづる)
- 巴鼓太郎(ともえ こたろう)
- 響鍵介(ひびき けんすけ) / カギP(かぎぴー)
- 柏葉琴乃(かしわば ことの)
- 守田鳴子(もりた なるこ)
- 篠原美笛(しのはら みふえ)
- 神楽鈴奈(かぐら すずな)
- 天本彩声(あまもと あやな)
- 琵琶坂永至(びわさか えいじ)
- オスティナートの楽士
- Lucid(るしーど)
- μ(みゅう)
- スイートP(すいーとぴー) / 二条院静華(にじょういん しずか)
- Stork(すとーく) / 目 大洋(さがん まさひろ)
- 少年ドール(しょうねんどーる)/ 小森晶(こもり あきら)
- 梔子(くちなし) / 弓野胡桃(ゆみの くるみ)
- ミレイ / 一ノ瀬美玲(いちのせ みれい)
- イケP(いけぴー) / 小池智也(こいけ ともや)
- シャドウナイフ / 山田大樹(やまだ だいき)
- ソーン / 棗飛鳥(なつめ あすか)
- ウィキッド / 水口茉莉絵(みずぐち まりえ)
- その他の登場人物
- 田所興起(たどころ こうき)
- 南出日向(みなみで ひまり)
- フラワープリンセス ローズ / リリィ / アイリス
- 名取歳三(なとり としぞう)
- 美笛の母
- 『Caligula Overdose』の世界観・用語
- メビウス
- 宮比市(みやびし)
- ランドマークタワー
- シーパライソ
- 宮比温泉物語(みやびおんせんものがたり)
- メタバーセス
- デジヘッド
- 帰宅部(きたくぶ)
- オスティナート(執拗反復)の楽士
- カタルシスエフェクト
- アストラルシンドローム
- 『Caligula Overdose』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 帰宅部では見られなかったもう一つの視点
- 思わぬ出会いから新たな始まりへ
- 漆黒の楽士の初陣
- 真のラスボスとなった主人公
- 『Caligula Overdose』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Cradle
- 挿入歌
- Suicide Prototype
- ピーターパンシンドローム
- トキメキ☆リベリエ
- Love Scope
- 独創性インシデント
- おんぼろ
- Sadistic Queen
- 天使の歌
- Sin
- Distorted†Happiness
- コスモダンサー
- Orbit
- Veritas
- 『Caligula Overdose』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- カリギュラ効果とは
- キャラクターたちが患った精神病
- 佐竹笙悟:適応障害(てきおうしょうがい)
- 峯沢維弦:スキゾイドパーソナリティ障害
- 巴鼓太郎:メサイアコンプレックス
- 響鍵介:ピーターパン・シンドローム
- 柏葉琴乃:シンデレラ・コンプレックス
- 守田鳴子:インターネット依存症
- 篠原美笛・イケP:身体醜形障害(しんたいしゅうけいしょうがい)
- 神楽鈴奈:ランチメイト症候群
- 天本彩声:異性恐怖症(いせいきょうふしょう)
- 琵琶坂永至:サイコパス(精神病質)
- スイートP:トランスヴェチシズム(異性装癖)
- Stork:窃視症(せっししょう)
- 少年ドール:回避性パーソナリティ障害
- 梔子:失声症(しっせいしょう)
- ミレイ:自己愛性パーソナリティ障害
- シャドウナイフ:中二病(ちゅうにびょう)
- ソーン:グリーフ
- ウィキッド:ソシオパス(反社会性人格障害)
- 女主人公ならば見ることができる新たな展開
- その1:百合カップルでお茶会へ
- その2:女湯へ潜入
- その3:彩声が百合に目覚める
- アリアと鼓太郎は本作でも犬猿の仲
- その1:出会った当初から盛大な口喧嘩
- その2:「デカ頭」と言われたアリア
- その3:鈴奈の弁当で一触即発
- 野生に目覚めかける美笛?
- 鈴奈はヤンデレ属性持ち
- 鳴子に引っ掻き回される楽士たち
- その1:部屋を公開された少年ドール
- その2:温泉の変態騒ぎにミレイ激怒
- その3:現実での姿公開にイケP爆発