花束みたいな恋をした / はな恋

花束みたいな恋をした / はな恋

『花束みたいな恋をした』とは、2021年公開の日本のラブストーリー映画。主演は菅田将暉と有村架純。『東京ラブストーリー』『Mother』などで知られる坂元裕二によるオリジナル脚本で、終電に乗りそびれた二人が21歳で恋に落ちて、26歳で別れるまでの忘れられない恋愛を描く。坂元裕二はあくまで「普通の恋愛」を描くことを目指しており、等身大の恋愛に共感する視聴者が続出した。

花束みたいな恋をした / はな恋のレビュー・評価・感想

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劇的な恋愛だけが映画じゃない。

この映画には劇的なシーンはありません。恋人の死はないし、ドロドロ三角関係もない、身分の違う叶わぬ恋もない。でも、恋ってこういうことだよね、と気づかせてくれます。

偶然出会った山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)はあっという間に恋に落ち、幸せな時を過ごします。そして、いつしかすれ違い、別れることに……。
ストーリーはこれだけ。でも、そこには恋のドラマの全てが凝縮されています。些細なことで笑ったり、喜んだり、些細なことで怒ったり、悲しくなったり。少しずつ、だけどリアルに重ねられていく描写に胸打たれ、2人の想いがまるで自分のことのように感じられていきます。
特に終盤の別れ話のシーンは今までどんな映画でも見たことない、でもどこかで見たことあるような、そんな絶妙なシーンです。

脚本は『東京ラブストーリー』『カルテット』の坂元裕二さん。恋愛ドラマの名手による巧みなテクニックとユーモラスなセリフが満載です。そして、2015年~2020年を象徴する数々のサブカルチャーが登場(本人役の出演も)。まさに1つの時代を切り取った記録のような映画です。
「何気ない毎日が私たちの映画なんだ」、そんな気持ちにさせてくれる作品です。

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王道を超えたラブストーリー『花束みたいな恋をした』の魅力

終電を逃した2人が居酒屋で過ごすという偶然から展開し、ありきたりな恋の始まりだなと思いながらも、つい序盤から画面に引き込まれてしまいました。
物語の冒頭で迅速な展開の後すぐにシーンが切り替わりますが、何事もなかったかのような余韻が残るため、「このシーンは一体何だろう?」と疑問を感じてしまう人もいるかと思います。なので万人受けはしないかもしれません。
それでも王道を踏まえつつも、笑いや感動が満載の名作といえます。恋の美しいだけではなく、儚く枯れていく描写も実にリアルに表現されていました。お互いに誠実で優しい2人であるからこそ、これほどまでに心を痛めるのかと涙した人も多いでしょう。

この映画は、まさに「花束」と呼べるような作品でした。手元がリボンで束ねられ、花は1本1本、それぞれが異なるペースで枯れていきます。この作品でも、ひとつひとつのエピソードが花束を構成しており、2人の5年間のやり取りが丁寧に描かれています。日常の何気ない場面が実にリアルに心に残り、2人のエピソードがどんどん束ねられていくのです。
功名な伏線や予想外のサプライズで笑える場面があるため、「ラブストーリー映画は苦手」という人や、「ラブストーリー映画は飽きたかな」と思う人にこそ見てほしい作品です。

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ときめき・切なさ・一瞬のきらめき全てがつまった作品

まず、この作品は世に溢れる多くの恋愛作品とは大きく異なると言っていいと思う。
映画タイトルにあるように、1つの恋愛が「花束」のように華麗に咲き乱れるときから、いつか枯れてしまうそのときまでが描かれている。
サブカルチャー好きの男女が学生時代に付き合い始め、社会人になってから別れてしまう、この世の中によくある流れが非常にうまいこと描かれていると思う。お互いに相手のことが大切で、相手のためにと思ってとった行動が結果として相手との溝を生んでしまう。学生時代と社会人になってからでは、変わらないようで知らず知らずのうちに価値観は変わってしまうものだ。この作品の中の主人公達も同じで、その価値観のズレが結果として別れへと繋がってしまう。
ただ、そこまでの道のりは決して汚いものではなく、映像として見ていても綺麗。それゆえに切なさが増してしまうのだ。同じような経験をした人は、涙なしで観ることは難しいのではないだろうか。自分の中の昔の思い出、言語化できなかった感情を映像として観させてくれる。
また、作品中には実際のミュージシャンや、有名人も登場しているので、サブカルチャー好きの方も楽しく観られると思う。
楽しい、幸せ、だけで終わらない、どうしても向き合わなければならない現実が目の前に来たときにどう向き合うのかといったところを考えさせてくれる作品である。

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恋愛映画だが考えさせられる映画

この映画はその名の通り菅田将暉演じる麦と、有村架純演じる絹の恋愛物語です。

偶然最終電車を逃してしまったところから2人は出会います。趣味趣向が同じで話しが合い、直ぐに意気投合して付き合うことになりました。ぎこちなくも初々しくて、かわいらしいカップルになっていきます。
菅田将暉も有村架純も、演技がどこにでもいる普通のカップルのような素朴さでした。自然体で、イチャイチャしていても「あるある」という感じだったのでいやらしさもなく、気づけば入り込むように見てしまっていました。

それから2人は一緒に暮らしはじめ、結婚も視野に入れるようになります。麦は絵が得意で、イラストを仕事にしようとするも一向にお金になりません。絹と暮らすにはお金が必要と考えて、安定したサラリーマンに転職。稼げるようになるも、仕事が忙しくだんだん夢から遠ざかっていきました。
一方絹は事務をしていましたが、自分のやりたいことではないと気付き、好きなことを仕事にしようと考えて知り合いのイベント会社に転職します。
自分らしく生きていきたい絹と、それを忘れて一生懸命働く麦。趣味趣向や行動が同じだった2人の価値観が、仕事を通じてズレ始めました。こんなにも気が合って、意気投合していたのに。
結婚を視野に入れて頑張って働く麦は、それは絹との生活のためなのに、忙しさで自分らしさを失っている麦を絹は不満に思うようになります。結局別れを選びましたが、なんとも微妙な気持ちになりました。

結婚とは、生活とは、現実とは、夢とは…いろいろなことを考えさせられます。

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映画『花束みたいな恋をした』が伝える、奇跡のような日々と現実社会

映画『花束みたいな恋をした』は、2021年1月29日に公開されました。菅田将暉と有村架純のダブル主演。『東京ラブストーリー』などで知られる脚本家・坂元裕二による、オリジナル作品です。

物語の舞台は東京。京王線の明大駅で終電を逃したことから、主人公の麦と絹は出会います。2人は偶然にも、好きな音楽や映画の趣味が一緒でした。あっという間に恋に落ち、大学時代とともに過ごした麦と絹。卒業後はお互いに就職せず、好きなことをしながら同棲生活を送ることになります。

ハッピーエンドになりそうですが、社会人となった2人には重い現実が押し寄せてきます。好きなだけでは食べていけないと判断し、就職活動を開始。就職しても今まで通りでいられると思っていましたが、うまくはいきません。特に麦は、好きだった小説や漫画を読む時間がなくなり、『パスドラ』をする日々。しだいに、絹との距離ができてしまいます。
続きはぜひ、本編を見てくださいね。

この映画で伝えているのは、楽しいだけでは生きていけない現実。序盤は胸を躍らせながら見ていましたが、途中からは苦しくなっていました。好きな人と、好きなことをしながら生きていくのは、奇跡のような日々なのかもしれません。花束のように一瞬しか輝けなくても、その時間はいつまでも心に残り続けるのではないでしょうか。
心から大切だと思う人と、一緒に見ていただきたいです。

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ありきたりな展開、だからこそ共感が止まらない

運命的な出会いをした二人の男女が織りなす、5年間に及ぶラブストーリーです。大学生同士で知り合った二人は共通の趣味を持っていたことから意気投合するものの、社会人になってからは生活リズムや仕事のスタンスがずれていき、関係が冷めていきます。どこかで見たことがあるようなありきたりな展開で、この後どうなるかも大体予想がついてしまうのですが、だからこそ共感が止まりません!仕事、恋愛に奮闘するアラサー世代、またかつてアラサーだった世代の人たちなら、自分も経験したことのある出来事や感情に「わかる!」と頷いてしまうはずです。年齢を重ねるにつれて、「そろそろ現実を見ないといけない」という焦りや不安を感じたことのある人は、麦と絹どちらの気持ちも理解できるのではないでしょうか。また2015年から2020年という特定の年月を、当時の流行や出来事を絡めて描いているので、同時期に学生だった世代はまるで自分のことのように感じてしまうと思います。「花束みたいな恋をした」とタイトルが過去形になっている通り、最終的に二人は別れてしまうのですが、濃密な時間を過ごした二人でも一生一緒にいられるわけではないということ、またそれが決して悪いことではないことを教えてくれる、いいラストだと感じました。

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余韻がすごいです。

菅田将暉くんと有村架純ちゃんが恋人役を演じる映画です。
終電を逃して出会った麦くんと絹ちゃん。同じ価値観に惹かれて会うようになり、出掛けた後は終電までファミレスで話すのが定番になっていきます。付き合ったのもまた同じファミレス。それから2人は幸せに溢れた毎日を過ごします。一緒に住むようになり、駅から家までの徒歩30分をいつも一緒に帰っていました。

フリーターで生活してきた2人でしたが、金銭的に苦しくなった麦くんは就活を決意。絹ちゃんは簿記の資格を取りました。絹ちゃんに仕事が決まっても麦くんはなかなか内定がもらえず、年を越しても就活が続きます。やっと内定がもらえた麦くん。仕事に揉まれ、ほとんどの時間を仕事に費やすようになりました。好きだったイラストを描かなくなり、いつしか絹ちゃんとの共通の話題にも心動かなくなってしまいます。変わっていく価値観、すれ違っていく2人。それでも一緒にいる2人。

ラストがどうなるのか、ドキドキしながら見ました。2人のナレーションの言い回しが小説を読んでいるようで好きでした。明るい終わり方だったけど、ハッピーエンドというのか…見終わってからもずっと頭の中がぐるぐるします。
あと無邪気な時の有村架純ちゃんがかわいすぎます。笑

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花束みたいな恋をした 見どころ

2021年に公開され大ヒットした映画「花束みたいな恋をした」
有村架純・菅田将暉が主演を務め、映画のために書き下ろされたインスパイアソング「勿忘」とともに話題となった。
若い男女の出会いから忘れられない5年間を描いたこの作品がなぜ大きな反響を呼んだのだろうか。
本作品の見どころに迫る。

大学3年生の夏に出会った山根麦と八谷絹。
共通点の多い二人が互いに惹かれ、恋に落ち、交際を始める。
作中で描かれている五年間の中で二人は、学生、夢を追うフリーター、就職活動、就職、転職と環境が変わるごとに出会った頃とは少しずつ、しかし大きく変わっていってしまう。
この作品を鑑賞した多くの観客はきっとそれぞれ異なる感想・見解を持つだろう。
ただのありふれた五年間だと感じる人、恋愛における幸せとは何なのか考える人、二人の決断を肯定する人、否定する人、過去の恋人を思い出す人など様々だ。
そしてその点が映画「花束みたいな恋をした」の最大の魅力である。
見るだけでは終わらず、観客の恋愛観、仕事観、人生観に影響をもたらす。
感想を共有するのではなく自身の考え方を共有するという楽しみがこの映画の鑑賞後には待っているのだ。
最後に、「花束みたいな恋をした」のタイトルについて迫る。
花束みたいな恋とはいったいどんな恋なのだろうか、その答えは作品中に隠れている。
「女の子に花の名前を教えてもらうと、その花を見るたびにその人のことを思い出すんだって」
ヒロイン絹(有村架純)が麦(菅田将暉)に言った言葉である。
たくさんの種類が詰まった花束のように、何を見ても彼女のことを思い出してしまう。
そんな五年間の恋を描いた物語である。

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映画「花束みたいな恋をした」解説!

日本のドラマ界を代表する脚本家である坂元裕二さんが初めてオリジナルの映画脚本を書き下ろしたことで、
公開前から大きな期待感を持って迎えられた映画『花束みたいな恋をした』について解説していきます。
あらすじは、駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。
好きな音楽や映画がほとんど同じで、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始めます。
拾った猫に二人で名前をつけて、渋谷パルコが閉店してもスマスマが最終回を迎えても、
日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが…。というお話です。
この映画の魅力は、人によって価値観が違うことについて考えさせられるというところです。
恋愛が充実していて、羨ましく見えるあの子も実は悩みを抱えていたり、思っているほど幸せじゃなかったり、たくさんの問題があったり。
現実味のある所が多い分、人間らしさをいい意味でも悪い意味でもすごく感じる作品です。
何も知らずに見に行くと恋愛映画を見に来たのに…と少し想像と離れている部分もありますが、
現実味を帯びた「恋愛」について知ることができます。
今までの映画と比べると異端児なこの作品をぜひ見てみてください。

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付き合いたての気持ちを思い出したい人必見!!

恋人と初めて出会った時の気持ちを思い出させてくれる映画でした
この映画はマンネリ化したカップルや夫婦にぜひ観てもらいたい作品です!
主人公の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)が5年間付き合った末に別れを選択するというバッドエンドの映画です。
実生活につながる部分が多い映画でした。
毎日忙しくて「初めて出会った時の感情なんて忘れた!」という方におススメの映画です。
主人公の目線で映画を観るとより一層楽しめる映画だと思います。
男性なら「麦」目線で、女性なら「絹」目線で観るとかなり共感できる映画だと感じました。
趣味や好きなことが一緒だとずっと一緒にいられそうじゃんと思う方が多いと思いますが、すれ違いが重なると、どれだけ趣味、趣向が合っていてもお互いのベクトルが違う方向に向いてしまうんだなと改めて思いました。
男性なら誰しも「たくさん稼いで家庭を幸せにしてやる」って気持ちがあると思います!
でもそうすると稼げば稼ぐほど家族との時間が取れずに奥さんとのケンカも増えてしまう…
劇中、麦も二人の生活を良くしようと仕事を頑張った結果、絹の気持ちが離れて行ってしまいました。
今、何が大切なのかを気づかせてくれる素晴らしい映画だと思います。
僕はこの映画を観終わった後、大切なモノに気が付いて、気付いたら涙してました。
この映画がきっかけで彼女との関係がより深まりました。

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王道ラブストーリー

この映画は菅田将暉、有村架純の両名が主演の恋愛映画だ。菅田将暉演じる『山音麦』と有村架純演じる『八谷絹』がお互い終電を逃してたまたま出会うのだが、その時に使われた駅が、京王線の明大前駅。馴染みのある町、駅などが登場するのもこの映画の楽しみの一つだ。特に大きな動きがある映画ではないが、若いカップルの日常から、出会い、別れまでリアルに描かれていて、とても面白い。共通の趣味がある麦と絹は意気投合し、次第に恋に落ちていく。麦の趣味のダム巡りの帰りにファミレスに寄った二人は、イヤホンのLとRを分け合って音楽を聴こうとしていると、別の席にいた男性から「君たち音楽好きじゃないね」と注意されてしまう。そしてその夜、麦が絹に告白をする。それから時間が経ち、二人は同棲することになる。麦は父親が家に遊びに来たときに、これからの事を聞かれ、大学を卒業してからフリーターだった二人は、少しずつ将来のことを考え出す。就職など様々な問題を抱えた二人は、徐々にすれ違っていく。そして5年も付き合っていた二人は、別れを決断する。そして数年後、お互い恋人ができた。しかし麦と絹はお互いの恋人に、当時怒られたイヤホンの話をしたりまだ未練があるように見える。その雰囲気がとてもリアルで切なく、お勧めだ。

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『花束みたいな恋をした』を見た感想

山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)が主演のこの映画は、終電を逃した駅で赤い糸が引き寄せたかのように2人が出会います。
最初は価値観や趣味までもがまるで一緒の2人だったのですが、それぞれを取り巻く環境が変わっていくうちに自分たちの性格や価値観にすれ違いが生じるようになりました。
結果として4年後に別れてしまうのですが、4年も一緒にいてもお互いが知らなかったことがあったり、理解しようとして興味を持たなければいつまで経っても相手のことを分からないものなのだと感じました。
この映画を見る前は恋愛映画ということが分かっていたので、よくあるような“知り合って紆余曲折があってハッピーエンド”になるのだろうと思っていましたが、それとは真逆で次第に雲行きが怪しくなり、最後には別れてしまうという展開に驚かされました。
しかしこの作品は、長く付き合っているカップルにこそリアルに訪れるような出来事が鮮明に描かれており、カップルで見た人は恐らく「見てはいけないものを見てしまった」というような感覚に襲われるのではないかと感じました。
今恋人がいるけれどあまり上手くいっていない人や恋人がいない人など、見る側それぞれが置かれている状況は違うと思いますが、他の人の恋愛を覗き見るような感覚を楽しむことが出来るのでお勧めの作品です。

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女子大学生が映画「花束みたいな恋をした」をみた感想

この作品はこの先何本映画を見ても記憶に残る映画だと思う。
主人公の『麦』と『絹』は共通の趣味のあるカップル。
のんびりとした大学生活を送りつつ、同棲生活も送っていた。
就活をするシーンでは、何回もお祈りをされていて、その度に踏ん張って頑張る姿は、これららの自分にも訪れるであろう就活の厳しさを観た。
特に記憶に残っている場面としては結婚式の後のファミレスでのシーンだ。
麦は現状維持をしたいがために結婚をしたかった。
絹はこの現状を捨てるために別れを希望した。
麦は恋人の延長線上でいたいがために結婚したいと思い、絹はさらなる幸せを求めて結婚したいのだと思った。
この映画のタイトルは「花束みたいな恋をした」である。
花束を想像したとき、花の種類や色は人それぞれ異なるが、共通するのは花束は1本では成り立たないこと、いずれは枯れるということである。
2人でたくさんの色の思い出を作り、1つ1つ花にしてそれを束ねていく。
それに賞味期限があるからこそ花束は美しい。
それは恋にも言えることなのかもしれない。
劇中で麦は絹に花の名前を聞いた。
それに対して絹は「女の人に花の名前を聞いたら男の人は別れてからその花を見ると女の子を思い出すんだって」と言った。その花は白いマーガレットであり、花言葉は「心に秘めた愛」。

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リアルな恋愛を描いたラブストーリー

大学生の麦くんと絹ちゃんが終電を逃した明大前駅で出会い、恋愛をする5年間の物語です。麦くんはただの大学生。イラストを少しずつ書いて、バイトをする一人暮らしの男の子です。本が好きで、お笑い芸人の天竺鼠が好きです。絹ちゃんも、普通の女の子です。実家暮らしで、読書が好きで本をたくさん読んでいます。そんな2人は、終電を逃した後に朝まで居酒屋で過ごしました。この展開も、普通の学生でありそうなパターンですよね。そこがリアルでした。特殊に演出するわけでなく、ただ男女が出会い恋に落ちていく模様が淡々と描かれています。特に日常の細かい部分まで演じられている菅田将暉さんと有村架純さんが、お似合いでした。2人は付き合うことになり、同棲も始めます。この映画の特筆すべき点は、タイトルの後に「5年間のラブストーリー」とあるところです。永遠に続く恋愛ではなく、この2人は5年で終わってしまうのだ、ということがあらかじめ見る側に認識されています。だからこそ、付き合いたての日常が愛おしくなりました。でも、麦くんの就職を機に2人の溝が深まり、生活習慣が変わり、すれ違っていきます。喧嘩をするところも、自然な言葉で喧嘩していて、本当にリアルな物語でした。

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サブカルチャーと恋愛映画の融合

時代の変遷を上手く表現した映画でした。
作品の中に出てくるゲーム機、漫画、本などの変化がカルチャーの変化を感じさせました。
特にイヤホン。主人公である絹と麦がお互いにプレゼントしあったBluetoothワイヤレスイヤホンは、出会った頃は普通の有線イヤホンでした。2人の関係も時代とともに変化している事をあらわしているようでした。

時代の変化を敏感に感じながらみると、どこか懐かしく感じて面白いかもしれません。
そういった共感性を持つことがこの映画の楽しみ方の1つなのかなとも思います。様々な点で自分に重ねてみてしまいとてもせつなくなりました。

1番心に残ったシーンはファミレスの場面でした。
別れを切り出す2人の後ろで、初々しいカップルが話をしていました。絹と麦はその2人を見て何を感じたのでしょうか。自分たちの理想の形を思い出させられたのか、もう昔のように戻れないことを察したのか、複雑な感情を抱かされました。

カップルで見ることはオススメできないかもしれません。おそらく別れを意識するでしょう(笑)。もし見るのであれば、前向きに自分たちの関係を見直すいい機会してもらえればと思います。ちなみに僕は彼女と見てませんが2人の関係を維持するために、自分たちだけのルールを決めたりしました(笑)。

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ある1つの恋の物語

この映画は、5年間に渡るある2人の男女の物語です。
出会いから付き合うまで、同棲して、就職して。
あまりにも普通でありふれた話を、まるで日記のように、男女それぞれの語りで進んでいきます。
この映画には、どちらかがが亡くなったり、意地悪なライバルが出現したり、世界が滅びたり、時間が巻き戻ったりなどという映画によくある事件は起きません。
しかし、だからこそ、この2人の物語はあまりにも身近であるのかもしれません。
誰にでも起きる恋愛の始まり。
付き合いたての高揚感。
そして、月日が経ち大人になるための一歩である『仕事』という一種の現実。
誰しもがこれから経験し、もしくは経験済みだからこそ、2人に徐々に生じる気持ちに共感が生まれます。
それは、男性側なのか、女性側なのかは見る人の人生で変わる気がします。
彼女との生活のために仕事に邁進する彼。
彼とずっと現状維持でいたい彼女。
どちらが正解なのか、見ているこちら側が試されているような、問われているような気がしました。
しかし、この映画の凄さは、そんなこちら側の気持ちをまるで手のひらで転がすように、フワリと風に乗せてしまうかのように、軽やかな気持ちで終了を迎えるところです。
『花束みたいな恋』というタイトルの意味を、見終わった後もずっと考えさせられる上質な一本でした。

花束みたいな恋をした / はな恋
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若かりし頃の自分と重なる映画。

菅田将暉さんと有村架純さん。私の大好きな役者さんお二人が出ている映画だったので、絶対に観よう!と前から楽しみにしていました。映画館で実際に観てみると、自分が若い頃にした恋愛と似ているところがあって映画を観ながら若かりし頃の恋愛を色々と思い出しました。終電と二人の好きなものが同じだったことがきっかけで距離が縮まり恋人になった麦と絹。私もその当時好きだった音楽や食べ物が似ていて元恋人といっきに距離が縮まったなぁ…と懐かしく思いました。恋人同士のお二人がとにかく幸せそうで、観ていてキュンキュンとなりました。映像もすごく綺麗だし素敵でロケ地に行ってみたいなぁ…と引き込まれました。
大学生の自由な環境から社会人になってからの二人の関係性もすごくリアルに描かれていて、共感できるシーンがたくさんありました。私も大学生の頃は自由に遊んで恋人と行きたいところに出掛けてとにかく楽しい日々を過ごしていました。しかし社会人になると苦しくて辛いことも沢山あり恋愛に浸る余裕が無かったように思います。最後のファミリーレストランでのシーンはもらい泣きしてしまうくらい切なくて儚くて、主演のお二人の演技も圧巻でした。今度は主人と一緒に観たいと思います。