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ありきたりな展開、だからこそ共感が止まらない
運命的な出会いをした二人の男女が織りなす、5年間に及ぶラブストーリーです。大学生同士で知り合った二人は共通の趣味を持っていたことから意気投合するものの、社会人になってからは生活リズムや仕事のスタンスがずれていき、関係が冷めていきます。どこかで見たことがあるようなありきたりな展開で、この後どうなるかも大体予想がついてしまうのですが、だからこそ共感が止まりません!仕事、恋愛に奮闘するアラサー世代、またかつてアラサーだった世代の人たちなら、自分も経験したことのある出来事や感情に「わかる!」と頷いてしまうはずです。年齢を重ねるにつれて、「そろそろ現実を見ないといけない」という焦りや不安を感じたことのある人は、麦と絹どちらの気持ちも理解できるのではないでしょうか。また2015年から2020年という特定の年月を、当時の流行や出来事を絡めて描いているので、同時期に学生だった世代はまるで自分のことのように感じてしまうと思います。「花束みたいな恋をした」とタイトルが過去形になっている通り、最終的に二人は別れてしまうのですが、濃密な時間を過ごした二人でも一生一緒にいられるわけではないということ、またそれが決して悪いことではないことを教えてくれる、いいラストだと感じました。