グリーンブック / Green Book

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『グリーンブック』とは、ユニバーサル・ピクチャーズ配給、ピーター・ファレリー監督による長編伝記コメディ映画。黒人差別が強い時期に、単独でディープサウスへの演奏旅行へ挑む天才黒人ピアニストと腕っぷしが強いイタリア系アメリカ人運転手が、ツアーの道程でさまざまな嫌がらせに遭遇し、当初はいがみ合いながらも一つ一つトラブルを切り抜け、最終公演までツアーを敢行する。その後2013年まで生涯続くことになる、厚い友情と信頼関係を築きあげるまでを描いた。8週間の実録ロードムービー。2018年制作・アメリカ作品。

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『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』とは、映画三部作の興行収入が全世界で3,000億円を超える大人気シリーズ『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』三部作の第二作目で、2002年に公開された。原作はJ・R・R・トールキンの小説『指輪物語』でエルフなど架空の種族や架空の地が舞台となっている。前作ですべての指輪を統べる強大な力を持った「一つの指輪」を葬る旅に出たフロドたちは、何人もの仲間を失いながらも3手に分かれ、それぞれの戦いに挑んでいく。中つ国では闇の勢力がますます力を増大させていた。

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グリーンブック / Green Bookのレビュー・評価・感想

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グリーンブック / Green Book
10

天才黒人ピアニストとボディーガードの二人が起こす、差別を超えた絆の話。

1960年代アメリカでは黒人差別が続いていた。その黒人差別がひどい時代に天才ジャズピアニストであるドクター・シャーリーがアメリカ南部での演奏ツアーの敢行する。ドクター・シャーリーは黒人であり、ツアーの日程をこなすために、一人運転手兼ボディガードを雇うことにした。
もう一人の主人公はイタリア系男性であるトニー・リップ。トニーは高級クラブの用心棒として働いていた。クラブ内での揉め事は彼がいればすぐに解決する。
不器用で不愛想だが、周囲の人たちはみなトニーを頼りにしていた。そんなある日、クラブは改装することになり、トニーは職を失ってしまう。
職を探して様々な所に顔を出していたトニー。そんなトニーの元に一報が入る。そうドクター・シャーリーの運転手の話だ。
トニーは面接会場に行きそこで黒人であるドクター・シャーリーから話を聞いた。断るつもりで金額を跳ね上げ、家に帰宅したトニー。
ドクター・シャーリーはトニーの用心棒としてのスキルを高く評価しており、トニーが提示した金額に応じると答えトニーが運転手となることが決まった。
初めは気が全く合わない二人。しかし徐々にそれも打ち解けていって、ツアーの道中で起こる事件をきっかけに二人は兄弟・家族の絆を結んでいく。
果たしてツアーは無事終了するのか。時代背景を知るとよりのめり込む。ノンフィクション映画の真髄ここにあり。

グリーンブック / Green Book
9

ケンタッキーを用意しての試聴をオススメします!

黒人差別が蔓延る1960年代のアメリカで本来は交わることの決してなかった二人が出会い、衝突を繰り返しながら次第に理解し合い、友情を育むお話です。
高級キャバレーで用心棒を務めていたトニーは店の改装工事をきっかけに2ヶ月間の失業を余儀なくされ、偶然にも同じ時期に南アメリカへの音楽ツアーを計画していたドクターの運転手の「週100ドル、運転や身の回りの世話込み」との求人を見て面会へ訪れます。
しかし、当時黒人差別の激しかった南部へのツアーや黒人への偏見を持っていたトニーは黒人のドクターに雇われる事を不服として「週125ドル、身の回りの世話はしない」との条件を提示します。
交渉決裂かと思われましたが、ドクターは彼のトラブル解決能力を高く買ってトニーの上限で雇う事が決まり、文化や思想の違いで衝突しながらも一緒に過ごすうちに主従関係を超えた友情が芽生えます。
一番印象的なシーンとしては、ケンタッキー州を通る道すがらトニーはフライドチキンを購入し車内で食べ始め、ドクターにも手渡します。
「皿とフォークがない」と話すドクターに半ば強引に「手で食べるんだ」と手渡し、骨をどうするかと聞かれたトニー車窓から外へと放り投げて見せ、それに戸惑いながらも同じく外へと食べ終わった骨を放り投げるドクター。
その瞬間車内にはまるで子供のように無邪気に笑う2人がいました。
その前まで音楽や食文化、それぞれの考え方などの違いで対立する二人が初めて一つの文化に対して同じ感情を共有した印象深いシーンであり、思わずケンタッキーを食べたくなるシーンでした。

グリーンブック / Green Book
9

凸凹コンビの波乱万丈なドライブ旅

2019年のアカデミー賞に受賞されているこちらの作品。高級クラブの用心棒として働くトニー・リップが、黒人ピアニストのドクター・シャーリーが主催するコンサートツアーの運転手に雇われ、一緒に旅をしていく物語です。
しかし、この作品では常に登場してくる大きなテーマがあります。それが黒人差別についてです。

1960年代のアメリカ南部を舞台に設定されているため、当時実際あった黒人差別が物語に大きく関係してきます。白人であるトニーは以前から黒人を差別し嫌っていました。ですがトラブルを起こし職を失ってしまったトニーはある日、シャーリーの運転手をする仕事に応募し、黒人であるシャーリーを嫌いながらも気に入られコンサートツアーを共にすることになります。
そしてコンサート会場でシャーリーは素晴らしい演奏をし、観客に称賛されるのですが、トイレを借りようとした時みんなが使っているトイレではなく、外の草木でするように言われる。一般的なホテルには泊まれないなど、行く先々でシャーリーは差別を受けてしまいます。

シャーリーはみんなに自分のピアノを聞いてほしいと思っていても見た目で差別されてしまう現実に絶望し、ついには演奏を断念していまいます。しかし以前まで黒人を嫌っていたトニーは、そんなシャーリーの悲しさを一緒に旅をしていく中で理解するようになり、徐々にシャーリーと仲良くなっていきます。人種や立場が違う2人が様々なドラマを繰り広げる友情の物語です。

グリーンブック / Green Book
10

黒人天才ピアニストと白人ボディーガード繰り広げた感動の実話

2019年アカデミー賞を受賞した『グリーンブック』。
黒人天才ピアニストと白人ボディーガードが繰り広げる感動の実話を、少しだけ話していきたいと思います。

黒人天才ピアニストのドクター・シャーリーが次のコンサート場に選んだのはアメリカ南部。南部地区というと、黒人差別の風習が根強く残っており、黒人が近づくには危険すぎる地域なのです。そこでシャーリーは、一流ナイトクラブのボディーガードとして高い評価を受けていた、白人のトニー・リップを自分の用心棒として雇います。

トニーは最初、シャーリーのもとで働くことに否定的でした。それはむかし、黒人は白人から奴隷のように扱われてきた歴史があり、黒人が白人を雇うことは前代未聞のことだったのです。コンサートツアーに同行することを決めたトニーは、黒人専用の宿が書かれたガイド、「グリーンブック」を手渡されます。

トニーは各会場で差別を受けるシャーリーを必死にサポートしていきます。そして、二人の間には深い友情が築かれていくのです。なぜシャーリーは自分が差別を受けてしまう場所をあえて選び、ピアノを弾こうとするのでしょうか。シャーリーには「音楽の力で人の心は変えられる」と強く信じるものがあったからです。

人との繋がりの大切さを感じさせてくれる、そんな物語です。

グリーンブック / Green Book
10

厳しくも生きる希望を添えてくれる伝記映画

冷戦期に実在した黒人ピアニストのドン・シャーリーと、ある日期間限定の専属ドライバーとして雇われたトニー・バレロンガの軌跡を描いたアメリカの伝記映画。
貧富の差や人種、育った環境など何もかもが異なる二人が衝突しつつ、旅路の中で友情を深めていく物語です。
タイトルにあるグリーンブックとは、黒人のみが利用できる施設のガイドブックのことを指しています。
過去のアメリカの一部地方では、黒人による公共施設の利用を禁止制限する法律が成立しており、それを疑問に思わない人々がそこで暮らしていました。
ドン・シャーリーのピアノを聴きに来る人々は彼を褒め称えながらも、シャーリーが食事を同席することも用を足すことも認められないような社会。
そしてバレロンガもまた、白人でありながら非アメリカ人という理由で謂れのない侮辱や悪意を受けてしまいます。
現代では想像もできない過酷な世界がそこにあり、かつてのアメリカに根付いていた人種差別問題だけではなく、人間を隔てる壁について厳しいながらも真摯に向き合ってます。
旅路の中でシャーリーとバレロンガがお互いを認め合いながらアイデンティティを築いていく二人の友情は、忘れられないものになるでしょう。

グリーンブック / Green Book
10

凸凹コンビのロードムービー

実話系で舞台は60年代のアメリカです。主役は2人います。イタリア系移民のチンピラが黒人天才ピアニストの興業のためにドライバー兼その他雑用係として雇われ、黒人や移民差別の強いアメリカ南部の道中でおきる様々なトラブルや主役2人の人間関係を主な軸にして物語は進みます。難しい描写は特に無く登場人物も最低限かつ最適人数で物語自体も至極シンプルなためとても観やすい作品です。主役の1人は高い教養と天才的なピアノの才能があり富と名声を手にしているが黒人であるため様々な差別を受けており、家族も疎遠な兄が1人いるだけの孤独な人物です。もう片方は愛する妻や可愛い子どもやその他の家族や友人に恵まれるも自身の無教養で短気な性格なためチンピラまがいのことをして日銭を稼いでいて人生に価値を見出せないでいます。イタリア系移民ということもあって黒人ほどではありませんが差別を受けることもあります。そんな2人がピアノコンサートの興行のために主従関係を結び旅路につくのですから狭い車内で衝突が起きないわけがありません。食事の仕方からなんでもない会話をきっかけに喧嘩しっぱなしです。そんなギスギスした空気の中でも2人は興業をこなしていきます。何から何まで違う2人ですが様々なトラブルを経ることでやがてお互いの足りないものお互いが持っていることに気づき欠点を補っていきます。上流と下流とで生活階級の違う2人が信頼関係を築きやがては互いに無くてはならない存在になっていくところに心が熱くなります。我々の実生活において大切なことをこの映画で表現されています。確かにこの映画は大どんでん返しもアクションシーンもありません単調なロードムービーです。しかし、自分の周りに絶対的な信頼できる人はいますか?互いの弱味を見せてもなお歌舞しあえる仲間はいますか?喧嘩ばかりしてないでその相手を理解しようとしていますか?そんなことを自問自答できる作品です。騙されたと思ってぜひご覧ください。

グリーンブック / Green Book
9

知らなかった

黒人のジャズピアニスト「シャーリー」に、ボディガードとして、一緒にツアーに回ることになった、イタリア系の「トニー」。
2人の間に友情が生まれるという話です。
シャーリーは素晴らしいピアニストなのに、舞台の外では差別を受けます。
それが、びっくりでした。
黒人差別の話はよく聞きますが、芸術とか音楽の世界で差別は無いのかなと思っていました。
一番、うわ、と思ったのは、ステージに立ってもらうときは煽てるのに、トイレを分けられたり、レストランに入らなかったりすることです。
黒人は汚いものという気持ちでしょうか。
悲しい話だなと思います。
トニーはそういう現実を目の当たりにして、自分の中の黒人差別の気持ちを恥じ、シャーリーに対して対等に接します。
最初、「粗暴なやつ」だとシャーリーも思ったと思いますが、だんだんと彼がいて心強いと思うようになったと思います。
話運びはそんなに暗くないし、シャーリーのジャズ演奏部分の音楽も素晴らしいし、ロードムービーチックで、旅した気分で楽しめます。
そして、トニー役のヴィゴ・モーテンセンがかっこいいです。
ロード・オブ・ザ・リングからだいぶ経ちましたが、今でもかっこいいなと思います。
若さではないかっこよさがあります。
また、いろんな映画に出て欲しいです。

グリーンブック / Green Book
9

凸凹コンビの友情物語。感動のラストシーン。

日本では「人種差別」に馴染みがないからか、正直なところ序盤は感情移入ができなかった。旅を通して真反対のおじさん二人が衝突して、自分の弱さを見せたり笑いあったりしながら徐々に心を開いていく姿を見て、どんどん物語に入り込めた。
主人公はかなりガサツで喧嘩っ早く、苦手なタイプだなと思っていた。けれど、実は家族思いだったり愛情深い人だったりして、初見で相手を決めつけてしまうのも一種の差別なのかも…と、考えさせられる。
「人種差別」をテーマにしているだけあって、その描写は色濃く出ていて、かなりショックだった。レストランで食事ができない、試着室は使えないなど、物語で出会う白人は皆「個人としては差別していないけど、しきたりで決まっているから…」と口々に言う。自分は日本に生まれて差別が身近にないからショックを受けるけれど、もしアメリカに生まれていたら当たり前のように差別が存在しているわけで、自分で差別を選択していることに気づくだろうか。
ただ、全体としては音楽や随所にある笑いに明るい印象を持った。主人公のガサツさがいい味を出していて、個人的にはアメリカ版高田純次みたいと思っていた。それに対するボスの冷静なツッコミがこれまたシュールで笑える。チキンの骨を車窓から捨てるシーンは見ていて思わずスカッとした。そしてラストシーンは思わず涙してしまうほど、心が温まった。

グリーンブック / Green Book
9

時代に抗った黒人ピアニストと、無学な白人用心棒の心の交流を描く

まだまだ黒人差別の色濃い1960年代。一流のミュージシャンと言えど例外ではありませんでした。
本作の主人公であるイタリア系アメリカ人であるトニー・リップは、生活のためにある黒人ピアニスト、ドン・シャーリーの運転手兼交渉人を引き受けます。
特に差別の残る南部一帯を巡るツアーに出たシャーリー一行を待ち受ける、賞賛と侮蔑の入り混じった世界。アフリカ系アメリカ人が安全に旅行をするために黒人旅行者が携帯した、グリーンブックという本作のタイトルに、当時の有色人種を取り巻く環境が託されています。
困難な状況を持ち前の腕っ節と機転で切り抜けながら、無事クリスマスまでにニューヨークに帰ってこれるのか。

文化や芸術の世界で、黒人が目覚ましい活躍を見せた1960年代。リトル・リチャードやアレサ・フランクリンなど、本編にも登場した多くの黒人も差別に苦しめられていました。
個人的にはツアー最後の公演地での出来事が印象的でした。コンサートを放棄しても守るべき人としての尊厳。胸を打つシーンです。
イタリア系アメリカ人であるトニーもまた、黒人に対して差別意識を持つ、ごく普通の白人の一人でしたが、博学で才能溢れるシャーリーの姿に敬意を抱くようになります。
人種の壁を超えて人と人の心が通い、差別に立ち向かう様に心うたれました。

グリーンブック / Green Book
10

自分らしさとは?

アカデミー賞をとったということで期待して観たのですが、期待を裏切ることなくとてもいい映画でした。しかもこれが実際にあった出来事が元になっているというのも驚きです。
白人で粗暴な運転手と黒人でハイソな音楽家の、どう考えても交わりそうにない二人が演奏しながら各地を旅するストーリーで、もちろん初めは互いのことを良くは思っていません。特に白人の運転手は黒人への差別意識をいまだに強く持っているのでなおさらです。
しかし一緒に旅をしてみると、白人は黒人の音楽家がいかに理不尽な差別を受けているのか目の当たりにします。私も観ていて驚くようなシチュエーションがたくさんありました。
差別的な言葉で呼び掛けられるのは日常茶飯事だし、音楽を演奏しに来た晩餐会では、さっきまで彼の演奏にうっとりしていた人間が、黒人は外に建てられたボロボロの木の小屋でトイレをしろと、笑顔で、何の悪気もない様な顔で促すのです。
ある街では夜出歩いているだけで逮捕されます。ただ存在しているだけで牢屋にぶち込まれ、理不尽な暴力を受けます。白人はそれを見てだんだん考えが変わっていきます。
白人のほうも学がなく粗暴で、食べ方が汚く上品さに欠けるんですね。しかし仕事はきっちりやってくれるし腕っぷしも強いし、いいものはいい、おかしいことはおかしいとはっきり言うまっすぐさがありました。
肌の色や、今まで自分の身に起こったことがまるで違っていても、お互いに尊敬できる部分があれば友情は成立し、逆になんの遠慮もなくリラックスして付き合っていけるのだな、と改めて考えさせられる素晴らしい作品でした。無駄にドラマティックに作られていない淡々としたところも、リアリティがあってよかったです。

グリーンブック / Green Book
8

実話に基づいた心温まるヒューマンドラマ

第91回アカデミー賞にて作品賞、助演男優賞、脚本賞の3部門を受賞したことで話題の「グリーンブック」。

この映画はナイトクラブで用心棒をするイタリア系アメリカ人のトニー・バレロンガが、黒人のピアニスト、ドン・シャーリー率いるトリオの8週間にも及ぶコンサートツアーに運転手として雇われたことから始まる。元々黒人に差別的な感情を抱いていたトニーだったが、長旅を通じて、ドンと衝突しながらもやがては心を通わせていく心温まるストーリーだ。
1960年代というまだまだ黒人差別が残るアメリカで、特に差別のひどい南部に進んでいくにつれ、ドンがひどい目に遭うことが増えていく。夜に車を走らせていただけで、黒人は夜で歩いてはいけないと言われ警察につかまる、コンサートをするために来ているレストランで、その地域のしきたりだからといってレストランで食事をすることを許されない、など日本人の自分には考えられない差別のシーンが描かれ改めて黒人差別の理不尽さを思い知った。ただ全体を通して悲惨な場面は少なく、ドンとトニーが衝突し合いながらもお互いを思いやりあいながら心を通わせていく場面やクスリと笑える場面などが多いため、最後まで心穏やかに優しい気持ちで見終わることができ、見終わった後も温かい気持ちになるとてもいい作品だった。

グリーンブック / Green Book
8

人は1人では変われない。

喧嘩っ早くて横暴な白人トニーと、音楽家として成功を収めた孤独な黒人のドク。ドクのアメリカ南部へのコンサートツアーのドライバーとして雇われることになったトニー。8ヶ月もの間アメリカを渡る中で、2人の人間性に徐々に変化が訪れる。笑いあり涙ありの実話を元にした物語。
最初は黒人と白人。雇い主と雇われる者という関係性のため「最強の2人」に似た内容だと思っていました。しかし、なんといってもドクとトニーのキャラクターが絶妙で、真新しさすら感じる映画でした。ありそうで今までなかった2人の関係性。かといって2人のキャラクターが大きくデコボコしている訳ではなく良いバランスでとても内容に入り込みやかったです。これも実話を元にしたからこそなせる技なのかと感じました。
物語の内容も笑えるところは思い切り笑え、心温まるシーンも黒人差別について考えさせられる場面もあります。特に世間から黒人だからという理由で差別を受けるドクの振る舞いには、人種差別にはあまり縁のない日本人にも心に刺さる部分があるのではないでしょうか。
この映画を見た僕の率直な感想は、人は1人では変われないということ。つまり2人でなら変われるということ。変わりたくても変われない人。今のままの自分に半ば諦め混じりの満足をしている人。是非オススメしたいです。きっと見終わった後誰かに会いたくなるでしょう。

グリーンブック / Green Book
10

2018年度最高作品『グリーンブック』

舞台は1960年代初頭のアメリカ。ニューヨークに住むイタリア系アメリカ人のトニーは、人気ナイトクラブでバウンサーとして働いています。店がリニューアルで数ヶ月休業する事になり、家族を養うために臨時で運転手の仕事を受けますが、雇い主は黒人ピアニスト、ドン・シャーリー。黒人差別が特に激しい公民権運動時代のアメリカ南部へコンサートツアーの巡業へ出かけた2人が時間を過ごすうちに友情を築く物語です。
実話を基に、筆舌し難い困難を強いられるドンの人柄と彼の音楽に触れ、それまでトニーが持っていた黒人差別に大きな変化が現れていく過程をヴィゴ・モーテンセンが巧みな演技力で表現。また、コメディで構成されているため、重いテーマながらじっくり観る事ができます。
笑いを誘うのは、ドンを演じるマハーシャラ・アリの名演に依るところが大きく、批評家からも高評価を得て、2019年度ゴールデン・グローブ賞及びアカデミー賞の助演男優賞を受賞しています。

本作のタイトルでもあるグリーンブックは、当時白人と同じ宿に宿泊したりレストランで食事が出来なかった黒人向けに作られたガイドブックです。ドンのレコード会社が南部の巡業の際に役立てるよう運転手のトニーにこのグリーンブックを手渡します。実在した物ですが、監督を務めたピーター・ファレリーは知らなかったとインタビューで話しています。トニーとドンは、劇中にある通り旅を通して友人となり、その友情は生涯温められました。
製作を担当したニック・バレロンガはトニーの実子であり、父に連れられてドンに会い、2人から話を聞いていつか映画にしようと決意。劇中にもカメオ出演しています。ナイトクラブの用心棒・トニーと3つの博士号を持ち8ヶ国語を話す天才音楽家ドン・シャーリーのロードムービー『グリーンブック』は、笑いと涙ありのハートフルな作品で、2018年度を代表する映画であり、完璧な脚本と俳優陣の卓越した演技力でアカデミー賞作品賞に輝いた傑作です。

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