実話に基づいた心温まるヒューマンドラマ
第91回アカデミー賞にて作品賞、助演男優賞、脚本賞の3部門を受賞したことで話題の「グリーンブック」。
この映画はナイトクラブで用心棒をするイタリア系アメリカ人のトニー・バレロンガが、黒人のピアニスト、ドン・シャーリー率いるトリオの8週間にも及ぶコンサートツアーに運転手として雇われたことから始まる。元々黒人に差別的な感情を抱いていたトニーだったが、長旅を通じて、ドンと衝突しながらもやがては心を通わせていく心温まるストーリーだ。
1960年代というまだまだ黒人差別が残るアメリカで、特に差別のひどい南部に進んでいくにつれ、ドンがひどい目に遭うことが増えていく。夜に車を走らせていただけで、黒人は夜で歩いてはいけないと言われ警察につかまる、コンサートをするために来ているレストランで、その地域のしきたりだからといってレストランで食事をすることを許されない、など日本人の自分には考えられない差別のシーンが描かれ改めて黒人差別の理不尽さを思い知った。ただ全体を通して悲惨な場面は少なく、ドンとトニーが衝突し合いながらもお互いを思いやりあいながら心を通わせていく場面やクスリと笑える場面などが多いため、最後まで心穏やかに優しい気持ちで見終わることができ、見終わった後も温かい気持ちになるとてもいい作品だった。