凸凹コンビの友情物語。感動のラストシーン。
日本では「人種差別」に馴染みがないからか、正直なところ序盤は感情移入ができなかった。旅を通して真反対のおじさん二人が衝突して、自分の弱さを見せたり笑いあったりしながら徐々に心を開いていく姿を見て、どんどん物語に入り込めた。
主人公はかなりガサツで喧嘩っ早く、苦手なタイプだなと思っていた。けれど、実は家族思いだったり愛情深い人だったりして、初見で相手を決めつけてしまうのも一種の差別なのかも…と、考えさせられる。
「人種差別」をテーマにしているだけあって、その描写は色濃く出ていて、かなりショックだった。レストランで食事ができない、試着室は使えないなど、物語で出会う白人は皆「個人としては差別していないけど、しきたりで決まっているから…」と口々に言う。自分は日本に生まれて差別が身近にないからショックを受けるけれど、もしアメリカに生まれていたら当たり前のように差別が存在しているわけで、自分で差別を選択していることに気づくだろうか。
ただ、全体としては音楽や随所にある笑いに明るい印象を持った。主人公のガサツさがいい味を出していて、個人的にはアメリカ版高田純次みたいと思っていた。それに対するボスの冷静なツッコミがこれまたシュールで笑える。チキンの骨を車窓から捨てるシーンは見ていて思わずスカッとした。そしてラストシーンは思わず涙してしまうほど、心が温まった。