十二国記(ラノベ・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『十二国記』とは、小野不由美による小説、及びそれを原作とするアニメなどのメディアミックス作品である。女子高生の中嶋陽子は、人の顔色を気にして生きてきた。そんな陽子の前に、麒麟の景麒を名乗る青年が現れ彼女を王と呼ぶ。陽子は本来の故郷である十二国世界へ渡り、様々な戦いを経て王になる覚悟を決めるのだった。ある者は権力とそれに伴う責任に向き合い、ある者はコンプレックスに向き合って成長を遂げる。古代中国風の異世界を舞台にした異世界ファンタジーでありながら、不思議なリアリティを持つ作品である。

恭州国(きょうしゅうこく)

恭州国は十二国の一つである。別名恭国、または恭。現在の王は供王・珠晶、麒麟は供麒。王が討ち取られ国が荒れつつある芳国に最も近い国であり、難民が一番押し寄せる可能性が高い。
先王が斃れた後一時国は荒れたが、珠晶の即位後90年に至る今は落ち着いている。

供王・珠晶(きょうおう しゅしょう)

出典: ameblo.jp

声:山崎和佳奈

見かけは少女だが、その治世は90年に及ぶ。『風の万里 黎明の空』に登場。峯王・仲達が謀反で殺された後、その娘・祥瓊の身柄を引き取り、責任というものを思い知らせる為に下女の一人として扱った。
仲達を討った月渓に仮王として王の責務を任せ、文句が言う者がいたら「供王が玉座を勧めた」と主張するよう進言する。その理由は芳国の為というより、自国に難民が押し寄せないようにする為であった。
峯麟も討たれた今、芳国には王どころかそれを選ぶ麒麟もおらず、いつ新しい王が立つか分からない。それを知ったら芳国の民が絶望して一番近い恭国までやって来るというのが供麒に話した、月渓に仮王を任せた理由である。仮王がいれば民は国が乱れることはないと思い自国に留まる上、月渓に対して王を討った以上は玉座に就く気概は持ってほしいと供王は考えていた。
祥瓊が装身具を盗んで逃げた時には、女王の衣裳部屋の管理が女性にとって誘惑の多い仕事であること、それでも祥瓊以外誰も盗みを働かなかったことを知る。その上で責任者を咎めることはせず今までの労をねぎらい、今後の続投を託した。
自分にも他人にも厳しく、祥瓊にも「あなたが嫌い」とはっきり言い、供麒を平手打ちすることもある。しかしいずれも理由があってのことである。王が恵まれた暮らしができる理由を熟知しており、祥瓊が仕事が辛いと逃げた時には、祥瓊を憐れむ供麒に「仕事が辛いと駄々をこねて物を盗んで逃げた者を憐れむことは同じ仕事をきちんとこなしている者への侮辱」だとして怒っていた。供麒をぶったのも、供麒がいきなり公主から下働きに落とされたという点で、供麒が祥瓊を哀れんでいた為である。
初めは祥瓊を追わせたが、彼女が反省し謝罪を申し出ていることを知ると「祥瓊を国外追放した時点でこの件は済んでいる。二度と自分の国に入るな」として放免した。

王となった経緯は原作で描かれている。即位前から豪商の娘として何不自由なく暮らしていたが、周囲が困窮する中、自分たちだけがいい思いをすることをよしとはしていなかった。しかし誰かに施しをしたら見下していると思われる上、自分たちの食いぶちを減らしても、父の懐に金が残るだけで何も残らない。大人たちの中に誰も国を託せるものがいないとして、12歳で昇山を決意した。あらゆる苦難があったが、蓬山に着く前に供麒に迎えられて王になった。
「王は自ら斃れるもの」とし、この世界での王の責務を熟知している。祥瓊を嫌っていたのは父王の政をたしなめる分別や何の覚悟も持たずに遊び暮らしていたため。

供麒(きょうき)

声:大川透

恭国の麒麟。大柄でがっしりしているが、供王に対し強く出られないこともあってか、気弱な印象を与える。麒麟の性質である仁を体現したような、他者を憐れむ性格。優しすぎるが為に、時に憐れむべき相手を間違えるなどして、供王に頬をぶたれたり馬鹿呼ばわりされたりもする。作中において供麒は、公主であった祥瓊が仙籍に入れぬ下女として扱われることを哀れに思い、祥瓊の処遇を決めた供王に控えめながら苦言を呈していた。この件に関し、供王からは父王を諫めず遊び暮らしていた祥瓊よりも、王の一家を恨まずにいられなかった芳国の民こそ憐れめと言われた。

相如昇(そう じょしょう)

アニメ未登場。
珠晶の父。恭国の豪商で、あくどいやり口で儲けている。別名は万賈だが、これは「扱わない品はない」との意味である。珠晶に家庭教師をつけて商売のことばかり教えさせていた。珠晶を溺愛していたが、彼女自身からは見限られている。

室季和(しつ きわ)

アニメ未登場。
珠晶と共に昇山した人物の一人。剛氏(昇山の護衛を行う専門職)を連れず、自らの供を大勢連れていた。昇山で黄海を渡る際に、剛氏のやり方をまねてみたものの、それはうわべだけであり意味までは理解していなかった。一見物分かりの良い老人に見え、珠晶にも優しく接したが実際には思い込みが激しく都合の悪い忠告は軽く見る。剛氏に忠告されていたにもかかわらず妖魔の縄張りに入り込み、妖魔に襲われた。その際、供や荷物を捨てて逃げ出した。自分を王の器と信じて疑わない。

鉦担(しょうたん)

アニメ未登場。
室季和の家生(浮民の別名。住み込みでの下働きをさせられる)。室季和の追従をしていたが、置き去りにされる。そこを珠晶に見つけられて彼女の指揮で妖魔と戦う。

聯紵台(れん ちょだい)

アニメ未登場。
珠晶と共に昇山した人物の一人。生まれは恭国だが、雁国で商売を行う。自力での昇山を目指し、剛氏も雇わない。やや頑固だが、真面目で好奇心が旺盛。同じく郷氏の力を借りず昇山を目指すグループのリーダーとなった。

芳極国(ほうきょくこく)

芳極国とは、十二国世界の国の一つである。またの名を芳国、もしくは芳。王による厳しすぎる法の締め付けで毎日のように死刑が行われており、遂には病で仕事に出られず決められた石高を挙げられなかった者や、空腹に耐えかね餅を一つ盗んだ子供にまで死罪を与えるようになった。刑の方法は数多あるが、両脚を二頭の牛につないで体を裂く牛裂きの刑が最も残酷とされる。処刑に怯え、わずかな楽しみすら取り上げられるため、次第に民が王を憎むようになった。幼子でさえ親を処刑されたことで王や公主の祥瓊を憎んでいた。祥瓊が預けられた里家の孤児は皆、峯王の定めた法で親を処刑されている。刑吏たちは民の報復を恐れて逃げ隠れている模様。
こうした事態を憂えた州候の一人、月渓によって謀反が起き、王、王妃、麒麟までが討ち取られた。その後は月渓が仮王を務めている。新たな麒麟が生まれたはずだが、行方不明とされる。つまり、今芳国には麒麟がいないことになる。この事は供王を始め一部の者しか知らない。

峯王・仲韃(ほうおう ちゅうたつ)/洌王(れつおう)

声:徳丸完

祥瓊の父。姓は孫。厳格にして、独善的かつ理想主義的で融通の利かない面がある。罪を嫌い、厳しい法を敷いていた。30年の治世の間、次第にその締め付けは強くなり、生活苦から餅を一つ盗んだだけで死罪にするような恐怖政治へと変わっていく。遂には民の楽しみである旅芸人の興行を冬に限定した。これは民が働かなくなるとの理由である。この件に関して月渓から苦言を呈されるが「日々の労働にこそ楽しみを見い出してほしい。この私のように。」と聞く耳を持たなかった。
表裏のない人格であり、他者も同様に表裏を持たないと思い込んでいた為、妻の捏造した罪を鵜呑みにして、何の罪もない母娘も処刑させた。月渓の起こした謀反により討ち取られる。おくり名は洌王。

佳花(かか)

声:竹口安芸子

峯王・仲韃の妻で、祥瓊の母。煌びやかな服装を嫌う夫の手前では質素な衣装を着ていたが、実際には華美を好み贅沢三昧の日々を送っていた。虚栄心や嫉妬心も強く、祥瓊の遊び相手が自分の娘以上に美しく見えた時にはそれを妬んで罪を捏造し、夫に報告して処刑させた。
謀反の際、月渓の手により、祥瓊の目前で討たれる。

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