十二国記(ラノベ・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『十二国記』とは、小野不由美による小説、及びそれを原作とするアニメなどのメディアミックス作品である。女子高生の中嶋陽子は、人の顔色を気にして生きてきた。そんな陽子の前に、麒麟の景麒を名乗る青年が現れ彼女を王と呼ぶ。陽子は本来の故郷である十二国世界へ渡り、様々な戦いを経て王になる覚悟を決めるのだった。ある者は権力とそれに伴う責任に向き合い、ある者はコンプレックスに向き合って成長を遂げる。古代中国風の異世界を舞台にした異世界ファンタジーでありながら、不思議なリアリティを持つ作品である。
漣極国は十二国の一つである。別名漣国、または漣。現在の王は廉王鴨世卓、麒麟は廉麟。廉麟は、泰麒を連れ戻す際に協力をしている。
廉王・鴨世卓(れんおう おう せいたく)
現在の廉王。アニメ未登場。
『書簡』において、麒麟共々シルエットで登場したのみである。元は農民で、王となった今も宮殿で畑仕事を行う。国王は役目であり、農夫が仕事だとする。性格は鷹揚で、「民は元気に暮らすこと」との初勅を出した。この初勅の件は一例として、陽子に伝えられた。
廉麟(れんりん)
現在の漣国の麒麟。自国の王が政治のことを何も知らない為、そのサポートを行う。泰麒の帰還に際し、腕輪状の呪具を用いて手助けをした。
才州国(さいしゅうこく)
別名を才国、または才。現在の王は黄姑で、麒麟は揺籃。900年前に即位した王は慈悲深い性格で300年間国をよく治めたが、他国に救済目的で軍を送ったことが覿面の罪とされて時の麒麟と共に死亡した。この一件以降、国氏が采に変わった。
采王・黄姑(さいおう こうこ)
出典: twitter.com
声:鈴木れい子
才国の王。治世は12年ほど。先代の王の叔母に当たる。温厚な人物で、善政を敷くことから民にも慕われている。『風の万里 黎明の空』に登場。梨耀の下から逃れてきた鈴を一時的に保護し、「洞主様に殺される」と言った鈴の言葉を気にかけ梨耀と話をした。采王は見た目こそ初老だが、実年齢では梨耀の方が上である。梨耀とは鈴の一件で初めて出会った。
梨耀の下で虐げられていた使用人の一部を引き取るが、鈴だけは自分の下で働かせなかった。それは鈴の精神を幼いものだと感じた為である。鈴が世界を見て精神的に成長することを望み、慶国に行きたいとの鈴の要望を受けて、旅費や関所を通る時の許可証(裏に采王の書き付けがある)などを渡す。また、言葉が通じなくなることを恐れる鈴に仙籍から外さないと約束し、「言葉が通じ合えば分かり合えるというものではない。大切なのは相手の意図を汲み取る努力をすること」「人生は嬉しいこと、辛いことの半分で出来ている」と言って送り出した。この言葉を聞いた当初、鈴は正しい意味を理解していなかったが、最終的には采王の言いたかったことを汲み取っている。
采麟揺籃(さいりん ようらん)
声:浅野るり
才国の麒麟。金色の髪も美しく、おっとりとした印象の愛らしい美少女。道理を弁えており、同じ蓬莱の生まれというだけで景王に会いたがる鈴に、「景王が蓬莱を懐かしんでいる、同じ国に生まれたからと言って同じ思いを抱いているとは限らない」とも言っている。鈴はこれに対し、采麟が幸福だから(原作では十二国世界の存在だから)海客の気持ちが分からないと考えていた。
字の揺籃はゆりかごを意味する。初めて選んだ王は先代の梧王。梧王の行い、政治が元で失道の病にかかったことがある。王位の返上により病が治り、時を経て現在の王を選ぶに至った。
翠美君(すいびくん)/梨耀(りよう)
出典: baike.baidu.com
声:高山みなみ
才国の飛仙。飛仙とはかつての王に仕え、今現在は王に仕えていないものを示す。梨耀は『風の万里 黎明の空』に登場。扶王(先々代の才国の王)の愛妾だったが、政治に口を出すことも多かった為に、宮殿を追放されて翠美洞の管理者として暮らすこととなった。翠美洞とは追放された際、扶王から賜った土地である。ここの主である為、翠美君と称される他、鈴も含めた使用人からは洞主様(どうしゅさま)と呼ばれる。
妙齢に見えるが、現在の王よりもはるかに年長である。政治の手腕は、現在の王からも評価されるほど高かった。実際、扶王は梨耀を失った後、崩御の道に進んだ。
海客として言葉が分からず難儀していた鈴にとっては十二国世界で初めて言葉が通じた人物である。懇願されて鈴を連れ帰る。その後は木鈴(もくりん)の名を与えながらも笨媽(ほんま)と蔑称で呼び、100年間事あるごとに鈴を苦しめ続けた。鈴だけではなく使用人全員が夜中にたたき起こされ掃除をさせられることもある。
梨耀が使用人に当たるのは、憂さ晴らしの為というより、生きるのに飽いているのが本音であった。誰も自分を咎めず本音を言わないことにいら立ち、つい辛く当たってしまう。おべっかを使う鈴の態度が癪に障るというのもあった。
清秀は鈴から話を聞いただけで梨耀の本心を見抜き、「(誰とも本音で分かり合えない)可哀想な人」と評している。実際、采王に鈴の件で咎められ鈴が仙籍から外され言葉が通じなくなることを恐れていると聞いた時に「言葉が通じるからと言って想いまで通じるとは限らない」と、使用人たちに理解されない心情を口にした。生への執着がないこともあってか、今の王による罰をほのめかされても「好きなようにおし」と意にも介さない態度をとる。
砥尚(ししょう)/梧王(ごおう)
アニメ未登場。原作では『華胥の夢』収録の『華胥』に登場している。
先代の采王。治世は20数年。采麟による選定が始まった際、初めの昇山で王に選ばれたため期待を受けていた。砥尚自身も理想を持って政を行うが政治の実情をよく知らなかったこともあり次第に道を失い、自らの家族をも手にかけるようになる。20数年の治世の後、王位を現采王に譲ることとなった。おくり名は梧王。
扶王(ふおう)
アニメ未登場。
先々代の采王。梨耀は彼の愛妾であった。政治的手腕はあまりなかったらしく、梨耀が翠美洞に退いてからは国が傾いた。かつて梨耀に壷を贈ったことがある。
栄祝(えいしゅく)
アニメ未登場。
現采王の黄姑の息子。砥尚の時代に冢宰として仕え支えていたが、国が傾くとその責任を王にしていとこでもある砥尚一人に押し付けようとした。砥尚が道を失うよう仕向けた張本人。砥尚の崩御を知ると自殺した。
朱夏(しゅか)
アニメ未登場。
扶王の時代では女学生で、王の治世に憤りを感じていた。出身地の高斗で栄祝と結婚。砥尚の時代は地官長大司徒(土地や戸籍を司る役職)であった。
Related Articles関連記事
屍鬼(小説・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『屍鬼』とは、小野不由美作のホラー小説およびそれを原作とした漫画、アニメ作品。藤崎竜によるコミック版が『ジャンプスクエア』にて連載された。アニメは2010年7月より12月まで全22話が放送された。人口1300人の小さな集落である「外場村」は、周囲から隔絶されたような地であり、いまだに土葬の習慣が残っている。ある日、山入地区で3人の死体が発見されたが、村人達の判断で事件性は無いとされ、通常の死として扱われた。しかし、その後も村人が次々と死んでいき、異変は加速していく。
Read Article
結構楽しめちゃう!【NHKアニメ】おすすめ7選
「NHKだから固いんでしょ」「子どもっぽそう」というイメージ持ってませんか?いやいや、完成度高い、大人も大満足のアニメ結構多いんですよ。 というわけで、今回はNHKアニメのオススメ作品をまとめてます。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『十二国記』の概要
- 『十二国記』のあらすじ・ストーリー
- 月の影 影の海
- 月の海 迷宮の岸
- 風の万里 黎明(れいめい)の空
- 乗月(じょうげつ)
- 東の神海 西の滄海(そうかい)
- 『十二国記』の登場人物・キャラクター
- 慶東国(けいとうこく)
- 中嶋陽子/景王/中陽子(なかじま ようこ/けいおう/ちゅう ようし)
- 景麒(けいき)
- 白芥瑚(はく かいこ)
- 冗佑(じょうゆう)
- 驃騎(ひょうき)
- 班渠(はんきょ)
- 重朔(じゅうさく)
- 雀胡(じゃっこ)
- 青猿(あおざる)
- 玉葉(ぎょくよう)
- 予王(よおう)/舒覚(じょかく)
- 舒栄(じょえい)
- 座長(ざちょう)
- 飴売り玉葉(あめうりぎょくよう)
- 微真(びしん)
- 黄鉄(こうてつ)
- 遠甫(えんほ)
- 蘇蘭玉(そ らんぎょく)
- 蘇蘭桂(そ らんけい)
- 祥瓊(しょうけい)
- 大木鈴/木鈴(おおき すず/もくりん)
- 清秀(せいしゅう)
- 呀峰(がほう)
- 昇紘(しょうこう)
- 小司馬(しょうしば)
- 靖共(せいきょう)
- 浩瀚(こうかん)
- 柴望(さいぼう)
- 垣魋(かんたい)
- 秋官長(しゅうかんちょう)
- 夏官長(かかんちょう)
- 迅雷(じんらい)
- 労蕃生(ろうはんせい)
- 虎嘯(こしょう)
- 夕暉(せっき)
- 達王(たつおう)
- 丕緒(ひしょ)
- 祖賢(そけん)
- 蕭蘭(しょうらん)
- 青江(せいこう)
- 悧王(りおう)
- 薄王(はくおう)
- 比王(ひおう)
- 蓮花(れんか)
- 嘉慶(かけい)
- 雁州国(えんしゅうこく)
- 延王・尚隆(えんおう しょうりゅう)
- 延麒六太/馬鹿(えんきろくた/ばか)
- 白沃飛(はく よくひ)
- 悧角(りかく)
- 楽俊(らくしゅん)
- 帷湍(いたん)
- 揚朱衡(よう しゅこう)
- 成笙(せいしょう)
- 鳴賢(めいけん)
- 蛛枕(ちゅちん)
- 豊老師(ほう ろうし)
- 犬狼真君/駁更夜(けんろうしんくん/ばく こうや)
- 驪媚(りび)
- 斡由(あつゆ)
- 亦信(えきしん)
- 院白沢(いん はくたく)
- 毛旋(もうせん)
- 元魁(げんかい)
- 標仲(ひょうちゅう)
- 包荒(ほうこう)
- 興慶(きょうけい)
- 巧州国(こうしゅうこく)
- 塙王(こうこう)/錯王(さくおう)
- 塙麟(こうりん)/塙和(こうわ)
- 白尹灑(はくいさい)
- 楽俊の母
- 達姐(たっき)
- 松山誠三(まつやま せいぞう)
- 恭州国(きょうしゅうこく)
- 供王・珠晶(きょうおう しゅしょう)
- 供麒(きょうき)
- 相如昇(そう じょしょう)
- 室季和(しつ きわ)
- 鉦担(しょうたん)
- 聯紵台(れん ちょだい)
- 芳極国(ほうきょくこく)
- 峯王・仲韃(ほうおう ちゅうたつ)/洌王(れつおう)
- 佳花(かか)
- 峯麟(ほうりん)
- 月渓(げっけい)
- 沍姆(ごぼ)
- 戴極国(たいきょくこく)
- 泰王・驍宗(たいおう ぎょうそう)
- 泰麒蒿里(たいき こうり)/高里要(たかさと かなめ)
- 白汕子(はく さんし)
- 傲濫(ごうらん)
- 醐孫(ごそん)
- 李斎(りさい)
- 呂迫(ろはく)
- 花影(かえい)
- 琅燦(ろうさん)
- 丈阿選(じょうあせん)
- 巌趙(がんちょう)
- 英章(えいしょう)
- 正頼(せいらい)
- 霜元(そうげん)
- 臥信(がしん)
- 漣極国(れんきょくこく)
- 廉王・鴨世卓(れんおう おう せいたく)
- 廉麟(れんりん)
- 才州国(さいしゅうこく)
- 采王・黄姑(さいおう こうこ)
- 采麟揺籃(さいりん ようらん)
- 翠美君(すいびくん)/梨耀(りよう)
- 砥尚(ししょう)/梧王(ごおう)
- 扶王(ふおう)
- 栄祝(えいしゅく)
- 朱夏(しゅか)
- 青喜(せいき)
- 遵帝(じゅんてい)
- 奏南国(そうなんこく)
- 宋王・櫓先新(そうおう ろ せんしん)
- 宋麟・昭彰(そうりん しょうしょう)
- 明嬉(めいき)
- 利達(りたつ)
- 利広(りこう)
- 文姫(ぶんき)
- 柳北国(りゅうほくこく)
- 劉王助露峰(りゅうおう じょろほう)
- 劉麒(りゅうき)
- 頑丘(がんきゅう)
- 瑛庚(えいこう)
- 蒲月(ほげつ)
- 率由(そつゆう)
- 淵雅(えんが)
- 狩獺(しゅだつ)
- 駿良(しゅんりょう)
- 恵施(けいし)
- 範西国(はんせいこく)
- 氾王・呉藍浟(はんおう ご らんじょう)
- 氾麟・梨雪(はんりん りせつ)
- 女仙(にょせん)
- 玉葉/碧霞玄君(ぎょくよう/へきかげんくん)
- 禎衛(ていえい)
- 蓉可(ようか)
- 少春(しょうしゅん)
- 海客・蓬莱(かいきゃく・ほうらい)
- 浅野郁也(あさの いくや)
- 杉本優香(すぎもと ゆか)
- 壁落人(へき・らくじん)
- 高里卓(たかさと すぐる)
- 要の祖母
- 中嶋正志(なかじま まさし)
- 中嶋律子(なかじま りつこ)
- 『十二国記』の用語
- 十二国世界の世界観・地理
- 雲海(うんかい)
- 虚海(きょかい)
- 凌雲山(りょううんざん)
- 五山(ござん)
- 蓬盧宮(ほうろぐう)
- 黄海(こうかい)
- 昇山(しょうざん)
- 四令門(しれいもん)
- 蝕(しょく)
- 卵果(らんか)
- 十二国世界の天・王・麒麟
- 天帝(てんてい)
- 西王母(せいおうぼ)
- 王(おう)
- 仮王(かおう)/偽王(ぎおう)
- 麒麟(きりん)
- 失道(しつどう)
- 女怪(にょかい)
- 十二国世界の王以外の身分・生物
- 仙(せん)
- 女仙(にょせん)
- 胎果(たいか)
- 海客(かいきゃく)/山客(さんきゃく)
- 妖魔(ようま)
- 使令(しれい)
- 半獣(はんじゅう)
- 騎獣(きじゅう)
- 白雉(はくち)
- 鸞(らん)
- 鳳凰(ほうおう)
- その他
- 冬器(とうき)
- 水禺刀(すいぐうとう)
- 懐達(かいたつ)
- 里家(りけ)
- 『十二国記』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「世界も他人も関係ない。私は優しくしたいから優しくするんだ。信じたいから信じるんだ」(中嶋陽子)
- 「楽俊の心が遠のいたんだ。楽俊は私が胎果でも差別しなかったのに王だと差別するのか。私たちの間には、たった二歩しかないじゃないか」「違う。おいらには三歩だ」(中嶋陽子・楽俊)
- 「自分を可哀想だっていうのはさ、ガキの涙だよ」(清秀)
- 「大事なのは相手の意図をくみ取ろうと努力をすること」(采王)
- 「この世は嬉しいこと半分、辛いこと半分できている」「その人が幸せなのは、恵まれているからではなく幸せであろうと努力をしたから」(采王)
- 「努力なしで物を与えられるってことは、それだけの働きを要求されるってことなんだ」「アンタは知ってなきゃいけなかったんだよ」(楽俊)
- 『十二国記』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『十二国記』は同著者の小説『魔性の子』の続編であり本編
- 原作小説とアニメの違い
- 塙麟の死因が病死から塙王による殺害に変更
- 杉本優香は陽子のもう一つの姿
- 楽俊が柳国に向かった理由
- 『十二国記』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):『十二幻夢曲』
- ED(エンディング):有坂美香『月迷風影』