文豪とアルケミスト(文アル)のネタバレ解説・考察まとめ

『文豪とアルケミスト』(略称:文アル)とは、「文豪」を題材にした育成シミュレーションゲームである。開発・運営は、ゲームプラットフォームのDMM GAMESである。2016年11月にブラウザ版がリリースされ、翌年の2017年6月にスマートフォン版の配信が開始された。大正ロマンとスチームパンクを基調にした現実とは異なる歴史を歩んだ日本を舞台に、物語を展開していく。侵蝕者と呼ばれる敵から文学を守る為、プレイヤーは文豪達を転生させ、彼らと共に侵蝕者達と戦っていく事となる。

CV:下野紘
19世紀に活躍した文豪のレフ・トルストイをモデルにしたキャラクター。当時のロシア文学を代表する人物として有名だ。大衆小説の作家で、代表作に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』などが存在する。小説家以外にも、人間の福祉を第一とする「人道主義」の思想家としても活躍した。潜書時の武器は鞭。通常衣装時の属性は水となっている。精神状態は不安定。
感情豊かな明るい雰囲気の青年キャラクターである反面、作家だった頃の記憶がほとんどないという重たい事情を抱える。これは、彼の代表作であった『戦争と平和』が侵蝕の激しい状態にあった事が原因だ。彼自身はあまり覚えていないが、文豪として活躍していた頃に国内外問わずさまざな文豪に影響を与えており、日本の文豪・武者小路実篤もその1人である。武者小路実篤とは、お互いに温厚な性格であった事もあり波長があったようで、顔見知りになった後は手紙のやり取りを行うまでとなった。
同じロシアの文豪であるドストエフスキー(フョードル・ドストエフスキー)の事を慕う。ドストエフスキーは、トルストイと対比される事の多いロシア文豪であり、ロシアの古典文学を代用する2大ロシア文豪として、共に肩を並べて語り継がれている。文豪として活躍していた頃に交流はしていなかった筈だが、『文アル』中ではお互いの事を愛称で呼び合う仲にある。ギャンブル癖のせいで何かと借金を作りがちなドストエフスキーの事を、トルストイの方が心配している。だが、トルストイの方も金銭感覚が少しズレた面がある為、金遣いに関しては他者の事を言えない。この設定は、彼のモデルのトルストイが伯爵家の四男という貴族の立場にあった事が元ネタと推測される。

フョードル・ドストエフスキー

CV:森川智之
19世紀に活躍した文豪のフョードル・ドストエフスキーをモデルにしたキャラクター。ロシア文学を代表する純文学の作家で、「魂のリアリズム」という独自の手法で、人間の内面に迫る作品を書き続けた事で有名だ。代表作に『カラマーゾフの兄弟』『白夜』『罪と罰』などが存在する。小説家以外にも思想家としても活躍した。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は土となっている。精神状態は安定。
公式いわく「図書館一扱いにくい男」だという。ギャンブルが大好きで規律も守らず、普段の生活から素行の悪さが目立つ為、そのような認識をされているようだ。潜書に向かうのをすっぽかした事すらある。
とはいえ、人付き合いが悪いわけではなく、周囲の文豪とはそれなりの仲でやれている。日本文豪との付き合いも多く、特に同じくギャンブルが大好きで借金を作っている詩人・石川啄木とは馬が合う様子だ。そのほかの文豪とも、花札などの遊びに興じている模様。同じくロシア文豪であるトルストイとは、お互いに愛称で呼び合う仲ではあるが、ドストエフスキーの方は彼の事を少々面倒に感じている。自分の生活態度の悪さにトルストイが小言を言ってくるので、その事に面倒臭さを感じている模様。なお、文豪として活躍していた頃は交流こそなかったが、モデルとなったドストエフスキー自身はトルストイの事を強く意識していたといわれる。貴族の立場であった上で作家として成功しているトルストイに対して、ドストエフスキーの方は借金まみれの貧乏生活であった為、立場の違いから相手を羨んでいたようだ。また、アメリカ文豪であるポーの影響を受けていた事もあってか、転生後はポーとも交流を図っている。自分の作品を批評してもらうなど、文豪として良好的な関係を築きつつある。

ドイツ

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

CV:井上和彦
18世紀から19世紀頃に活躍した文豪のヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテをモデルにしたキャラクター。ドイツ文学を代表する作家で、小説・詩・劇など多くの作品を作り上げた。代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』『ファウスト』などが存在する。特に『ファウスト』は、後世のさまざまな作品にて多くオマージュされている有名作だ。文筆業以外にも、自然科学者・博学者・政治家・法律家としても活躍した。潜書時の武器は弓。通常衣装時の属性は水となっている。精神状態は普通。
物腰柔らかな老紳士なキャラクターで、接しやすい事に加え博識である事から国内外問わずさまざまな文豪が彼を尊敬している模様。博識であるのは、彼が文豪であった頃に科学者や博学者でもあった事が理由と考えられる。転生後も自身の知的好奇心に従い、知識の吸収に勤しんでいる様子だ。また、実はドイツのアルケミストであったという『文アル』独自の設定が存在する。「精神エネルギーと概念」、そしてドイツに伝わる錬金術師・ファウストについて研究していたとのこと。しかし秘密裏に研究していた事もあってか、研究内容は論文では残さず、彼の代表作である『ファウスト』の中に封じ込めた。これにより本の中には、「知識の本棚」と呼ばれる広大な知恵が集まる概念世界が誕生する。その後ゲーテは、侵蝕者のボス的存在・メフィストフェレスの襲撃を受け、彼から逃げる為に『ファウスト』の中にある知識の本棚に自分を封じ込めた。そうしてそれから約100年後、メフィストフェレスについて調べていたプレイヤー達がゲーテと遭遇した事がきっかけで、彼も文士として帝国図書館で暮らす事になる。弟子であったアルケミスト・ファウストからは、自身が所属する海外の秘密組織・結社に来て欲しいと散々頼まれているとの事だが、ゲーテ本人に結社へ行く気はない。

フランス

シャルル・ボードレール

CV:木村良平
19世紀に活躍した詩人のシャルル・ボードレールをモデルにしたキャラクター。フランスの近代詩と象徴主義と呼ばれる主義を作り上げた人物だ。代表作に『悪の華』『信天翁』『パリの憂鬱』などが存在する。文筆業以外にも、自然科学者・博学者・政治家・法律家としても活躍した。潜書時の武器は銃。通常衣装時の属性は水となっている。精神状態はやや不安定。
ナルシストで高飛車な性格の青年キャラクターとなっている。公式いわく、「己の美意識に絶対的な自信を持つ」とのこと。かつてはその美意識が高じた結果、自身の理想の世界を作り上げる為にと、代表作『悪の華』で負の精神エネルギーを集めていた。プレイヤーと文豪達の活躍によってその企てが止められて以降は、文士として帝国図書館で侵蝕者との戦いに臨む事になる。
アメリカ文豪のポーを心の底から尊敬している。特にポーに対しては少々行き過ぎた尊敬心を持っており、出会って早々に彼の下僕を希望するという予想外の行動を起こした。結局下僕にはなれなかったが、その後も「ポー様」という敬称で彼を呼び慕う。そのような状態の為か、ポーに付き従うアメリカ文豪のラヴクラフトの事を快く思っていない。
自身と同じフランス文豪のランボーとは、良好な交友関係にある。なお、ランボーの方は文豪として活躍していた頃からボードレールを尊敬していた模様。『文アル』中では『悪の華』の中で行き倒れていたところを彼に救ってもらった事から、「兄貴」と呼び慕っている。ボードレールの方も高飛車な言動はランボーに対しても変わらずだが、自分の事を慕う彼を無下にはできないのか、言葉の端々から彼を気にかけているさまが見受けられる。

アルチュール・ランボー

CV:小林千晃
19世紀に活躍した詩人のアルチュール・ランボーをモデルにしたキャラクター。フランスの詩人の中でも優れた才能があった者達「1870年の五人の異端者」の1人でもある。代表作に『地獄の季節』『酔いどれ船』『イリュミナシオン』などが存在する。潜書時の武器は銃。通常衣装時の属性は風となっている。精神状態はやや安定。
無口無表情の無愛想な少年キャラクターとなっている。公式いわく「放浪癖がある」との事で、ふらっと突然いなくなる事も多い。これは、モデルであるアルチュール・ランボーが何度も家出をしては放浪をしていた事が元ネタと推測される。普仏戦争が始まったと同時に革命思想に目覚め、権力や当時フランス国内に存在していた支配構造などから逃避する為のものだったと推測される。無口である事も、詩人として言葉に対するこだわりが強すぎる為、発言する内容を深く考え込んでしまう事が原因にある。
上記のような性格の為、ほかの文豪達との交流は少なめだが、同じフランス文豪であるボードレールの事は慕っており、よく一緒にいる。詩人として活躍していた頃からボードレールを尊敬していた事にくわえ、彼の著書である『悪の華』の中で行き倒れていたところを助けてもらった事も彼を慕う理由の1つである模様。「兄貴」と呼び慕う。そのほか、日本の詩人である中原中也から慕われている。彼からの強い尊敬の念に、ランボー自身は戸惑う事が多いものの、内心では嬉しく感じている様子。

アメリカ

アーネスト・ヘミングウェイ

CV:黒田崇矢
20世紀に活躍した文豪のアーネスト・ヘミングウェイをモデルにしたキャラクター。アメリカを代表する大衆小説の作家で、代表作に『日はまた昇る』『老人と海』『誰がために鐘はなる』などが存在する。小説家以外にも詩人やジャーナリストとして活躍した。潜書時の武器は鞭。通常衣装時の属性は火となっている。精神状態は不安定。
釣りと狩猟が好きなアウトドア派の文豪キャラクターとなっている。この趣味趣向は、モデルとなったアーネスト・ヘミングウェイの生活が冒険的であった事が元ネタの模様。また、ハードボイルドな小説を多く書き出していた事からか、たくましく強靭な印象を覚える外見をしている。言動もシニカルな印象のものが多く、正にハードボイルドの言葉を体現した存在だ。反面、戦闘になると好戦的な姿を見せ、率先して敵に切り込んでいく。公式いわく「戦いの中で魂が磨かれていく」という信念があるようで、その信念から積極的に命を賭けてしまうのだそう。
帝国図書館の文豪達との仲は概ね良好。インドア派で力仕事を嫌う文豪達が多いなか、率先して力仕事をしてくれるほか、アウトドアな活動であっても積極的に取り組んでくれるので、交友関係が広がりやすい様子だ。また、面白そうだと思った事にはすぐに首を突っ込んでいく行動力もあるので、それも交友関係を広げている理由の1つと考えられる。ただし、文豪として活躍していた頃からの友であるアメリカ文豪のフィッツジェラルドに対しては、なぜか距離を置いている節がある。理由は不明だが、過去友人関係にあった時に何度も喧嘩や絶交をくり返していたので、それが原因の可能性が高い。また、モデルとなったアーネスト・ヘミングウェイが猫を大切にしていた事から、『文アル』中の彼にも猫好きという設定がある。帝国図書館にいるネコの事すらも、普通の猫同様に可愛がる描写が作中にてされていた。

フランシスコ・スコット・フィッツジェラルド

CV:駒田航
20世紀に活躍した文豪のフランシスコ・スコット・フィッツジェラルドをモデルにしたキャラクター。筆名はF・スコット・フィッツジェラルドで、20代に第一次世界大戦を体験した世代「ロスト・ジェネレーション」(失われた世代)を代表する作家として有名だ。代表作に『グレート・ギャツビー』『ジャズ・エイズの物語』『夜はやさし』などが存在する。潜書時の武器は刃。通常衣装時の属性は風となっている。精神状態は安定。
派手な事が大好きな軟派な雰囲気の青年キャラクターである。陽気な性格で、公式いわく「巧みな話術で初対面の人ともすぐに仲良くなれる」という。おかげで、帝国図書館にいる文豪達との仲も良好的だ。しかし、同時にそれが彼の短所でもあり、「沈黙が大嫌いで1秒でも黙っていられない」ため、どんな場面でも何かを喋ってしまう癖がある。
文豪として活躍していた頃からの友人である同じアメリカ文豪のヘミングウェイとは、転生後も友人同士である。だが、過去に何度も喧嘩や絶交をくり返していたからか、ヘミングウェイの方からは少し距離を置かれている。フィッツジェラルドとしては複雑な思いでいるようだが、強くは言い出せないでいる様子だ。
また、度々文豪間でパーティーを開いているのか、手紙のやり取りをしている文豪から「招待状をありがとう」「最高だった」という言葉をもらっている。なお、開放的な気分になると勢いでお酒をたくさん飲んでしまうようで、ロシア文豪のトルストイから「お酒はほどほどに」と窘められているさまもある。

エドガー・アラン・ポー

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