文豪とアルケミスト(文アル)のネタバレ解説・考察まとめ

『文豪とアルケミスト』(略称:文アル)とは、「文豪」を題材にした育成シミュレーションゲームである。開発・運営は、ゲームプラットフォームのDMM GAMESである。2016年11月にブラウザ版がリリースされ、翌年の2017年6月にスマートフォン版の配信が開始された。大正ロマンとスチームパンクを基調にした現実とは異なる歴史を歩んだ日本を舞台に、物語を展開していく。侵蝕者と呼ばれる敵から文学を守る為、プレイヤーは文豪達を転生させ、彼らと共に侵蝕者達と戦っていく事となる。

CV:伊藤健太郎
19世紀に活躍した文豪のエドガー・アラン・ポーをモデルにしたキャラクター。推理小説の開拓者として知られ、「推理小説の父」とも呼ばれる。代表作には『アッシャー家の崩壊』『モルグ街の殺人』『黒猫』などが存在する。小説家以外にも詩人や評論家として活躍した。潜書時の武器は鞭。通常衣装時の属性は土となっている。精神状態はやや不安定。
常に不敵な笑みを浮かべている青年キャラクターとなっている。ゴシック調の恐怖小説を多く書いた事に由来してか、ゴシック調の衣装に身を包んでおり、貴族のような外見が特徴的だ。口調もどこか高貴な貴族のようなものとなっており、自分が周囲より目上の立場にある事を自負している様子。しかし、そんな旧時代の貴族を思い出すような姿勢を見せながらも、現代ファッションも着こなして見せたりと、新しいもの対して素直に受け入れる姿勢も併せ持つ。また、公式いわく「お金に関して細かいこだわりがある」との事で、金銭感覚は厳しめなところがある。
なお、実際のところ彼の作品に影響を受けた文豪は多い為、その尊大な態度はあながち間違いではないといえる。日本文豪の中では、文豪・江戸川乱歩が彼の作品に大きな影響を受けていたという。筆名の「江戸川乱歩」も、ポーの名前を文字ってつけたものだそう。「和製ポー」と評価された文豪・谷崎潤一郎も、彼の事を尊敬している様子だ。海外文豪の中では、イギリス文豪のコナン・ドイルとフランス文豪のボードレールが彼に尊敬の眼差しを向けている。特にボードレールの方は、出会って早々にポーの下僕を希望するほどに熱い尊敬の念を持っている模様。そのほか、自身と同じアメリカ文豪のラヴクラフトの事を召使いのように扱っている。ラヴクラフト自身も、文豪として活躍していた頃からポーに憧れていた事から、素直に付き人役を担う。

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

CV:村上聡
20世紀に活躍した文豪のハワード・フィリップス・ラヴクラフトをモデルにしたキャラクター。怪奇・幻想小説の先駆者として有名で、コズミック・ホラーと呼ばれるジャンルを作り上げた。生きていた頃は名を広める事はできなかったが、死後に有名となる。一連の作品は「クトゥルフ神話」と呼ばれる創造の神話の1つとしてまとめられ、後世にてさまざまなオマージュ作品が生み出され続けている。代表作は『クトゥルフの呼び声』『狂気の山脈にて』『インスマウスの影』など。潜書時の武器は鞭で、通常衣装時の属性は火となっている。精神状態は安定。
物静かな性格の青年で、手には常に大きな壺を抱えている。壺の中には蛸のような姿をした生物が入っているが、ラヴクラフト自身はその正体を知らないとのこと。正体は不明だがラヴクラフトの味方ではあるようで、彼が侵蝕者に襲われた時は侵蝕者を壺の中に吸い込んだり、別空間に飛ばしたりしていた。彼の代表作であるクトゥルフ神話には、クトゥルーと呼ばれる蛸に近しい姿をした生物が登場している為、この生物が元ネタと推測される。なお壺の中には、ラヴクラフトが尊敬し常に付き従っているアメリカ文豪・ポーの使い魔である黒猫「忍び寄るもの」もいれられているという。この黒猫は、ポーの代表作『黒猫』から生まれた概念であるようだ。
性格が性格な為、あまり他の文豪達と交流を図っていない。だが、尊敬しているポーと、ポーを尊敬している文豪達とは気が合うらしく、時々一緒に過ごしている模様。ログイン画面で表示される会話文では、日本文豪の江戸川乱歩や童話作家の宮沢賢治と、好物であるアイスクリームなどのジャンクフードを一緒に食している様が描かれていた。フランス文豪のボードレールからは、憧れのポーの付き人役をしているという事でライバル心を抱かれているようだが、ラヴクラフト自身はあまり気にしていない。そのほか、文豪・夢野久作から一方的に興味を持たれている。これは夢野久作自身が猟奇的な事が好きな為、その延長線でラヴクラフトの持つ壺の中身とそれを持つ彼自身に興味を示している模様。

イギリス

コナン・ドイル

CV:三上哲
19世紀から20世紀にかけて活躍した文豪のコナン・ドイルをモデルにしたキャラクター。人気推理小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを生み出した作者として有名だ。『シャーロック・ホームズ』以外にも、『四つの署名』『失われた署名』などが代表作として存在する。小説家以外にも医師や政治家としても活躍した。潜書時の武器は鞭。通常衣装時の属性は火となっている。精神状態は安定。
公式いわく「自信家で正義感が強い」英国紳士だという。推理小説を書いていたからか理知的な一面もある反面、妖精や幽霊といった分野の話題も好き。ほかのオカルト好きな文豪達とも話が合うようで、趣味趣向が合う文豪達を中心にさまざまな文豪達と交流している。なかでも、日本を代表する推理小説作家の江戸川乱歩からは強い尊敬の眼差しを向けられており、彼の方から積極的に交流を求められている模様。同じイギリス文豪であるルイス・キャロルとも仲がよい為、文豪間での複雑な人間関係は存在しない。その代わりか、自身の代表作の主人公であるシャーロック・ホームズの事を酷く嫌っている。本人いわく「シャーロック・ホームズの話を書いていた」というよりも、「彼に書かされていた」という感覚が強い為、嫌いなのだという。これは、モデルのコナン・ドイルが一度は「シャーロック・ホームズの死」という形でシリーズを完結せたものの、世間の反響などさまざまな要因から、数年の時を経てシャーロック・ホームズをまた書き始めたというエピソードが元ネタと推測される。大衆に臨まれるがまま書いていく内に、彼の中でシャーロック・ホームズというキャラが自分を越えた存在として動くようになり、物語を書かされていたという感覚になってしまった模様だ。また、創作者の中には一定層「物語を作る中で勝手にキャラクターが動き出した」と述べる者がおり、『文アル』のコナン・ドイルもその内の1人だった可能性がある。「書かされていた」という感覚をさらに強めた要因になったと推測される。

ルイス・キャロル

CV:蒼井翔太
19世紀に活躍した童話作家のルイス・キャロルをモデルにしたキャラクター。世界的に有名な童話『不思議の国のアリス』の作者でもある。『不思議の国のアリス』以外にも、『鏡の国のアリス』『スナーク狩り』などが代表作として存在する。童話作家以外にも詩人や数学者、論理学者や写真家としても活躍した。潜書時の武器は銃。通常衣装時の属性は風となっている。精神状態は普通。
少々人見知りな青年キャラクターとなっている。気も弱いが根っこは明るい性格な為、気を許した相手には素の性格で接する。実際、同じイギリス文豪であるコナン・ドイルに対しては心を開いており、手紙のやり取りも行っている。写真家だった事もあってか写真を撮るのが好きで、よく帝国図書館内を撮影している模様。同じく写真が好きだという日本の詩人・萩原朔太郎からも、好感を持たれている様子だ。萩原朔太郎自身がルイス・キャロルのように他者に対して気弱な一面があるので、その事も1つの理由と推測される。そのほか、写真好きな文豪達から多く声をかけられている事が、作中の手紙のやりとりで発覚している。
写真以外ではパズルや謎解き、さらには少女が好むようなものも好きとの事で、お茶会などの華やかな催し物が大好きだという。この少女趣味については、モデルであるルイス・キャロルが、幼い少女を好むロリータコンプレックス、またはアリスコンプレックスであったという話が元ネタな模様。なお、『文アル』のルイス・キャロルいわく、自身は「純粋な少女の信奉者」である事も明かされている。

帝國図書館職員

館長

CV:綱島郷太郎
帝国図書館の館長を務める男性。チュートリアルの案内役を担うほか、メインストーリーや定期的に開催されるイベントの中でも度々重要なキャラクターとして登場する。不定期に開催されるイベント「館長と共同研究」では、そのイベント名通り、彼がメインの役回りを務めている。
本人いわく、自身もプレイヤーと同じアルケミストであるとのこと。だが、力が不安定な為、プレイヤーのように文豪を本から転生させる事は難しい。チュートリアルの際に1人文豪を転生させてはいたが、長時間の転生は不可能であった為、改めてプレイヤーが転生する流れとなった。これにより、文豪と侵蝕者との戦いに関する事は全てプレイヤー任せになってしまう為、申し訳なく思っている事が多々作中で語られている。その代わり、他の国定図書館や政府との情報共有・仕事の交渉等をこなしているらしく、普段から各地を歩き回っている模様。図書館にいる時の方が少なく、アルケミストとして提出しなければならない研究のレポートを仕上げている暇もなかなか取れないとのこと。不定期開催の「館長と共同研究」では、そうしたレポートの仕上げに帝国図書館職員一同、さらに時として文豪まで駆り出されている光景が描かれている。
館長である以前に館長個人としても文学の事が大好きとのこと。プレイヤー宛に送られてくる手紙にも度々、「読む暇がなく積んでいる本があるのに、また新しい本を買ってしまった」といった旨が記載されており、無類の本好きである事がわかる。文豪達との仲も悪くはなく、仕事がない日は一緒に酒を嗜んでいたりする。

ネコ

CV:大河元気
帝国図書館館長の右腕の喋るネコ。名前はなく、自身でも自らを紹介する際に「名前はまだニャイ」と述べている。政府から帝国図書館に出された指示を伝達する役割を担う。
ネコとはいっても中身は本物のネコではなく、館長がかつてとある錬金術の本から転生させてしまった存在である。その正体は、かつてアルケミストとして活躍した「ファウスト」という名の人物である。本の中に封じられていたファウストの魂を、偶然にも館長が持っていたアルケミストの力が引き寄せてしまい、普通のネコの身体を依り代に転生させてしまった模様。一時は記憶喪失でファウストとしての記憶を失っていたが、イベント『異境秘録「悪の華」ヲ浄化セヨ』にて正体が判明し、記憶を取り戻す。しかし、本人は「ネコ」として帝国図書館にあり続ける事を選び、イベント後も館長の右腕のネコとして己に課された役割を全うしている。
性格は無愛想であるが、公式いわく「撫でられるのは構わない」そう。作中ではそのような様は見せないが、公式Xで公開された自己紹介では構ってほしそうな様子を見せており、実は構われたがりな模様。

アカ

CV:市川太一
帝国図書館の職員であるアルケミストの少年。特務司書であるプレイヤーのサポート役を担う。本人いわく『文アル』のゲームシステムの1つである「召装」の研究も合わせてしているとのこと。手紙や定期イベントの導入役として登場する事が多い。なお、名前はあくまでも便宜上のものらしく、本名は不明である。
勝ち気な性格の少年で、相手が上司の館長であれ有名な文豪であれ、その態度は変わらない。それどころか、館長に対しては自らの方が優秀なアルケミストであると豪語している。実際、「3秒先の未来を言い当てられる」「難しい技術が必要な錬金術を行える」といった描写が作中であり、アルケミストとしては確かな実力を持つ事が示されている。
甘い物が大好きで、作中では館長から「大判焼き」を振る舞われて喜んでいる様も描かれていた。同僚のアオと仲が良いらしく、よく一緒にいる。

アオ

CV:井上雄貴
帝国図書館の職員であるアルケミストの少年。特務司書であるプレイヤーのサポート役を担う。本人いわく『文アル』のゲームシステムの1つである「召装」の研究も合わせてしているとのこと。手紙や定期イベントの導入役として登場する事が多い。なお、名前はあくまでも便宜上のものらしく、本名は不明である。
大人びた雰囲気のある少年で、常に敬語で喋る。だが、「館長より優れたアルケミストである」と豪語したり、文豪達に対して容赦ない物言いをしたりと、子どもらしい生意気な言動も多い。実際、館長よりもアルケミストとしての力が安定しているのは事実なようで、館長ができない文学書の中に入る錬金術を扱える。
同僚のアカと気が合うようで、よく一緒にいる。ただし、甘いもの好きなアカに対してアオの方は辛いもの好き、アカが「大判焼き」と言う一方でアオは「今川焼き」と言うなど、趣味趣向は異なる部分が多い様子だ。

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