へび少女(楳図かずお)のネタバレ解説・考察まとめ

『へび少女』とは、楳図かずお原作のホラー漫画。1966年に、『週刊少女フレンド』誌上にて連載された。楳図かずおは、恐怖漫画の第一人者であるが、同作品が彼の出世作として知られている。少女が蛇に変身していく様が徹底したホラー描写で描かれており、多くの読者に強烈なインパクトを与えた。『へび少女』は、銃でうわばみを撃った祖父を持つ主人公の少女が、継母としてやって来たへび女の復讐によって、蛇に変身していく。そして、主人公の親友姉妹が、彼女を助けるために活躍するという物語である。

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『へび少女』におけるラスボス的存在。左目に黒い眼帯を着けた中年女性の姿をしており、常に和服を着ている。美女の姿をしているものの、その正体は山中村のしのばずの沼に棲んでいたうわばみだった。夜になると、正体を現す。人間の姿になった理由は、自分の左目を失明させた中村利平の孫、洋子に復讐するためだった。言葉巧みに洋子に近づき、彼女を養女にするとへび少女に仕立て上げるまであらゆる責め苦を行う。復讐の総仕上げとして、サツキに洋子を殺害させようとしたが失敗に終わる。その後は、洋子との一騎打ちとなり、山津波に流されて生死不明となった。

その他

中村利平(なかむらりへい)

中村洋子の祖父。明治40年8月、山中村のしのばずの沼に狩りに赴いた際にうわばみと遭遇した。無我夢中で銃を撃つと、弾丸はうわばみの左目を貫いた。命からがら逃げ帰ったものの、数日間高熱にうなされて、湯かを這いずって動くなど、まるで蛇のようになって亡くなった。この不思議な行動が、うわばみの復讐によるものかについては明かされていない。

中村家のばあや

中村家に長年仕えている老婆。洋子の家族が亡くなった後も彼女と暮らしていたが、へび女の襲撃を受けて死亡した。

山川ウメ(やまかわウメ)

サツキとカンナの祖母。山中村に代々伝わっているうわばみの話を孫娘たちに聞かせ、うわばみを撃ったため洋子の祖父利平が亡くなったことも話した。

山川良三(やまかわりょうぞう)

サツキとカンナの父親。サツキがへび女とへび少女(洋子)によってかどわかされた際に、カンナを連れてサツキの捜索へ出かけた。へび女の屋敷に捕らわれていたサツキを発見すると、へび女に殺害されそうになった彼女を助けて、山津波が来る前に脱出に成功した。

へび女の母

へび女の母親で、屋敷の離れに住んでいた。年老いた人間とへびの中間のような姿をしており、洋子が彼女を見かけた時は冬眠中だった。

へび屋敷のばあや

へび女の屋敷に住む老女で、使用人。既にへび女に操られている存在で、命令を受けるとへびのような姿に変化する。

クマ公(クマこう)

中村利平が飼っていた犬。猟犬的な存在で、利平が狩りに連れて行った際にうわばみに遭遇した。その後、うわばみに食べられてしまった。

『へび少女』の用語

うわばみ

うわばみの存在に驚く山川サツキ(右)とカンナ(左)

うわばみとは、大きな蛇のことである。漢字では、「蟒蛇」が用いられる。所謂ボア系の蛇や、伝説上の大蛇(おろち)を指すことが多い。また、大酒のみのことを指す俗語としても使用される。『へび少女』におけるうわばみは、山中村のしのばずの沼に棲む大蛇のことであり、明治時代に中村利平がうわばみの左目を銃で撃ち抜いた事件が物語の発端となった。また、同作品におけるうわばみのうろこには特殊な効果があると示唆されており、うろこを飲み込んだ者は蛇に変身してしまう。

山中村(やまなかむら)

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