『イーグル』とは、かわぐちかいじの政治漫画である。1998年から2001年まで『ビッグコミック』で連載された。新聞記者城鷹志は、唯一の肉親である母を事故で亡くす。悲しみの中、突如アメリカ大統領選挙候補者の1人ケネスから密着取材を指名された。アメリカに渡った城は、ケネスから自分の子供である事を告げられる。動揺しながらも、彼はアメリカ大統領選挙を戦うケネスの取材を行う。その取材の過程で母親が何者かに暗殺された事に気付く。事件の真相に迫りながら、アメリカの抱える政治的問題が描かれていく。
具志川(ぐしかわ)
沖縄県警金武警察署の刑事であり、富子の事故死を鷹志に知らせた人物でもある。生前の富子の店の常連客でもあった。
渡嘉敷ノブ(とかしき のぶ)
鷹志の実家である小料理屋「とみ子」の隣人女性。富子と鷹志母子とは古い付き合いであった。富子の遺体の第一発見者でもある。
野々村(ののむら)
毎朝新聞ワシントン総支局の記者であり、鷹志のアメリカにおける先輩。鷹志からケネスの情報を聞き出そうとする。だが選挙中は記事を書かない約束を厳守して黙る鷹志に、激怒した。
『イーグル』の用語
政治関係
大統領選挙
アメリカで4年に1回、閏年に開催される大統領を決める選挙。全米各地で行われ、アメリカ中がお祭り騒ぎとなる。
アメリカは民主主義国家であり、大統領制度を採用している。この為、民衆は強力なリーダーを求める一方、独裁を防ぐ為に任期を4年と設定している。そして大統領はこの選挙にもう一度だけ立候補出来、当選すればもう4年続投出来る。つまり、アメリカ大統領は最長8年の任期を持つ。
情報スーパーハイウェイ構想
ノアが大統領選挙においてスローガンにしている思想。特定のエリート層へ集中的に情報を与えて育て上げ、大衆を導かせるという考え方である。この背景には増え続ける移民への教育不足と、その事に起因する貧困問題があった。
21世紀への移民
ノアに対抗し、ケネスの打ち出したキャッチコピー。ノアが少数のエリート層に教育を集中させようとしているのに対し、ケネスはより多くの移民への教育を行なっていくスタンスを取った。
銃規制
アメリカは銃の携帯が許可されており、全米ライフル協会という強力な組織が政治に多大な影響を与えている。一方で銃乱射事件等が頻発しており、市民は不安を抱えながら生活している。こうした状況を打破すべく、ケネスは大統領選挙の際に銃規制を掲げていた。それは全米ライフル協会という巨大な組織を敵にする事でもあり、かなりの覚悟が必要な事である。
人種差別撤廃
アメリカは移民によって作られた国である。今も尚、多くの移民がアメリカに流入しているのが現状である。この移民には、かつてアフリカから強制的に現地住民を奴隷として連行してきた人々も含まれている。奴隷制度は撤廃されたものの、解放されたアフリカ系の人々への差別は根強く残った。その差別意識は子孫へと受け継がれ、未だに一部では白人優位思想の元、差別が行われている。
人種差別はアフリカ系だけには留まらない。白人優位思想はアジア系の人々へも向けられている。特にヒスパニック系移民が数を増やしており、その差別意識は大きくなっていた。その背景には、移民に雇用機会を奪われて失業してしまう雇用問題、文化や宗教の違いによる衝突、移民の貧困による治安悪化等がある。
ケネスはこういった人種差別を無くすべく、貧困に喘ぐ移民達へ支援を行おうとしている。
ファーストレディー
元々は大統領夫人の事を指す。だが様々な国でこの呼び名が使われるようになり、国家元首の配偶者を指す言葉となった。また一般社会では「第一線で活躍する女性」をファーストレディーと呼称する事もある。
ベトナム戦争
Related Articles関連記事
沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ
『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。
Read Article
ジパング(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ジパング』とは2000年よりかわぐちかいじが『モーニング』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。西暦200X年の6月、日本海上自衛隊の最新型イージス艦みらいはミッドウェー沖合にて落雷を受ける。それをきっかけに、彼等はイージス艦ごとミッドウェー海戦直前の1942年6月4日の太平洋上にタイムスリップした。オーバーテクノロジーを保有する形となった彼等は、戦前の人々や歴史の流れの中で葛藤し、各々の思想の違いによって対立していく。そして彼等の存在は、歴史を大きく変えて行くのであった。
Read Article
目次 - Contents
- 『イーグル』の概要
- 『イーグル』のあらすじ・ストーリー
- アメリカへ発つ
- もう1人の主人公
- 民主党予備選挙
- 本選挙
- 事件の真相と結末
- 『イーグル』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 城鷹志(じょう たかし)
- ケネス・ヤマオカ
- ケネス陣営
- アーサー・マッコイ
- ジョージ・タクト
- ジョン
- サラ
- ロベルト・デュラン
- ケネスの家族
- パトリシア・ハンプトン・ヤマオカ
- レイチェル・ヤマオカ
- アレックス・ヤマオカ
- ジョセフ・ヤマオカ
- エリザベス・マクラウド
- チャールズ・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン
- ジュリー・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン一世
- ジョージ・ヤマオカ
- キャサリン・ヤマオカ
- 山岡重吉(やまおか しげきち)
- ノア陣営
- アルバート・ノア
- アンドリュー・ウォルシュ
- ディヴィッド・ローゼンバーグ
- 政治家関連
- リチャード・グラント
- ビル・クライトン
- エラリー・クライトン
- ビル・ゴールドブラム
- ウーズマン
- ギルバート・ブラックバーン
- ビリー・グラハム
- アルバート・ノア・シニア
- その他
- ドン・テイラー
- サム
- ウィリス
- マイケル・コズリョフ
- アフメド・ザマル
- マリア・ステファーノ
- ウォルター・クロンダイク
- ゲイリー・ケリガン
- クルーニー
- サイモン・ジョーンズ
- ダニエル・ニコルズ
- 城富子(じょう とみこ)
- 具志川(ぐしかわ)
- 渡嘉敷ノブ(とかしき のぶ)
- 野々村(ののむら)
- 『イーグル』の用語
- 政治関係
- 大統領選挙
- 情報スーパーハイウェイ構想
- 21世紀への移民
- 銃規制
- 人種差別撤廃
- ファーストレディー
- ベトナム戦争
- 組織名
- ファースト・アメリカン・バンク
- フットボールサークル
- ハーバード大学
- 『イーグル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ケネス・ヤマオカ「私は第43代アメリカ合衆国大統領に、立候補致します!」
- 富子が大切にしていた写真
- ケネスとノアが握手するシーン
- ケネス・ヤマオカ「いかなる暴力にも屈しない!!」
- チャールズ・ハンプトン「夢は…叶った!!」
- ケネス・ヤマオカ「戦いの只中へと巻き込んでしまったのは誰でもない、この私なのだ!」
- 『イーグル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実際のアメリカ大統領はお祭り騒ぎ
- 戦争と平和の願いが込められたアメリカの国章イーグル
- アメリカに影を落としたベトナム戦争
![RENOTE [リノート]](/assets/logo-5688eb3a2f68a41587a2fb8689fbbe2895080c67a7a472e9e76c994871d89e83.png)