『イーグル』とは、かわぐちかいじの政治漫画である。1998年から2001年まで『ビッグコミック』で連載された。新聞記者城鷹志は、唯一の肉親である母を事故で亡くす。悲しみの中、突如アメリカ大統領選挙候補者の1人ケネスから密着取材を指名された。アメリカに渡った城は、ケネスから自分の子供である事を告げられる。動揺しながらも、彼はアメリカ大統領選挙を戦うケネスの取材を行う。その取材の過程で母親が何者かに暗殺された事に気付く。事件の真相に迫りながら、アメリカの抱える政治的問題が描かれていく。
ケネスの兄で、尊敬する存在。ケネスと同じイェール大学に在籍し、秀才で花形フットボール選手として活躍。人望が厚かった。卒業の際、大学院に進学すれば徴兵されずに済む状況であった。だがアメリカ国民の義務を果たすべく、アメリカ陸軍の徴兵を受けてベトナム戦争に参加し、ベトナムで戦死した。出兵直前、ベトナム戦争への大義に疑問を持ち悩んでいた本心をケネスに打ち明ける。
ジョセフの死を受け、ケネスはベトナム戦争への出兵を決断している。
エリザベス・マクラウド
ケネスの姉で、彼がベトナム戦争に参加する事を家族が反対する中、彼女だけがベトナム出征を許した。その際彼に、生還して戦場での実態を教えてもらう事を約束する。その後ケネスが重傷を負い、家族を代表して赴く。病床でケネスが、自力で一命を取り留める場面に直面した。
現在は夫の仕事によりニューヨークのブルックリンに在住している。取材に訪れた鷹志にケネスとジョセフの話をした。
チャールズ・ハンプトン
ファースト・アメリカン・バンクの頭取を務めるボストン出身の男性。ウィリアムの長男であり、パトリシアの兄でもある。
ケネスとは、イェール大学時代に寮の同室、同じアメフト部でライバル同士であり親友であった。この縁がきっかけで、チャールズはケネスがパトリシアと出会うきっかけを作った。負けず嫌いな性格で、ケネスとアメフトで張り合っていた。だが彼の才能を認めており、ケネスを褒めている。
ウィリアム・ハンプトン
ファースト・アメリカン・バンクの会長を務める高齢男性。パトリシアとチャールズの父である。
冷静な市場判断、大胆な投資により、常にアメリカ金融界をリードしていた業界の大物。かつてチャールズの紹介により、ケネスとバルコニーで一対一で語り合う。そして娘であるパトリシアとの結婚を認めた。世界単一市場への改革を夢見ており、20世紀型世界経済の枠組みを根幹から変えようとしている。その裏では、ケネスという新しい大統領を自らの手で生み出したいという野望を秘めていた。その為には手段を選ばず、部下のデュランに富子を殺害させる。最終的に全てをケネスと鷹志に暴かれ、自家用ジェット機で逃走した。その後、自らの操縦により墜落させ、自害する。
ジュリー・ハンプトン
ウィリアムの妻であり、パトリシアとチャールズの母である。控えめでお淑やかな性格の上流階級の夫人。
ウィリアム・ハンプトン一世
ハンプトン家の始祖であり、ファースト・アメリカン・バンクの創業者でもある。
元々は移民として渡米し、ボストンに定住後に若くして財をなす。当時のボストン茶会事件、アメリカ独立戦争で大きな役割を果たした。ハンプトン邸には彼の肖像画が飾られており、偉業が子孫にまで伝えられている。
ジョージ・ヤマオカ
ヤマオカ家の大黒柱であり、ケネスを含む二男二女の父でもある。アレックス、レイチェル、鷹志の祖父に当たる。
現役時代は貿易会社を経営する。日系移民1世の父の苦労を見てきた為、定年後も精力的に活動する。家族、日系移民としての誇りを何よりも大切にしている。
キャサリン・ヤマオカ
ジョージの妻であり、ケネスを含む二男二女の母でもある。アレックス、レイチェル、鷹志の祖母に当たる。
長男ジョセフをベトナム戦争で失い、失意に暮れる。になって更に次男のケネスが、ベトナム戦争の最前線へ志願している事にショックを受けて号泣した。
子供想いの良識的な人物であり、ケネスの養子であるレイチェルにも孫として接する寛大さも持つ。
山岡重吉(やまおか しげきち)
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目次 - Contents
- 『イーグル』の概要
- 『イーグル』のあらすじ・ストーリー
- アメリカへ発つ
- もう1人の主人公
- 民主党予備選挙
- 本選挙
- 事件の真相と結末
- 『イーグル』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 城鷹志(じょう たかし)
- ケネス・ヤマオカ
- ケネス陣営
- アーサー・マッコイ
- ジョージ・タクト
- ジョン
- サラ
- ロベルト・デュラン
- ケネスの家族
- パトリシア・ハンプトン・ヤマオカ
- レイチェル・ヤマオカ
- アレックス・ヤマオカ
- ジョセフ・ヤマオカ
- エリザベス・マクラウド
- チャールズ・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン
- ジュリー・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン一世
- ジョージ・ヤマオカ
- キャサリン・ヤマオカ
- 山岡重吉(やまおか しげきち)
- ノア陣営
- アルバート・ノア
- アンドリュー・ウォルシュ
- ディヴィッド・ローゼンバーグ
- 政治家関連
- リチャード・グラント
- ビル・クライトン
- エラリー・クライトン
- ビル・ゴールドブラム
- ウーズマン
- ギルバート・ブラックバーン
- ビリー・グラハム
- アルバート・ノア・シニア
- その他
- ドン・テイラー
- サム
- ウィリス
- マイケル・コズリョフ
- アフメド・ザマル
- マリア・ステファーノ
- ウォルター・クロンダイク
- ゲイリー・ケリガン
- クルーニー
- サイモン・ジョーンズ
- ダニエル・ニコルズ
- 城富子(じょう とみこ)
- 具志川(ぐしかわ)
- 渡嘉敷ノブ(とかしき のぶ)
- 野々村(ののむら)
- 『イーグル』の用語
- 政治関係
- 大統領選挙
- 情報スーパーハイウェイ構想
- 21世紀への移民
- 銃規制
- 人種差別撤廃
- ファーストレディー
- ベトナム戦争
- 組織名
- ファースト・アメリカン・バンク
- フットボールサークル
- ハーバード大学
- 『イーグル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ケネス・ヤマオカ「私は第43代アメリカ合衆国大統領に、立候補致します!」
- 富子が大切にしていた写真
- ケネスとノアが握手するシーン
- ケネス・ヤマオカ「いかなる暴力にも屈しない!!」
- チャールズ・ハンプトン「夢は…叶った!!」
- ケネス・ヤマオカ「戦いの只中へと巻き込んでしまったのは誰でもない、この私なのだ!」
- 『イーグル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実際のアメリカ大統領はお祭り騒ぎ
- 戦争と平和の願いが込められたアメリカの国章イーグル
- アメリカに影を落としたベトナム戦争
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