『イーグル』とは、かわぐちかいじの政治漫画である。1998年から2001年まで『ビッグコミック』で連載された。新聞記者城鷹志は、唯一の肉親である母を事故で亡くす。悲しみの中、突如アメリカ大統領選挙候補者の1人ケネスから密着取材を指名された。アメリカに渡った城は、ケネスから自分の子供である事を告げられる。動揺しながらも、彼はアメリカ大統領選挙を戦うケネスの取材を行う。その取材の過程で母親が何者かに暗殺された事に気付く。事件の真相に迫りながら、アメリカの抱える政治的問題が描かれていく。
かつて広島からシアトルに移民した日系移民一世。ケネス、エリザベス、ジョセフの祖父であり、ジョージの父でもある。
移住後はシアトルの日本人街で小さな商店を営み、日本移民を相手に日用雑貨の販売、宿の提供、仕事の世話をしていた。
ノア陣営
アルバート・ノア
2期目の現職アメリカ合衆国副大統領を務める男性。ワシントンD.C.近郊のヴァージニア州アレキサンドリア出身で、愛称はアル。
大統領選挙では情報スーパーハイウェイ構想を提唱し、一部の優秀な人間を育て上げ、その者に大衆を導かせる政策を掲げている。誠実な人柄を前面に出しており、人々から尊敬されている。かつて上院議員として活躍していたが、息子の闘病がきっかけで家庭に不安を抱える。このままでら公務に全力を注げないとして、辞職した過去がある。
民主党大統領候補を巡り、ケネスと次期大統領候補者の席を賭けて予備選挙で激戦を繰り広げた。一方でケネスからその実力を認められており、副大統領として起用しようとされている。現職大統領であり上司でもあるビルから、妻のエラリーを副大統領にする様に勧められるも、傀儡政権となる事を危惧してこれを断った。これによりビルの勢力がケネスへ寝返り、苦戦する。最終的にケネスに敗北し、彼の副大統領となる事を選んだ。
モデルはビル・クリントン政権下で副大統領を務めたアル・ゴアである。
アンドリュー・ウォルシュ
副大統領首席補佐官を務める男性で愛称はアンディ。ノアの右腕として彼を支える。ローゼンバーグとは良き相棒の関係であった。ノアが、ケネスが自分を副大統領に望んでいることを察した時、そのことを最初に打ち明けられた。
ディヴィッド・ローゼンバーグ
副大統領経済担当補佐官を務める男性で、ノア陣営のスタッフでもある。アンディとは良き相棒の関係であった。ノアが予備選で苦戦を強いられた際、ケネスのスキャンダルに関する情報を仕入れる。そしてノアの許可を受けた上で、マリアを利用してヤマオカ陣営にスキャンダル攻勢を仕掛けた。だが鷹志とケネスの説得により改心したマリアは、自分の不倫スキャンダルが嘘である事を認めてしまう。これにより逆にノア陣営に大打撃を与える結果となってしまった。この事に思い悩み、拳銃自殺をしようとする。
政治家関連
リチャード・グラント
コロラド州出身の共和党上院議員で共和党大統領候補の男性。
空軍出身でベトナム戦争ではエース・パイロットとして活躍した。その後アポロ計画に参加し、アポロ15号で月に降り立った。アメリカの国民的英雄であり、知名度が高い。航空、宇宙産業、軍部、退役軍人団体と太いパイプを持っており、影響力がある。
モデルは元宇宙飛行士で、オハイオ州民主党上院議員のジョン・ハーシェル・グレンである。
ビル・クライトン
2期目の現職アメリカ合衆国大統領を務める男性。元々はアーカンソー州で知事をしていた。その後大統領となり、激務をこなす。2期目の大統領選では、スキャンダルで叩かれながらも再選される。政治スタンスとしては、判断に迷った時はより積極的な案を採用する。一方で自らの醜聞から衆目をそらす為、平和維持の名目で空爆を命じたという意見もあった。
大統領予備選ではケネスと話し合う。そして彼の実力を認め、妻のエラリーを副大統領候補に承諾させ、民主党特別代議員にケネスに投票するよう働きかけた。だが最終的にケネスは彼を裏切った為、妻から激怒されてしまう。
モデルは第42代アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンである。
エラリー・クライトン
ビルの妻であり、大統領夫人としてファーストレディを務める女性。ファーストレディとして政治運動を展開しており、健康保険制度の改革に取り組む。活動的で知名度が高い人物である。一方で大統領の人気取りでしかないファーストレディという立場に限界も感じている。
政治的野心が強く、夫の度重なるスキャンダルにも賢夫人を演じて支えた。その実力は夫からも認められており、彼の推薦で副大統領候補者を目指す。そこからステップアップして大統領職を狙い始めた。パトリシアとは同じ大学の出身である。大学創立以来の秀才と評され、ベトナム反戦運動で揺れる中、学生会長として大活躍をした。弁護士としても第一線で活躍する。
夫の支援を受け、ノアがケネスの副大統領に推薦される。ノアがこの話を蹴り、ケネスが承諾した為、以降はケネスを支援した。行く行くはケネスを踏み台にし、自らが大統領になる腹であった。だがケネスは副大統領としてノアを指名し、裏切られてしまう。
モデルはビル・クリントンの妻ヒラリー・クリントンである。
ビル・ゴールドブラム
ネバダ州知事を務める男性。大統領候補に立候補し、民主党予備選候補者として予備選挙でケネスと戦った。序盤では支持率2位だったが、選挙中に女性選挙スタッフとの愛人疑惑を持たれてしまう。このスキャンダルへの対応に際し、危機管理能力の無さが露呈。支持率が急落した。
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目次 - Contents
- 『イーグル』の概要
- 『イーグル』のあらすじ・ストーリー
- アメリカへ発つ
- もう1人の主人公
- 民主党予備選挙
- 本選挙
- 事件の真相と結末
- 『イーグル』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 城鷹志(じょう たかし)
- ケネス・ヤマオカ
- ケネス陣営
- アーサー・マッコイ
- ジョージ・タクト
- ジョン
- サラ
- ロベルト・デュラン
- ケネスの家族
- パトリシア・ハンプトン・ヤマオカ
- レイチェル・ヤマオカ
- アレックス・ヤマオカ
- ジョセフ・ヤマオカ
- エリザベス・マクラウド
- チャールズ・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン
- ジュリー・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン一世
- ジョージ・ヤマオカ
- キャサリン・ヤマオカ
- 山岡重吉(やまおか しげきち)
- ノア陣営
- アルバート・ノア
- アンドリュー・ウォルシュ
- ディヴィッド・ローゼンバーグ
- 政治家関連
- リチャード・グラント
- ビル・クライトン
- エラリー・クライトン
- ビル・ゴールドブラム
- ウーズマン
- ギルバート・ブラックバーン
- ビリー・グラハム
- アルバート・ノア・シニア
- その他
- ドン・テイラー
- サム
- ウィリス
- マイケル・コズリョフ
- アフメド・ザマル
- マリア・ステファーノ
- ウォルター・クロンダイク
- ゲイリー・ケリガン
- クルーニー
- サイモン・ジョーンズ
- ダニエル・ニコルズ
- 城富子(じょう とみこ)
- 具志川(ぐしかわ)
- 渡嘉敷ノブ(とかしき のぶ)
- 野々村(ののむら)
- 『イーグル』の用語
- 政治関係
- 大統領選挙
- 情報スーパーハイウェイ構想
- 21世紀への移民
- 銃規制
- 人種差別撤廃
- ファーストレディー
- ベトナム戦争
- 組織名
- ファースト・アメリカン・バンク
- フットボールサークル
- ハーバード大学
- 『イーグル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ケネス・ヤマオカ「私は第43代アメリカ合衆国大統領に、立候補致します!」
- 富子が大切にしていた写真
- ケネスとノアが握手するシーン
- ケネス・ヤマオカ「いかなる暴力にも屈しない!!」
- チャールズ・ハンプトン「夢は…叶った!!」
- ケネス・ヤマオカ「戦いの只中へと巻き込んでしまったのは誰でもない、この私なのだ!」
- 『イーグル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実際のアメリカ大統領はお祭り騒ぎ
- 戦争と平和の願いが込められたアメリカの国章イーグル
- アメリカに影を落としたベトナム戦争
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