『イーグル』とは、かわぐちかいじの政治漫画である。1998年から2001年まで『ビッグコミック』で連載された。新聞記者城鷹志は、唯一の肉親である母を事故で亡くす。悲しみの中、突如アメリカ大統領選挙候補者の1人ケネスから密着取材を指名された。アメリカに渡った城は、ケネスから自分の子供である事を告げられる。動揺しながらも、彼はアメリカ大統領選挙を戦うケネスの取材を行う。その取材の過程で母親が何者かに暗殺された事に気付く。事件の真相に迫りながら、アメリカの抱える政治的問題が描かれていく。
ウーズマン
ジョージア州出身の民主党上院議員を務める男性。民主党予備選候補者として立候補する。現職大統領のクライトンに借りがある。選挙ではあまり健闘出来なかった。
ギルバート・ブラックバーン
ニューヨーク市長を20年近く務める黒人男性。「ニューヨークの帝王」「キング・B・B」等の異名を持つ。
政治駆け引きの天才で、多くの民族とのパイプを背景にのし上がってきた。2期目の市長選当時に、ブロンクスの土地再開発計画をめぐる行政訴訟で弁護士だったケネスと争い、敗訴する。以降彼とは確執を持っていた。だがケネスが上院選に立候補した際、利益を優先して妥協し選挙協力をする。市長在任期間中は犯罪撲滅に手腕を発揮した。
モデルは唯一の黒人市長であったデイヴィッド・ディンキンズである。
ビリー・グラハム
民主党上院院内総務を務める男性。大統領選挙では民主党選対委員長に就任する。イリノイ州シカゴで開かれた民主党大会の議長役を務めた。裏では特別代議員をノアに一本化するべく、動いている。ケネスが大規模軍縮を公約した後、党内右派の反発を憂慮して撤回を迫った。
アルバート・ノア・シニア
元ヴァージニア州選出上院議員であり、ノアの父。現在は引退し、アレキサンドリアの大学にて客員教授を務めている。
かつて上院議員選挙に敗北した苦い経験を持つ。これがトラウマとなり、2度目の出馬を決めるかどうかを悩んでいた。だが当時高校生だったノアが生徒会長戦に立候補する演説を聞き、落選というトラウマを克服し出馬する。そして当選し以後は、4期24年間、上院議員として活躍した。
ケネスに敗れ、彼の副大統領になるか迷う息子ノアの背中を後押しした。これにより、彼はケネスの副大統領になる決意を固める。
その他
ドン・テイラー
テキサス・フーズ・カンパニーの会長であり、テキサス州の大牧場の経営者でもある男性。
穀物生産者組合の実力者で、テキサス州を含む南部を中心に強い影響力を持つ。ケネスと同い年であり、テキサス大学時代はフットボールのクォーターバックを務め、彼とは共通点が多い。夢を追いかける事に情熱を抱いており、大統領を擁立しようとしている。自身が立候補しないのは「大統領の任期8年では自身の夢が実現出来ないから」との事。
少年時代に重傷を負った事があり、ケネスと同じく死線を潜り抜けている。また大牧場の御曹司として育てられた事に反発し、興味を持っていたメキシコ国境線へ家出を敢行する。食糧も水も無く満身創痍であったが、当人は気分が良かったとの事。そして結局は父親の手配した捜索隊に救助された。その際の遭難地点は、未だ父親の広大な牧場の敷地内であった。
銃規制をしようとするケネスに反感を抱く。だがケネスの人柄に触れ、彼を推薦する事を決意した。
サム
テイラー牧場の牧童を務める男性。かつて不良だったが、テイラーに一人前の牧童に育ててもらった経験を持つ。この事から彼を慕っている。
テキサスの牧童達のたまり場のスター・カフェ店で過ごしていた所、ケネスの来訪を受ける。銃規制を訴え始めるケネスに仲間達と反感を抱くものの、次第にケネス支持に傾いていく。
ウィリス
U.S.グレイン社社長で、愛称はウィリー。
穀物生産者組合の実力者で、テイラーのビジネスパートナーでもある。南部諸州同日選挙直前、民主党候補の誰を支持するかが定まらず不安になっていた。
マイケル・コズリョフ
ポーランド系移民2世で、ポーランド名はミハイル・ミハイロビッチ・コズリョフ。ワシントン州シアトルに工場がある航空産業ユーイング社の労働組合委員長を務める。
父親が視覚障害者の為、少年時代から下級労働者として労働に従事する。そして労組職員となり、信頼を得て労組幹部にのし上がった。ユーイング労組を背景にアメリカ労働総同盟代表になる事が目標である。組合員に尽くしている為、信頼が厚い。共和党支持者として、ユーイング労組のまとめ役となっている。だが、裏では副委員長のザマルと権力争いをしていた。富裕層の家系に生まれたケネスの事を嫌っていた。
かつて企業幹部と内通し、クビにする人員を彼の活躍で少なくしたかのように手柄を偽装した事がある。この事をケネスに突かれ、数万人の組合員達の前で自白して役職を離れる事となった。だがそれでも組合員達は彼を信頼し、続投させる。そしてこの一連の流れがケネスの策謀であった事に気付き、彼の偉大さを痛感した。その後はケネスの味方となる。
Related Articles関連記事
沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ
『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。
Read Article
ジパング(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ジパング』とは2000年よりかわぐちかいじが『モーニング』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。西暦200X年の6月、日本海上自衛隊の最新型イージス艦みらいはミッドウェー沖合にて落雷を受ける。それをきっかけに、彼等はイージス艦ごとミッドウェー海戦直前の1942年6月4日の太平洋上にタイムスリップした。オーバーテクノロジーを保有する形となった彼等は、戦前の人々や歴史の流れの中で葛藤し、各々の思想の違いによって対立していく。そして彼等の存在は、歴史を大きく変えて行くのであった。
Read Article
目次 - Contents
- 『イーグル』の概要
- 『イーグル』のあらすじ・ストーリー
- アメリカへ発つ
- もう1人の主人公
- 民主党予備選挙
- 本選挙
- 事件の真相と結末
- 『イーグル』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 城鷹志(じょう たかし)
- ケネス・ヤマオカ
- ケネス陣営
- アーサー・マッコイ
- ジョージ・タクト
- ジョン
- サラ
- ロベルト・デュラン
- ケネスの家族
- パトリシア・ハンプトン・ヤマオカ
- レイチェル・ヤマオカ
- アレックス・ヤマオカ
- ジョセフ・ヤマオカ
- エリザベス・マクラウド
- チャールズ・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン
- ジュリー・ハンプトン
- ウィリアム・ハンプトン一世
- ジョージ・ヤマオカ
- キャサリン・ヤマオカ
- 山岡重吉(やまおか しげきち)
- ノア陣営
- アルバート・ノア
- アンドリュー・ウォルシュ
- ディヴィッド・ローゼンバーグ
- 政治家関連
- リチャード・グラント
- ビル・クライトン
- エラリー・クライトン
- ビル・ゴールドブラム
- ウーズマン
- ギルバート・ブラックバーン
- ビリー・グラハム
- アルバート・ノア・シニア
- その他
- ドン・テイラー
- サム
- ウィリス
- マイケル・コズリョフ
- アフメド・ザマル
- マリア・ステファーノ
- ウォルター・クロンダイク
- ゲイリー・ケリガン
- クルーニー
- サイモン・ジョーンズ
- ダニエル・ニコルズ
- 城富子(じょう とみこ)
- 具志川(ぐしかわ)
- 渡嘉敷ノブ(とかしき のぶ)
- 野々村(ののむら)
- 『イーグル』の用語
- 政治関係
- 大統領選挙
- 情報スーパーハイウェイ構想
- 21世紀への移民
- 銃規制
- 人種差別撤廃
- ファーストレディー
- ベトナム戦争
- 組織名
- ファースト・アメリカン・バンク
- フットボールサークル
- ハーバード大学
- 『イーグル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ケネス・ヤマオカ「私は第43代アメリカ合衆国大統領に、立候補致します!」
- 富子が大切にしていた写真
- ケネスとノアが握手するシーン
- ケネス・ヤマオカ「いかなる暴力にも屈しない!!」
- チャールズ・ハンプトン「夢は…叶った!!」
- ケネス・ヤマオカ「戦いの只中へと巻き込んでしまったのは誰でもない、この私なのだ!」
- 『イーグル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実際のアメリカ大統領はお祭り騒ぎ
- 戦争と平和の願いが込められたアメリカの国章イーグル
- アメリカに影を落としたベトナム戦争
![RENOTE [リノート]](/assets/logo-5688eb3a2f68a41587a2fb8689fbbe2895080c67a7a472e9e76c994871d89e83.png)