SIREN2(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『SIREN2』は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(通称SCEI)より発売された、プレイステーション2用の3Dアクションホラーゲーム。
舞台はかつて原因不明の海底ケーブル切断による大停電と、全島民消失事件があった日本近海の孤島・夜見島。島にまつわる数々の事件を調査に訪れた雑誌編集者、輸送ヘリのトラブルにより島に不時着した自衛隊員たち、過去への思いから島に足を踏み入れた作家など、様々な事情を抱えた10名の登場人物たちが、午前0時に響き渡ったサイレンとともに始まる惨劇に巻き込まれていく。

母胎(ぼたい)

夜見島の伝承に残る「地の裏に逃れし者」の正体で、本作のラストボス。
人間の女の顔を持つ巨大な人魚のような生物で、非常に不気味な姿をしている。
この生物の正体は闇霊たちが長い時間を経て一つに凝結したもので、黒衣に身を纏う前の白い闇霊を無数に生み出すことができる。
彼らが逃げ込んだ虚無の世界と現実世界への綻びが生じた時、偶然三上脩の母・弥生の遺体が虚無の世界へ流れつく。
これを見て人間という生物がいることを知った母胎は地上を人間に奪われたと考えるようになり、弥生の身体を利用して地上を取り返すことを企てる。
母胎は弥生を元にして自らの分裂体である「鳩」を産み出すと地上へ送り、鳩が連れ帰った生贄の男に冥府の門を開けさせることを第一の目的とした。
母胎はその生贄を取り込むことでこの世に姿を現し、完全体として進化を遂げることができる。

今作において鳴るサイレンは母胎が霊力を使う際の鳴き声で、登場人物たちが幻視の力を使えるのは異界に入り母胎の影響を受けていることが原因である。
母胎は自らの持つ莫大な霊力をもって、29年前の夜見島のコピーを作り出した。
更に津波を起こし、巻き込まれた人間たちがそこに飛ばされてきたため、29年前、19年前、現代とそれぞれの時代の人間が一堂に会することとなった。
なお、29年前の夜見島全島民失踪事件も母胎の起こした津波が島民たちを巻き込んだために、全員が異界に飛ばされてしまっている、というのが真相である。

分裂体(ぶんれつたい)/鳩(はと)

母胎が現世から生贄を連れてくるために産み出した分身。
人間の女性の姿をしているが、闇霊で構成されているため光に極めて弱く、特に日光は長時間浴びていると体が溶けてしまう。
分裂体には母胎が直接産み出した「覚醒鳩」と、覚醒鳩を構成していた幽体(鳩の因子)が妊婦の胎児に寄生する形の「未覚醒鳩」がいる。
作中では加奈江と岸田百合は「覚醒鳩」、木船郁子と喜代田章子、田河柳子は「未覚醒鳩」にあたる。
因子が未覚醒状態の鳩も覚醒後は母胎と同じ顔に変化する。田河柳子はこの現象によって家族の元を出奔していた。
これまで母胎は何人もこの「鳩」を産み出してきており、一樹がかつて交際しており、自殺未遂に追い込んでしまった女性も鳩としての因子を持っていたことが示唆されている。
しかし百合以外に飛ばした鳩たちは母胎の元に戻ることはなく、作中でもキャラクターとして登場することはない。

堕慧児(おとしご)

夜見島の伝承に残っている「海の底に潜りし者」の正体。
母胎と双璧を成す、数億年前深海へと逃げていった屍霊たちが凝結した存在で、大きな顔のようなものに無数の手足を持つ、非常に醜悪で不気味な異形である。
かつて自分たちを置いていった母胎の元へ帰ることのみを目的に、29年前には夜見島近海の海底ケーブル切断による大停電、19年前にはブライトウィン号の座礁事件を引き起こしているが、地上侵出にはこれといって興味はない。
元は形のない生物だったが、19年前のブライトウィン号事件の際に夜見島近海で溺死した矢倉市子の姿を真似ている。

模倣体(もほうたい)

19年前のブライトウィン号の事件の際、海に投げ出された溺死した矢倉市子を真似て、堕慧児が自分の片目を使って作り出した疑似生命体。
堕慧児を始めとする屍霊たちが、母胎の元へ帰還するための足掛かりとして異界の夜見島へ送られる。
目覚めてすぐは生前の矢倉市子の記憶のみを元に行動していたが徐々に模倣体としての意識が覚醒。
自身を保護した藤田茂の殺害の後、同じく自らを手助けした永井頼人にも銃口を向け、闇人・闇霊を狩り始めた。
意識は堕慧児と共有しており、覚醒が不完全な状態の時は堕慧児と矢倉市子両方の言葉を支離滅裂に発している。

『SIREN2』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

特定の条件で隠しシナリオが解放

本作には特定の条件を揃えると解放される隠しシナリオが存在している。
ストーリーの全容解明に関わるものから、番外編、ミニゲームのようなものもある。

阿部 倉司 22:00「不測」

全シナリオ(一藤二孝「形見」を除く)のタイムアタックモード記録更新で出現する。
難易度はノーマルモード、ハードモードどちらでも構わないが、終了条件1、2は両方クリアする必要がある。
鉄塔倒壊の真相が見られるムービーが流れる。

阿部 倉司 24:00「失われた世界」

アーカイブ収集で見られるシナリオ。
No.98「國報新聞」以外の99個を収集することで解放され、シナリオ選択画面に表示される。
母胎が起こした最後の津波の後、阿部のエンディングにあたるムービー。

須田 恭也 33:33「殲滅」

ノーマルモード、もしくはハードモードで、隠しシナリオを除く全シナリオの終了条件1、2をクリアするとシナリオ選択画面に出現する。
今作で須田を操作できる唯一のシナリオ。
制限時間内に闇人を倒していくと得点が入り、ハイスコアを目指していくというミニゲーム的要素のもの。
各エリアで闇人を倒していくとボスが出現し、それを倒すと制限時間+90秒、50000ポイントを入手することができる。
エリアは「小運動場」「空き地」「校庭」の順に無限に続き、ボスを倒すと移動する。

三沢 岳明 07:00「形見」

隠しシナリオを除く全シナリオの終了条件1、2をハードモードでクリアすることでシナリオ選択画面に出現。
三沢の名前で表示されるが、実際の主人公は一藤二孝である。
闇人に誘拐された恋人の揉子を助けるため、自衛官の一藤が金鉱社宅跡を舞台に奮闘するシナリオだが、ここで操作する一藤はいわゆる「ゾンビ」状態のため、「動作が遅い」、「ターンが不可」、「しゃがむことができない」、「ライトの電池が切れかけている」など多くの制限がある。
このため、作中最難といっても差し支えない、超高難易度のシナリオとなっている。

隠し武器の出現条件

本作では、特定の条件を満たすことで持つことができる「隠し武器」が存在する。

トロフィー

矢倉 市子 「1:20 喪失」の終了条件2で入手できる武器。
藤田茂と合流後、エントランス2階付近にトロフィーを持って逃げ回る屍人が出現するため、倒して奪うことで入手可能。
本来はアーカイブ収集のために手に入れるアイテムだが、リーチが長く、屍人をほぼ一撃で殴り倒すことができる武器という非常に優秀な側面がある。
シナリオクリアまでの限定された時間でのみ所持できる武器のため、扱える時間が短いことと、重いためかモーションが遅く、打撃を加えるまでに少し時間がかかるのが欠点。

藤田が銃を落とした時にトロフィーと交換しておくと、藤田が拾ってトロフィーで戦い始める姿も見ることができる。

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