SIREN2(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『SIREN2』は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(通称SCEI)より発売された、プレイステーション2用の3Dアクションホラーゲーム。
舞台はかつて原因不明の海底ケーブル切断による大停電と、全島民消失事件があった日本近海の孤島・夜見島。島にまつわる数々の事件を調査に訪れた雑誌編集者、輸送ヘリのトラブルにより島に不時着した自衛隊員たち、過去への思いから島に足を踏み入れた作家など、様々な事情を抱えた10名の登場人物たちが、午前0時に響き渡ったサイレンとともに始まる惨劇に巻き込まれていく。

演:村上 久勝
夜見島出身で、付近の島に駐在している警察官。52歳。
好奇心旺盛な人情家で、すぐに厄介ごとに首を突っ込んでしまう。口癖は「やんなっちゃうなあ」。
実は19年前の人間で、その当時に「無人島であるはずの夜見島に若い女性がいる」という通報を受けた際、前述の性格が災いして単身で島に来てしまったことで怪異に触れていた。
その結果、一樹達が存在している異界の夜見島に飛ばされてきてしまった人物である。
かつては警部補まで上り詰めた人物だが、捕まえた窃盗犯の「家族に会ってから出頭する」という言葉を聞き入れて解放したところ、そのまま逃げられてしまったために巡査部長に降格。
さらに仕事ばかりで家族を顧みなかったことで、これをきっかけに藤田に対して愛想を尽かした妻と娘・朝子に絶縁されてしまった過去がある。
異界と化した島を探索中、座礁したフェリー「ブライトウィン号」を見つけ、そこで保護した矢倉市子と行動を共にするが、模倣体として覚醒しかけた彼女に滅多刺しにされ、命を落としてしまう。
屍人に転化したのち闇人甲式と化し、鉄塔中腹で木船郁子と戦闘後、彼女の手によって滅爻樹で浄化された。

矢倉 市子(やぐら いちこ)

演:森林 恵理奈
県立亀野石中学校2年の生徒で、テニス部に所属している。14歳。
親友の木船倫子と共に部活で汗を流し、同級生の中嶋君に淡い恋心を抱いているごく普通の少女だが、実はその正体は人間ではなく、堕慧児が本物の矢倉市子を真似て作り出し、異界に介入するために放った「模倣体」。
本物の矢倉市子は19年前、フェリー「ブライトウィン号消失事件」に巻き込まれて溺死した故人である。
しかし目覚めてすぐは自らの置かれている状況に対しての記憶を失っていたため、本物の矢倉市子として行動していた。
その後藤田茂に救出されてからは彼と行動を共にするも、一時的に模倣体としての意識が覚醒し、藤田を刺し殺してしまう。
直後に矢倉市子としての意識は戻ったが、助けてくれた藤田をその手で殺してしまったという事実は重く、更に自らが海に投げ出された最期の記憶も戻り、パニックに陥る。
弱り、朦朧としながら闇人や屍人から逃げ回って島を彷徨うが、徐々に模倣体としての覚醒は進んでいき、矢倉市子としての人格は完全に消滅してしまった。
機関拳銃と日本刀を携えて周囲の闇人を殺して回り、母胎との融合を果たすために鉄塔の頂上を目指すも、登ってきた母胎に弾き飛ばされた挙句に鉄塔の崩壊に巻き込まれ転落。
元の顔を維持できないほどのダメージを負い、永井頼人の前で倒れるが、異界に入り込むことに成功した堕慧児がその体を吸収し、模倣体としての役目を終えた。

プレイヤーキャラクターとしてのシナリオのほか、一樹と永井のシナリオに敵として登場。
機関拳銃を装備している上、ダメージに対する耐久力が高いこともあり、倒すのが非常に難しい敵として位置づけられている。

三上 脩(みかみ しゅう)

演:中泉 英雄、大久保 拓真(幼少期)
恋愛小説「人魚の涙」で注目を浴び、一躍人気作家となった小説家。33歳。
実は29年前の夜見島住人消失事件の唯一の生き残りで、人魚の涙はその実体験を書いたものであった。
物心つく前に父である考古学者・三上隆平と母とともに共に夜見島に移住するが、母は海の事故で死亡。
父が海で保護してから同居していた少女・加奈江を姉と呼び、慕っているごく普通の少年だったが、住民消失事件の夜に、三上は血まみれの父が玄関先で事切れているのを発見。
そして、加奈江と共に彼女を怪しみ討伐のため蜂起した島民たちから逃げ惑うことになる。
逃げ伸びた三上は朝焼けの中で加奈江の最後を看取るが、それと引き換えに視力と記憶の大半を失ってしまった。
微かに残る「思い出の少女」の記憶への執着が捨てきれず、大人になった彼は盲導犬のツカサを伴って島を目指したが乗っていた船は転覆。
目が覚めると29年前、父を喪ったあの日の夜見島にいた。
戸惑いながらも島の人間である漁師や屍人から逃げ続けるが赤い津波に巻き込まれ、今度は異界へ飛ばされてしまう。
そこで助けられた阿部と一緒に行動しながら少しずつ「思い出の少女」の記憶を取り戻していき、それを辿って冥府の門をくぐるが、目覚めていた母胎に体を取り込まれてしまう。
しかし魂までは取り込まれなかったため、霊体となって異界を彷徨う阿部や喜代田を導き、母胎戦では一樹が拾っていたメダルを辿って特異点へ現れる。
母胎討伐後は魂も解放され、「おねえちゃん」である加奈江の腕の中、赤い海の中で永い眠りについた。

船が転覆した際に眼鏡を無くしているため、単体で行動をするシナリオでは主観でぼやけた視界の中を歩くことになるが、視界ジャックで同行しているツカサや敵の目を借りて行動することで解消が可能。
また、同行者として行動する際、離れすぎると着いてくることができなくなってしまうため、時々三上のいる方向を振り向いてやる必要がある。

加奈江(かなえ)

演:高橋 真唯
29年前、夜見島に流れ着いたところを三上隆平に保護された謎の少女。18歳。
記憶を持たず、出自は一切不明であるため、「加奈江」の名をもらい、三上家で共に暮らしていた。
隆平の息子、脩には「おねえちゃん」と呼ばれて慕われていたが、日光を極端に恐れるなど不可解なことも多いため、他の島民たちからは疑惑の目を向けられ、迫害されていた。
三上脩の母・弥生によく似た容姿をしているが、正体は母胎が弥生を模って作り、一番最初に飛ばした分裂体「鳩」である。
記憶を失った振りをして自らを保護した三上家に入り込み、当初は自分を慕う脩に冥府の門を開けさせ、生贄にするために行動していた。
しかし、脩の母を模って作られ、さらに一番最初の「鳩」である彼女には脩に対する母性がまだ濃く残っていたため、踏み切ることができずこれを断念。
島の漁師たちが蜂起して集まっていた夜、鳩としての意識が覚醒し発作的に三上隆平を殺害してしまった後で我に返り、脩を守り抜いて逃がすことを決意する。
脩を連れて島中を逃げ回ったが、朝日に身を曝されて、溶けるように消滅していった。
消滅する際、夜見島から三上脩を遠ざけるために島と自らに関する記憶を消すまじないを掛けており、これが大人になった三上が加奈江のことを断片的にしか思い出せない原因となっている。
また、自分と同じ姿をした「鳩」が現れても惑わされないように、と彼の視力を奪ったのも彼女であった。

溶けるように消滅したかに見えた加奈江だが、彼女を構築していた闇霊が夜見島近海の海に落ちた喜代田の母を経由して、胎児の喜代田章子に憑依。
加奈江の意識を潜在的に持って生まれている喜代田は、29年の時を経て異界で加奈江として覚醒することとなった。
最終的に喜代田の身体を乗っ取ることに成功した加奈江は、三上脩の魂を追って特異点に現れ、闇那其を使い自害したことで一樹達に勝機を与える。
母胎が倒れたことにより漸く解放された彼女は、三上をその腕に抱きながら赤い海で永く穏やかな眠りについた。

操作不可能なキャラクター

岸田 百合(きしだ ゆり)

演:高橋 真唯
屍人に襲われていたところを一樹に助けられ、行動を共にするようになった謎の美少女。
光を極度に嫌がる、異界と化した夜見島で一樹や永井を誘惑する態度を取るなどその挙動はおかしいものがあるが、正体は人間ではなく、母胎が自らの頭部を分裂させて飛ばした「鳩」。
母胎は三上の母である弥生の顔を土台にし、自らと同じ顔の「鳩」を飛ばし続けているため、彼女も加奈江や柳子と同じ顔をしている。
最も母胎に忠実で、同じく鳩として生まれながら阿部と暮らし、普通の人間のような暮らしを謳歌していた田河柳子を殺害した真犯人でもある。
「閉じ込められた母(母胎)を救出する」=男性に冥府の門を開けさせることのみを目的としており、行動を共にしていた一樹を標的にしていたが、一樹が百合の言動に対しての不信感を口にしたことにより、激昂して彼の前を去る。
その後は単独で動いており、イレギュラーな存在である矢倉市子(模倣体)の存在を感じ取って座礁していたフェリーへ乗り込んでいく。
今度はそこで自らを保護してくれた永井頼人に取り入ろうとするも、三沢に阻止され断念。
結局遊園地で再会した一樹を改めて懐柔して、遂に冥府の門を開けさせることに成功。役目を終え、目覚めた母胎と融合した。

母胎と融合した後は冥府を出て、次々に闇霊を産み落としながら鉄塔の頂上を目指していたが、阿部に塔を爆破されて地上侵出の目的は潰え、最終的に特異点で一樹と木船に討たれることとなった。

ツカサ・オブ・ジルドール

左がツカサ。右は飼い主の三上脩。

三上脩の盲導犬、雌のジャーマンシェパード。1歳。
基本的には「ツカサ」と呼ばれている。
主人の三上が危機に陥ると敵に嚙みつくなど心優しい忠犬であり、蒼ノ久集落の資材置き場で探し物をしていた三上の頭上で屋根が崩れた際、それを庇ったことにより生死が不明となってしまう。
三上はツカサが死んでしまったものだと思っていたが無事で、その後は異界の夜見島を一人彷徨っていた。
その間、霊体と化してもツカサを気に掛ける三上に導かれて阿部倉司と出会い、彼の落としたライターを届ける役目を担っていた。
このライターが手元に届いていなければ阿部はタバコに火をつけることができず、そうなれば鉄塔が爆発することはなかったため、偶然の連鎖とはいえ彼女もまた間接的に世界を救った存在である。
最終的には阿部と同じ並行世界へ飛ばされ、喪失と孤独に打ちひしがれる彼にそっと寄り添っていた。

三上は幻視で彼女の視界をジャックすることで周囲を見ることができるようになるが、犬の視界であるためモノクロになる。

太田 常雄(おおた つねお)

演:諏訪部 仁
夜見島一の漁師であり網元を務めている。29年前の島民消失事件で行方不明になっている。60歳。
網元として多くの漁師を束ねているほか、代々穢れから島の封印を守る太田家の人間として、忠実に因習を守ってきた。
太田家の使命を果たすために不穏分子の加奈江を始末することに決め、実行に移そうとするが、その日島を襲った赤い津波に巻き込まれ、仲間の漁師共々異界に飛ばされてしまった。
異界にて夜見島出身の藤田と彼に連れられた矢倉市子に遭遇直後、絶命する。
その後すぐ屍人に転化して彼らに襲い掛かるが、模倣体として覚醒しかけた市子の微笑みを見て恐れをなし、逃亡。
最後は闇人甲式に変容し、永井を鉄塔から突き落とすが、滅爻樹を手にしていた一樹により浄化され、消滅した。

太田 ともえ(おおた ともえ)

演:山田 麻衣子
太田常雄の娘。24歳。
太田家の娘である自負が強すぎるがゆえに排他的、かつ傲慢でヒステリックな部分も目立つが、根は父親思いの優しい女性である。
父親と共に加奈江を始末しようとしていたが、津波に巻き込まれて彼女もまた異界へ飛ばされてしまう。
父親にもらったという大切な髪飾りをなくしてしまい、探していたところを屍霊に襲われ、パニックになって逃げ回り、足を踏み外して道路脇の崖から転落。
崖下の民家にあったアンテナに胴を貫かれて絶命し、屍人として甦った後は加奈江と同じ顔の百合(分裂体)を執拗に追っていた。
闇人乙式に変容してからは父・常雄からの贈り物である大切な髪飾りを拾って所持していた一樹を追ってくるが、その過程で闇人甲式と化していた父が消滅するのを目の前で見てしまう。
その後自らも一樹と木船に滅爻樹で浄化され、消滅した。

GrimLT2
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