SIREN2(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『SIREN2』は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(通称SCEI)より発売された、プレイステーション2用の3Dアクションホラーゲーム。
舞台はかつて原因不明の海底ケーブル切断による大停電と、全島民消失事件があった日本近海の孤島・夜見島。島にまつわる数々の事件を調査に訪れた雑誌編集者、輸送ヘリのトラブルにより島に不時着した自衛隊員たち、過去への思いから島に足を踏み入れた作家など、様々な事情を抱えた10名の登場人物たちが、午前0時に響き渡ったサイレンとともに始まる惨劇に巻き込まれていく。

「堕慧児」との対峙

鉄塔から落とされてしまった永井は自らを奮い立たせ、潮降浜地区に蔓延る闇霊を殲滅していた。
鉄塔が崩壊を始めると、永井の周辺の明かりが次々と消え、一段と闇が濃くなっていく。
彼は闇人と化した三沢と決着をつけ、屍霊が一つに凝結した成れの果ての姿である「堕慧児(おとしご)」との戦いに臨む。
堕慧児の巨体から繰り出される突進攻撃を利用し、廃タンクに激突させ、そこに残されていた重油を浴びせる永井。
そして浜に打ち揚げられていた漁船の水銀灯をぶつけて体を燃やしきることで、辛くも勝利を収めた永井は歓喜の絶叫を上げたのであった。

「特異点」への到達

一樹と木船、そして母胎は、全ての事象が起こりうる世界であり、現世と虚無の区別のない、特異点という場所へ飛ばされていた。
空には赤い海があり、そこから母胎が顔を出している。
鉄塔が崩壊し、計画が破綻したことに激怒している母胎は容赦なく一樹たちに襲い掛かる。
一樹と木船は協力して戦いを挑むが、母胎の圧倒的な強さに手も足も出ず、苦戦を強いられてしまっていた。
母胎に弾き飛ばされた一樹のポケットから、港で拾ったメダル(元々は三上の幼少時代の所有物)が零れ落ちる。
すると、そのメダルを辿ってきた幼少期の三上と、さらにその三上を探す喜代田(加奈江)が特異点へ現れた。
三上を探す最中で、自身と母胎がリンクしていることに気がついていた加奈江は、母胎に取り込まれた三上の肉体を解放するために自らを傷つけ、母胎に強烈な痛手を与えることに成功する。
そのとき、闇那其(あんなき)が輝きだし、刃物の様な形に変化した。
母胎は闇那其での攻撃に苦しみ、逃げ回り始める。
これを好機と見た一樹も闇那其で攻撃を加えたことで、母胎は強烈な断末魔を上げ息絶えた。
母胎は最後の力を振り絞り、再び全てを飲み込む赤い津波を呼び起こしていた。

エンディング

三上脩と加奈江

赤い海の中、加奈江はパジャマを着た幼い三上を抱きしめていた。
「おやすみ、脩」
加奈江の腕の中、その優しい声に長い一日を終えるかのようにそっと目を閉じる三上。
加奈江と三上は、赤い海の中で静かに永遠の時間を共にすることとなった。

永井頼人

堕慧児を倒して歓喜の叫びを上げたのも束の間、赤い津波に飲み込まれる永井。
次に気が付いた時、彼は母胎の地上侵攻作戦が成功した世界に飛ばされていた。
錯乱状態に陥る永井は、逃げ回る闇人達を次々と射殺していく。

阿部倉司とツカサ

赤い津波に飲み込まれてしまった阿部とツカサ。
彼らが辿りついたのは、闇霊や屍霊が当初から存在しない世界。
闇霊が存在しないため、母胎はもちろん存在せず、「鳩」の一匹である多河柳子も存在しない世界だった。
心から愛した女性がどこにも存在しない世界で泣くことしかできない阿部に、自身も飼い主の三上を失ったツカサが優しく寄り添う。

一樹守と木船郁子

一樹は朝日の昇る明るい海岸で目を覚まし、現実の世界に戻ってきたことに気づく。
彼らが戻ってきた世界は今までと同じ現実だった。
一樹の横で倒れていた木船も目を覚ます。
戻って来ることができたと嬉しそうにしている一樹の隣、どこか見覚えのある仕草で、彼女は太陽の光を煩わしそうに睨み付けていた。

『SIREN2』のゲームシステム

基本情報

『SIREN2』は、複数の登場人物を操作してシナリオを進めていく、群像劇的構造の3Dアクションゲーム。
一見無意味ともとれる行動やアイテムが別の登場人物のシナリオを解放するための必要条件になっているのが特徴である。
シナリオは条件を満たして解放され次第、選択画面(リンクナビゲーター)から好きなものを選んで開始することができ、終了条件も1、2のどちらから始めるかも選ぶことができる。
今作ではマップ画面で現在地とゴール地点を確認することができるようになり、プレイ中の必要行動ヒントも前作と比較すると増加しているため、前作と比較するとユーザーフレンドリーな仕様に進化し、難易度そのものはかなり下がっている。
戦闘時に使用する武器は二つまで所持ができ、倒した敵と武器を交換することもできるため、厄介な狙撃銃を持っている敵を後ろから攻撃して倒し、打撃系の武器に交換しておくなどしてステージクリアの難易度を大幅に下げられるのも今作の特徴。
特定の敵を倒して武器を奪い、のちに手に入れたアイテムと組み合わせることで隠し武器が手に入ることもある。
武器を持っていない素手の状態でも戦闘が可能だが、通常では突き飛ばしたりすることができる程度になっており、素手でも敵を倒すことができるのは一部の登場人物のみのため注意が必要である。
体力ゲージなどは存在していないが、敵からの攻撃でダメージを受けたり、一定時間走り続けて疲労したりするとキャラクターの動きが鈍くなるため、適宜息を整えてやる必要があり、登場人物ごとに息が切れるまでの時間は異なっている。
そういった仕様上、体力回復アイテムは特に存在していない。
シナリオよっては戦闘よりも幻視(視界ジャック)を駆使して隠れて逃げ回ることが中心になるものもあるが、今作では幻視のほかにアラート機能を導入していて、敵が付近にいる時や、狙撃銃で狙われている時は確認もできるようになった。

難易度選択

難易度はイージー、ノーマル、ハードから選択ができる。
初回プレイ時はイージーとノーマルのみ選択可能だが、前作のセーブデータがメモリーカードに残っている状態であれば一周目からハードモードでプレイすることもできる。
イージーモードでは敵の数が少ない、ダメージに対して打たれ強いなどアクションゲーム初心者でもプレイしやすい難易度になっており、デフォルトのノーマルモードでも、アラート実装や武器の複数所持・交換ができることによって、前作『SIREN』より難易度は大幅に下がっている。
その反面ハードモードでは敵の数が増え攻撃力もアップ、銃を持った敵が常にこちらを捕捉して追いかけてくる、プレイ中の行動ヒントも極めて断片的になるなど、攻略に難儀する仕様が増える。

幻視(視界ジャック)

一時的に他人の視覚と聴覚を盗用する能力で、本シリーズ最大の特徴である。
主人公たちは夜見島が異界に入った際、「母胎」に感応することで得たこの幻視の力を駆使し、敵の所持している武器や位置を見て戦闘を避けながら行動することに役立てるほか、ナンバーロック式の鍵の暗証番号を解読したりと、攻略に欠かせない重要なヒントも得ることになる。
また、今作では特定の登場人物固有の能力として「過去視」(いわゆるサイコメトリー)や、視界を盗用している相手の身体を数十秒間操ることができる「感応視」も使用できるようになり、シナリオクリアのみならず、複雑なストーリーの全容を解き明かしていく上でも役立つものとなっている。
盗用している視界の敵が付近にいる際はプレイヤーキャラは青い十字、同行者は緑色の十字で表示されるため、位置関係を把握することも可能。
また、直前まで視界を盗用していた敵は幻視解除後にしばらく赤い十字で表示され、壁などで隔たりがあっても位置がわかるようになっている。
ただし幻視の最中にはほかの行動が不可能になり、別の敵に襲い掛かられるリスクがあるため、操作キャラクターの安全を確保した上で行う必要がある。

終了条件とシナリオ開始条件

本作では、すべてのシナリオをそれぞれ違う終了条件(クリアミッション)で2度プレイする必要がある。
並行世界(パラレルワールド)がストーリーの土台に据えられており、終了条件1と2がそれぞれ並行した世界で起こっているものという扱いになっていて、終了条件2をすべてクリアした果てが本作のエンディングである。
終了条件2は1に対して終了条件達成までの工程が多く複雑なものや、終了条件1と比較すると広大な範囲を散策する必要があったりと手間や時間がかかるものが多い。

群像劇的構造のストーリーであるため、単に提示された終了条件をこなしてシナリオをクリアするだけでなく、プレイ中に各登場人物が取る一見意味不明な行動や、必要のないように見えるアイテムを収集することが別の登場人物のシナリオ解放条件(開始条件)となることもある。
このことから、終了条件のみに気を取られず、周辺をくまなく調べながらプレイすることも極めて重要になっている。
シナリオは選択画面から開始条件を満たして解放されたものを、自由に選んで進めていくことが可能。

GrimLT2
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