ワンダと巨像(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワンダと巨像』とは、2005年にPS2用としてソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたアクションアドベンチャーゲームである。後に廉価版やHDリマスター版、フルリメイク版の発売も行われた。英国アカデミー賞のゲーム部門の「技術賞」にノミネート、同賞同部門にて「芸術的実績賞」と「アクション&アドベンチャー賞」を受賞した経歴を持つ。失われた少女の魂を取り戻す為、16の巨像を倒していく事になった青年の戦いを描くストーリーとなっている。

『ワンダと巨像』の概要

『ワンダと巨像』は、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(後にソニー・インタラクティブエンタテインメントに社名を変更)から発売されたアクションアドベンチャーゲームである。「最後の一撃は、切ない。」というキャッチコピーと共に、2005年にPS2用のコンピュータゲームとして発売。人気が高じて、翌年6月には廉価版「PlayStation 2 the Best」バージョンのソフトが発売された。さらに2011年にPlayStation 3用のソフト「HDリマスター版」を発売。翌2012年には同ゲーム機用のダウンロード版も発売される事となった。その後、2018年2月にPlayStation 4用のソフト「フルリメイク版」が発売される。こちらは他のバージョンと異なり、アメリカのゲーム開発会社のブルーポイントゲームズ社から発売された。全体的な画質やゲーム性の向上にくわえ、新機能としてゲーム内の写真が撮れる「フォトモード」が追加されている。
開発は、本作発売前にソニー・コンピュータエンタテインメントにて発売されていたアクションゲーム『ICO』を制作した上田文人ら開発チームが行った。『ワンダと巨像』の世界観が『ICO』に似た雰囲気がある事から、一部のファンからは何か繋がりがあるのではないかと推測される事も多い。幻想的な世界観の作り込みや音を使った表現手法、アクションゲームとしての操作方法の特殊性が評価され、英国アカデミー賞のゲーム部門の「技術賞」にノミネートされたほか、同賞同部門にて「芸術的実績賞」と「アクション&アドベンチャー賞」を受賞した。

本作の物語は、「古えの地」(いにしえのち)と呼ばれる広大な地を舞台に展開される。主人公である青年のワンダは、魂が失われた少女モノを蘇らせるため、古えの地にある「古えの祠」(いにしえのほこら)に向かう。そこで彼を待っていたのは、ドルミンと名乗る正体不明の天の声だった。ドルミンに、「モノを蘇らせるには、古えの地にいる16の巨像を倒す必要がある」と教えられたワンダ。モノの魂を取り戻すため、ワンダはドルミンの助言に従い、愛馬のアグロと共に巨像を倒す旅を始める。

『ワンダと巨像』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

魂を失った少女・モノ(抱えられている少女)を運ぶ青年・ワンダ(画像右の青年)。

青年・ワンダは、魂を失った少女・モノを蘇らせる為、禁忌とされている蘇生術を行う事を決める。蘇生術を行うには、禁足地の古えの土地にある古えの祠に向かう必要があった。ワンダは武器となる剣と弓だけを持ち、魂を失ったモノの身体を連れて愛馬のアグロと共に古えの祠へ向かう。

巨像との戦闘

巨像と戦闘するワンダ(画像左の青年)と愛馬のアグロ(画像左の馬)。

古えの祠にたどり着いたワンダは、そこにあった古えの祭壇にモノを寝かせた。その時、突如として天から謎の声がワンダに語りかけてくる。謎の声は、自らを「ドルミン」と名乗り、モノを助ける為には16の巨像を倒す必要があるとワンダに教えた。ワンダは藁にもすがる思いでドルミンの助言に従い、巨像退治を開始する。
16の巨像は古えの地内の至るところにおり、ワンダはドルミンからのヒントと、彼から己の剣に授けられた「巨像がいる位置を指し示してくれる」力を使って巨像を探していく。見つけた巨像を着実に倒していくワンダ。巨像を1体倒す度に身体に謎の黒い影が入り込んできたが、その異様さに臆する事もなく、彼は巨像を倒し続ける。それは16体目の巨像を退治に赴く道中、渡っていた橋が崩れる事態に巻き込まれ、そのせいで愛馬のアグロを失っても変わらなかった。橋から落ちそうになった自分を助ける為、己を犠牲にし、谷底に落ちてしまったアグロ。ワンダはその事を悔やみながらも自分の目的を果たす為、16体目の巨像を倒しに向かう。

呪術師・エモンとの対峙

ワンダが巨像退治に奮闘する傍ら、彼を追う者達も動きを見せていた。呪術師エモンとその一行達だ。彼らは禁忌の術を行おうとしているワンダを止める為、古えの地に赴く。実はエモンは、ワンダに助言を行っているドルミンを封印した者達の子孫でもあった。ドルミンは強大な力を持った人物で、かつてその脅威を恐れた術師達によって身体を刻まれ、16の巨像に封印されてしまっていたのだ。
しかし、そうとは知らないワンダはドルミンの助言に従い、16の巨像をすべて倒してしまう。また、この時のワンダは、「死者の魂」に取り憑かれている状態にあった。実は巨像を倒す度にワンダの中に入り込んでいた黒い影は、「ドルミンに操られた」者達の死後の姿であり、かつてワンダ同様にドルミンの助言に従い巨像を倒そうとしてきた者達だったのである。巨像退治に失敗した彼らは、黒い影となって16の巨像を動かしていた。
彼らに取り憑かれたワンダは、巨像達に生えていたような角を生やし、目の色も茶色から青色へ変化する。異形と成り果てたワンダをエモン達は「反逆者」として攻撃し、最後は剣で一突きして殺してしまう。

大いなる存在・ドルミンの復活

封印が解かれ、復活したドルミン(画像右の巨大な影)と対峙するエモン(画像左、ローブの人物)。

エモン達によって息絶える事となったワンダ。だが、その途端、ワンダの身体の中にいた死者達が彼を自分達のような黒い影に作り変える。さらにそこへ、封印が解き放たれたドルミンが合わさり、ワンダであった黒い影を乗っ取って蘇りを果たす。巨像のように大きくなったドルミン(元ワンダ)に、為す術もなく撃退されるエモン達。ほとんどの者達が逃走を図るが、エモンだけは力を振り絞り、ワンダが使っていた「いにしえの剣」を古えの祠内にあった泉に投げ入れた。すると、封印の力が発動され、ドルミンは再び封印される。すると、その反動からか、ワンダは己の魂と身体を取り戻す。だが、その身体は真っ黒で人とは程遠い姿をしていた。ワンダは祭壇に眠るモノのもとへ向かおうと試みるが、己を吸い込もうとする封印の力に負け、ドルミンと共に封印されてしまう。
一方でエモン達の方は、無事に外界へ逃げおおせていた。その際、封印の力の反動か、古えの地と外界を繋いでいた橋が崩れ落ちてしまう。

エピローグ

魂を取り戻し、目を覚ましたモノ。

誰もいなくなった古えの祠。すると、突然祭壇で眠っていたモノが目を覚ます。ワンダが願った通り、モノの魂は無事に彼女の元に戻る事ができていたのだ。モノが自分の身に起きた事に驚いていると、そこへアグロがやってくる。16体目の巨像の討伐を前にして橋から落ちたアグロだったが、実は命だけはどうにか助かっており、自力で古えの祠へと戻ってきたのである。
怪我を負った状態のアグロは、それでも自ら歩き、モノをドルミンが封印された泉へ連れて行く。そこには服も着ていない赤子が1人いた。赤子には小さな角が生えており、どこかワンダらしき面影があるようにも見える。赤子を拾い上げるモノ。それを見たアグロは、今度はモノを古えの祠の屋上へと案内する。屋上には美しい空中庭園が広がっており、モノは赤子と共に庭園へと足を踏み入れるのであった。

『ワンダと巨像』のゲームシステム

オープンワールド

物語の舞台となる古えの地の光景の一部。

『ワンダと巨像』のマップは、オープンワールドとなっている。舞台となっている古えの地を自由に歩き回る事が可能。木や建造物の壁といった場所も自由に登り降りできる。物語の後半に倒す巨像がいる場所にも先んじて行けるが、行っても巨像はいない。倒す順番がやってきた時にのみ現れる。

ワールド内の移動方法

愛馬のアグロに乗って移動するワンダ。

『ワンダと巨像』の移動は、徒歩か馬のアグロに乗って行う。長い距離であればあるほど、アグロに乗っての移動が必要となる。ワープポイントのような一瞬で遠距離を移動できるアイテムもない為、移動は時間をかけて行うしかない。
また、日のある場所でワンダが持ついにしえの剣を掲げると、巨像がいる方向を光で指し示してもらえる。その光を手がかりに、プレイヤーは巨像の居場所を探していく。

ごちゃごちゃ
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