一の瀬花枝(めぞん一刻)の徹底解説・考察まとめ

一の瀬花枝(いちのせ はなえ)とは漫画『めぞん一刻』に登場する人物である。オンボロアパート一刻館の1号室に旦那と息子の賢太郎と共に住んでいる中年女性である。他の一刻館の住人達とつるみ、主人公の五代と響子と三鷹の三角関係を揶揄った。噂好きであり、頻繁に彼等のプライベートを詮索しては、それを他の一刻館の住人達と面白がっている。噂好きな一方で、面倒見の良い面も持ち、五代と響子が結ばれた際には温かく受け入れている。酒豪で他の一刻館の住人達と頻繁に宴会を開き、日の丸扇子を両手に踊りを踊るのが常であった。

一の瀬の息子な賢太郎は一刻館の廊下でスケートボードをして遊ぶ。そこへ浪人生の五代が顔を出し、賢太郎は五代を踏みつけて走り去った。全く悪びれない賢太郎に五代は怒り、彼の頭をぶつのであった。これにより賢太郎は泣き出し、1号室の一の瀬にこの事を報告する。息子に対し「そうかい」と一言、そっけなく言うだけであった。彼女曰く「浪人生は気が立ってるから仕方が無い」との事。一の瀬の息子を甘やかさない、厳しい母親の顔が窺える。

泥酔した朱美を介抱するシーン

朱美の介抱をする一の瀬

スナック茶々丸で働く朱美はある日、客の奢りで酒を飲んで泥酔して帰宅する。玄関に寝込んだ彼女を介抱する響子を手伝い、一の瀬も朱美に肩を貸す。

一の瀬の世話焼きな一面が窺えるシーンである。

宴会をするシーン

宴会で踊る一の瀬

一の瀬は頻繁に四谷、朱美といった一刻館の住人達と所構わず宴会を開く。このシーンは響子が一刻館に来て2年目のクリスマスでの宴会である。この時はスナック茶々丸で宴会を開き、一の瀬は日の丸扇子を両手に踊っていた。この踊りは一の瀬の代名詞でもあり、彼女は宴会を開く度にこの踊りを舞って大騒ぎをしている。

「ななんと」

五代の電話に聞き耳を立てる一の瀬

大学生となった五代は、悪友の坂本から「響子」という飼い猫を押し付けられてしまう。一刻館はペット禁止である為、当初は世話を嫌がっていた五代であるが、次第に愛着が湧いていった。そして彼は「寝ていると響子が布団に潜り込んでくる」と猫の様子を坂本に電話で報告する。管理人の響子と猫の名前が同じである為、一の瀬は「ななんと」と驚き「管理人の響子が五代に夜這いをしている」と誤解してしまった。これがきっかけで、五代は響子とトラブルになっている。

この様に一の瀬は電話や会話を盗み聞きし、それを言いふらしてしまう悪癖を持つ。正確な情報の時もあれば、個人の主観の入り混じった内容の時もある為、その度にトラブルが巻き起こる。主に五代が一の瀬の情報に振り回され、トラブルに巻き込まれていた。

「家族同様につきあってたつもりなのに」

響子に怒る一の瀬

一の瀬が一刻館で暮らしていたある日、響子の実母の律子が押し掛ける。そして一の瀬達一刻館の住人に「響子が一刻館の管理人を辞める」事を一方的に告げて帰って行った。突然の知らせに「家族同様につきあってたつもりなのに」と、一の瀬は響子への怒りを露わにした。その後、この話は律子が響子を実家に戻そうとする為の嘘である事が判明し、事無きを得る。

一の瀬の響子への想いが垣間見える名言である。

「全然」

響子を巡り、五代と三鷹は恋のバトルを繰り広げる。ある日、一の瀬はいつもの様にテニスクラブの金網越しに響子の様子を伺う五代を誘い、三鷹とテニス対決をさせた。試合は五代、響子と三鷹、一の瀬のダブルスでの勝負となる。経験者の三鷹は、ハンデとして一ノ瀬と組む事になった。試合前、三鷹が一の瀬にテニスのルールを知っているのかを尋ねた際、彼女は「全然」と呆気らかんに答えた。テニスクラブに通う一の瀬であるが、三鷹の指導よりも主婦達との噂話をしていた為、テニスのルールを覚えていなかったのである。そんな一の瀬に三鷹は愕然としていた。結局、三鷹は実質1人で響子、五代のダブルスと戦う事になる。

「バカだね。からかったりしないから安心おし。」

大学卒業後、就職浪人をしていた五代は苦学の末に保父(現在の保育士)試験に合格した。五代と結ばれていた響子は、健気に彼からのプロポーズを待つ。だが五代は連日、知人からの合格祝いの宴会を断り切れず、中々彼女にプロポーズを切り出せなかった。遂に痺れを切らした響子はヘソを曲げて不機嫌になってしまう。彼女の機嫌を取ろうとする五代であったが、その現場を一の瀬達一刻館の住人に見られてしまった。慌てて取り繕おうとする五代と響子に、一の瀬は「バカだねからかったりしないから安心おし。」と2人の関係を揶揄うつもりは無い事を伝える。

三角関係を面白がっていた一の瀬であるが、五代と響子が結ばれると素直に祝福している。彼女の人情味を表現している名言である。

一の瀬花枝(めぞん一刻)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実写映画の『めぞん一刻』

映画『めぞん一刻』

漫画『めぞん一刻』には実写映画が存在する。この映画は1986年に公開された。一の瀬役には藤田弓子(ふじた ゆみこ)が起用されており、ファンからは適役と評されている。藤田は1968年連続テレビ小説『あしたこそ』での主演や赤髭シリーズに出演しているベテラン女優である。

作品自体としてはメインヒロインである響子の色気シーンがあったりと若干大人向けな内容となっている。また原作特有の間やコミカルさよりも、監督の感性が色濃く出ており、若干暗めな不思議なラブコメディとなっている。

スペシャルドラマ『めぞん一刻』

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