ハリー・ポッターシリーズのレイブンクローまとめ

『ハリー・ポッター』の概要

『ハリー・ポッター』とはイギリスの作家J・K・ローリング原作の、1990年代のイギリスと魔法の世界を舞台としたファンタジー小説。孤児のため魔法使いでありながらマグルと呼ばれる非魔法族の家庭で育った少年ハリー・ポッターの、ホグワーツ魔法魔術学校での学校生活と、両親を殺害した強大な闇の魔法使いヴォルデモートとの因縁と戦いを描いた物語である。
1997年に第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』がロンドンのブルームズベリー出版社から刊行されると、瞬く間に世界的ベストセラーになった。原作者のJ・K・ローリングは『ハリー・ポッター』執筆・刊行まで、作家としてはまったくの無名であり、彼女は処女作にして大ヒット小説を生み出したことになる。
児童書という分類で発表された本作であるが、子供のみならず多くの大人も魅了し、結果、児童文学の枠を越えた超人気作品として世界的な社会現象となった。本シリーズの全世界累計発行部数は2018年12月1日の時点で5億を突破しており、「史上もっとも売れたシリーズ作品」として記録されている。
有名な映画プロデューサー、デイビッド・ハイマンと映画製作会社ワーナー・ブラザーズが本作の映画化権を獲得し、製作されるとこちらも瞬く間に大ヒットを記録した。これは、原作者のJ・K・ローリングもキャスティングや脚本に介入する権限を得ており、彼女の監修のもとにキャラクター像や世界観が追求されたためとも言われている。
その後、映画化を担当したワーナー・ブラザーズなどが主体となって、映画を中心とする作中設定を活用した『魔法ワールド（Wizarding World）』というファンタジー・メディア・フランチャイズが派生している。
また、スピンオフとして本作よりさらに前の時代である1920年代を舞台に、「魔法生物飼育学」の教科書「幻の生物とその生息地」の著者ニュート・スキャマンダーを主人公とした『ファンタスティック・ビースト』シリーズが制作されている。

「レイブンクロー」とは

レイブンクローとは、作中に登場する全寮制の魔女・魔法使いの学び舎「ホグワーツ魔法魔術学校」にある4つの寮の1つ。学校の創設者の1人であるロウェナ・レイブンクローの名前を由来とする。

レイブンクローの特色

知性に優れた者、学究精神に富む者が集う寮とされ、知的好奇心旺盛な者や創造性に長けた学問の徒を求めており、自らの専門・得意分野に関しては競争心も強く、ホグワーツの成績上位者はレイブンクロー生が多い。

知性を重んじる気風と高い学問の水準を要求するがゆえに寮生のプライドが高い傾向にあり、自身の価値観にそぐわぬ相手を見下す者もいる。
また保身を優先し時勢に則った判断を下す傾向がある。学生組織を禁止される中ハリーらが結成した「ダンブルドア軍団」という闇の魔術に対する防衛術の実践訓練組織を密告したのはレイブンクロー生のマリエッタ・エッジコムであった上、闇の帝王ヴォルデモートとの最終決戦においても半数が逃げている。ただし魔法界で指折りの優秀な魔女・魔法使い達を数々の残虐な行いで蹂躙し殺害してきたヴォルデモートに対して、10代の若き青少年達が立ち向かっても到底敵うべくもなく、保身に走ることは無理からぬことである。

良くも悪くも一筋縄ではいかない人間が多く、恐らく最も「寮としての結束」に頓着がなく、個人主義的な寮である。こういった部分は保守的で仲間意識の強いスリザリンとは対局にあると言える。

レイブンクローの組み分け帽子の歌

組み分け帽子の歌とは、「組み分け帽子」がホグワーツ魔法魔術学校の学期の初めに披露する、寮の特徴や組み分けに関する歌である。組み分け帽子は、新入生たちの寮を分ける役割を担う。しかしその役目のない長い時間は、新曲の作成にあてているようで、第1巻では4つの寮を的確に表現する歌詞を披露した。

以下は『賢者の石』で披露された歌詞のレイブンクローの部分を抜粋したもの
「 古く賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう 」

レイブンクローの紋章

鷲を象徴としており、シンボルカラーは青と銅。四大元素は風、スートはスペード、宝石はサファイヤをシンボルとする。
鷲は古くはローマ帝国の国章とされ、欧州を中心に様々な権威の象徴に用いられた。
青空と関連しており、開放感や柔軟性、叡智を表す。ただし青は憂欝や寂寥感、協調性の欠落といった孤独を表現するマイナスイメージが存在する。

レイブンクローの寮の造り

談話室は西塔の天辺にあり、急な螺旋階段を登った先にある取手も鍵穴もない木製の扉が入口。扉には鷲の形をしたブロンズのドアノッカーがついており、ノックをするとドアノッカーの鷲が歌うような柔らかな声で毎回違う謎解きを出題する。
問題に答えられない場合は、答えられる者が来るまで待っていなければならない。ちなみに謎さえ解ければ他寮の生徒も立ち入り可能であり、他寮生がシステム上入ることが許されている談話室はレイブンクローだけである。レイブンクロー生のルーナ・ラブグッドに言わせれば、「そうやって学ぶもの」とのこと。作中に登場した謎解きは「不死鳥と炎はどちらが先か」「消失した物質はどこに行ったか」であり、思考力を試す問題となっている。

談話室

談話室は円形の広い部屋で、優雅なアーチ型の窓があり、青とブロンズのシルクのカーテンがかかっている。深い青色をしたドーム型の天井にはたくさんの星座が描かれている。床には濃紺のカーペットが敷かれていて、椅子、ソファなどの家具も青で統一されている。そして、フロアを覆うように本棚が置かれている。
中央には髪飾りを付けた寮祖・ロウェナの大理石の立像がある。
忍び込んだハリーに言わせると、これまで見たホグワーツのどの部屋より「爽やか」な印象であるという。

寝室

寝室は共用部のある主塔から分岐した小塔で、天蓋付きベッドはスカイブルーのケワタガモの羽布団で覆われている。ホグワーツの敷地を360度一望できるほどの高さにあるため、窓辺からヒューヒューいう風の音がとても心地よいらしい。これはロウェナによる“高みより全てを学ぶ”というメッセージが込められている。

レイブンクローの寮付きゴースト

灰色の婦人（はいいろのレディ）／ヘレナ・レイブンクロー

演：ニーナ・ヤング（映画『賢者の石』）→ケリー・マクドナルド（映画『死の秘宝Part2』）
4つの寮付きゴーストの内、最後に存在が発覚した。本人もレイブンクロー出身。正体はホグワーツの創設者ロウェナ・レイブンクローの娘ヘレナ・レイブンクロー。
母の叡智に嫉妬し、知恵を与えるとされる「レイブンクローの髪飾り」を盗み、ロウェナのもとを出奔した。ロウェナはこのことを深く悲しみ、元々ヘレナを愛していた血みどろ男爵に依頼しヘレナを捜索させた。しかし、見つかったヘレナは血みどろ男爵を拒み殺害され、ゴーストとなった。

レイブンクローの歴代の寮監