逃げ上手の若君(逃げ若)のネタバレ解説・考察まとめ

『逃げ上手の若君』とは、日本の南北朝時代を舞台に歴史上の人物である北条時行の成長と活躍を描いた、松井優征による漫画作品。多くの文献や専門家の意見を元に、当時の文化や風俗、歴史的な背景が詳細に描かれる一方で、少年漫画らしい外連味に溢れた演出や物語が好評を博す。
1333年、重臣である足利尊氏の裏切りと新田貞義の挙兵により、鎌倉幕府が滅亡。北条家の遺児である時行は、諏訪頼重によって救い出され、長野へと逃げ落ちる。その地で仲間を集め、力を蓄えつつ、時行は北条家の再興のための戦いを始める。

当代の天皇であり、日本の最高権力者。歴史上の人物である。
立場上は“自分の配下”でありながら強大な権力を持つ鎌倉幕府を目障りだと感じており、尊氏と組んでこれを滅ぼす。尊氏とは完全な味方というわけでもなく、鎌倉幕府のような「新たな邪魔者」になるのではないかと警戒しながら見守っている。

楠木正成(くすのき まさしげ)

後醍醐天皇の部下の1人。歴史上の人物である。
当代最強クラスの軍略家で、味方である尊氏を「いずれ天皇家に弓引くつもりではないか」と警戒している。“逃げ”に特化した時行の才能に気付き、彼が対尊氏の戦力として成長することに期待して自身の軍略の一部を教授した。

北畠顕家(きたばたけ あきいえ)

奥州出身の公家。若干19歳にして並外れた戦上手で、特に弓の腕前は当代最高峰。
天皇家に対する忠誠心が高く、後醍醐天皇側の強力な戦力として活躍する。

新田徳寿丸(にった とくじゅまる)

尊氏と共に鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞の子。時行からすると“親の仇の子”だが、不思議な縁で戦友となっていく。

信濃の侍たち

小笠原貞宗(おがさわら さだむね)

信濃守護。歴史上の人物で、小笠原礼法の始祖となった人物。
頼重とは敵対する間柄であり、彼がどこかから連れてきた「自分の子」だという少年(=時行)が何者なのかと訝しむ。その正体を探ろうと幾度となく部下を送り込み、時行にとって信濃における最大最強の敵にして最高の師となっていった。

瘴奸(しょうかん)/平野将監(ひらの しょうげん)

各地で暗躍していた野盗。歴史上の人物をモデルにして描かれたオリジナルキャラクターである。
優れた武人にして兵法家。しかし武家の三男坊だったため領地を与えられず、それを不服として出奔。あちこちの戦場を渡り歩いた末に小笠原の配下となるも、欲望のまま彼に敵対する勢力の支配地域にある村を襲い、子供を拉致しては売り払っていた。

時行に敗れた後、小笠原から改めて領地を与えられて真っ当な武士だった頃の志を思い出すも、それまでに犯した罪の重さに苦しむようになる。鎌倉奪還のために兵を起こした時行を倒すために出撃し、再び彼に敗北。自身に武士として生きる道を示してくれた時行によって倒される皮肉を感じながら息を引き取った。

『逃げ上手の若君』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

史実との展開の違い

専門家の意見なども取り入れて、当時の世相や文化を忠実に再現している『逃げ上手の若君』だが、史実の展開とは異なる点もいくつか見受けられる。
もっとも違うのが、「尊氏が“当時日本から失われつつあった神々の力”の新たな受け皿となっている」という、いかにも少年漫画的な設定である。頼重が時行を助けているのも、神職としてこの事態を黙って見ていられなかったという理由付けがなされている。

他にも瘴奸の正体が史実では処刑されているはずの平野将監ということになっていたり、歴史的な展開は大きく変えないまま物語の先が読めない工夫が成されている。

北畠顕家が予見した土岐頼遠の最期

青野原の戦いにて、敵将である土岐の怪物的武勇に自軍を蹂躙されながらも彼を敗走に追い込んだ顕家は、追撃を提言する部下に「あのような男は戦場ではない場所で自滅する」と予言する。
後にこの推測は的中し、土岐は「天皇に対して無礼を働き、その罪で捕まって処刑される」という形で最期を迎える。顕家の見立てた通り、ただ武勇にのみ頼る土岐は、それゆえの粗暴さによって命を落とすこととなった。

『逃げ上手の若君』の主題歌・挿入歌

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