逃げ上手の若君(逃げ若)のネタバレ解説・考察まとめ
『逃げ上手の若君』とは、日本の南北朝時代を舞台に歴史上の人物である北条時行の成長と活躍を描いた、松井優征による漫画作品。多くの文献や専門家の意見を元に、当時の文化や風俗、歴史的な背景が詳細に描かれる一方で、少年漫画らしい外連味に溢れた演出や物語が好評を博す。
1333年、重臣である足利尊氏の裏切りと新田貞義の挙兵により、鎌倉幕府が滅亡。北条家の遺児である時行は、諏訪頼重によって救い出され、長野へと逃げ落ちる。その地で仲間を集め、力を蓄えつつ、時行は北条家の再興のための戦いを始める。
CV:大塚琴美(ボイスコミック版)/結川あさき(TVアニメ版)
主人公。歴史上の人物であり、「時行」は「“ときつら”と読むのではないか」と研究科から指摘されることもある。
鎌倉幕府の執権を務めた北条高時の次男にして正室の子であり、物語開始時点で8歳。聡明かつ秀麗だが、敵に立ち向かうより“逃げる”時にこそ力を発揮する異才の持ち主。頼重曰く「生存本能の怪物」である。
尊氏の裏切りによって鎌倉幕府が滅亡した後、頼重に保護され、彼の協力を得て幕府の復興を目指す。
諏訪頼重(すわ よりしげ)
CV:鈴木将之(ボイスコミック版)/中村悠一(TVアニメ版)
諏訪の領主にして諏訪大社の神官。歴史上の人物だが、“朧げな未来視”という特殊な力を持ち、時折この時代にはまだない知識や情報を語り出す。
“調子に乗ると後光の中で怪しい笑みを浮かべる”など振る舞いは奇矯だが、内心では時行の将としての才覚をとことん信じ、彼と共に鎌倉幕府の再興を目指す。大きな神社の神主なだけあって超常の存在を感じ取る能力を持つが、彼らの力が失われつつあること、それをどういうわけか尊氏が受け継いで人としての器を逸脱しつつあることを悟り、取り返しのつかなくなる前に彼を打倒しようと考えている。
雫(しずく)
CV:高木遥香(ボイスコミック版)/矢野妃菜喜(TVアニメ版)
頼重の娘。歴史上の人物ではなく、本作オリジナルのキャラクターである。時行とは同い年だが、その正体に感づかれないよう、普段は彼のことを「兄様」と呼んでいる。
冷静かつ聡明、礼儀正しい一方で毒舌な一面があり、頼重が妙なことを言い出すたびに呆れている。時行に対しても素っ気ないが、内心では異性としての魅力を感じており、彼の見ていないところでは時折それを露わにする。
頼重の娘だけあって超常の存在を感じ取る能力を持ち、“人の時代”の到来と共に神々の力が薄らいでいくことを寂しく思っている。
逃若党(ちょうじゃとう)
弧次郎(こじろう)
CV:佐藤恵(ボイスコミック版)/日野まり(TVアニメ版)
逃若党の一員。歴史上の人物ではなく、本作オリジナルのキャラクターである。
時行と同い年の少年で、主君として忠誠を誓う一方で友人のような関係を築く。子供ながら並の侍以上に太刀を使いこなし、戦では時行の側近として勇猛果敢に戦う。
諏訪神党に連なる祢津一族の出身だが、母が北条に近い御家人に乱暴されてできた子供で、一族からは腫物扱いされていた。それでも自分に居場所を与えてくれた現当主や、友として扱ってくれる時行に深く感謝し、彼らの期待に応えようと鍛錬に励んでいる。
亜也子(あやこ)
CV:綾瀬みゆう(ボイスコミック版)/鈴代紗弓(TVアニメ版)
逃若党の一員。歴史上の人物ではなく、本作オリジナルキャラクターである。
諏訪の有力武将である望月重信(もちづき しげのぶ)の娘。時行とは同年代だが、大人の女性並みの体格と大人の男も顔負けの怪力を持つ。明朗快活なムードメーカーで、戦場では好戦的な一面を覗かせる。時行に対しては主君として忠誠を誓うと同時に異性としても魅力を感じており、「その気になったらいつでもお手付きにしてほしい」と直接伝えている。
風間玄蕃(かざま げんば)
CV:悠木碧(TVアニメ版)
逃若党の一員。歴史上の人物ではく、本作オリジナルのキャラクターである。
信濃で盗人として名を馳せていた、時行と同年代の少年。下品で好色、「金を出さないヤツに付き合う意味は無い」と言い切る強欲な性格。逃若党の仲間に誘われた際も莫大な報酬を要求したが、時行から「金さえ払えば味方になってくれるなんて、君は良いヤツだ」と予想もしていない言葉をかけられ、次第に彼個人に興味を抱いていく。
父もまた「これから先の戦には役に立つ」と判断して忍びの技や変装術を身に着けた人物だったが、当時の武士の戦い方から逸脱したそれを「外道の技」と見下され、追放された末に報われないまま病死。この際「この世でもっとも大切なのは金だ。もしお前が損得抜きで使えたいと思う者と出会えたら、それでも金はもらっておけ」と言い残しており、玄蕃が金に執着するのもこれが理由となっている。
吹雪(ふぶき)/高師冬(こうの もろふゆ)
CV:戸谷菊之介(TVアニメ版)
逃若党の一員。歴史上の人物ではなく、本作オリジナルのキャラクターである。
二刀流の剣術の達人にして優れた軍略家。孤児たちを守るために野党を相手に奮闘していたところで時行たちと出会い、その将器を見込んだ時行にスカウトされる形で逃若党に加わる。一行の中では唯一“青年”と呼べる年代で、若いながら戦場をいくつも経験している。常人の数倍の量を食べる大食漢である。
自身も時行の器の大きさを評価しており、彼の下で思うまま力を振るうことに喜びと手応えを感じている。戦では時行の軍師的な立場の存在として近くに控えていることが多い。
物語の中で足利尊氏の怪物的なカリスマを浴びて正気を失い、時行の下から離反。高師冬として足利勢力に与するようになる。
北条派勢力
北条泰家(ほうじょう やすいえ)
時行の叔父。鎌倉幕府滅亡以来、逃げて逃げて逃げ続けながらいつか決起するための仲間を集め続けていた、時行とは異なるタイプの逃げ上手。考えていることが額に文字として浮かぶ奇妙な体質の持ち主。
時行が兵を起こすのに前後して合流し、一軍を担う。直接的な戦闘ではあまり目立った活躍を見せていないが、調略では力を発揮し、甥である時行と共に鎌倉奪還を果たす。
Related Articles関連記事
2024年7月夏アニメ(前期アニメ)まとめ
2024年7月期に放送される夏アニメを50音順に紹介する。2024年7月夏アニメは、人気シリーズの続編が多数ラインナップされている。アニメの放送情報や配信情報、声優・スタッフ、あらすじなどの情報をわかりやすくまとめた。
Read Article
暗殺教室(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『暗殺教室』とは、漫画家松井優征による漫画作品。「週刊少年ジャンプ」にて2012年から2016年まで連載され、2015年にはTVアニメも放映されている。「来年3月までに私を暗殺できなければ地球を破壊する」と宣言する超生物「殺せんせー」と、おちこぼれの中学生クラス「3年E組」が繰り広げるギャグテイスト学園漫画である。
Read Article
魔人探偵脳噛ネウロ(松井優征)のネタバレ解説・考察まとめ
『魔人探偵脳噛ネウロ(まじんたんていのうがみねうろ)』とは、2005年2月から2009年4月まで週刊少年ジャンプで連載された漫画作品であり、それを原作とするアニメ作品。“謎”と呼ばれるエネルギーを主食とする魔人・脳噛ネウロ(のうがみねうろ)と、平凡な女子高生・桂木弥子(かつらぎやこ)が探偵として様々な事件を解決していく。ストーリーを通して弥子の成長や、魔人の視点を通しての「人間の可能性」を描いていく。謎解きよりもその独特な画風や強烈なキャラクターが一部のファンにカルト的人気を博している。
Read Article
暗殺教室の恋愛関係・カップル・カップリング・夫婦・恋人まとめ
『暗殺教室』は松井優征による漫画で、『週刊少年ジャンプ』で2012年から連載された。名門私立中学校の中で「おちこぼれ」と迫害されているクラスの生徒たちが、1年かけて自分たちの担任を殺すことがメインストーリーで、その斬新な設定で人気を呼んだ。2015年にテレビアニメの第1期が放送され、ゲームや実写ドラマ、スピンオフ作品『殺せんせーQ!』などメディアミックス化されている。中学生たちの青春を描いており恋愛的要素も多いが、中には同じ目的を持つ同志のようなカップルもある。
Read Article
暗殺教室のコードネーム・呼び名・ニックネームまとめ
『暗殺教室』とは、2012年から2016年まで『週刊少年ジャンプ』に連載されていた長編漫画、及びそれを原作としたアニメ、実写映画などのメディアミックス作品である。作者は松井優征。 進学校の落ちこぼれクラスである3年E組の生徒たちは、突然担任としてやってきた謎の生物「殺(ころ)せんせー」を殺すための暗殺者として鍛えられることになる。その日常の中で「1日名前ではなくコードネームで呼ぶ」という試みや「わかばパーク」でのボランティアで子供達につけられたあだ名などでさまざまな呼び名が増えていった。
Read Article
魔人探偵脳噛ネウロの回収済み・未回収の伏線・謎まとめ
『魔人探偵脳噛ネウロ』とは、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた推理漫画、及びそれを原作としたアニメを始めとするメディアミックス作品である。作者は松井優征。 人間界の「謎」を喰いに来たという魔人・脳噛ネウロ(のうがみ ねうろ)と彼の傀儡として女子高生探偵をやることになった桂木弥子(かつらぎ やこ)が数々の事件を解き明かしていくストーリー。作品の性質上様々な謎や伏線が張り巡らされており、連載中に解決済みの謎と、未だに解決していない謎について紹介する。
Read Article
暗殺教室の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
「暗殺教室」は「週刊少年ジャンプ」に連載された松井優征による漫画作品。 椚ヶ丘中学校の底辺クラス3年E組の担任として謎の人外生物がやってくる。月の7割を破壊してきた上に「来年3月には地球を破壊する」と宣言するその超生物を殺してくれ、とE組は防衛省から依頼された。暗殺対象の先生と、暗殺者たる生徒達が織りなす、殺しと学びの物語。暗殺という非日常的側面がありながら、学校らしい教育的な名言が多い。
Read Article
【殺しても死なない先生の正体とは?】暗殺教室
暗殺者とターゲットの奇妙な関係が、そこにはあった。 進学校「椚ヶ丘中学校」に通う落ちこぼれ集団3年E組が地球の存亡をかけた極秘ミッションに挑む!! この物語の終着点や如何に…。
Read Article
【人気漫画】2007年~2018年の週刊少年ジャンプ打ち切り・終了マンガまとめ!
2007年~2018年の間に『週刊少年ジャンプ』で打ち切り・終了したマンガをまとめました。作品は2007年1号以降に終了したものです。『銀魂』『BLEACH』『NARUTO』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』といったジャンプを代表するマンガはもちろん、残念ながら打ち切りになってしまった作品、内容は悪くなかったのに読者に響かなかった隠れた良作を紹介していきます。
Read Article
【似てる!?】暗殺教室の実写キャストをアニメ・原作絵と比較【山田涼介ほか】
月の七割を破壊した最強生物「殺せんせー」と、殺せんせー暗殺の任務を負った椚ヶ丘中学校の落ちこぼれ「3年E組」の生徒たちの交流を描いた『暗殺教室』。原作の大ヒットを受けてアニメ化・実写映画化されており、ファンからは「似てる!」との声も上がっている。本記事では『暗殺教室』の実写版キャストを、アニメ及び原作の画像と共に紹介する。
Read Article
素敵なイラストが勢揃い!アニメ、漫画、ゲームの新年イラストまとめ
新年に公開された素敵なイラストをまとめております! これを見て今年も楽しく過ごしましょう!
Read Article
通えるとしたら通いますか?漫画やアニメの一風変わった学校
学園ものというジャンルにたまにある「凄い設定だな…」と思う学校。作品世界やストーリーの都合ではなく、学校に着目しました。
Read Article
【暗殺教室】クライマックスに向けておさらい!作中の伏線まとめ(ネタバレあり)
大人気作品の『暗殺教室』。アニメ化や実写映画化もされたことで話題になりましたよね。漫画はコミックスで全21巻あり、作中には様々な伏線が登場します。この記事では、そんな伏線や殺せんせーの正体、ラスボスが誰かについてまとめました。重要なネタバレを含んでいるので、まだ作品を読んでいない方はくれぐれもご注意を!
Read Article
見るまでハラハラ、見たらハラショー!度胸に拍手!漫画の実写化作品集
漫画作品の映像といえば大概アニメだと思いますが、作品によっては生身の俳優さんが演じる実写版もあります。しかし中には「何でわざわざ実写でやるん!?」と乗り出しそうになるものも。そんな勇気あふれる「漫画原作実写作品」をまとめました。
Read Article
【暗殺教室】暗殺者・殺し屋の登場人物・キャラクターまとめ
ここでは担任教師「殺せんせー」の暗殺と、学校の成績向上を目指して奮闘する中学生たちを描いた漫画『暗殺教室』に登場する殺し屋、暗殺者をまとめた。「暗殺」が題材のため、プロの殺し屋や暗殺者が数多く登場し、生徒たちの試練となったり導き手となったりする。
Read Article
深夜枠放送名作アニメの悲喜こもごも
「何で深夜枠…何ですぐ終わる…」そう思わせる名作漫画「アニメ化作品」の数々。規制のせいか!?などと短絡的に思ってしまいましたが、カンタンに録画で見られる時代です。それに名作はアニメになったって名作…とは限らないのが、原作ファンにとっては哀しいところ。せっかく色や音、動きがつくのだから原作並みのクオリティで突っ走ってほしいものです。
Read Article
【暗殺教室】絶対に読んで欲しい!誰かにオススメしたくなる少年・青年漫画まとめ【テラフォーマーズ】
他の人にオススメしたくなること間違いなしの話題の少年漫画、青年漫画をまとめました。映画化やアニメ化された話題作など、様々なジャンルの漫画のあらすじやオススメポイントを紹介していきます。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『逃げ上手の若君』の概要
- 『逃げ上手の若君』のあらすじ・ストーリー
- 鎌倉幕府の滅亡
- 潜伏の日々
- 中先代の乱
- 頼重との別れ
- 尊氏の凋落と復活
- 南朝勢力への参加
- 青野原の戦い
- 友との再会
- 石津の戦い
- 『逃げ上手の若君』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 北条時行(ほうじょう ときゆき)
- 諏訪頼重(すわ よりしげ)
- 雫(しずく)
- 逃若党(ちょうじゃとう)
- 弧次郎(こじろう)
- 亜也子(あやこ)
- 風間玄蕃(かざま げんば)
- 吹雪(ふぶき)/高師冬(こうの もろふゆ)
- 北条派勢力
- 北条泰家(ほうじょう やすいえ)
- 足利派勢力
- 足利尊氏(あしかが たかうじ)
- 足利直義(あしかが なおよし)
- 佐々木道誉(ささき どうよ)
- 魅摩(みま)
- 斯波家長(しば いえなが)
- 夏(なつ)/夏の四(なつのし)
- 土岐頼遠(とき よりとお)
- 天皇派勢力
- 後醍醐天皇(ごだいごてんのう)
- 楠木正成(くすのき まさしげ)
- 北畠顕家(きたばたけ あきいえ)
- 新田徳寿丸(にった とくじゅまる)
- 信濃の侍たち
- 小笠原貞宗(おがさわら さだむね)
- 瘴奸(しょうかん)/平野将監(ひらの しょうげん)
- 『逃げ上手の若君』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 史実との展開の違い
- 北畠顕家が予見した土岐頼遠の最期
- 『逃げ上手の若君』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):DISH//「プランA」
- ED(エンディング):ぼっちぼろまる「鎌倉STYLE」