絶対可憐チルドレン(絶チル)のネタバレ解説・考察まとめ

『絶対可憐チルドレン』とは2005年より椎名高志が『週刊少年サンデー』で連載していた漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。超能力者が年々増え続けている現代世界を舞台に、政府の特務機関に所属し、最強の超能力を持つ3人の少女達ザ・チルドレンと、指揮官で普通人の天才ある皆本が様々な事件や災害から人々を守るサイキックアクション漫画である。物語にはチルドレン達の小学生編、中学生編、高校生編があり、チルドレンの成長や皆本とのラブコメディーも展開された。2021年まで連載は続き、根強い人気を有している。

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『絶対可憐チルドレン』の概要

『絶対可憐チルドレン』とは椎名高志原作の少年向け漫画である。略称は「絶チル」。ジャンルはSF、アクション、ギャグ。2004年8月25日から『週刊少年サンデー』39号から42号にて、短期集中連載する。その後2005年33号から2021年33号まで、同雑誌にて本連載をした。単行本は全63巻で、話数は全616話である。また2008年5月21日には『ガガガ文庫』にて小説版が発行された(全1巻)。また本作は2022年に、優秀なSF作品に送られる、第53回星雲賞コミック部門を受賞している。

2008年4月6日から2009年3月29日にテレビ東京系列でアニメ化もされている。話数は全51話とOVAの1話。アニメオリジナルエピソードを交えつつ、単行本の小学生編が描かれた。TV版最終話は16巻の1部が原作として使われている。子供を対象に制作されており、日曜の朝に放映された。またスピンオフ作品としてアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』が2013年1月7日から3月25日にかけて、同じくテレビ東京系列にて放映された。こちらは本作の登場人物である兵部京介(ひょうぶ きょうすけ)を主人公に制作されている。深夜アニメ枠の為内容は大人向けとなっており、パラレルワールドとしてストーリーが展開された。話数は全12話。

テレビアニメ化を皮切りに、声優によるラジオ番組やドラマCDやゲームソフトが制作されている。

21世紀、世界では超能力者(エスパー)が誕生し年々彼等の数は増え続けていた。彼らは軍事、外交、経済等あらゆる分野で活躍し、国際競争の鍵を握るようになる。

超能力者はその能力の強さに応じて「超度」と呼ばれるランクに分けられている。超度は1から7まであり、7が最高ランクである。日本国内のランク7には明石薫(あかし かおる)、野上葵(のがみ あおい)、三宮紫穂(さんのみや しほ)の3人しかいない。この3人が物語のヒロインである。彼女達は10歳(物語開始時点)の少女であり、バベルで管理されながら働いていた。

バベルとは正式名称内務省特務機関超能力支援研究局の事であり、通称「B.A.B.E.L.(バベル)」である。この機関は日本政府が超能力者を集め、その能力を災害、凶悪犯罪、諜報活動、医療といった幅広い分野に役立てる為に機能している組織である。彼女達はその中でチーム「ザ・チルドレン」に所属し、様々な事件や災害に立ち向かっていった。

本作の主人公、皆本光一(みなもと こういち)は「ザ・チルドレン」の管理官であり、保護者である。彼は元々優秀な科学者であったが、能力を見こまれてザ・チルドレンと共に数々のミッションを共に解決していく。

物語はチルドレンの成長に併せて展開され、小学生編、中学生編、高校生編という構成になっている。息詰まるサイキックバトルアクションの他に、チルドレンと皆本の成長や個性溢れるキャラクター達の人間ドラマが魅力である。

『絶対可憐チルドレン』のあらすじ・ストーリー

小学生編

活躍するチルドレン

21世紀、世界では超能力者(エスパー)が誕生し年々彼等の数は増え続けていた。彼らは軍事、外交、経済等あらゆる分野で活躍し、国際競争の鍵を握るようになる。世界各国は超能力開発に乗り出す一方、その脅威に恐れを抱いていた。超能力者は「超度」と呼ばれる尺度で表され、超度7が最高レベルである。日本における超度7は3人しかいない。それが明石薫(あかし かおる)、野上葵(のがみ あおい)、三宮紫穂(さんのみや しほ)である。薫は念動能力者であり、快活で3人のリーダー的な存在である。葵は瞬間移動能力者であり、関西弁の知的キャラである。紫穂は接触感応能力者であり、見た目とは裏腹に腹黒さを持つ。この3人は政府特務組織バベルに所属し、「ザ・チルドレン」というチームで活動していた。彼女達は様々な事件や災害から人々を守る仕事をしている。

天才科学者の皆本光一(みなもと こういち)はチルドレンの管理官に任命され、彼女達の指揮を採る事となった。だが彼女達は特異な能力から普通の教育を受けられず、超能力者を異端視する大人の仕打ちにより、バベルに不信感を抱いていた。皆本はそんなチルドレンとぶつかり合いながら、信頼関係を築いていく。皆本が指揮官になった事で、チルドレンは着実に成果を上げていった。

チルドレンが活躍する一方で、普通人による超能力者への差別や迫害が浮き彫りになっていく。そんな中、皆本は任務で一緒になった伊-九号から未来の情景を見せられる。伊-九号は先の大戦において動物実験で生み出された「100%の予知能力を持つイルカ」である。彼はイルカでありながらテレパシーで人間とコミュニケーションを取ることが出来る。伊-九号は予知能力で「皆本が薫を射殺する未来の映像」を皆本自身に見せた。未来で薫は超能力者達を率いて、無能力者である普通人と戦争をしていたのである。未来の皆本は戦争を止めるべく、苦悩の末に薫を射殺していた。

皆本に未来を見せた伊-九号は自身の予知通り襲撃を受け、大海原に姿を消した。以降、皆本はチルドレンの未来を変えようと苦闘していく事となる。

パンドラの出現

兵部京介(ひょうぶ きょうすけ)が活動を開始する。兵部は先の大戦にて超能力部隊に所属していたが、上司に裏切られて瀕死の重傷を負い、普通人を憎悪する様になった人物である。兵部は迫害されてきた超能力者達を集め、超能力犯罪者組織パンドラを結成していた。パンドラは「普通人(ノーマル)を滅ぼし、その支配からエスパーを解放してエスパーだけの世界を作る」事を目的に暗躍を続ける。こうしてチルドレンとパンドラとの戦いが始まった。兵部は先の大戦末期に、皆本が見た「薫が超能力者を率いて普通人と戦う未来」を伊-九号によって見せられていた。これにより彼は、薫をパンドラの真の統率者にしようと暗躍していく。

ブラックファントムの出現

チルドレンとパンドラの戦いが激化する最中、ブラックファントム(黒い幽霊)が襲来する。ブラックファントムは超能力者を催眠能力によって洗脳し、人体兵器として運用する事で巨万の富を得ている犯罪組織である。パンドラとは異なり、彼等は超能力者を道具としてしか見ておらず、任務が失敗すれば自害させる等の非道な一面を持っていた。チルドレンはブラックファントムとも戦っていく事となる。一方でパンドラもブラックファントムの非道な行いに反発し、何度かバベルと共同戦線を張る様になった。

チルドレンはブラックファントムとの死闘の最中、3人の力を結集した新しい合成能力「フォースオブアブソリューション」を生み出す。これにより洗脳されていた超能力者の解放が可能となり、バレット、ティムといった超能力者を仲間にする。またチルドレンと皆本は、パンドラやブラックファントムによる困難に晒されながらも、その度に乗り越えて絆を深めていった。

中学生編

悠理の登場

チルドレンは中学校に進学し、新しい生活が始まる。その最中、雲居悠理(くもい ゆうり)が新しいクラスメイトとなった。悠理は少しドジな美少女である。その正体はブラックファントム首領の娘「ファントムドーター」であった。彼女は多重人格者であり、チルドレンのブーストを解明すべく、模擬人格である雲居悠理を作り出してチルドレンに近付く。但し、悠理にはその記憶は無く、当人の知らない所で、ユーリとミラージュという2つの人格が暗躍していた。

一方でパンドラはブラックファントムに対抗すべく、バベルに接近する。バベル側も共通の敵を倒す為、手を結ぶ事となった。これによりパンドラの子供達もチルドレンと同じ学校へ通う様になる。

暗躍していた悠理であったが、チルドレンを始めとした様々な人々との関わりにより、人としての優しさや暖かさを知る。そして彼女は複数の人格との統合を果たした。これにより仮初の人格であった悠理が基本人格となり、ユーリとミラージュを取り込んだ。同時に自分がかつて行ってきた、超能力者を洗脳して人体兵器を生み出してきた闇の過去と向き合う事となる。そして彼女はブラックファントムとの決別を決意する。悠理はまず自身についての学校、バベル、パンドラ関係者の一切の記憶と記録を抹消して彼らの前から姿を消した。そして兄であるギリアムに1人で戦いを挑む。だが悠理の体細胞を元に生み出された「クローンチャイルド」や、ギリアムの巧妙な催眠能力の前に敗北し逆に囚われてしまった。

未来を賭けた戦い

ブラックファントムに洗脳された悠理であったが、ブラックファントムの拠点に乗り込んだチルドレンの活躍により解放される。同時に、悠理が未来の分岐点であった明らかとなり、皆本がかつて見た悲惨な未来は回避された。

ブラックファントムの拠点はチルドレン達の活躍により、崩壊する。だが、ブラックファントム首領や幹部達、資金やクローンチャイルドは既に姿を消していた。

高校生編

ブラックファントムの新しい洗脳

チルドレンは高校生となる。だがブラックファントムはギリアムが台頭し、更に凶悪になって活動を再開した。ブラックファントムの開発した新しい洗脳手法により、次々とバベルやパンドラの超能力者達がブラックファントムに洗脳されてしまう。バベルや世界中の政府は完全にブラックファントムの手に落ち、超能力者を管理・監視の方針へと舵を切ってしまった。これにより超能力を排斥する法案を次々と承認してしまい、世界中で普通人による超能力者排斥運動が勃発する。

苦戦するチルドレンであったがパンドラの支援もあり、上層部の洗脳を解いてバベルの奪還に成功した。これによりバベルは超能力者排斥政策・運動に対抗する様になり、超能力者が公に迫害される事態は収束していく。またチルドレンはバベルへと戻り、再び特務エスパーとして活動する事となった。

ブラックファントムの崩壊と新しい未来

ブラックファントムの内部分裂により、バベル・パンドラはブラックファントム本拠地の場所を特定する。チルドレン達は本拠地へ乗り込み、ギリアムを追い詰めた。だが、ギリアムは自らの命と引き換えに、超能力者の負のエネルギーと憎悪の化身「ベヒーモス」を生み出す。これによりチルドレン達は撤退した。

ベヒーモスはナノマシンで構成されており、人間の脳に作用し、人々の憎悪や怒りといった負の感情を増幅させる能力を持っていた。ベヒーモスはチルドレン達の居る日本へ移動を始める。ベヒーモスの影響により、世界各地で人々は暴動や紛争が勃発した。

世界を救う為にチルドレンは最後の戦いに挑む。そこへバベル及びパンドラの超能力者が駆け付け、総力戦を展開した。そこには伊号の姿もあった。人々の想いは光となり、過去に戦死していた旧日本帝国陸軍超能力特務部隊の面々も一時的に復活を果たす。過去、現在の超能力者達は新しい未来を作る為、団結してベヒーモスを打ち倒した。

戦いは終わり、超能力者達はそれぞれの日常へと戻っていった。皆本は、普通人と超能力者の垣根を超えて、薫に自分の想いを伝える。彼等は悲惨な未来を完全に乗り越え、新しい未来へと歩んで行くのであった。

『絶対可憐チルドレン』の登場人物・キャラクター

主人公

皆本光一(みなもと こういち)

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