ショーシャンクの空に(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ショーシャンクの空に』とは、1992年にアメリカ合衆国で制作されたヒューマン・ドラマ映画である。1940年代のメイン州ポートランドを舞台に、妻とその愛人を殺したとして逮捕されたアンドリュー・デュフレーンと、刑務所で出会った囚人のエリス・ボイド・レディング。寡黙で真面目な銀行員だったアンドリューは、ショーシャンク刑務所へ収監された後も自らの力で希望を切り開き、エリス・ボイド・レディングも、アンドリューとの出会いで人生が大きく変わることとなる。ラストシーンでの大どんでん返しが話題を呼んだ人気作だ。

『ショーシャンクの空に』の概要

『ショーシャンクの空に』とは、スティーヴン・キングの中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』を原作に、1994年にアメリカ合衆国で制作されたヒューマン・ドラマ映画である。公開当初、興行収入は1600万ドルに留まったものの、アカデミー賞で作品賞、主演男優賞など7部門にノミネートされたことをきっかけに劇場で再公開され、最終的な興行収入は5830万ドルにもなった。日本では翌年1995年に公開され、日本アカデミー賞の外国語映画賞、毎日映画コンクールの外国映画ベストワン賞、報知映画賞の外国作品賞など、数々の賞を受賞した。その後、全世界で人気は伸び続け、2005年にはアメリカフィルム登録簿に「文化的、歴史的、芸獣的に重要な映画」として保存された。
主人公のアンディとレッドを演じたティム・ロビンス、モーガン・フリーマンは本作が代表作となった。また、監督・脚本を務めたフランク・ダラボンは、本作をきっかけに『グリーンマイル』『ミスト』など、数々の名作を生みだした。

寡黙で真面目な銀行員のアンドリュー・デュフレーンは、妻とその愛人を銃殺したとして裁判にかけられることとなった。アンドリューは裁判の間中、一貫して無実を訴え続けたが終身刑となってしまう。ショーシャンク刑務所に服役したアンドリューは、そこで調達屋をしているアイルランド系のエリス・ボイド・レディングを始めとした様々な人物と出会う。規律と聖書をこよなく愛する所長や、冷酷な主任刑務官、50年近く服役しているブルックスや、男ばかりの刑務所内でレイプを繰り返しているボグズ。暴力やレイプが頻繁に行われ劣悪な環境のショーシャンク刑務所であったが、アンドリューはそれでも希望を捨てず、自らの力で道を切り開いていく。

『ショーシャンクの空に』のあらすじ・ストーリー

刑務所での出会い

アメリカ合衆国、メイン州ポートランドで銀行の副頭取として働くアンドリュー・デュフレーン(以下アンディ)は、1947年のとある日、妻とその愛人を脅かしてやろうと、愛人宅へ向かっていた。アンディの妻はプロゴルファーのグレン・クレンティンと不倫しており、その日も妻はグレンの元にいた。バーを2、3件はしごした後、車に乗って愛人の家の前まで来てピストルに弾を込めていたアンディだったが、家の中へ押し入ることはせず、そのまま帰宅したのだった。しかし、翌朝妻と愛人は何者かに銃殺されており、アンディは容疑者として名前をあげられてしまう。一貫して無実を訴えるアンディだったが、動機も充分にあり、酔っていてアンディ自身の記憶も曖昧だったとされ終身刑を言い渡されてしまう。全てを失い、ショーシャンク刑務所に収容されたアンディは、刑務官が囚人に当たり前に暴力を振るう光景を見て絶望する。囚人たちは新入りの囚人がやってきた日には必ず、誰が一番始めに泣き出すのか賭けをしており、その日はファット・アスが声をあげて泣き出した。賭け事をしていた囚人たちの煽った声とファット・アスの泣き声とで騒ぎを聞きつけた刑務官がやってくる。「うるさいぞ。」と言われても取り乱すファット・アスはそのまま何度も殴られ、ついには死亡してしまうのだった。アンディはとにかく目立つまいと、1か月間誰とも口を聞かなかった。しかしある日、同じく囚人で調達屋のエリス・ボイド・レディング(以下レッド)に声をかける。タバコやお金と引き換えに何でも用意してくれるというレッドに、アンディは石集めの趣味を再開したいとロックハンマーを注文するのだった。

地獄の刑務所生活

調達屋のレッドにより、小さなロックハンマーを手に入れることのできたアンディ。また、この一件をきっかけにレッドやヘイウッド、その仲間であるブルックス・ヘイトレンとも打ち解けるようになった。一方で囚人相手にレイプを行っていたボグズ・ダイヤモンドから目をつけられ、最初の2年間は執拗に追い回されてアンディは生傷の絶えない日々を送っていた。ある日、刑務所の屋根の塗り替えを行うとして12名の作業者を募集していた。100人以上の志願者が出る中、レッドが刑務官をタバコで買収し、アンディ達仲間が選ばれることとなった。その作業中、アンディは冷酷なハドリー刑務官が遺産相続の問題を抱えている話題を小耳に挟む。「奥さんを信用していますか。」と声をかけるアンディに、ハドリーは作業を中断した事や勝手に話しかけてきた事に激怒。胸倉を掴まれてあわや突き落とされそうになるアンディだったが、銀行員としての経歴を生かして相続税がかからなくて済むよう自分なら申告書を作れるとハドリーを納得させたのだった。その後、娯楽の一環として刑務所内で映画を上映していた時、アンディは映画に出演していた女優のリタ・ヘイワースをレッドに注文する。その直後、相変わらずボグズから追い回されていたアンディは、ついにボグズら仲間から全治1か月の怪我を負わされてしまう。アンディが診療所へ行っている間、アンディのことを手元に置いておきたいハドリーによりボグズは暴行され、二度と歩けない程の怪我を負わせられることとなり、囚人用の病院へ移って行った。アンディが診療所から戻ってくると、退院祝いとしてレッドに注文していたリタ・ヘイワースの大きなポスターが届いていた。

アンディの新たな仕事

その後、アンディは図書係へ任命される。長年ブルックスが一人でやってきた図書係がなぜ2人になったのか疑問に思うアンディ。そこへ、ハドリーが1人の刑務官を連れてきた。その刑務官は、「子供の教育資金のことで」とアンディに相談を持ち掛ける。それを皮切りに、その年、刑務所内の半分の刑務官の申告をアンディが行った。翌年は全刑務官、その翌年は他の刑務所の刑務官の分まで請け負うようになり、最終的にはノートン所長の賄賂をもみ消す手伝いのためノートン所長専属の帳簿係をさせられていた。その一方でせっかく図書係になったのだからと、アンディは州議会へ予算を増やしてくれるよう手紙を書いた。週に1通、毎週欠かさず手紙を書いては返ってこない返事を待ち続けるアンディ。その間に終身刑で50年服役していた仲間のブルックスが仮釈放されることとなった。しかし、ヘイウッドから「おめでとう。」と声かけられたブルックスは、わざと罪を重くさせようとヘイウッドに怪我を負わせようとするほど取り乱していた。刑務所内では仕事も任され仲間もいるブルックスだが、娑婆に出ても「前科持ちの老人」としてしか見られず、収監された50年前とは街並みも社会も何もかもが変わってしまっていることを知っていたのだ。ブルックスは娑婆に出た後、仮釈放委員会の用意した部屋に住み、スーパーでレジ係として働いた。しかし、人々のスピードに全くついていけず、社会に馴染むこともできず、部屋の梁に「ブルックスここにありき」と彫ったあと、そのまま首を吊って自殺してしまったのだった。アンディはその後も州議会へ予算を増やしてくれるよう毎週手紙を書き続け、6年の年月を経てついに州議会側が折れて予算を割り当てられることとなった。しかしアンディはここで終わらせず、今度は週に2通手紙を書くことにした。更に割り当てられた予算は、新品ではなく中古本を買うなどしてなるべく多くの本を購入し、図書室も増設。「ブルックス記念図書室」と名前がつけられた。

冤罪か免罪か

事態が一変したのは1965年、トミー・ウィリアムズという青年が強盗罪で収容されてからだった。出所までに高校卒業の資格を取りたいとアンディに相談を持ち掛けたトミーだったが、字の読み書きさえもあまりできないのだという。それでも妻と幼い子供のために頑張りたいというトミーに、アンディも根気強く勉強を教えた。すっかりアンディ達仲間と打ち解けたトミーは、レッドからアンディが収監された理由を聞かされる。これまでに何度も窃盗で捕まり、様々な刑務所を渡り歩いていたトミーは、とある刑務所で自分の犯した罪を自慢げに話すエルモ・ブラッチをふと思い出した。エルモは、プロゴルファーと女を殺し、しかもその女には亭主がおり、自分が殺したあとその亭主が捕まった事を自慢げに話していたのだという。それを聞いたアンディは己の無実を証明できるかもしれないと、ノートン所長へ再審してくれるよう掛け合った。しかし、アンディが釈放されればこれまで隠してきた悪事が公になるのを恐れたノートン所長は「トミーもまさか君がこの話を信じるとは驚いているだろう。」と言い、トミーの話が嘘だと再審の申請を却下。しかも二度と帳簿係を降りないよう反省のためだと言ってアンディを懲罰房へいれた。その間に届いたトミーの高校卒業認定試験は合格しており、懲罰房へいるアンディにもその報せが届いた。しかし、アンディが懲罰房へ入っている2か月の間に、夜間にトミーをグラウンドへ呼び出したノートン所長。「アンディに話した事が真実だと聖書に手を置き神に誓えるか?」とノートン所長に問われたトミーは「はい、誓えます。」と答えた。そして、トミーは脱獄の恐れがあった事にされ、待機していたハドリーにより射殺された。

自由の身へ

懲罰房から出てきたアンディは、どこか様子がおかしかった。レッドに急に様々な事を語り出したのだった。バクストンの牧草地の近くにある大きな木の下でプロポーズをした事、妻を本当に愛していた事、引き金は決して引いてはいないが自分が殺したも同然だと思っている事、もし外に出られたらメキシコのジワタネホでホテルを開きたいと思っている事、そうなれば調達屋に手伝ってほしい事などを一方的にレッドに話した。今までとどこか様子の違うアンディをレッドが不安に思っていた矢先、ヘイウッドがアンディに頼まれてロープを渡したことを耳にする。ブルックスがロープで首を吊って自殺した事が頭を過り、その日の嵐の晩、レッドは一睡もできずに過ごした。翌朝、点呼のために囚人全員が部屋の前に並ぶも、アンディは部屋から出てこない。刑務官がアンディの部屋へ立ち入るが、そこにアンディの姿はない。所長もアンディの部屋へ駆け付け、問い詰めるためにレッドも呼び出された時、苛立った所長が投げた石がポスターを突き抜けていく。そのポスターの裏には人1人がギリギリ入れるような穴が掘られており、アンディは昨夜の嵐の間にそこから脱獄したのだった。

友との再会

昨晩、いつものように所長の帳簿を付け終えたアンディは「靴も磨いておけ。」と命じられた。アンディはその顔が映るほどピカピカに磨き上げた靴を履き、元々履いていた靴を所長室に残し、金庫には所長の帳簿ではなく自分の聖書を入れ、夜中の嵐のうちに雷の音に紛れて排水管から脱獄した。所長の帳簿や、所長からくすねたスーツや靴をビニールにいれ、ヘイウッドから貰ったロープで足にくくりつけ、アンディは排水管の汚水の中を這って出たのだった。刑務官達がアンディの脱獄に気付いた頃には、ノートン所長の資金を全て引出し、ショーシャンク刑務所で不正と殺人があったとして新聞社へリーク、更にメキシコへと発った後だった。アンディはスーツとピカピカの靴を身にまとっていたため、ランドール・スティーヴンスとして何も疑われることなく朝のうちに12件近くの銀行を回り、37万ドル以上あった全てのお金を引出し、すんなり国外へ逃亡。後にレッドの元へ1通の絵葉書が届く。差出場所はフォートハンコック、メキシコとの国境にある町だった。差出人の名前やメッセージがなくとも、レッドにはアンディが出した物だとすぐに分かった。そしてその後、めでたくレッドも仮釈放されることとなるが、ブルックス同様中々社会に馴染めずにいた。レッドはブルックスの書いた「ブルックスここにありき。」の文字の隣に「レッドもありき。」と残し、そしてアンディから聞いていたバクストンの牧草地へと足を運んだ。そこにはアンディの話通りの景色が広がっており、アンディの「木の下に1つだけ黒曜石がある。その下に埋まっている物を渡したい。」という言葉通り、黒曜石が1つだけ不自然に置いてあり、木の下には現金が埋まっていた。それを使ってレッドもフォートハンコックへ向かい、そこからメキシコへ逃亡。そこにはアンディが語っていた夢の通り、青い澄んだ海の近くで古い船を修理しているアンディがいた。その場所で、自由の身となったアンディとレッドは再会を果たすのだった。

『ショーシャンクの空に』の登場人物・キャラクター

主人公

アンディ・デュフレーン(演:ティム・ロビンス)

吹き替え:大塚芳忠(ソフト版)、安原義人(テレビ放送版)、平田広明(機内上映版)
通称アンディ。真面目な銀行員として働いていたが、妻とその愛人を殺したとして終身刑を言い渡される。ショーシャンク刑務所に服役中も、アンディは決して希望を忘れることなく与えられた場所で咲こうと奮闘していた。刑務官のハドリーが相続問題を抱えていると耳に挟めば自らアドバイスをし、図書係になれば州議会へ毎週手紙を書き予算を増やしてもらい図書館を大きくした。また、高校卒業認定の試験を受けたい囚人の面倒を見るなど、アンディは人助けも積極的に行っていた。口数は多い方ではないが、仲間の囚人たちからはかなり信頼されていた。趣味の石集めに使うとしてレッドに注文した小さなロックハンマーで脱獄用の穴を掘り、ラストシーンではメキシコへ逃亡した。

エリス・ボイド・レディング(演:モーガン・フリーマン)

吹き替え:池田勝(ソフト版)、坂口芳貞(テレビ放送版)、田中信夫(機内上映版)
通称レッド。ショーシャンク刑務所内で調達屋として囚人間での取引を行っていた。長身で黒人の囚人で、アンディにはずっと「希望は危険だ。」と忠告していた。仮釈放される時まで人生を諦めていたレッドだったが、仮釈放後にアンディの約束どおりジワタネホがあると確信し、メキシコへ逃亡した。

囚人

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