スカッとするだけじゃない衝撃的な復讐劇映画まとめ!『グラン・トリノ』など

ここではスカッとするだけでは終わらない衝撃的な復讐劇映画をまとめた。クリント・イーストウッド演じる主人公が隣人のために復讐を決意する『グラン・トリノ』、誘拐事件の犯人として13年収監された女性の復讐を描く『親切なクムジャさん』などを紹介している。

▼『ダブル・ジョパディー』

出典: www.amazon.co.jp

”アシュレイ・ジャッド主演、法の力を利用した復讐劇は虚しさも残るのだ..”

ブルース・ベレスフォード監督、アシュレイ・ジャッド、トミー・リー・ジョーンズ主演による1999年の作品。ある日突然に夫殺しの容疑で逮捕されてしまった平凡な主婦が、親友の女に娘を預けて刑務所に収監されるが、その間に女と娘が行方不明になる。刑務所仲間の協力により、実は夫が生きていて、女と共謀して自分が罠に掛けられた事を知る。そして6年後、出所した彼女の復讐がはじまるのであった...。

とにかくアシュレイ・ジャッドが魅力的な作品ですが、この復讐劇は、本当にコレで良かったのか?といった疑問も湧いてくるというもの。

『ダブル・ジョパディー』予告編

ダブル・ジョパディー(二重処罰の禁止)、すなわち人は同一の犯罪で二度処罰されることはないという考え方だ。この映画は、こんな難しい法律上の論点をスリリングに描いている。

出典: www.sakawa-lawoffice.gr.jp

クライマックスにかけての緊迫した攻防は中々のもの。なにより、法にこんな抜け道があるなんて、この映画のお陰で知り得た事実。

出典: www.asahi-net.or.jp

リビーを演じたアシュレイ・ジャッドが、最初の専業主婦だった頃のイメージから、強い女へと変身した様子を上手く演技している。

出典: www.takumi-cinema.com

▼『ファントム・オブ・パラダイス』

出典: www.amazon.co.jp

”『オペラ座の怪人』をベースに音楽業界の闇を描いた壮絶な復讐のオペラ!”

ブライアン・デ・パルマ監督による1974年の作品。あの『オペラ座の怪人』を大胆にリメイク。舞台を現代に置き換え、『ファウスト』『ノートルダム・ド・パリ』『ドリアン・グレイの肖像』の要素も取り入れてダークなロック・オペラに仕上げた。作曲家のウィンスローは、腹黒いレコード会社「デス・レコード」の社長スワンに騙されて投獄された揚句、顔をつぶされて醜い姿にされてしまう。彼は奇妙なマスクを被った怪人となり、復讐の鬼になっていく...。

悲しくも美しくてダークで醜悪な異形の復讐のロック・オペラ作品。流石はデパルマ!と思わせる傑作中の傑作!音楽も手掛けたポール・ウィリアムスの極悪非道な怪演にも注目!

怪人の歌姫に寄せる切ない愛情で、ラストの永遠が無限に引き伸ばされたような瞬間が、無残に観る者の胸をかきむしるのです。

出典: rokushin.blog.so-net.ne.jp

ホラー、カルトといった枠を超える繊細で悲しいヒューマンドラマとして相当質の高い作品で、「ファントム~」を観ずしてデ・パルマを語るべからずと言ってもいい。

出典: www.netlaputa.ne.jp

カルト映画と呼ばれる映画の中で、この作品以上の作品に出会ったことはありません。

出典: www7a.biglobe.ne.jp

▼『ドッグヴィル』

出典: www.amazon.co.jp

”極悪非道な心無い人々への復讐。しかし明快にスッキリ!とはいかない...”

ラース・フォン・トリアー監督・脚本、ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、クロエ・セヴィニー主演による2004年の作品。スタジオの床に線を引いただけという奇妙な空間"ドッグヴィル"を舞台に、美しきヒロインの過酷な運命と復讐を描く。たった23人が住む閉鎖的な村に越してきた女性グレース。当初は村の人間に受け入れられた彼女だったが、ある嫌疑から彼女は村人から重労働を課せられ、弄ばれる。しかし、ギャングのボスが現れた時に状況は一転、彼女の復讐が始まる...。

この凄惨な復讐劇は、スッキリしてもいい程に極悪人達が...に。しかし、この後味の悪さはやはり、信頼のトリアー作品だから!

『ドッグヴィル』予告編

人間は我々が思っているよりも、ずっと汚らしい生き物なのだ。この陰鬱な衝撃は、見ないとわかってはもらえないだろうと思う。むきだしのセットで語られるむきだしの人間を、ぜひ、見てほしい。

出典: d.hatena.ne.jp

この映画が全編を通じて訴え続けていたこと、それはこの醜悪さに怒れ!その怒りは正しいのだ、ということだと。

出典: killshot.blog65.fc2.com

ラストシーンで、理解ある観客たちは喝采の声をあげるだろう。映画に煽動され、グレイスに感情移入してしまったせいで。この最後の審判の日は、かくも快い…というわけ。

出典: www.interq.or.jp

nagatamago426
nagatamago426
@nagatamago426

Related Articles関連記事

グラン・トリノ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

グラン・トリノ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『グラン・トリノ』とは、2008年にクリント・イーストウッドが監督、プロデューサー、主演を務めたアメリカのヒューマンドラマ映画である。 ミシガン州を舞台に、頑固な元軍人ウォルトと、モン族の隣人、少年タオとの心の交流を描く。一度は、ギャングにそそのかされ、ウォルトの愛車を盗もうとしたタオであったが、ウォルトに仕事を世話してもらい、真面目に働く。一方で、ギャングの、タオへの嫌がらせはエスカレートしていく。タオやタオの家族を守る為、ウォルトは命を賭けて、ギャングを刑務所送りにする。

Read Article

アメリカン・スナイパー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

アメリカン・スナイパー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『アメリカン・スナイパー』とは、2014年公開のアメリカ映画である。イラク戦争に従軍した実在の狙撃兵クリス・カイルの自伝的原作を、巨匠クリント・イーストウッド監督が実写映画化。主演はブラッドリー・クーパーが務める。クリスは海軍史上最強と言われる伝説的スナイパー。だが過酷な任務に心を蝕まれ、彼と家族はその影響に苦しむ。残酷な戦場と虚しい戦争の実像を、過剰な演出を排除した構成で淡々と描く。ミリタリー・アクションとしての鑑賞にも十分堪えるが、極めてメッセージ性の強い反戦映画である。

Read Article

パーフェクト ワールド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

パーフェクト ワールド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

監督クリント・イーストウッド、主演ケヴィン・コスナーで1993年に公開されたアメリカ映画。 クリント・イーストウッドとケヴィン・コスナーというハリウッドの2大スター共演だが、フィリップ役の子役が素晴らしい演技を見せて、観るものを驚かせた。 脱獄囚ブッチは、逃亡中に8歳の少年フィリップと出会い、人質として連れ出す。逃亡の中で次第に心を通わせていく2人。せつないラストに心打たれるロードムービー。

Read Article

ジャージー・ボーイズ(Jersey Boys)のネタバレ解説・考察まとめ

ジャージー・ボーイズ(Jersey Boys)のネタバレ解説・考察まとめ

「ジャージー・ボーイズ」は、1960年代に活躍したポップスグループ、フォー・シーズンズの伝記をもとに脚色したブロードウェイの最高傑作を、巨匠クリント・イーストウッドが映画化した。神から与えられた歌声と、曲を作る才能、息のあったハーモニー、スターダムにのし上がった4人の若者”フォーシーズンズ”の名曲誕生に秘められた、友情、夢、栄光と挫折、そして今明かされる真実の物語。2014年に全米で公開。

Read Article

チェンジリング(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

チェンジリング(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ある日突然姿を消した息子が、5か月後に保護された。しかし息子として保護された少年は、彼女の本当の息子ではなかった。1920年代に実際に起きた「ゴードン・ノースコット事件」と呼ばれる連続少年誘拐殺人事件を、アンジェリーナ・ジョリー主演、クリント・イーストウッド監督により映画化したミステリー・ドラマ。

Read Article

ハドソン川の奇跡(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ハドソン川の奇跡(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハドソン川の奇跡』とは、日本で2016年に公開されたヒューマンドラマ映画。2009年に実際に起きた“ハドソン川の奇跡”と言われたUSエアウェイズ1549便不時着水事故と、その後の知られざる真実を描いている。俳優・監督として活躍を続ける名匠クリント・イーストウッドが監督を、主演を名優のトム・ハンクスが務めている。英名タイトルは、機長の愛称でもある「SULLY」。第40回日本アカデミー賞最優秀外国作品賞を受賞。

Read Article

運び屋(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

運び屋(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『運び屋』とは、クリント・イーストウッドによる2018年のアメリカ合衆国のクライム映画。 家族を蔑ろにして園芸家としての仕事を続けてきたアール・ストーンは、やがて孤独な90歳の老人になっていた。そんなある時、アールは荷物を乗せて車を走らせるだけで高額報酬が手に入る怪しげな仕事を引き受ける。しかし、その仕事の正体は麻薬の運び屋だった。 家庭を顧みない生き方をしてきた老人の人生を描いており、家族との関係を再構築しようとするアールが見所の作品。

Read Article

硫黄島からの手紙(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

硫黄島からの手紙(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『硫黄島からの手紙』とは、アメリカ合衆国で製作された戦争映画。太平洋戦争末期の日本軍司令官、栗林忠道が家族に送った『「玉砕総指揮官」の絵手紙』に基づいており、クリント・イーストウッドが監督を、アイリス・ヤマシタが脚本を務めた。前作のアメリカ側からみた硫黄島での戦闘を描く、『父親たちの星条旗』と対をなす『硫黄島2部作』の日本側作品。2006年に発見された兵士たちの手紙から始まり、1944年当時の硫黄島守備隊の玉砕までの日々を陸軍一等兵西郷や守備隊指揮官栗林中将の目線から描いている。

Read Article

感動作揃い!老人と子供の心の交流を描いた映画7選!『ニュー・シネマ・パラダイス』など

感動作揃い!老人と子供の心の交流を描いた映画7選!『ニュー・シネマ・パラダイス』など

老人と子供の心の交流を描いた映画を集めました。名優クリント・イーストウッドが頑固な元軍人役を演じた『グラン・トリノ』や、父が遺したメッセージを解こうと主人公が奮闘する『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』、映画愛に溢れた名作『ニュー・シネマ・パラダイス』など全7作品。各作品のあらすじや見どころを紹介していきます。

Read Article

「前田有一の超映画批評」で95点以上を獲得した映画まとめ!『アメリカン・スナイパー』など

「前田有一の超映画批評」で95点以上を獲得した映画まとめ!『アメリカン・スナイパー』など

ここでは映画批評サイト「前田有一の超映画批評」で95点以上を獲得した映画をまとめた。イラク戦争で160人を撃ったアメリカ人スナイパーを描く『アメリカン・スナイパー』、ディズニー映画『ピーターパン』をもとに妖精の世界を描く『ティンカー・ベル』などを紹介している。

Read Article

目次 - Contents