ファースト・ミッション（香港映画）のネタバレ解説・考察まとめ

CV：谷口節
シンジケートのボス。宝石の裏取引を行っていた時に警察が来て、コーに宝石の入った鞄を持って逃亡させる。警察の捜査が入り、ウォンが逃げた者について尋ねても知らないとシラを切る態度を取った。その後、コーから宝石の入った鞄を警察に取り上げられたと連絡が入り、大した品ではないから指定した場所で待つ様に言う。一方でコーが宝石を持ち逃げしたものと見なし、電話を切った後、部下達にコーを殺害する様に命じる。部下達はコーの殺害に失敗するも、シャンタクの友人ミンの兄が金欲しさに宝石を持っていた事が分かり、部下達が彼の自宅に押しかけ、ミンの兄に暴行を加え宝石の入った鞄を受け取ったうえ、彼を銃殺する。また部屋のクローゼットに隠れていたシャンタクもシャンヤンの兄と知ってか、部下達が連れて行く。手下達が組織のアジトに連れて来た際、シャンタクが首にぶら下げていたシャンヤンの電話番号に連絡をして、助けたければコーと交換する様に伝える。
建設ビルにてコーを連れて来たシャンヤンと遭遇するが、傍にいた部下がシャンヤンに目掛けて拳銃を発砲し、部下達と共にビル内に隠れる。部下数人と格闘したシャンヤンに馬乗りにされ銃を突き付けられ、シャンタクはどこだと聞かれる。シャンタクは地下にいると答え、シャンヤンに腹部を殴られその場で倒れ込む。その後も、格闘技に長ける部下と戦うシャンヤンの間に入り、しつこく銃を突きつける行動を行うも、シャンヤンから容赦ない拳の連打を浴びせられ、完全に気力を失う。
カム・ティンチュン役を演じたジェームズ・ティエンは、1960年代より芸能活動を開始し、日本では『ドラゴン危機一髪』（1971年）や『ドラゴン怒りの鉄拳』（1972年）等のブルース・リー作品での脇役で知られている。その後も、『クレージーモンキー 笑拳』（1979年）等の初期のジャッキー・チェン作品での客演や『レディ・ハード 香港大捜査線』（1985年）における憎々しい悪役と幅広い役どころを演じるも、2000年に芸能界を正式に引退。

カムの部下（演：ディック・ウェイ）

CV：松田重治
シンジケートの一員で、常にカムの傍につく。コーから宝石を警察に取り上げられたという連絡が入った際、彼が宝石を持ち逃げしたものと見なしたカムから、コーの殺害を命じられる。彼が待機する喫茶店に拳銃を所持して向かうも、その行動を察したコーが逃亡を図る。追跡し対抗を行った後、喫茶店のビルからコーに逃げられる。
また、シャンタクから宝石の入った鞄を奪ったミンの兄の自宅に押し掛け、暴行を加える。彼から鞄を受け取り、他の部下がミンの兄を銃殺する。また部屋のクローゼットに隠れていたシャンタクも連れて行く。シャンヤン及び同僚の警官達がカム達がいる建設ビルに向かい、シャンヤンが他の数人の部下と戦い、シャンタクを助けに向かおうとしたところへ行く手を阻む。そして、シャンヤンと拳と蹴りの激しい連打をぶつけ、最後はシャンヤンによる蹴りで石ブロックにぶつけられ、その場で倒れ込む。
カムの部下役を演じたディック・ウェイは、1960年代終盤より映画界へ進出し、大手映画会社「ショウ・ブラザース」の作品に多く出演。1980年代からは「ゴールデン・ハーベスト」作品に出演、『プロジェクトA』（1983年）の海賊の首領役や、『サイキックSFX/魔界戦士』（1986年）の悪魔役等と、印象的な役どころかつキレのあるアクションを披露した。

コー（演：チュン・ファト）

CV：田中和実
シンジケートの一員で、カムが宝石の裏取引を行っていたところ、警察が駆けつけ、彼等の捜査から逃れる為に宝石の入った鞄を持ち逃亡する。逃げる姿をシャンヤンに見られ、追跡されるも逃げ切る。しかし逃亡の途中、路上にて子供達と遊ぶシャンタクと遭遇、警官のふりをしておもちゃの拳銃を構える彼を本物の警官と勘違いし、その場を逃げ去る。更に、宝石の入った鞄を置いたまま逃げてしまう。
宝石の入った鞄を警察に取り上げられたものと思い込みカムに報告、大したものじゃないから指定した場所で待つ様に言われる。指定された喫茶店で待っていたものの、入店して来たカムの部下達が拳銃を持っているのが見え逃亡を図る。部下達が追跡し対抗をするなか、喫茶店のビルの窓を突き破り下に飛び降りる。真下にあった車からドライバーを強引に引きずり下ろして、乗り込み逃亡。ホテルの一室にて警察に通報、自ら証人となり保護してもらうべく自首を試みる。しかしウォン警部達からは、証拠が無ければ無理だ、宝石等も没収していないと告げられる。それでも、宝石が無いと自分は始末される、組織を取り押さえてくれと訴え、シャンヤンが供述を取り、他の警官達も見張りを付ける事となった。
部屋でたまたま観ていたテレビのニュースで、ミンの兄により怪我を負わされ運ばれるシャンタクを見て、彼が宝石を没収した男だと確信する。その供述により、シャンタクに窃盗の容疑がかかってしまう。自分を逮捕しようとした警察から逃げ出したシャンタクは、ミンのもとへ隠れていたがそこで遭遇したシンジケート一味によりさらわれてしまう。カムにさらわれたシャンヤンが兄シャンタクを助ける為として、身元交換にカム達のいる建設ビルに連れて行かれる。ビル内でカムや部下達に遭遇するが、部下達が直ぐに拳銃を発砲、シャンヤンにより盾にされた事によりコー自身の体に命中し、絶命する。
コー役を演じたチュン・ファトは、香港の俳優・武術指導・プロデューサーとして活躍、ジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーらとも長きにわたり仕事をし、『デブゴン』シリーズや『霊幻道士2 キョンシーの息子たち！』（1986年）等、カンフー、ホラー、アクションといった、多ジャンルの作品へ出演。

その他

ミン

シャンタクの友人で小学生。学校ではイタズラばかりしており、成績も著しくない。また定職に就いていない兄がいる。
シャンタクと他の子供達とある日、レストランで食事をしたが、持っていたお金は明らかに飲食代に足りなかった。子供達は親からお金を貰って来ると、またミンもシャンタクの弟シャンヤンに連絡すると告げレストランから出て行った。一人となり寂しくなったシャンタクはその場を立ち去ろうとするが、そんな彼をレストランの従業員が無銭飲食したものとみなし警察へ連れて行こうとする。するとシャンタクは、それを振り切り調理場の冷凍庫へ逃げる。ミンはシャンヤンに連絡をし、騒ぎを聞きつけたシャンヤンがレストランに向かい、その後（ドアはカギが掛かって入れず）通気口から冷凍庫に入り、半分凍りついたシャンタクを助け出した。
またミンはシャンタクに、自分が通う学校の親御面談で「父親」の代理として担任の相手をしてほしいと申し出る。父親は既に亡くなっているうえ、兄が怖い故の相談であった。シャンタクは仕方なく担任教師と職員室にて面談をする事となり、担任が何か尋ねて来る度に事前にミンから告げられていた言葉を言い続けていた。しかし、シャンタクはその言葉を言いつつも、担任の前でミンからもらったロボットのおもちゃで遊び始めてしまう。煮えを切らした担任はシャンタクを帰らせ、外にいたミンを呼び出したのだった。
シャンタクや子供達と路上で遊んでいた時、警察の捜査から逃げてきたシンジケートの一員コーがやって来る。そこへ警官のふりをし拳銃を構えたシャンタクとコーが鉢合わせとなり、コーはシャンタクを本物の警官と勘違いしその場から逃亡し、持っていた鞄も置いて行ってしまう。コーが置いて行った鞄を見て子供達から強盗したと言われ、事の重大さを感じたシャンタクはミンと共に鞄を山に隠す。しかし逮捕されて重罪を背負う事を恐れて、鞄を警察に届け出ようと、再び山に向かい鞄を取り出す。その際に鞄の中身を確認したところ、宝石が入っており、二人は驚く。その瞬間、自分達の後をつけていたミンの兄が顔を隠した状態で傍に駆け寄り、シャンタクを蹴り飛ばし、鞄を奪い去る。山から転げ落ち負傷したシャンタクは担架に乗せられ運ばれるが、その様子をたまたまテレビのニュースで観ていたコーが、シャンタクが自分から宝石を没収した男だと確信した。このコーの供述で、シャンタクへ窃盗の容疑がかかってしまう。
シャンヤンの自宅に、ウォン警部ら数人の警官達がやって来て、シャンタクを逮捕しようとする。シャンタクは彼等を怖がり抵抗し自宅から逃走した末、ミンの家へ向かう。ミンは自宅のクローゼットに隠れている様に指示する。そこへミンの兄が帰宅し、シャンタク達から奪った宝石を商人へ高値で売ろうとする。しかし宝石の事は既にシンジケートのもとへ伝わっており、ミンの自宅へ組織の部下達がやって来る。部下達から暴行を加えられたミンの兄は、降参してクローゼットの中の宝石の入った鞄を取り出そうとするが、同時に中にいたシャンタクも見つかる。ミンの兄は鞄を部下達に渡すと、部下により銃殺される。殺されたミンの兄は、シャンタクがミンの知り合いで弟が刑事（シャンヤンの事）だと告げており、それを聞いた部下達がシャンタクもアジトへ連れて行った。またミンのその後については物語上、不明である。

ミンの兄（演：タイ・ポー）

CV：小室正幸
定職に就かずブラブラしており、シャンタクの友人ミンの実家の商店のビールを勝手に取り出し飲むうえ、シャンヤンが船員になる為に預けに来たシャンタクにいちゃもんをつけたりする。街で二人の刑事から職務質問を受けた際、シャンタクの似顔絵を見せられ、彼を見なかったかと聞かれるが、見なかったと答える。帰宅後、何故シャンタクが警察に目を付けられているか、弟ミンに尋ねるが、ミンはハッキリ答えなかった。しかしミンが奥の部屋に隠れていたシャンタクと共に出掛ける姿を不振に思い、後を付ける。シャンタク達が山奥で隠していた鞄を警察に持って行こうとした際、その中身である宝石に目が眩む。そして覆面で顔を隠し、シャンタクを山から蹴り落とし、宝石の入った鞄を強引に奪い逃走。宝石を高値で売ろうとするが、宝石を盗んだ事がバレて、シンジケートの部下達が自宅に押し掛け暴行を加えられる。隠していた鞄をクローゼットから取り出し渡すが、部下により銃殺される。
ミンの兄役を演じたタイ・ポーは、1970年代から芸能活動を開始し、ジャッキー・チェンスタントチーム「成家班」及びサモ・ハン・キンポースタントチーム「洪家班」のメンバーとして活躍。『プロジェクトA』（1983年）や『ファースト・ミッション』（1985年）等の作品で顔を出し、香港映画ファンからもお馴染みの顔として知られる。70歳となる現在も俳優として活躍中。

食堂店主（演：ウー・マ）

CV：沢木郁也
シャンタクが自立しようと街で仕事を探していたところ、偶然出くわした食堂の店主である。仕事を求めてやって来たシャンタクに対し、彼が知恵おくれである事を知り、それを面白がり動物の真似をさせたりしていた。そこへシャンヤンの同僚であるイアンが入店してきて、恥を知れと言って来た挙句、腹部を殴られる。イアンはその後、シャンタクを連れてその場を去って行く。
食堂店主役を演じたウー・マは、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』シリーズ（1987・1990年）や『奇蹟/ミラクル』（1989年）等、1980年～1990年代にかけての香港映画の名脇役として知られる。また本作品では、現場監督としても活躍した。2014年2月に死去。

家庭教師（演：アンソニー・チェン）

CV：沢木郁也
シャンタクにつく家庭教師であり、彼に簡単な英語を教えている。しかし弟のシャンヤンがいない事を良い事にシャンタクを雑に扱い、同じ単語ばかりでなく新しい言葉も教えて欲しいとシャンタクが言うと、彼にいちゃもんを突ける。終いにはシャンタクをその場で泣かせるも、悪びれる様子はなかった。しかしそこへシャンヤンが帰って来て、慌てて丁寧口調を装うも、（外でそれまでのやり取りを聞いて、また目の前で泣いているシャンタクを目にして）その場でそれまでの給料を渡したシャンヤンにより、部屋から叩き出される。シャンタクは泣きながら自分は一生懸命勉強したと言い、シャンヤンはそれを理解し別の家庭教師を探してくると告げた。
家庭教師役を演じたアンソニー・チェンは、1970年代より芸能活動を開始、アラン・タムやケニー・ビーらと音楽グループ「ウイナーズ」のメンバーとして活躍し人気を博す。1980年代からは俳優として『霊幻道士』『七福星』（1985年）等に出演。1990年代中期には、中国本土でテレビ制作会社を立ち上げ、2010年にはアラン・タムらと共に化粧品やアロマセラピーの会社を設立した。

『ファースト・ミッション』の用語

特殊警察隊