マッサン(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『マッサン』とは、2014年のテレビドラマ。2014年度後期放送のNHK『連続テレビ小説』で、同シリーズの第91作となる。「ニッカウヰスキー」の創業者・竹鶴政孝とその妻リタをモデルとして、「ある日本人技術者とイギリス人の妻の夫婦愛を軸とした人情喜劇」として製作された。舞台は大正時代。造り酒屋の跡取り息子である亀山政春が、ジャパニーズ・ウイスキーづくりに挑む過程と、様々な難局に晒される彼を献身的に支え続けたスコットランド人の妻・エリーの姿を描く。

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『マッサン』(ドラマ)の概要

『マッサン』とは、2014年のテレビドラマ。2014年度後期放送のNHK『連続テレビ小説』で、同シリーズの第91作となる。2014年9月29日から2015年3月28日まで放送された。
脚本は映画『パッチギ!』『フラガール』などで知られる羽原大介が手掛け、玉山鉄二とシャーロット・ケイト・フォックスが主演を務める。『連続テレビ小説』において初の外国人ヒロインであることや、成人男性の俳優が主演を務める作品は、1995年度下半期放送の『走らんか!』の三国一夫以来19年ぶりとなったことが注目を集めた。
日本発のウイスキーとして世界的な人気を誇る、「ニッカウヰスキー」の創業者・竹鶴政孝とその妻リタをモデルとして製作され、「ある日本人技術者とイギリス人の妻の夫婦愛を軸とした人情喜劇」という位置づけがされている。また、『マッサン』は夫婦の物語であり、『連続テレビ小説』の過去作品『ゲゲゲの女房』『ごちそうさん』以上にヒロインの夫・竹鶴政孝は重要な役どころとなっている。また、実在の人物を描くため、登場する人物や団体などには改名が施されており、実話ベースのフィクションとして制作された。
脚本を手掛けた羽原は、本作について「そんな夫婦の七転八倒ぶりを、記録と取材に基づいたエピソードを重ねつつ、大胆なフィクションも交え、笑って泣けるエンターテインメントを目指して紡いでいきたいと思っています。」と語っている。
タイトルにもなっている「マッサン」とは、モデルのひとりであるリタが、夫の政孝のことをこう呼んだことにちなんで命名された。

舞台は大正時代。造り酒屋の跡取り息子である亀山政春が、ジャパニーズ・ウイスキーづくりに情熱を燃やして単身スコットランドへ渡り、そこで出会ったスコットランド人女性のエリーと半ば駆け落ちの状態で国際結婚するところから始まる。政春は様々な難局に晒されながらも自身の信念を貫いてウイスキー作りを目指し、エリーは日本とスコットランドの文化の違いに戸惑いつつ、成長していくという物語になっている。

『マッサン』(ドラマ)のあらすじ・ストーリー

大阪編

亀山政春(マッサン)は、スコットランドでウイスキーの醸造技術を学び、現地の女性エリーと1920年(大正9年)に結婚。2年間の修業を終え、エリーを伴って日本へと帰国した政春だが、帰国早々、政春を留学させた住吉酒造では大騒動が起きる。政春を娘の優子の婿として迎えるつもりでいた社長の田中は驚き、優子は外国人の妻を連れて帰った政春に激怒。その怒りはエリーに向き、彼女は優子からいびられることになってしまう。
専務の矢口もコスト面からウイスキー製造には否定的で、政春は会社内で孤立してしまう。
それでも政春は国産ウイスキーを造る夢を諦めず、住吉酒造に「ウヰスキー研究室」を設立すると、助手の池田とともに試作を重ねる。しかし不況の影響で会社の経営は悪化し、ウイスキー事業から撤退。政春は退職を余儀なくされ、夫婦は大阪の長屋で貧しい暮らしを始める。エリーは近所のキャサリンらの助けを得て大阪弁を覚え、地域に溶け込んでいくが、政春は職探しに失敗し続け、浪人の身のままだった。悪化する一途の状況に、夫婦喧嘩も増えていく。
そんな彼らの転機となったのは、住吉酒造の取引先である鴨居商店の大将・鴨居欣次郎との再会だった。鴨居は政春の情熱と技術を高く評価し、ワイン事業で成功した自社に迎え入れる。政春は山崎の地で新工場の工場長に抜擢され、再びウイスキーづくりに挑戦することになる。鴨居の長男・英一郎も政春の家に住み込み、エリーから英語を学びながら成長していく。
しかし、鴨居商店での挑戦も順風満帆ではない。政春が理想とする本格ウイスキーは熟成に時間がかかり、鴨居が求める即効性のある商品とは方向性が異なっていた。鴨居は「売れる酒」を重視し、政春は「本物のウイスキー」を追求する。両者の価値観の衝突は次第に深まり、政春は孤立していく。さらに、鴨居の妻サキが病に倒れ、鴨居が家庭と仕事の板挟みになる中、政春は工場長としての責任と、自分の夢の間で葛藤する。

一方、エリーは歌声教室で子どもたちと触れ合い、地域に欠かせない存在となっていった。国際結婚への偏見は完全には消えないものの、彼女の明るさと誠実さは周囲の心を動かし、政春を支える大きな力となる。夫婦は幾度も衝突しながらも、互いを理解し合い、絆を深めていった。

やがて、政春が苦心の末に完成させた国産ウイスキーは、鴨居の期待とは裏腹に全く売れず、在庫の山を築いてしまった。鴨居は商売としての限界を感じ、政春に方向転換を迫るが、政春は夢を曲げられなかった。
そんな中、政春が営業として出向いた小樽で出会ったニシン漁師・森野熊虎がウイスキーをすべて買い取り、「うまい」と政春を励ます。この出会いは、政春の人生を救う転機となった。

北海道編

大阪での長い試練を経て、政春はついに「本物のウイスキーを造る」という夢を実現するために動き出した。鴨居商店を退社し、北海道・余市へと向かった政春が選んだのは、スコットランドのハイランド地方を思わせる寒冷な気候と湿潤な空気、そして豊かな水に恵まれた土地だった。ここで政春とエリーは、ゼロから蒸留所を築くという新たな挑戦に踏み出す。
しかし、北海道での生活も、決して順風満帆とはいかなかった。まず、資金難。政春は毎日銀行や投資家の元を回るが、「ウイスキー」という未知の産業に理解を示す者は少なく、融資を断られ続けていた。そんな日々を過ごしていると、かつて大阪で政春のウイスキーを大量購入したニシン漁師の熊虎が再び現れ、政春の夢に賭けようと出資を申し出てくれる。
熊虎の豪快さと人情は、政春にとって大きな支えとなった。こうして、蒸留所建設はようやく動き出す。
建設が始まると、政春は持ち前の職人気質ゆえに妥協を許さず、地元の大工や職人たちと衝突を繰り返していた。スコットランド式の石造りを再現しようとする政春に対し、職人たちは「日本のやり方でいい」と反発する。エリーは彼らの間に入り、言葉と文化の壁を越えて彼らの仲を取り持とうと奔走する。彼女が大阪で培ってきた「地域に溶け込む力」は、ここでも発揮されることになった。
やがて蒸留所は完成し、初めての蒸留が始まる。しかし、失敗の連続だったうえにウイスキーは熟成に時間がかかるため、すぐには商品にならない。政春は資金繰りに苦しみ、従業員の給料すら危うくなる。そんな中、世界は太平洋戦争に突入。故郷が敵国となったエリーは、スパイの容疑までかけられてしまう。
しかし、それでも彼女は歌や料理で地域の人々を励まし、蒸留所の中に温かい家族のような雰囲気を作り上げていった。政春が夢に没頭するあまり周囲が見えなくなると、エリーは「人の心」を守る役割を果たす形で彼を支えた。
しかし、北海道に移住してしばらくすると、エリーの体調が急激に悪化しはじめた。彼女は長年抱えていた病を隠し続けていたが、次第に症状が悪化し、政春の前でも倒れるようになる。医師からは「無理をすれば命に関わる」と告げられ、政春は夢と妻の命の間で苦悩する。エリーは「政春の夢は自分の夢だ」と言い、政春を献身的に支え続けるが、その笑顔の裏には深い覚悟があった。

一方、蒸留所では熟成を待つ間に資金が尽きかけ、従業員の間にも不安が広がりつつあった。そんな中でも政春は「本物のウイスキーを造る」という信念を曲げず、短期的な利益を求める周囲の声に耳を貸さない。しかし、支えてくれた熊虎の死や、地域の不漁などの困難が重なり、蒸留所は存続の危機に陥る。政春は自分の頑なさが皆を苦しめているのではないかと自責するが、エリーはそんな彼を「あなたが信じた道だからこそ、皆ついてきた」と励ますのであった。
そしてついに、数年の熟成を経たウイスキーが完成する。政春が目指した「スコッチに負けない本物の日本のウイスキー」は、深い香りと味わいを持ち、試飲した誰もがその味に驚いた。政春は涙を流し、エリーと共にその一杯を味わう。しかし、喜びも束の間、エリーの病状は悪化し、60代に入った彼女は入退院を繰り返した。そして64歳になったエリーは、静かに最期の時を迎える。政春はエリーの手を握りながら、「ウイスキーは人生そのもの」と語り、彼女の愛と支えがあったからこそ、自分の長年の夢が実現したことを深く噛みしめる。
それから10年後の1971年。政春がエリーへの愛をこめて製造したウイスキー・「スーパーエリー」がスコットランドのウイスキー品評会で特別賞を獲得し、その記念式典が開催された。彼が生み出した命の水は、世界に通用すると認められたのであった。
式典を終え、工場の敷地内にあるエリーの墓へ向かう年老いた政春。彼は、受賞したウイスキーをエリーの墓前に献杯した。政春はエリーの墓に寄り添いながら、これまでの日々を走馬灯のように想い返していた。エリーとの出会いから50年の年月をかけて、自らの理想を実現させた政春。彼とその妻の冒険旅行は、ようやく終わりを迎えたのであった。

『マッサン』(ドラマ)の登場人物・キャラクター

亀山家

亀山 政春(かめやま まさはる)(演:玉山鉄二)

本作の主人公。通称「マッサン」。島県竹原の造り酒屋の次男として生を受ける。大阪工業学校を卒業後、住吉酒造に就職。20歳になって初めて飲んだウイスキーの味に感銘を受け、日本でウイスキーを作るという夢を抱く。住吉酒造の社長である田中の援助を受け、ウイスキーの本場であるスコットランドに留学。現地で妻となるエリーと出会って結婚し、共に日本に帰国する。その後はウイスキー事業に乗り出した鴨居商店に就職し、蒸留所の工場長として日本初のウイスキー製造に携わるが不評に終わり、自身が目指すウイスキーづくりのため、北海道の余市へ渡る。
当初は経営難に苦しむも、父の発言をヒントに大麦でウイスキーを作ることを思いつき、日本中の注目を集める3級ウイスキー・「余市の唄」を完成させた。ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝がモデルで、作中に登場するウイスキー「スーパーエリー」と「余市の唄」は、実際にニッカウヰスキーから発売されたウイスキー「新スーパーニッカ」と「ニッカスペシャルブレンド」がそれぞれモデルとなっている。
猪突猛進で頑固な一面があるが、自分を支えてくれるエリーへの愛情は深く、生涯を支え合って生き抜いた。

亀山 エリー(かめやま エリー)(演:シャーロット・ケイト・フォックス)

政春がスコットランド留学中に出会い、恋に落ちて結婚したスコットランド人の妻。スコットランドの医者の家に誕生し、婚約者を戦争で失った経験がある。結婚後の戸籍上の正式名は「亀山エリザベス」。
前向きで何事にも明るく取り組み、結婚して日本に渡った後は、懸命に日本語を覚えて周囲と打ち解けるよう努力した。家事全般が得意。自身の故郷の料理はもちろん、結婚後に覚えた日本料理で政春を労い、病に倒れれば看病するなど、生涯に渡って献身的に政春を支え続けた。歌が好きで、故郷や日本の民謡をよく口ずさんでおり、近所の子どもを対象として教室を開いたりもしている。
太平洋戦争が始まると、故郷が敵国になってしまったこともあってスパイではないかという疑いを掛けられてしまった。その後、無事に疑いが晴れて釈放されているが、元々体が弱いこともあり、心労が祟り倒れてしまう。以降は病魔に体を蝕まれながらも幸せに暮らし、政春に看取られて生涯を閉じた。

亀山 エマ(かめやま エマ)(演:優希美青/住田萌乃(幼少期)/木南晴夏(25歳から37歳))

大人になったエマ(演:木南晴夏)

政春とエリーの娘。身寄りがない乳児だったが、2人に引き取られる形で養女となった。夫婦それぞれの名前の頭文字が名付けの由来となっている。娘に甘い政春に溺愛され、エリーには厳しくしつけられながらも一心に愛情を受けて育つ。小学生の頃に自身が養女であることを知り、第二次世界大戦下では厳しい偏見の目に晒されるが、両親のことを「世界一」と誇ることができる、強い女性に成長した。
やがて本音で語り合える仲となった一馬と恋仲になるが、想いを告げることなく彼は出征。その戦死の知らせで失恋する。
終戦後は小樽にある英文タイピスト養成学校に通い始め、進駐軍の事務所に勤務する。バイリンガルの強みを生かして翻訳や通訳、タイピストなどの現場で活躍し、アメリカへ転勤。家訓ともいえる「人生は冒険旅行」の言葉を胸に渡米した。その後はアメリカからイギリスへ移って出版社で働き、現地で知り合ったマイクと婚約して一緒に日本へ帰国した。

北海道 余市の人々

八澤 俊夫(やざわ としお)(演:八嶋智人)

亀山酒造の蔵人。政春の小学校時代の先輩で、彼からは「俊兄」と呼ばれている。あまのじゃくでそそっかしい性格。日本酒の良さに理解を示すエリーとは馬が合う一方、家業を継がずに洋酒会社に就職した政春のことは「西洋かぶれ」呼んでおり、たびたび衝突している。鴨居商店の山崎工場の創業にあたり、呼ばれて技師長に就任する。
森野熊虎の娘のハナと結婚。その後は政春が立ち上げた余市の蒸留所に呼ばれ、無期限出向という形でウイスキーの製造に携わった。

森野熊虎(もりの くまとら)(演:風間杜夫)

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