ポケットモンスターSPECIAL（ポケSP・ポケスペ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ポケットモンスター SPECIAL』の概要

『ポケットモンスター SPECIAL』とは、小学館から出版されている、ゲーム『ポケットモンスター』を題材にした、原作を日下秀憲、作画を山本サトシが手がける漫画である。ゲームと同じ世界、登場人物を用いながら、全く異なるシナリオを展開しているのが特徴で、ゲームで新たなシリーズが登場するたびに新章が執筆されている。1997年に『小学四年生』『小学五年生』『小学六年生』で連載開始し、その後は『コロコロイチバン！』や『サンデーうぇぶり』と媒体を変えながらも連載を続け、2021年には連載25年目を迎えた。
連載開始当初はイラストを真斗が描いていたが、3章の連載途中に体調不良が原因で作画担当を降板。以後の作画は全て山本サトシが担当している。
ゲームやアニメと作風は全く異なっており、全体的にかなりシリアス寄り。初期はポケモンが真っ二つになったり砕け散ったりといった過激な表現もあった。また、ポケモンではなくトレーナーを直接攻撃するよう指示するトレーナーも多数登場しており、子供向け雑誌に掲載されている漫画とは思えない、といった声も存在する。
各章によって主人公たちの目的は異なるものの、大まかなストーリーとしては「ポケモン図鑑を託された少年少女が大きな戦いに身を投じ、成長していく」というもの。ポケモン図鑑に記されているポケモンの生態や特徴、ゲーム中に登場する小ネタや裏設定をフルに活かした壮大なストーリーが特徴で、ゲーム内に登場するポケモンやシステムなどの要素はほぼ全て網羅している。
また連載が長期化していたり、リメイクで過去の章の主人公が再び登壇することもあり、歴代の図鑑所有者が共闘する場面も何度か描かれている。また章と章の間での伏線回収が年単位の間隔で行われるなど、伏線も至る所に張り巡らされている。
登場人物はほぼ全てゲーム内に登場する人物を起用しているが、ストーリーの関係上、役回りやパーソナリティが変更されていることもある。また、一部の章ではオリジナルキャラクターが登場する。

『ポケットモンスター SPECIAL』のあらすじ・ストーリー

1章 赤・緑・青編

『ポケットモンスター 赤・緑・青』がモデル。主人公はレッド、グリーン、ブルー。彼が相棒のポケモンたちと共に究極の強さを目指して旅立つ、というシンプルなストーリー。一部ジムリーダー（カントー地方各地でポケモンリーグに挑むのに必要なジムバッジを管理する強力なトレーナー）が悪の組織・ロケット団のスパイだったりと、ポケスペならではの闇のある要素もこの頃から多く見受けられていた。
カントー地方の小さな町・マサラタウンにいる少年レッドは、ポケモン研究の権威・オーキド博士からたねポケモン・フシギダネとポケモン図鑑を譲り受け、究極のポケモントレーナーを目指し旅に出る。
謎の少女・ブルーやジムリーダーたちとの出会いを通じトレーナーとして成長を続けるレッドは、やがてカントー全土で暗躍するロケット団の陰謀を阻止し、ポケモンリーグで優勝を飾った。

2章 イエロー編

『ポケットモンスター ピカチュウバージョン』がモデル。主人公はイエロー。1章から2年後のカントー地方を舞台に、行方不明になったレッドを追うトレーナーであるイエローとカントー四天王の戦いを描く。イエローは本作のオリジナルキャラクターである。
ロケット団との戦いから2年後、レッドは新たな挑戦状を受け取り、マサラタウンを後にする。1ヵ月後、オーキド博士の元にやってきたのは傷だらけになったレッドの手持ちのねずみポケモン・ピカチュウだった。そこへ現れたレッドの知り合いを名乗るトレーナー・イエローにレッドの捜索を依頼し、オーキド博士はポケモン図鑑を託す。
レッドを探す傍ら、カントー地方支配を企む悪の組織・カントー四天王との戦いに巻き込まれていくイエローだったが、スオウ島での決戦で復活したレッドやジムリーダーたちと力を合わせて彼らの野望を打ち砕いたのだった。

3章 金・銀・クリスタル編

『ポケットモンスター 金・銀・クリスタル』がモデル。主人公はゴールド、シルバー、クリスタル。新たな主人公であるゴールド達と、「仮面の男」率いるロケット団との戦いを描く。章の後半からはレッドやグリーン、ブルーもゴールド達に加勢する。
ジョウト地方・ワカバタウンに住む少年・ゴールドは近所では有名な「ポケモン屋敷の坊」であり、近所の人気者でもあった。
ある夜ゴールドは、何者かにリュックと中に入っていたポケモンを盗まれてしまう。犯人はジョウト地方のポケモン博士・ウツギ博士へ届ける荷物と間違えて盗んだのではないかと推測したゴールドはウツギ博士の研究所へと向かう。研究所に到着したゴールドは、赤髪の少年（シルバー）がおおあごポケモン・ワニノコを盗み出した事を知り、自分の手で犯人を捕まえることを決める。
シルバーとの共闘や捕獲の専門家クリスタルとの出会いを経たゴールドは、復活したロケット団残党を影から操る「仮面の男」に挑み、これに勝利した。

4章 ルビー・サファイア編

『ポケットモンスター ルビー・サファイア』がモデル。主人公はルビー、サファイア。コンテスト制覇を目指すシティボーイのルビーと、ジム制覇を目指す野生児のサファイアがそれぞれの目標を賭けて旅に出る。2人の活躍とマグマ団、アクア団を巡る戦いが描かれる。歴代の章の中でも特に二人の恋愛関係が大きく動くのが特徴。
バトルが大嫌いなルビーは父に反抗し、ホウエン地方に引っ越して来たその日に家出する。その途中でサファイアと出会い、言い争いの末に、「80日以内にルビーはポケモンコンテストを、サファイアはポケモンジムを全て制覇する」という賭けをする事になる。
それぞれの目標を果たす旅に出た2人だが、その道中でルビーは赤い装束の一味「マグマ団」、サファイアは青い装束の一味「アクア団」と遭遇し、彼らの起こす事件に巻き込まれていく。やがてルビーとサファイアはホウエン地方を巻き込む大災害を止めるべく、2つの組織との戦いに挑んだ。

5章 ファイアレッド・リーフグリーン編

『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』がモデル。再びレッド、グリーン、ブルーが主人公をつとめ、ナナシマを舞台にデオキシスを巡る冒険に出る。レッドとブルーはこの章より『ファイアレッド・リーフグリーン』の主人公と同じコスチュームになる。
ある日、レッドとグリーンはオーキド博士に呼び出され研究所を訪れるも、そこには手紙と伝言が置かれていた。「ポケモン図鑑を取り上げる！」という博士の伝言を聞き、何かあると感じた2人は手紙に同封されていた、クチバシティ、1のしま、2のしま、3のしまを「シーギャロップ号」で行き来することが出来るチケット・トライパスが使用できるクチバシティを目指す。
その頃、クチバシティの港ではブルーが両親との再会のために船「シーギャロップ号」に乗り込んでいた。しかしブルーは正体不明の怪物に襲撃され、両親は突如足下に発生した闇に飲み込まれてしまう。
やがて全ての元凶が再結成したロケット団にあることを知ったレッド達はブルーの両親と攫われていたオーキド博士を助け出すため、ハードプラント・ブラストバーン・ハイドロカノンの3つの究極技を授かり、ロケット団首領のサカキやDNAポケモン・デオキシスと戦った。しかし戦いの末、謎の光によりレッド達が石化するという衝撃の結末を迎える。

6章 エメラルド編

『ポケットモンスター エメラルド』がモデル。主人公はオリジナルキャラクター、エメラルド。ゲームで新たに登場した施設、バトルフロンティアが舞台。クライマックスではここまでの物語の主人公達が一堂に会する。またエメラルドの設定には『ポケモンレンジャー』の要素も取り入れられている。
ナナシマの騒動から3ヵ月後。完成間近のバトルフロンティアにて、ポケモンを1匹も所持していないトレーナー・エメラルドは「7日間で7人のフロンティアブレーン（バトルフロンティアの各施設を管理する強力なトレーナー）を倒す」と宣言する。
その裏では、同じバトルフロンティアで目覚めた「願い星」・ジラーチを狙う魔の手が迫りつつあった。
エメラルドとフロンティアブレーン達は甲冑を着た男・ガイルからジラーチを守るため、歴代の図鑑所有者と力を合わせてガイルと彼が召喚した「海の魔物」を倒したのだった。

7章 ダイヤモンド・パール編

『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』がモデル。主人公はダイヤモンド、パール、プラチナ（物語中盤にて判明）。コミックスが9巻に渡るなど、歴代の章でもボリュームは最大級。物語のうちの殆どで、3人揃って旅をするという形態がとられている。
名家のお嬢様であるプラチナは、跡取りの儀式のためにテンガン山に旅立つ。ダイヤモンドとパールは些細な行き違いから、偽のボディーガードとして彼女に同行することに。旅の途中で彼らは悪の組織・ギンガ団の野望に巻き込まれるも、シンオウ地方中の人々が一致団結し、ギンガ団の野望を打ち破った。

8章 プラチナ編

『ポケットモンスター プラチナ』がモデル。7章から地続きのストーリーになっており、主人公の3人も『プラチナ』仕様のコスチュームに変更している。また、これまでの章で初めて、過去の主人公たちが登場せずに終わった。
やりの柱での決戦後、行方不明のままになっている本当のボディーガード・パカとウージを助け出すべく、ダイヤモンド・パール・プラチナの3人はこの世の裏側にあるという「やぶれた世界」の調査に出る。「やぶれた世界」ではギンガ団の残党・プルートが、はんこつポケモン・ギラティナを操りギンガ団の再興を目論んでいた。ダイヤモンド・パール・プラチナは、再会したパカとウージや行方不明になっていたギンガ団のボス・アカギらと協力し、プルートの野望を打ち砕いた。

9章 ハートゴールド・ソウルシルバー編

『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』がモデル。ゴールド、シルバー、クリスタルが主人公。物語の冒頭ではいきなりゴールドが伝説のポケモン・アルセウスと対面するシーンから始まる。シント遺跡やポケスロン、ゴールドとクリスの衣装など、『ハートゴールド・ソウルシルバー』から新たに追加された要素がふんだんに盛り込まれている。
オーキド博士からの依頼を受けたゴールドは、カントー四天王の1人だったワタルから復活したロケット団が狙う幻のポケモン・アルセウスの情報を得るため、『ハートゴールド・ソウルシルバー』から新たに登場したポケモンとスポーツができる施設・ポケスロンドームに向かっていた。そこへ突如、我を失ったワタルの手持ちのドラゴンポケモン・カイリューが出現する。ワタルが何者かの襲撃にあったことを掴んだゴールドはエンジュシティに向かう。
同じ頃、シルバーは同じくワタルを探すフスベシティのジムリーダー・イブキから謎のメッセージを掴み、タンバシティ近辺に出来たサファリゾーンに向かう。サファリゾーンでシルバーはクリスタルと再会する。
一方、ロケット団では「サカキの意志を継ぐ4将軍」を自称するアポロ・アテナ・ラムダ・ランスの面々が新たにロケット団のトップに君臨。4人は人間に絶望した幻のポケモン・アルセウスを手中に収めるべく暗躍する。
4将軍らロケット団の野望を阻止するため、ゴールド・シルバー・クリスタルは時を超えて復活したサカキや仮面の男たちと協力し、アルセウスを止めることに成功したのだった。

10章 ブラック・ホワイト編

『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』がモデル。主人公はブラック、ホワイト。歴代の章の中でも珍しく、ブラックがチャンピオンを目指すという王道のストーリー。加えてポケモンの解放を訴えるプラズマ団との戦いも描かれる。
イッシュ地方のカノコタウンに「ポケモンリーグ優勝」という夢を持つ少年ブラックがいた。9年がかりで旅の準備を進めてきたブラックはイッシュ地方のポケモン博士・アララギ博士からポケモン図鑑とひぶたポケモン・ポカブを受け取り、1年後に開かれるポケモンリーグの会場を目指し旅立つ。
旅の途中、CM撮影を台無しにしてしまったブラックだが、居合わせていたポケモン芸能事務所「BWエージェンシー」の女社長・ホワイトに助けられる。彼女から撮影費用の弁償の肩代わりとして旅の同行を依頼されたブラックは、社員としてホワイトと共に旅立つ。
ポケモンリーグ優勝と一流のポケモンタレント育成というそれぞれの夢をかなえるため冒険を続ける二人だが、旅の行き先でポケモンの解放を目的とする集団プラズマ団やプラズマ団の王・Nと遭遇し、プラズマ団の数々の陰謀に立ち向かう。最終的にNを破ったブラックだったが、プラズマ団のゲーチスの策略に嵌りホワイトの前から姿をくらましてしまったのだった。

11章 ブラック2・ホワイト2編