伏黒甚爾/禪院甚爾(呪術廻戦)の徹底解説・考察まとめ
伏黒甚爾(ふしぐろ とうじ)/禪院甚爾(ぜんいん とうじ)は、『呪術廻戦』の登場人物で、生まれつき呪力を持たない代わりに超人的な身体能力を備えた"天与呪縛"という特殊体質の持ち主。
虎杖悠仁の級友である伏黒恵の実父で、呪術師の名門禪院家の出身だが、実家では日陰者扱いされていた。出奔して荒んだ生活を続け、術師殺しとして名を馳せ、最強の呪術師・五条をも倒すも、死の淵で才能を開花させて息を吹き返した彼の前に敗死。
物語開始時点で故人だが、様々な人物に深く関わり、印象的な悪役として高い人気を誇る。
時期は不明ながら禪院家を出奔し、自身の能力を活かして呪術師を主な標的とする殺し屋となる。孔ともこの頃に知り合い、実行役と後方支援の形でたびたび組んで仕事をしていた。しかし生業とするほど頻繁に仕事を受けていたわけではなく、基本的にはその時交際していた女性の下を転々としながらヒモ生活を続ける。
ある時、伏黒家の女性と出会い、そこに婿入り。彼女に対してはそれなりに愛情を抱いており、この頃は比較的性格も丸くなっていた。一方で生まれた息子には性別も確認せずに“恵”という名前をつけ、後に本人からは恨まれる。これは子に興味が無いというより、まともな家庭環境になかったことから「どのように我が子に接すればいいか分からない」という面が強かったと思われ、かなり歪んだ形ではあるが彼なりに愛情を抱いてはいた。
しかし恵の母親である女性は、彼を産んでしばらくして死亡。恵のことを託されたものの一気に張り合いを失い、再びそれ以前の荒んだ生活を繰り返すようになる。
やがて息子に類稀な呪術の才能があることに気づき、自ら禪院家当主の直毘人に接触。我が子を禪院家に売りつける話をまとめる。これは金銭目的であると同時に、「息子ほどの才能の持ち主なら自分の下で育つより禪院家に預けられた方が幸せだろう」という屈折した親心、「自分を否定した禪院家に自分の血を引く子供を育てさせる」という迂遠な復讐と、複雑怪奇な想いの果ての行動だった。
この時得た金を資金として、当時の妻と共に蒸発する。なお、直毘人とは「恵の才能が本物なら次期当主にする」という誓約も交わしている。甚爾本人はこれを冗談の類と捉えていたようだが、直毘人は本気だったらしく、後に条件付きながら「伏黒恵を禪院家に引き取り、次期当主にする」という遺言を残している。
"星漿体"天内理子抹殺依頼
呪術界の要人たる天元の新たな肉体こと“星漿体”を巡る謀略が巻き起こり、孔からしばらくぶりに仕事を持ちかけられる。
依頼者は天元を神と崇め、だからこそ彼が新しい肉体を得る(=不純物が混ざる)ことを忌避する宗教団体・盤星教。仕事の内容は星漿体の少女・天内理子の抹殺。これを引き受けるも、天内の護衛に五条とその相棒の夏油傑がついていることを知り、彼らが健在である限りは依頼達成は難しいと判断。まずは五条を排除すべく様々に策を巡らせる。
盤星教からもらえる報酬を全額懸賞金にして、何人もの呪詛師に天内を襲わせる。全て五条たちが返り討ちにするも、当時の最強クラスの呪詛師でも彼らには勝てないだろうことは織り込み済みで、真の狙いは間断なく襲撃される状況に置くことで相手を消耗させることにあった。
果たして五条は護衛期間中ずっと気を張り詰め、それが終わった瞬間にわずかに隙を見せる。そこを狙って不意打ちを仕掛け、夏油と天内を先行させた五条と交戦。呪術師殺しと謳われた実力を遺憾なく発揮し、用意していた呪具や低級呪霊を駆使して五条に致命傷を負わせる。
五条との再戦
天元の下に向かう夏油と天内を追撃。天内を殺害し、怒りに燃える夏油をも撃破。呪術の特性から「殺すと厄介」と判断して夏油にはトドメを刺さず、天内の遺体を奪って撤収した。
盤星教に天内の遺体を届けて依頼を達成するも、そこに仕留めたはずの五条が現れる。死の淵でさらなる才能の開花を果たし、自分で自分の傷を癒して息を吹き返した、「恐らくは現代最強の術師」となった五条と再び交戦。依頼を達成した自分に五条と戦う理由は無く、なぜここで逃げずに“戦う”という選択をしたのか違和感を覚えながらも冷静に相手の力を分析。十分に勝機はあるとして暴威を振るうも、五条が新たに修得した術式の前に一蹴され、胴を大きく抉られる致命傷を負う。
もはや助からないことを理解しつつ、ここで違和感の正体にも思い至る。「恐らくは現代最強の術師」となった五条を捻じ伏せることで、かつて自分を否定した呪術界の鼻を明かしてやりたいという気持ちが己の中に芽生えたのだ。
「自尊心(それ)は捨てたろ」
そう言って自嘲しながら、甚爾が最後に考えたのは我が子恵とその母となってくれた亡き妻のことだった。五条に言い残すことはあるかと問われ、それを"無い"と一蹴しつつ、自分の子(=恵)が数年後に禪院家に売られることを五条に伝えて絶命。甚爾が自身をも打ち倒した「恐らくは現代最強の術師」五条に恵を託そうとしたのは、自分の中でどうにも拭い切れない禪院家への不信や、呪術師としてより良い環境を与えようとしたある種の親心だと思われる。
結果として甚爾の思惑通り、恵は五条の下で呪術師としての道を歩んでいく。
霊媒による疑似的な復活
十年後、その五条が渋谷にて特級呪霊たちの罠により封印。彼を助けようとする呪術師たちと、それを妨げようとする呪詛師たちが戦う中、オガミ婆が切り札として己の孫に伏黒甚爾の肉体を憑依させる。
しかし甚爾の肉体の規格外の強靭さに孫の魂は擦り切れてしまい、肉体に誘いこまれる形で本人の魂までも定着。記憶も人格も取り戻し、疑似的な復活を遂げる。
自我を取り戻した直後にオガミ婆を素手で殴殺し、術の制御を失った結果暴走。肉体に刻まれた闘争本能に導かれ、ただ強い相手を求めて呪霊と呪術師たちが相争う渋谷駅近辺をさまよう。
そんな中、恵と七海、禪院家の人間である真希と直毘人らが特級呪霊・陀艮と交戦する場に乱入。真希から特級呪具・游雲を奪い取り、これを振り回して陀艮を攻撃。唐突に乱入してきた男が甚爾であることに気づいた直毘人のサポートもあり、ついには陀艮を撃破する。
果たされた息子との邂逅
陀艮を倒した後、次なる標的を見定めるも、なぜか居合わせた中ではもっとも力量の劣る恵を連れ去るようにしてその場を離脱。渋谷の路地裏まで移動し、そこで改めて恵と相対する。
格上相手に食い下がり、なんとか自分に肉薄する恵を前に、不意に理性を取り戻す。名を問い、恵がそれに答えると、“名字が禪院ではない(=禪院家に引き取られたわけではない)”ことに意外そうな声を上げる。
陰惨な呪術の世界そのままの禪院家の中ではなく、恐らくは自分を倒した五条悟の下で、仲間にも恵まれながら、息子は自分とも渡り合うほどの力をつけつつある。全てを恨み、全てに絶望し、全てを放棄した自分の遺した子が、その才を存分に開化させようとしている。ロクデナシの父親にできることはもう無い、きっといない方がいい。そのような想いの下、「よかったな」と言い残して自害。今まで戦っていた相手が何者なのかも分からないまま、唐突な幕切れに呆然と立ち尽くす恵の前で、二度目の死を迎えた。
伏黒甚爾/禪院甚爾の関連人物・キャラクター
伏黒恵(ふしぐろ めぐみ)
唯一婿に入るほど本気で向き合っていた女性との間に設けた一人息子。「自分とは違う、恵みの多い人生を歩んでほしい」との想いからこの名をつけるも、本人にはさっぱり伝わっておらず、「息子に女の名前をつけたクソ親父」と疎まれている。甚爾自身、恵の母親の死で本格的に自暴自棄になって以降はほとんど顔を合わせることもなく、仲間に「恵は元気か」と尋ねられても誰のことだかしばらく思い出せないほどだった。
甚爾と異なり、並外れた呪術の才能の持ち主で、実家の禪院家に売り飛ばす。非道ではあるが、「これだけの才があれば、自分の下にいるより、呪術だけを価値基準とする禪院家で育てられた方が本人のためになるだろう」という歪んだ愛情からの行いでもあった。
自身を倒して“現代最強の術師”となった五条を、息子の将来を託すさらに良い師だと判断し、彼に恵を託して死亡する。後に渋谷事変で降霊術により疑似的な復活を果たし、成長した恵と対面。彼に名を尋ね、“禪院”ではなく“伏黒”だと返されたことで、思惑通り五条が息子の師となったこと、自分が愛した女性の性を使っていることに安堵。自分という存在が息子の人生を邪魔することを危惧してか、「よかったな」と言い残して自害した。
伏黒恵(呪術廻戦)の徹底解説・考察まとめ - RENOTE [リノート]
renote.net
伏黒恵(ふしぐろ めぐみ)は、『呪術廻戦』の登場人物で、呪術の名門禪院家の血筋を引く麒麟児。東京都立呪術高等専門学校の一年生にして二級呪術師の資格を有し、主人公虎杖悠仁とはクラスメイト。
一見するとクールで真面目な優等生ながら、内には激しい情動を秘める。善人だった姉が呪いによって倒れたことが呪術師を目指す動機となっており、最強の呪術師五条悟に師事する。自身を救うために特級呪霊両面宿儺の宿主となった虎杖を庇い、彼の善性と呪術師としての潜在的な才能を信じて、宿儺の力を求めるあまたの敵と戦っていく。
伏黒津美紀(ふしぐろ つみき)
最後に結婚した女性の連れ子。義弟となった恵曰く「文句のつけようのない善人」であり、悪辣かつ非道な甚爾とは真逆の性質を持つ少女。
家族として生活した期間は短く、津美紀の母親と早々に蒸発する。それでも津美紀は母親だけでなく甚爾も「いつか帰って来る」と信じて待ち続けており、自分が殺しを生業としていること、様々な悪事に手を染めてきたことはうまく隠していたようである。
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「虎杖悠仁・七海建人 vs. 真人」とは、巨大な陰謀に立ち向かう呪術師たちの活躍を描く『呪術廻戦』で繰り広げられた戦いの1つ。主人公である虎杖、ベテラン術師である七海の両名と凶悪な呪霊である真人との間に最初の因縁が生まれた戦いである。 映画館で呪霊による死者が発生し、虎杖は七海と共にこの調査に赴く。その犯人は真人という強大な呪霊で、なぜか吉野順平という学生と行動を共にしていた。真人を追う七海から順平のことを調べるよう命じられた虎杖は、彼に接触して次第に友人になっていく。
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呪術廻戦名勝負「五条悟 vs. 漏瑚」戦のネタバレ解説・考察まとめ
「五条悟 vs. 漏瑚」とは、巨大な陰謀に立ち向かう呪術師たちの活躍を描く『呪術廻戦』で繰り広げられた戦いの1つ。漏瑚の高い実力と、それを遥かに上回る五条の恐るべき強さが明らかになった戦いである。 人類殲滅を掲げる自然呪霊の1員たる漏瑚は、協力者である羂索の誘いに乗って“最強の術師”の異名を持つ五条悟を自ら討ち取ろうとする。五条はこれを迎え撃ち、そのすさまじい力を見た上で「弱い」と断言。わざわざ教え子の虎杖悠仁を連れ出して見学させつつ、漏瑚に圧倒的な実力の差を見せつける。
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呪術廻戦名勝負「五条悟 vs. ミゲル」戦のネタバレ解説・考察まとめ
「五条悟 vs. ミゲル」とは、強大な呪霊と化した幼馴染に憑かれた少年の成長と活躍を描いた『呪術廻戦 0(東京都立呪術高等専門学校)』で繰り広げられた戦いの1つ。ぽっと出の外人キャラクターが“最強の術師”を相手にひたすら圧倒されて振り回されるという内容だが、五条の恐るべき実力が明らかになるに従い注目度が劇的に上がっていった。 「術師の楽園を作る」と語る夏油傑を気に入ったミゲルは、彼のために教え子たちの下へと急ぐ五条の足止めを買って出る。“最強の術師”を相手に、ミゲルの決死の奮闘が始まる。
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呪術廻戦名勝負「虎杖悠仁・伏黒恵・釘崎野薔薇 vs. 特級仮想怨霊 vs. 両面宿儺」戦のネタバレ解説・考察まとめ
「虎杖悠仁・伏黒恵・釘崎野薔薇 vs. 特級仮想怨霊 vs. 両面宿儺」とは、巨大な陰謀に立ち向かう呪術師たちの活躍を描く『呪術廻戦』で繰り広げられた戦いの1つ。物語の序盤で主人公の虎杖たちが直面した絶体絶命の窮地であり、事前に「3人の内の1人が死亡」という説明があったことで緊迫感ある展開となった。 少年院に強力な呪霊が発生し、緊急事態として虎杖ら3人が生存者の避難誘導を命じられる。虎杖は「いざとなれば自分の内の宿儺の力を使おう」と安易に考えていたが、事態は連鎖的加速的に悪化していく。
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呪術廻戦の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『呪術廻戦』とは、若き呪術師たちの戦いと成長の日々を描いた、芥見下々による漫画作品。 最強最悪の呪霊両面宿儺をその身に宿してしまった高校生虎杖悠仁。両面宿儺の力を御するため、虎杖は呪術師を目指して呪術高等専門学校に通い始める。 作品の人気が高まるに従い、個々のキャラクターへの注目の度合いも上がっていき、彼らが発した心揺さぶるセリフに惹かれる読者も増えていった。呪いという人間の感情に直結するものを扱うため、時に生々しく、時に華々しく、時に人間の弱さを残酷に突きつける名言が数多く登場する。
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呪術廻戦の歴代OP・ED主題歌・挿入歌・サウンドトラックまとめ
『呪術廻戦』(じゅじゅつかいせん)とは、芥見下々によるダークファンタジーバトル漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。この記事では、『呪術廻戦』を彩るオープニング・エンディング主題歌、挿入歌、そして本作の前日譚である『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』を原作とする劇場アニメ『劇場版 呪術廻戦 0』の主題歌を紹介していく。
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目次 - Contents
- 伏黒甚爾/禪院甚爾のプロフィール・人物像
- 伏黒甚爾/禪院甚爾の呪具・能力
- 天与呪縛(てんよじゅばく)
- 天逆鉾(あまのさかほこ)
- 万里ノ鎖(ばんりのくさり)
- 刀
- 武器庫呪霊
- 伏黒甚爾/禪院甚爾の来歴・活躍
- 禪院家の日陰者
- 術師殺し
- "星漿体"天内理子抹殺依頼
- 五条との再戦
- 霊媒による疑似的な復活
- 果たされた息子との邂逅
- 伏黒甚爾/禪院甚爾の関連人物・キャラクター
- 伏黒恵(ふしぐろ めぐみ)
- 伏黒津美紀(ふしぐろ つみき)
- 禪院直毘人(ぜんいん なおびと)
- 五条悟(ごじょう さとる)
- 孔時雨(こん しう)
- 伏黒甚爾/禪院甚爾の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「自尊心(それ)は捨てたろ」
- 伏黒甚爾/禪院甚爾の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 伏黒甚爾/禪院甚爾が力を得るために失ったのは伏黒恵の母親という説