蒼き流星SPTレイズナー(Blue Comet SPT Layzner)のネタバレ解説・考察まとめ

『蒼き流星SPTレイズナー』とは、地球人とグラドス星人の混血児エイジが、地球侵略を目論むグラドス星の野望を阻むために戦う姿を描いた、1985年に制作された日本サンライズ(当時)制作の日本のロボットアニメである。スタイリッシュなキャラクターやSPTのデザインと、ハードな動きを追求した作画やリアルな設定で高い評価を得ながら、スポンサーが商品で事故を起こしてしまったために降板するという不運にあい、無念の打ち切りとなった。現代においても評価の高い『蒼き流星SPTレイズナー』についてまとめた。

ゴステロはジュリアを庇ったためル・カインを激怒させるが、処刑は免れる。投獄されたゴステロは機械製の左腕で脱獄、自分のSPTを奪取し、そのまま聖女隊の元へ向かう。
彼はジュリアを誘拐した。
ル・カインはゴステロの討伐を命じる。一方、エイジはゴステロの潜伏先を目指す。

エリザベスたちは地下秘密工場の移転を進めていた。しかしグラドス軍が襲撃し、死鬼隊が襲い来る。エイジはレイズナーで応戦する。だが、ゴステロとの戦闘を分析していた死鬼隊は浮遊機雷を使い「V-MAX」を封じ込める。
苦戦するレイズナーだが、レイズナーは敵SPTガッシュランをうまく盾に使い浮遊機雷を破壊していき、ついに脱出するのだった。

アンナ救出

ル・カインは、しくじった死鬼隊のゲティを処刑する。ル・カインはレジスタンスの柱であるアンナの始末を決め、アンナを追う。グラドス軍の動きを察知したアンナは、ノースロッドへ移動する。市民を次々と拷問したギラウは潜伏場所を突き止める。
アンナ救出に向かうシモーヌだが、そこには死鬼隊が迫っていた。多くの被害を出しながらも、2人はなんとか死鬼隊の魔の手を逃れる。

南米の遺跡

グラドスが狙うのは南米の遺跡だった。情報を得たエイジはアンナと二人で遺跡に向かう。エイジを狙うカルラに、エイジは応戦する。アンナと逃げるエイジは、カルラを巻き込み地下遺跡へ落ちていく。
カルラと戦うエイジだが、彼らは謎の祭壇を発見する。

アーサーは「V-MAX」の権威者がグラドス本星からやって来るという情報をデビッドたちに伝える。デビッドたちは、グラドス軍の増強を阻止する事を企てる。ル・カインは動きを察知し、囮によってレジスタンスをおびき寄せる。

デビッドたちの危機を知ったエイジは現場へ急ぐが、そこにはガッシュランが現れた。ガッシュランも「V-MAX」搭載している。熾烈な戦いが始まった。

V-MAXとV-MAX

デビッドたちの救出に向かったエイジの前に「V-MAX」を搭載したSPTガッシュランが現れる。
「V-MAX」と「V-MAX」が激しく激突する。その激しさに、ル・カインは初めて恐れるという事を感じていた。

ル・カインは自分が操縦するザカールにも「V-MAX」が搭載されている事を知り、操縦訓練を始める。
エイジはさらわれたジュリアの居場所を求め、アーサーの手引きによってグラドス・タワーへ潜入する。エイジはル・カインを問い詰めるが、兵士に発見されて脱出する。
ル・カインはレイズナーに重大な秘密が隠されていることを確信し、エイジをおびき寄せるため、偽の情報も流した。エイジは罠と知りつつル・カインに会う決心をする。

エイジとル・カインの対決が始まった。ル・カインがグラドスと地球の関係を知ろうとした時、カルラが秘密を守る為に邪魔をするのだった。

刻印発動

レジスタンスは、グラドスの「刻印」を守るため南米ナスカに集結した。
しかしル・カイン軍の攻撃を受け、クスコの遺跡まで後退する。
ル・カインは司令室で指揮の全権をロアンに譲り渡した。そこでロアンは全軍に撤退を命令し、レジスタンス側に寝返った。
ル・カインは「刻印」を追って宇宙へ向かう。
エイジとル・カインの最後の戦いだ。
その様子を見たジュリアは地球とグラドスを繋ぐ空間を歪め、閉鎖する「刻印」を発動した。「刻印」発動によって宇宙に投げ出されたエイジだが、レイズナーを呼び出す。
エイジはレイズナーに乗り込み、地球へ向けて発進した。

『蒼き流星SPTレイズナーACTIII刻印2000』のあらすじ・ストーリー

『蒼き流星SPTレイズナー』は打ち切りにより、本来の最終回は作られなかった。その為に、きちんとした形で制作されたのがOVA『蒼き流星SPTレイズナー刻印2000』である。

『蒼き流星SPTレイズナー刻印2000』は全3巻だが、ただし第1巻、第2巻はそれぞれテレビシリーズ第1部、第2部の総集編である。
ここでは幻の最終回を描いたACTIIIを紹介する。

ジュリアの刻印発動

全ての決着をつけたエイジは、仲間たちの下へと戻り、自分を支え続けてくれたアンナを抱き締める。

ル・カインのザカールに壊滅的に痛めつけられたレイズナー。フォロンは己自身を破壊しなければならないと警告を発する。エイジはフォロンが発動しているレイズナーに近寄り「聞いてくれ、ニューレイズナーに移って欲しい」と懇願する。フォロンは「私は私の新しい体の完成を待つ」と告げる。

ル・カインは父グレスコの元を訪れる。「なぜカルラを使ってレイズナーとの戦いを阻ませたのです」と問い詰めるル・カインはジュリアについてもグレスコを問いただす。カルラに連れられたジュリアはル・カインに「グラドス人と地球人は同祖であること」を説明するが、ル・カインは鼻で笑う。「無礼だぞジュリア!」と激怒するル・カインに、グレスコはジュリアの話が真実である事を告げる。
グレスコはル・カインを「未熟」と指摘し、総司令官の任務を罷免する。激昂したル・カインはグレスコを射殺する。

グレスコの葬儀で、ル・カインはロアンを己の右腕として登用する事を宣告する。グレスコという歯止めが消えたル・カインは、地球の徹底的破壊を開始する。ル・カインは独裁者となった。

アンナたちのレジスタンスの元では、元々が平和主義であるのに、地球解放の為に兵器を作る事への、己の信念の葛藤に耐えかねたエリザベスがノイローゼに陥っていた。

一方アーサーはロアンを呼び出し本心を問いただす。
「本当は地球のスパイなんだろう」と問い詰めるアーサーだが、しかしロアンは冷たく突き放すだけだった。アーサーは涙を浮かべロアンに「裏切り者」と罵声を浴びせた。

ジュリアはル・カインの元を去る。兵士たちもジュリアを止められない。報告を受けたル・カインは「好きにさせるがいい」と返事するのみである。

錯乱したエリザベスは「いくら作ったってムダなのよ」と銃を乱射する。止めに入ったデビッドの前でエリザベスは泣き崩れた。心を痛めるアンナは「グラドスか地球かではなくて、他の道はないのかしら」とため息をつく。
ジュリアはエイジに驕れるものたちの力を阻む為に、先人たちの知恵を借りにクスコに行くことを促す。

そこにはかつて地球に来訪した旧グラドス人のメッセージが遺されており、旧グラドス人によって仕掛けられた、将来グラドス人と地球人が成熟しないまま出会った時の為のセーフティ装置がクスコの石の中にある事が説明される。「グラドスの刻印」である。

ジュリアは「刻印」の発動の準備を始める。クスコでジュリアの準備を待つエイジたちにグラドス軍の攻撃が加えられる。立ち向かうエイジたち。
1999年12月31日、地球解放軍はグラドス軍に追い詰められていた。最後の対決だった。

エイジたちを追い詰めたル・カインは「果報を寝て待つ」と指揮をロアンに委ねる。ロアンが指揮官に任命されたのだ。

エイジは宇宙服を身につける。「グラドスの刻印」を護衛する為に宇宙へ行くのだ。
ロアンにはエイジたちへの攻撃命令が催促される。しかしロアンはなかなか口を開かない。ロアンは全軍への撤退命令を下す。ロアンは司令本部が地球解放戦線機構の支配下にあると宣告する。

ル・カインはロアンの処分を保留し、ザカールに乗り込みレイズナーの元へ向かう。ル・カインとエイジの最後の戦いだった。エイジはレイにV-MAXの発動を命令する。対決するエイジとル・カインだが、ジュリアが止めに入る。ル・カインは立ちはだかるジュリアを撃ち抜こうとするが、この「刻印」の元ではSPTも操縦に従わず、打つ手がない。
ル・カインはコクピットを飛び出しジュリアに襲いかかるが、エイジが阻み、ル・カインとエイジは殴り合いをする。その戦いを止めるべくジュリアは「刻印」を発動させた。
ジュリアはエイジに地球に残る事になるグラドス人の為に尽くしなさいと諭した。宇宙空間を漂うエイジはレイズナーを呼び戻す。
レイズナーに乗り込んだエイジは地球に帰還する。
コズミックカルチャークラブの子供たちも待ち受けている。駆け寄るアンナに、エイジはキスをした。
グラドス人と地球人の戦いは終わった。

『蒼き流星SPTレイズナー』の登場人物・キャラクター

エイジの周辺

アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ

CV:井上和彦
本作の主人公である。
フルネームはアルバトロ・ナル・エイジ・アスカと言い、生年月日は1980年5月24日で血液型はA型、身長182cmで体重70kgという設定である。好きな食べ物はシチューで好きな色は青である。
アポロ計画に先立つアポロX-0計画の宇宙飛行士ケン・アスカと、グラドス人の母アルバトロ・ミル・アイラ・アスカの間に生まれる。
父ケン・アスカはアポロX-0計画において月面で遭難し、グラドス人の調査隊に救出されていた。
地球がグラドス人に狙われていることを知らせる為にグラドス艦に密航して太陽系を訪れ、ケン・アスカが作った第二世代の人型機動兵器「スーパー・パワード・トレーサー(SPT)」の「レイズナー(SPT-LZ-00X)」に搭乗し火星に飛来する。
グラドス軍の攻撃で壊滅した国連火星観測基地に生き残ったコズミックカルチャークラブの子供たちと一緒に地球を目指す。
子供たちの疑いや敵視の中で交流を深め、次第に絆で結ばれる。ついには「幸運を運ぶ」とまで言われるのだった。
地球衛星軌道上でのグラドス軍との戦いで、エイジは第二世代SPTに搭載されいた特殊自己防衛プログラム「V-MAX」を使用して突撃する。行方不明となる。もともとが鮮やかな青色のレイズナーが「V-MAX」の蒼い光に包まれ、自在に駆け巡る姿を、人々は誰となく「蒼き流星」と呼んだという。
漂流後、再び現れたエイジはレジスタンスとして、かつての子供たちと一緒にグラドス軍と戦っていく。
井上和彦は「サイボーグ009」の島村ジョー、「ダグラム」のクリン・カシムに続いての主役登用で、高橋良輔作品の馴染みである。アルバトロ・ナル・エイジ・アスカという長い名前は、OPの間奏にその回のポイントになるカットを挿入したり、欧米感覚のCMアイキャッチャーとともに、放送当時アニメファンの間で話題になり「高橋良輔らしい演出」と騒がれた。

アンナ・ステファニー

CV:江森浩子
米ソ対立を乗り越えた次世代の若者を育成するために国連に募られた「コズミックカルチャークラブ」の最年少メンバーで、登場時は14歳という設定である。全編の語り部、ナレーターとして物語を牽引する。
北欧出身とされている。
当時制作されていた、番組のアニメーターのチーフ的立場の谷口守泰も作画監督として携わっていた「北斗の拳」における、リンに対応する立場である。
壊滅した国連火星観測基地に現れたエイジに、他の「コズミックカルチャークラブ」メンバーが反発する中で、一人真っ先に心を開く。やがてエイジに対するその信頼は同じ「コズミックカルチャークラブ」メンバーのシモーヌへのライバル意識になり、彼女の想いはエイジへの愛に変わっていく。
物静かでか弱い女性でありながら芯は強く、地球制圧後のグラドス軍のル・カインに反発する信念もある。
地球レジスタンスの指導的立場として人々を叱咤激励し、グラドス軍政下の地球の希望の星だが、そのために死鬼隊にも襲われる。
もともとがリベラルな谷口の意向もあってか、「ザブングル」や「ダンバイン」の作画監督を務めた遠藤栄一の受け持ち回ではチャム・ファウのような顔立ちに描かれていた。

デビッド・ラザフォード

mattyoukilisd0
mattyoukilisd0
@mattyoukilisd0

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