蒼き流星SPTレイズナー(Blue Comet SPT Layzner)のネタバレ解説・考察まとめ

『蒼き流星SPTレイズナー』とは、地球人とグラドス星人の混血児エイジが、地球侵略を目論むグラドス星の野望を阻むために戦う姿を描いた、1985年に制作された日本サンライズ(当時)制作の日本のロボットアニメである。スタイリッシュなキャラクターやSPTのデザインと、ハードな動きを追求した作画やリアルな設定で高い評価を得ながら、スポンサーが商品で事故を起こしてしまったために降板するという不運にあい、無念の打ち切りとなった。現代においても評価の高い『蒼き流星SPTレイズナー』についてまとめた。

エイジ「さようなら、ゲイル先輩」

エイジたちのシャトルは地球に近づいていた。グラムカイゼルを迎え撃つエイジだが、ゲイルはエイジを追い詰める。エイジに危機が訪れた時、フォロンによってV-MAXが発動する。
レイズナーの猛攻を受けたゲイルは命を落とす。意図せずにゲイルを殺したエイジは慟哭した。

地球のためにグラドスと戦うと決意したエイジだが、その実彼もまた幼い少年に過ぎず、尊敬していたゲイルの死は、それを自分の乗る機体が成したという事実は、あまりに重く心に伸し掛かる。エイジの選んだ過酷な運命を、これから歩む苦難と試練の道を感じさせるシーンである。

エリザベス「こんな時に昔の話なんてしないで」

地球に向かう一行はアメリカ兵クレイトンと合流する。クレイトンはエリザベスのかつての恋人だった。
やっと落ち着いて話せる二人だが、しかしここでも二人はすれ違い、分かり合えないのだった。

本作にはこういった大人の関係を匂わせる場面もたびたびし、単なる子供向けに留まらない物語の奥深さを演出している。

エイジ「だから僕は手を触れるなと、あれだけ忠告したんだ」

地球に降り立ったエイジは身柄を拘束される。レイズナーには手を触れるなと警告するエイジだが、アメリカ軍は無視してレイズナーを解析する。
反発したレイズナーは暴走を始める。アメリカ軍はやむ無くエイジに止めに入ってもらうのだった。

これほどまでして守らなければならない、レイズナーに隠された秘密とはどのようなものなのか。視聴者の期待と不安を煽る名シーンである。

国防長官マース「大統領、もはや核の使用しかありません」

地球のオゾン破壊に乗り出すグラドス軍だが、圧倒的な力の差で、地球は全く太刀打ち出来ない。
米ソ両軍は核攻撃を加えるが、グラドス軍の前に全く無力だった。

グラドス軍の精強さと、地球の置かれた絶望的な状況が嫌というほど分かる戦慄のシーンである。

ギルバート「あの子たちはあんたたち愚かな権力者のつけを払いに行ったんですぞ、命がけで」

グラドス軍の勝利は確実だった。無力のエイジたちだが、奇跡を信じるエイジたちはSPTに乗り込み宇宙へと向かい、グラドス軍と対決する。
子どもたちを蔑むエドワーズ空軍基地の司令官にギルバートは絶叫した。

戦いの趨勢が決した中、なお地球のために戦おうとするエイジたちは英雄なのか、愚者なのか。いずれにしても、彼らをその状況に追い込んだのは国同士の争いに終始して後手に回り続けた軍人たちであり、この場にいた者たちの中でギルバートだけはそれを理解していた。子供を死地に追いやることしかできなかったギルバートの、自責と後悔と同僚たちへの怒りが詰まったセリフである。

エイジ「俺は地の底から蘇ってきた男だ」

グラドス軍に突撃して行方不明になったエイジだが、身なりもみすぼらしくなりながら仲間の元へ帰ってきた。
地球はグラドス軍に支配され、ル・カインは傍若無人に振舞っている。エイジはグラドス軍に立ち向かう。

物語の雰囲気も一変する中、たくましく成長して新たな戦いを始めるエイジに否応にも期待を抱いてしまう名シーン。

ゴステロ「首の骨が砕ける音を聞きながら死んでいけ」

デビッドたちはべイブルを奪還しようとグラドス軍の施設に乗り込む。べイブルに乗り込もうとするデビッドたちだが、そこには残忍なゴステロが隠れていた。
彼は残忍にデビッドの首を締め付ける。

ゴステロの卑劣で残忍な性格がにじみ出ている。名悪役として長く語り継がれる彼の恐ろしさがよく分かるセリフである。

グレスコ「支配とは自らを悪と認めるところから出発するのだ」

カルラによってレイズナーとの戦いを邪魔されたとグレスコに詰め寄るル・カインに対し、グレスコは諭して言う。しかし、司令官を罷免されたル・カインは逆上してグレスコを射殺してしまうのだった。

「支配とは悪である」というのは、為政者が戒めとして抱かなければならない感情だといえる。エイジたちからすれば憎き大敵ではあったが、グレスコはグレスコなりに哲学と信念をもって地球を修めていたのだということがよく分かる。その結果として実の息子に撃たれてしまった彼の運命には、思わず同情してしまう。

ジュリア「これからのエイジに怒りは不要です、拳を開きなさい」

「刻印」の発動を止めたいル・カインはエイジと殴り合いしている。しかしジュリアは動じない。
エイジに地球に戻るように告げるジュリアはエイジの拳を開かせ、「刻印」を発動した。

暴力と殺戮の応酬をしているだけでは、戦いは決して終わらない。ジュリアはまさに聖女として弟にこれを伝え、地球とグラドスの戦いに終止符を打つのである。

アーサー「エイジ!みんなこんなに待ってるんだぞ!」

宇宙でル・カインが操るザカールに最後の戦いを挑むレイズナーだが、戦いを止めるべくジュリアは「刻印」を発動する。
地球とグラドスを繋ぐ空間は歪み、通路は絶たれる。
宇宙に投げ出されたエイジはレイズナーを呼び、地球へと帰還する。エイジの帰りを待つアンナたちはエイジに呼びかけ叫ぶのだった。

出会った頃は互いに警戒し、いがみ合い、時に殴り合いのケンカまで繰り広げていたエイジたちは、長い長い戦いを経て「自分たちは仲間だ」との強い想いを抱いていった。「人と人の対立」の果てに、ついに彼らは真の仲間となったのだ。東西冷戦の最中に作られた本作の最後を飾るにふさわいセリフである。

『蒼き流星SPTレイズナー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

高橋良輔の“ロボットアニメとしての原典”

監督高橋良輔はゲスト出演した『植田益朗のマスマスほがらか』で、『装甲騎兵ボトムズ』においてやりたいことはすべてやってしまったと語った。明確な指標が無く制作を始めたのがこの『蒼き流星SPTレイズナー』だったのである。
その中で高橋は『ロボット』の原点『鉄腕アトム』に立ち戻り制作したという。
その思いは人格を持ったロボットと人間の繋がりや葛藤という形で物語に反映されている。

エイジの名前

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@mattyoukilisd0

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