蒼き流星SPTレイズナー(Blue Comet SPT Layzner)のネタバレ解説・考察まとめ
『蒼き流星SPTレイズナー』とは、地球人とグラドス星人の混血児エイジが、地球侵略を目論むグラドス星の野望を阻むために戦う姿を描いた、1985年に制作された日本サンライズ(当時)制作の日本のロボットアニメである。スタイリッシュなキャラクターやSPTのデザインと、ハードな動きを追求した作画やリアルな設定で高い評価を得ながら、スポンサーが商品で事故を起こしてしまったために降板するという不運にあい、無念の打ち切りとなった。現代においても評価の高い『蒼き流星SPTレイズナー』についてまとめた。
SAI2000
『蒼き流星SPTレイズナー』にはレイズナーに搭載された人格を持つ人工知能のOS「レイ」と「フォロン」が登場する。
ともにV-MAXという機能の制御に開発された高速処理のOSだが、当初は「フォロン」の存在は隠されていた。
しかし、ある条件下でレイズナーが制御不能になるために、次第に「フォロン」の存在が予想される。
ゲイルは「フォロン」によって発動したV-MAXによって命を失った。
SPT
エイジたちが乗る人型ロボットの総称で「スーパー・パワード・トレーサー」の頭文字を取っている。惑星開発のための装甲強化服から発展した。
頭部にコクピットがあり、地球上でも宇宙空間でも行動が可能で、単独での大気圏突入能力すら備えている。
レーザー砲の「レーザード・ライフル」や放電プラズマをともない打撃を与える為のナックル部分の装甲板「ナックル・ショット」の装備を持つ。
高橋良輔が思い描いたレイズナーのデザインは「バイファム」のようなものだったが、大河原邦男のデザインにより本作のデザインになった。
MF
SPTを用途に合わせて特化させた機体の総称である。
TS
SPTと並び登場する無人の量産型のメカをいう。「テーラー・ストライカー」の頭文字である。
V-MAX
第二世代SPTに搭載された「特殊自己防衛プログラム」である。非常時の高速戦闘システムを含む。
発動に際して、全身のスラスターが最大の推進力を発揮する。そのために機動速度が3.57倍に飛躍する。
莫大なエネルギー消費を抑えるために、発動時間はリミッターにより制御されている。
「V-MAX」発動中は機体が青いバリアで包まれる。青いバリアの光で宇宙を駆け抜ける姿が「蒼い流星」の由来にもなっている。
死鬼隊
第二部から登場するル・カインの親衛隊である。
全員ホッケーのマスクのような仮面をかぶり、筋骨隆々で敏捷、研ぎ澄まされた戦士たちである。
ゴステロを始め、破壊・殺戮を繰り返す異常人格の集まりである。
敵をいたぶるときは協調するが、普段は仲たがいし、些細なトラブルで同士討ちする。
グラドス創世の秘密
エイジの前に現れたフォロンが伝えた伝承である。グラドス星人と地球人は同じ人種だという。
古にグラドス星に文明を築いていた旧グラドス星人は、自分たち旧グラドス人の種としての衰えを感じ、地球人をグラドス星に連れてきて自分たちの文明の後継者にしたという。
グレスコはこの秘密を頑なに守り、みだりに知った者は冷酷に抹殺した。
『蒼き流星SPTレイズナー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
エイジ「僕の名はエイジ、地球は狙われている」
火星基地を訪れたアンナたち「コズミックカルチャークラブ」のメンバーは突如訪れた「SPT」の追撃戦によって基地も大破し、避難場所で困惑する。そこに現れた追われる身のエイジが告げた、物語を象徴するセリフ。
そして、少年たちは反発し、受け入れ、ともに地球を目指した。
ジョブ・グレン「あらためて言うまでもなく、これからの宇宙時代を担うのは諸君ら若い世代である」
国連の火星基地を訪れた「コズミック・カルチャー・クラブ」の少年たちにジョブ・グレンが語ったスピーチである。物語の主題が提示されている。
米ソの対立が宇宙にまで広がる時代の先を見越す、グレンの少年たちへの思いである。
ダニー「貴様の仲間も地球人を殺している!野蛮などとは言わせないぞ!」
地球に少年たちを連れ戻そうというダニーはエイジを捕虜として連行しようとする。
そのダニーにエイジは「野蛮なタイプ」と反論するが、ダニーはエイジの頬をぶった。
エイジの立場からすると理不尽な暴力を振るわれたようにも見えるが、ダニーもまた間違っていない。作品を通して描かれる「人と人の対立」の構造がここでも描かれている。
こういった多くの対立を経験し、それを乗り越えていくことで、エイジたちは手を取り合って困難に立ち向かうことを学んでいったのである。
シモーヌ「軍人の頭は鉄かジュラルミンで出来てるのかよ!」
エイジたちを乗せて地球へ向かうシャトルは、アメリカ軍の艦隊と遭遇する。ダニーは艦隊の大佐に異星人の存在を告げ警告するが、信じない艦隊は火星へ向かう。
その艦隊はゲイル率いる部隊に攻撃される。
聞き入れなかった彼らを見てやるせなかったシモーヌは吐き捨てるように言った。不和によって追い詰められていく地球側の立場が、それを見ていることしかできない苦悩が溢れるセリフであり、物語前半の脅迫的な展開がよく表れた場面である。
Related Articles関連記事
装甲騎兵ボトムズ(VOTOMS)のネタバレ解説・考察まとめ
装甲騎兵ボトムズ(Armored Trooper VOTOMS)とは、日本サンライズ(現・サンライズ)制作のロボットアニメである。テレビシリーズが1983年4月1日から、1984年3月23日までテレビ東京系で放送された。テレビシリーズは全52話である。 テレビシリーズの後日談や、サブエピソードを描いた小説、漫画、OVA作品が制作、発表され続けている。 アーマードトルーパー(通称AT)と呼ばれる、大量生産の安価なロボット兵器が、主役機、敵機、関係なく次々と撃破されていく姿は、圧巻である。
Read Article
機甲猟兵メロウリンク(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『機甲猟兵メロウリンク』とは1989年にサンライズで制作されたOVA作品。全12話。 同社の人気作『装甲騎兵ボトムズ』シリーズ初となる、別主人公の外伝作品として制作された。 二つの陣営に分かれた百年戦争が続くアストラギウス銀河を舞台に軍の謀略に伴う作戦で仲間を謀殺された機甲猟兵メロウリンクによる復讐劇。シリーズ構成に高橋良輔、キャラクターデザイン・作画監督に谷口守泰、音楽に乾祐樹と、同シリーズでおなじみのスタッフに加え、監督に『機甲戦記ドラグナー』等を手掛けた神田武幸を迎えている。
Read Article
沈黙の艦隊(かわぐちかいじ)のネタバレ解説・考察まとめ
『沈黙の艦隊』とはかわぐちかいじによって1988年から1996年まで『モーニング』に連載されていた、架空の戦争・軍事政策をテーマとした漫画作品、およびそれらを原作としたラジオドラマ、アニメ、映画作品である。政治的な陰謀や軍事技術の進展による国際関係の緊張を背景に、架空の最新鋭潜水艦「やまと」の艦長である海江田四郎とその乗組員たちの活躍を描いている。本作は、そのリアルな描写と緻密なストーリー展開で高い評価を受けた。
Read Article
ガサラキ(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ガサラキ』とは、サンライズが1998年に製作したSFアニメである。『装甲騎兵ボトムズ』を手掛けた高橋良輔が監督を務めた。戦場にて戦車や兵士と共にリアルロボットが活躍するミリタリーSFとしながらも、その物語の根幹には、平安時代以前から脈々と伝わる「ガサラキ」の伝承とその謎を据える。主人公「ユウシロウ」が、秘技「ガサラの舞」の演者として周囲の野望や思惑に利用されながらも、ヒロイン「ミハル」と出会うことで次第に自我を取り戻し、みずからの出自や前世からの因果を追い求めていく物語が展開される。
Read Article
装甲騎兵ボトムズ入門(ロボット・キャラクター)
1983年にサンライズにより制作された、「装甲騎兵ボトムズ」はガンダムと並ぶ、サンライズのリアルロボの傑作であり、高橋良輔監督の代表作と言えるだろう。アニメファンなら、是非見ておきたい作品であるが、とっつきにくさを感じさせる部分も多いと思われる。そんな、装甲騎兵ボトムズを「キャラ」「メカ」の視点から、シンプルに紹介したい。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の概要
- 『蒼き流星SPTレイズナー』のあらすじ・ストーリー
- 赤い星で
- 謎の襲撃
- 彼の名はエイジ
- 反発と制御不能のレイズナー
- グラドスの伝承
- 地球敗北
- エイジ再び
- 残虐なル・カイン
- クスコの聖女
- べイブル奪還
- ジュリア誘拐
- アンナ救出
- 南米の遺跡
- V-MAXとV-MAX
- 刻印発動
- 『蒼き流星SPTレイズナーACTIII刻印2000』のあらすじ・ストーリー
- ジュリアの刻印発動
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の登場人物・キャラクター
- エイジの周辺
- アルバトロ・ナル・エイジ・アスカ
- アンナ・ステファニー
- デビッド・ラザフォード
- シモーヌ・ルフラン
- ロアン・デミトリッヒ
- アーサー・カミングスJr.
- エリザベス・クレブリー
- マッシュ
- AI
- レイ
- フォロン
- 地球人
- ジョン・ギルバート
- ジョブ・グレン
- リブレ
- 国連火星観測基地隊員
- カークス・ダニー
- ロジャー
- キリー
- スミス
- チフレンコ
- スレンフスキー
- サザーランド
- ジョン・クレイトン
- マース
- カブス
- デリンジャー
- グランド男爵
- グラドス及びグラドス軍
- アーマス・ゲイル
- アルバトロ・ミル・ジュリア・アスカ
- ケン・アスカ
- アルバトロ・ミル・アイラ・アスカ
- エジール・カルラ
- ゴステロ
- マンジェロ
- ボーン
- ゲティ
- ギラウ
- ズール
- アッシュ
- ダル
- デルロ
- グレスコの秘書
- Dr.ニゾン
- アッテラ
- ガジール
- グレオン
- グレスコ
- ル・カイン
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の登場兵器・ロボット
- SPT
- SPT-LZ-00X レイズナー
- E-SPT-LZ-00X-B V-MAX強化型レイズナー
- SPT-BB-02U べイブル
- SPT-BD-03U バルディ
- E-SPT-DL-X ロードテイラー(ドール)
- SPT-GK-10U グラムカイザル
- SPT-BK-10U ブラッディカイゼル
- SPT-BG-91U ブルグレン
- SPT-BV-15C ブレイバー
- SPT-DM-20C ディマージュ
- SPT-DT-25C ドトール
- SPT-ZK-53U ザカール
- MF
- MF-SL-52C ソロムコ
- MF-GS-54C ガンステイド
- MF-DJ-91U ダルジャン
- MF-MC-73U ガッシュラン
- MF-ED-52U エルダール
- MF-DK-61U ダンコフ
- E-MF-LZ-00X-2 レイズナーMk.Ⅱ
- TS
- TS-SG-50C スカルガンナー
- TS-TP-50D ターミネーターポリス
- 宇宙船など
- GTC-DN-03 グラドス・トライポッド・キャリア
- グラドスの刻印
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の用語
- コズミック・カルチャー・クラブ
- SAI2000
- SPT
- MF
- TS
- V-MAX
- 死鬼隊
- グラドス創世の秘密
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- エイジ「僕の名はエイジ、地球は狙われている」
- ジョブ・グレン「あらためて言うまでもなく、これからの宇宙時代を担うのは諸君ら若い世代である」
- ダニー「貴様の仲間も地球人を殺している!野蛮などとは言わせないぞ!」
- シモーヌ「軍人の頭は鉄かジュラルミンで出来てるのかよ!」
- エイジ「さようなら、ゲイル先輩」
- エリザベス「こんな時に昔の話なんてしないで」
- エイジ「だから僕は手を触れるなと、あれだけ忠告したんだ」
- 国防長官マース「大統領、もはや核の使用しかありません」
- ギルバート「あの子たちはあんたたち愚かな権力者のつけを払いに行ったんですぞ、命がけで」
- エイジ「俺は地の底から蘇ってきた男だ」
- ゴステロ「首の骨が砕ける音を聞きながら死んでいけ」
- グレスコ「支配とは自らを悪と認めるところから出発するのだ」
- ジュリア「これからのエイジに怒りは不要です、拳を開きなさい」
- アーサー「エイジ!みんなこんなに待ってるんだぞ!」
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 高橋良輔の“ロボットアニメとしての原典”
- エイジの名前
- 黄金のコンビ
- 悲運の打ち切り
- 『蒼き流星SPTレイズナー』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):AIRMAIL from NAGASAKI『メロスのように-LONELY WAY-』
- ED(エンディング):富沢聖子『5分だけのわがまま』
- ED(エンディング):富沢聖子『LA ROSE ROUGE』